HOME > BOOK >

『二十一世紀 日本の精神医療――過去・現在・未来を見据えて』

秋元 波留夫・天野 直二・仙波 恒雄 20030911 SEC出版,103p.


このHP経由で購入すると寄付されます

■秋元 波留夫・天野 直二・仙波 恒雄 20030911 『二十一世紀 日本の精神医療――過去・現在・未来を見据えて』,SEC出版,103p. ISBN-10: 4434035045 ISBN-13: 978-4434035043 \1680 [amazon][kinokuniya] ※ m.

■内容

http://www.shironishi.or.jp/es/pbl.htm

◇「MARC」データベースより
ここ約100年の内に日本の精神医療は大きな変革を遂げた。この「激動」の過去を振り返り、未来に役立てるのに最適な、日本の精神医療の歴史物語。広く精神医療に従事する人は勿論、一般の精神医療に関心ある人にもおすすめ。

■目次

発刊に寄せて

序にかえて



城西医療財団115周年記念講演会 講演録
精神医療の過去・現在・未来

地域リハビリテーションに視点をおいて  秋元波留夫

21世紀への展望??これからの精神医療のあり方
――日精協基本計画の草案について 仙波恒雄

精神医学の現在と将来 天野直二

鼎談――精神医療はいかにあるべきか 秋元波留夫 仙波恒雄 天野直二

あとがき

■引用

 「この「ケネディ教書」の全文は私の『実践精神医学講座』に載っていますが、これまでの施設収容中心の精神障害者対策を地域ケアに転換する具体的政策を提いしたものです。この転機を一口でいうと脱施設化(deinstitutionalization)とノーマライゼーション(normalization)ということになります。脱施設化というのは、精神病院を隔離収容施設から社会復帰の拠点に変えること、ノーマライゼーションとは障害者が差別されないで普通の暮らしができるようにすることです。……
脱施設化が実行された結果、アメリカの精神病床(主として州立病院)は、1950年代の55万床から60年代以降どんどん減少して、80年代には12万台となり、現在全米の州立病院の病床は10万程度、わが国の精神病床の三分の一です。……
 この脱施設化を支えたのが、精神障害者の地域生活を援助するさまざまな仕組み、例えば、行政の中心としての地域総合精神保健センター、生活の場としてのホステル、働く場としての福祉作業所、あるいは自助組織として発展したクラブハウスモデルなどバラエティに富んだ地域リハビリテーション活動でありました。これらが、連邦および州政府の資金的、制度的援助に支えられて発展したことが精神科医療の脱施設化を可能にしたといってよいでしょう。」(pp.21-23)

VI 各国精神医療とわが国の違い

「アメリカでは民間保険会社との契約(HMO)をとっていて、入院医療は短期集中型で危険な状態を超えればとにかく退院となります。日本ではとても退院させられないという状態でも、保険が切れますので金の切れ目は縁の切れ目で退院させざるを得ない。アメリカのドクターは非常にフラストレーションをおこしています。メニンジャークリニックの例ですが、いま退院させると自殺してしまうので入院期間の延長を保険会社と掛け合いましたが延長できず、退院させたところ予想通り自殺してしまいました。そして訴訟になり病院が負けてしまった。そういう世界ですのでかなり厳しいものです。退院後は、多くは居住施設に移ります。そのままストリートピープルになるケースも多いという。」(p.38)

「米国があれだけドラスティックなことをしたのは医療費が高かったからです。半分の費用ですむ施設に移すという政策がとれたのです。私も『アメリカの精神医療』という本を書いて、脱施設化のインセンティブに経済的な因子が政策を決定したことを証明したかったのです。理念だけでなく、州立病院の財源を減らせることが大きな要因であったのです。」(p.46)

■書評・紹介

■言及


*作成:三野 宏治
UP:20090707 REV:20110908 
仙波 恒雄  ◇精神障害/精神医療  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
TOP HOME(http://www.arsvi.com)