『抵抗の同時代史――軍事化とネオリベラリズムに抗して』
道場 親信 20080710 人文書院,292p.
■道場 親信 20080710 『抵抗の同時代史――軍事化とネオリベラリズムに抗して』,人文書院,292p. ISBN-10: 440904091X ISBN-13: 978-4409040911 \2940 [amazon]/[kinokuniya] ※ n05
■内容
出版社/著者からの内容紹介
戦後日本の社会運動・市民運動は敗北の歴史であったかもしれない。しかし、そのさなかにも、強大な権力への様々な抵抗と、運動における人々の創造的つながりは確かに存在した。地球規模で亢進する軍事化とネオリベラリズムに抗うために、そして「もうひとつの社会」を構想するために、抵抗の記憶と痕跡をたどること。「国家の言うままにならぬという記憶」を分かちもつコミュニティの方へ...。著者初の同時代史論にして、注目の第二論集。
■目次
序 <戦後>そして歴史に向き合うことの意味は何か
T 軍事化に抗する戦後経験
軍事化・抵抗・ナショナリズム――砂川闘争50年から考える
1 一九五〇年代の基地闘争
2 砂川闘争――その経過
3 砂川闘争における「抵抗」
4 砂川闘争における「ナショナリズム」の意味
世界大の戦争機械に抗して――基地闘争の変容と持続
1 第二次大戦後の基地と軍事同盟
2 基地闘争の構図――変容と接続
3 基地再編と反基地闘争
4 世界大の戦争機械――「トランスフォーメーション」がもたらすもの
5 分断と封じ込めを超えて――米軍再編は「特定地域」の問題ではない
戦後史の中の核――原爆投下責任に対する「無責任」の構造
1 「原爆投下はしゅうがない」――初代防衛大臣・久間章生の辞任
2 防衛庁の発足と原水爆問題
3 高度成長の中の「革新ナショナリズム」
4 被害者ナショナリズムから「加害/被害」システムの自覚へ
5 「原爆投下はやむを得ない」――初代象徴天皇・裕仁の「戦後」
6 久間―昭和天皇とは別の「戦後」へ
U 「加害」と「被害」の論理
靖国問題と「戦争被害者」の思想――Not in our names!
1 「犠牲者」の思想
2 戦後日本のダブル・スタンダードと靖国問題
3 「被害者」の思想
4 Not in our names!――「わたしたちの名前を使わないで!」
学徒兵体験の意味するもの――『きけわだつみのこえ』を読む
1 戦後「平和主義」の転換点
2 徴兵制と「反戦平和」
3 「わだつみ会」の経験
4 「反戦平和」の課題と戦争への抵抗
拉致問題と国家テロリズム――東北アジアの脱冷戦化のために
1 東アジア冷戦の中の「拉致」――構造化された国家テロリズムの装置
2 国家テロリズムに対する個人補償
3 自民族中心主義を超えて被害の連鎖を考えること
V ネオリベラリズムの同時代史
「戦後」と「戦中」の間――自己史的九〇年代論
1 「九〇年代」という時代
2 一九九二年――PKO協力法と海外派兵の時代
@湾岸戦争と「国家貢献」イデオロギー
APKO協力法と「戦後」の終わり
B細川政権と小選挙区制――社会党(自己)解体ゲームの開始
C小沢一郎のネオリベラリズム「革命」
3 一九九五年――五五年体制の霧消と「ポスト戦後」国家
@村山政権下における「政治決着」自社連立政権
A敗戦五〇年と「記憶の戦争」
B「危機管理」と「安保再定義」
4 一九九五年――ネオリベラル化の不可逆点通過
5 「戦後」と「戦中」の間――〇〇年代における政治と国家
ポピュリズムの中の「市民」
1 研究の中から感じたこと
2 「市民」「市民社会」概念の普及/腐朽
3 ネオリベラリズムのもとでの「市民」の再定義
4 「普通の市民」の転位
5 ネオリベラリズム化と歴史修正主義の中での「市民」
6 「国家の言うままにならぬという記憶」のコミュニティへ
W 憲法と反戦平和----「戦後60年」の再審
「普通の国」史観と戦後――自由主義史観について
「普通の国」への抵抗
「護憲」か「改憲」か?
「郷土(パトリ)」なきパトリオティズム
保守の崩壊とナショナリズム――「自由・平等・博愛」なき社会へようこそ(酒井隆史との対話) 自立しないのはワガママだ? 記憶喪失を強いて人を転がりやすくする 誰も郷土を守ろうとしないナショナリズム
ブックガイド「戦後六〇年」を再審する
○東アジアの冷戦と植民地主義の継続 ○朝鮮戦争再考 ○歴史認識 ○反戦平和の戦後経験 ○「戦後日本」を問い直す ○反戦平和
終章 希望の同時代史のために――人々の経験と「つながり」の力へのリテラシー
1 歴史的経験へのリテラシー
2 「敗北」からの出発
3 分断の「個人化」モデルを超えて――「つながり」の力の可能性
4 「生きる」ためのコミュニティ
5 希望の同時代史のために
あとがき
初出一覧
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:岡田 清鷹