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フリーター/フリーアルバイターに関する報道 1980年代





■19860331
□当世アルバイト事情 ほとんど本業、末はフリーかオーナーか(朝日新聞)

 ●職場の主任的存在
 アルバイト雑誌「フロムA」の調査によると、このところ目立つのが飲食店などで割合長期間働き、職場のチーフ的存在にまでなる若者たちだという。はたか ら見ればまさに就職なのだが、本人たちの意識は全く違って「あくまでもアルバイト」。同編集部の分析によれば、今の若者が「会社」を選ぶのではなく「職 業」を選ぶようになった結果ではないかというのだ。
 従って正社員などに未練は感じず、むしろ2年、3年といった契約社員の立場に魅力を感じるのだそうだ。それなりの報酬を受け、仕事に生きがいを感じてい る間は契約を延長し、常に自分がもっとも好む状態で仕事をする。「もはや会社が人材を選ぶのではなく、若者の方が会社を選ぶ時代です」と同誌幹部。現在、 大学卒業後就職でも進学研究でもない「遊民族」が全体の11%もいるという。かれらが同誌のいう「自分の道を建設中のフリーのアルバイター」なのかもしれ ぬ。

■19861107
□新人類志向 フリーアルバイター 学校出ても定職につかず(読売新聞)

 フリーアルバイターということばをよく見かけるようになった。学校を卒業しても会社に入らなかったり、入ってもすぐに退社して、アルバイトで生活してい る若者たちが、自分たちのことをそう呼び出したのが始まりらしい。会社人間にならず、自分の好きなことを優先する生き方とともに、フリーカメラマンやフ リーデザイナーなどフリーランスと同じカッコいい響きをもった名前も、若者の心をとらえているようだ。
 今年の春、都内の私立大を卒業したA君(23)はフリーアルバイターを自称する。現在は飲食店でアルバイトし、月の収入は平均約十万円。アルバイト仲間 たちと、大学時代の延長のような生活をしているという。
 大学を卒業して定職に就かなかった理由をこう話す。「高校時代からアルバイトをやってきて慣れているし、お金もそこそこに稼げる。入社すると自分の一生 がそこで決まってしまうような感じでいやだった。就職はもっといろんな事を経験したあとで考えたかったから」。
 「日刊アルバイトニュース」が大学生男女約千人を対象にした調査で、「卒業後にアルバイトで生活することの是非」という問いに対し、「賛成」が九%、 「どちらかと言えば賛成」一八%、合わせて約四分の一の大学生がアルバイトで生活することを肯定的に考えている。同じ求人誌「フロムエー」が行った卒業後 の進路希望アンケートでも、専門学校生約四百人のうち七%が、また大学生約千人のうち四%が「アルバイト生活(遊民)」と答えている。
 この数字から、朝九時から夕方六時まで働く会社人間とは違うライフスタイルを志向する若者が少なくないことがわかる。
 「現在、フリーアルバイターと呼ぶ若者には、一つのアルバイトを長く続けるタイプと、いろいろなアルバイトを経験しながら自分のやりたいことを探すタイ プとがあります」と語るのはフロムエー編集部長の道下勝男さん。
 前者のタイプはマスコミ関係やカタカナ職業を志す若者が大半で、アルバイトでなければ仕事が見つけにくいので、アルバイトをしながらチャンスを待ってい る人たちが多いという。後者は、最終的な職業の決定を遅らせ、当面はやりたいことをやっている。冬場だけペンションなどでスキーのインストラクターのアル バイトをし、あとは好きなことをして過ごすという人もいる。
 こうしたフリーアルバイターが出現する背景には、アルバイト収入で十分生活できるという、現在の社会状況がある。フロムエーが首都圏で調査したアルバイ ト募集時の平均時給は六百九十一円。塾講師などもっと高い時給のアルバイトもあり、「サラリーマンの初任給以上の収入を得ているアルバイターも決して少な くありません」(道下さん)。
 それなら、人間関係がわずらわしく、何かと責任を求められる会社で働くよりアルバイトの方が気楽だと考えるようだ。
 さらに、雇う側の事情も変化している。飲食店などでは、従業員はすでにアルバイトが主力だが、最近は事務の外部委託に伴う人材派遣会社が盛況、また正社 員とアルバイトの中間的存在としての契約社員や嘱託も増えている。終身雇用社員という存在自体が揺らいでもいる。
 「時間を有効に使い、お金も稼いで、自分のやりたいことをやる――こんなライフスタイルは今後ますます増えてくるでしょう」と道下さんは予測している。

■19870319
□会社拒否ヤングが急増 面白いアルバイトで 求人情報誌の3000人調査(読売新聞)

 学校を卒業しても定職に就かず、アルバイトをしながら生計をたてている"フリーアルバイター"の若者が増えている。フリーライターやフリーカメラマンを もじったものだが、求人情報雑誌を発行している「リクルートフロムエー」が読者三千人を対象にアルバイトに関するアンケート調査を実施したところ、二百五 十二人が「会社勤めする気はない」フリーアルバイターであることが明らかになった。中年族には何だか頼りなく映るこのフリーアルバイター、今は「組織にし ばられず自由に生活を楽しむ」(同社)ナウい職業なのだ。
 調査は昨年十一月から十二月にかけ、高校生以上の男女を対象に実施、アルバイト観などをきいたところ、四百十七人が「アルバイト中」と回答、そのうち二 百五十二人(男百五人、女百四十七人)が「会社勤めについて」との問いに「会社勤めをする気はない」「会社勤めより自分の好きなことを続けたい」と"フ リーアルバイター宣言"した。
 これらのフリーアルバイターにアルバイトをする理由をたずねたところ、四七%が「当面の生活費」、次いで「生活費の補助」(四〇%)、「レジャー資金」 (三三%)と、これは普通の勤め人と同様、経済的理由が圧倒的だった。
 ただ、アルバイトの選択基準は、勤務地や時給などと並んで「興味、関心に合っている」と答えた人が約六〇%もいた。また、「仕事をやめたいと思う時」 は、「精神的にきつくなった時」(五五%)、「給与面の不満」(三七%)、「仕事にあきた時」(三五%)。こうした考え方は、自由人を地で行っているよう だ。
 興味深いのは大人に対する考え方。「ギャップを感じるか」との問いに、約七〇%が「感じる」「やや感じる」と答え、さらに「協調して仕事を進められる か」との質問に四人に一人(二七%)が「自信がない」「あまり自信がない」と、"旧人類"との断絶を訴えている。しかし、職業に対する価値観では九〇%以 上の人が「友人と比較して一味違った将来の生活を送りたい」と積極的な面も。
 同社によると、"フリーアルバイター"といった呼び方が目立ち始めたのは二―三年前から。テレビの視聴者参加番組などで職業を聞かれ、「フリーのアルバ イター」と答える若者もかなりいるという。
 ◆個性化?人生の目標喪失?◆
 「会社勤めをするよりアルバイト生活で自分の好きなことを、という若者は確かに増えている」と話すのは、明大就職課の山口一磨課長補佐。同大の昨年の データによると、統計上、「無就業」と分類されるこの種の学生は、就職を控えた文系約六千五百人の一割近い約五百人(留年を含む)にのぼるという。
 「いまの若者は、ほとんどアルバイト経験を持っている。収入だって決して悪くはないし、何より好みの時に辞めることもできる。そんな自由さにひかれるの ではないか。いずれにしても、この『無就業』の動機を突っ込んで調べる必要があると考えていたところだ」と、山口課長補佐はいう。
 一方、森隆夫お茶の水女子大教授(教育社会学)は「若者に人生の目標、信念が失われ、現在型の人間が増えていることの表れ」と指摘する。
 ひと昔前まで、日本人に根強くあった「国のため、社会のため」といった意識が薄れはじめ、自分自身の生き方、充実感を最優先させる「自己実現型」の人間 が生まれ始めている兆しではないかというのだ。お茶の水女子大でも、就職する学生たちにブランド志向、一流志向はひところと比べると著しく希薄になってい るといい、そのぶん「自分の趣味、好みを生かせる職業に就きたいという思いが、学生の間に強くなっているようだ」と森教授。
 その意味で、画一化、集団依存の傾向が強かった日本人に個性化の傾向が芽生えてきたともいえそうだが、「昔なら定年後にやるような趣味の世界に若者が生 きているという印象もある。将来のことはどうなるのかわからないのだからと、自己中心的な考え方が年ごとに強まっている結果なのかもしれない」と、"フ リーアルバイター"増加の理由を森教授は分析している。

■19870405
□フリーアルバイター(ことばと世相)(日本経済新聞)

 雑誌などの読者投稿欄には投稿者の氏名のあとに職業名を入れている。その職業名に「アルバイト」というのをしばしば見ることがある。しかも年齢が二十九 歳とか三十四歳とかいうのである。
 アルバイトというのは短期間、臨時の勤務形態を言うのだが、右の例から感じとれるのはアルバイトの本業化である。
 だいぶまえのことだが、「アルバイトに代わるいい呼称はないか」という相談をうけたことがある。「アルバイトというと片手間で未熟、一人前でないの語感 がある。ヘマをやった社員など、なんだアルバイトなみではないかと注意されたりする」との話だった。「バイト君」という呼称もあった。「くん」に軽い扱い の語感がよみとれる。
 それがいまや自称として使われている。
 「フリーアルバイター」という新語も生まれている。テレビの視聴者参加番組で、フリーアルバイターを名のる者が出はじめたのはここ三、四年のことであ る。短期、臨時を逆手にとって、拘束されない、精神的自立を確保しているの誇示を「フリー」にこめたようである。
 女性のあいだに、「未婚」に代わって「非婚」という新語が広まりつつあるが、非婚もフリーアルバイターも、やむをえずではない、自らの意思で現在の立場 を選びとっているのだという自己主張がある。また実際の数字の上でも、非婚者、非就職者がふえているという。非婚も非就職も、拘束されるのを嫌い、組織に 組み込まれるのを嫌う点では共通している。シングルのフリーアルバイターなら、好きなことをやれる可能性を留保できる。
 シングルの女性を「アンマリ族」と言う。アンマリッドからきているのだが、気が気でない両親の悲鳴ともとれる新語である。 (稲垣 吉彦)

■19870511
□プロフェッショナル――モーレツ去りさめた仕事観(一読一見)(日経流通新聞)

新入社員もようやくスーツ姿が似あうようになってきた。職場にも慣れてきたころだ。しかし、夜、学生時代の友人に「疲れるよな、社会人って」「やってられ ないよ、こんな仕事」などと電話でグチっている向きも少なくないだろう。そのくせ、翌朝も「今日もがんばるぞ」などとハリきってしまって――。
 「何のために仕事をするのか」。日ごろ、深く考えたことのない問題に答えてくれそうな本が出た。講談社の「プロフェッショナル仕事について」(福田洋 著)だ。ソープランド嬢、大蔵省官吏、テキ屋、フリーアルバイターなど様々な仕事を持つ"プロ"百人が仕事についてざっくばらんに語っている。
 登場人物は、二十代から七十代まで。「人生は戦場。勝つか負けるかです。その戦いの武器が仕事です」と答える二十三歳の会社員から「仕事という悪女にた ぶらかされて一生を棒にふった」という五十六歳の無職の男性まで答えも様々。仕事の内容についても「都市の再開発、近代化、活性化といった立派な名目があ る」と地上げ屋が言ったりして興味深い。
 仕事一筋に生きている人ばかりではない。「カネのためだからいやなこともやるよ」とか冷めた理由でなんとなく続けている人も少なくない。
 前書きで、取材に当たった福田氏は「現在、自分の仕事を天職だと思っている人はほとんどいない。みんな、多少なりとも疑問や不満を持ちながら、しかも、 仕事ぬきでは人生や生活を語れないという気持ちを持っていることはたしかだ」と述べるだけで、あえて総括したコメントを載せていない。
 プロというと何か仕事一途のモーレツサラリーマンを思い浮かべるが、同書を読むとその意味が変わりつつあることを感ずる。仕事こそ人生と高度成長期を支 えてきた昔のプロは少なくなり、新しい仕事観が日本人に芽生えているようだ。(M)

■19870516
□当世風自立「フリーアルバイター」(イヤホン)(日本経済新聞)

 今年三月高校を卒業していった女生徒たちの名簿の就職先に「フリーアルバイター」と書いた生徒が何人かいた。もちろん、この奇妙な「就職先」は、自分が 記入したものだ。
 OA化、円高、人員削減など女子高校生の職場は狭められ、"就職浪人"も出ている。
 しかし、彼女たちに暗さは全くない。次々に、受験した会社から不合格の通知を受けても、深刻さはなく、彼女たちは「トラバる」などという新語を作って楽 しんでいる。
 彼女らが、こういう事態を深刻に受けとめないのは、アルバイトの経験があるからだ。「アルバイトニュース」を見ると、いくらでも働き口があり、報酬だっ て正規の社員よりも多い。「フリーアルバイター」を楽しんでいるのである
 こんな例もある。生徒の就職先から学校に電話があって、「貴校のMさん、入社式に出てこないし、なんの連絡もありませんが……」と。学校から本人に連絡 したら、「日をまちがいました。でも、もういいんです。アルバイトしてやっていきますから」と。
 就職先を必死で探した教師は、この言葉でガックリくる。親だってそうだ。三年間何のために月謝を払ったのかと、担任教師に泣きつく例もある。
 しかし、当人は違う。「学校や、だれのお世話になるんじゃないもの。これがホントの"自立"よ」と言う。
 豊かな社会が生みだした、アイロニーだろう。食うに困らなければ、人間真剣になれないのである。(K)

■19870711
□梅雨の週末、ワープロの手を休ませて国語辞書で遊ぶなら「ふ」のページがよい(春秋)(日本経済新聞)

 梅雨の週末、ワープロの手を休ませて国語辞書で遊ぶなら「ふ」のページがよい。風雅、風流、風狂、福音、福祉、富貴、馥郁(ふくいく)などと、もう忘れ かけた言葉が並んでいて風通しがよい。
▼辞書にはないが、若者たちは「フリーアルバイター」という和製英独語をひねり出した。学費や生活費を得るために働くのではなく、学校卒業後もアルバイト で暮らす若者たちのこと。彼らを現代版「風太郎」(プータロー)として異端視することはできないようだ。「フリーアルバイターは積極的なライフスタイルと して定着するか」という五十人アンケート(日経イメージ気象観測)の結果では二十四人が「YES」。
▼もう一つの調査(リクルート)はフリーアルバイターの職業観を報告している。「仕事は興味、関心で選ぶ。飽きたらやめる」「他人とは一味違った将来を」 「旧人類とうまくやれない」などが彼らの姿。この風通しのよさは、モラトリアム的な甘えなのか、感覚派の新人類たちの前向きのライフスタイルなのか、判然 としない。はっきりしているのは「率先垂範」式が拒絶されていること。「夕日を見つめる疲れた親父のようにはなりたくない」という潜在意識もあるらしい。
▼いまのところフリーアルバイター市場は、東京の高水準の報酬と、電子、サービスなどの新分野での活発な求人が支えている。市場は定着し、広がる可能性が ある。産業社会も、多様、柔軟な構造への転換をコストをにらみながら模索しているからだ。未来の辞書は「フリーアルバイター」を採用するかも知れない。

■19870831
□リクルートが映画製作、第一弾、バイト学生描く。(日本経済新聞)

 リクルートは劇場映画の企画・製作に乗り出す。第一回作品「フリーター」はアルバイト収入でリッチな生活を楽しんでいる学生の姿を描く。実話を題材に、 現代の世相を浮き彫りにしようという試みで、十一月に公開する。
 映画はリクルートの子会社であるリクルートフロムエー(本社東京、社長大沢武志氏)が手掛ける。同社は社名と同じ名のアルバイト情報誌を発行しており、 編集長の道下勝男氏がプロデューサーを務める。同社は定職を持たず、アルバイトで生活する若者の実態を調査し、それを基に映画化する。実際の製作は映画製 作会社、CCJ(本社東京)に委託し、東宝東和(同)が配給する。製作費は二億円。三浦友和、浅田美代子、ハナ肇らが出演する。
 リクルートフロムエーは「ホットな題材」をテーマに引き続き映画製作を続けていく方針。

■19871003
□[新語録]アルバイター現象(読売新聞)

 普通アルバイトというと、学生が学業のかたわら学費や生活費を稼ぐために従事する仕事とか、社会人が本業のかたわらに行う内職の意味だが、これが"本業 "と明言する若い人たちがふえてきている。これを「アルバイター現象」と呼ぶのだそうで、この現象の本格化は、日本の企業形態と、日本人の仕事に対する価 値観を変える前兆かもしれないと見る向きも多い。
 雑誌「Sun Power」(倫理研究所発行)十一月号は、この現象について特集を組んでいる。その中で、企業が社員に強いる"自己犠牲"を徹底的に拒 む若者たちによって、新しい形の"労働"の形態が作られつつあると指摘している。
 「職業・フリーアルバイター」と明言する若者たちが求めるのは、"自由"である。企業から与えられる社会保険や年金など多くの特典に背を向けて、彼らは 日給、時給単位のアルバイト生活を"本職"として選択し、堂々と職業欄に「フリーアルバイター」と記入するようになっている。
 サラリーマン社会に生活する人間にとって、「君から会社をとったら何が残る?」という質問は過酷である。組織内における位置付けが、即社会的ステイタス になる現況では、「本職・アルバイター」の出現はいまだ異端である。自己実現の手段を組織内の仕事以外に求める新人類の出現は、それだけに厳しい側面をも つのだが、ある面では職場や家庭内の人間関係の希薄さが生み出した現象ともいえそうだ。(中)

■19871116
□調査した後の実行こそ問題(声)(朝日新聞)

    川崎市 吉田 欽一(フリーアルバイター 62歳)
 厚生省が先に発表した「61年国民生活基礎調査の概況」では、高年齢者の生活が決して満足すべき状態ではないことを如実に示しているが、こんなことは金 と手間をかけて調べるまでもないこと。問題は行政に、このような谷間の人々を救う気があるか否かである。それともこの表を眺めて、勝手に考えよということ なのだろうか。
 この種の調査は、各省が絶えず行っているが、そのほとんどはだれしも考えつく内容のもので、多少数字で裏付けられるに過ぎない。だから、どうするんだ、 と言いたい。何らかの対策がその後を追って来ないものなら、それは各役所のお遊びと言ってよい。調査をしました、まとめましたで終わっては、真剣に読む気 はおこらない。
 発表する新聞やテレビは、十分な分析をしてほしい。それを政府につきつけて、何らかの政策を示唆してもらいたい。その程度の「協力」をしない限り、各種 調査は年中行事として発表されるにとどまり、書類を重ねるに過ぎないと思われる。

■19871124
□リクルート・フロムエー取締役道下勝男氏――忠誠より志向重視を(この人と5分間)(日経産業新聞)

――映画の題名にもなった「フリーター」の名付け親とか。
 「映画制作会社から定職につかずアルバイトで生活するフリーアルバイターを映画の題材にしたいという相談を受け、データやエピソードを提供したんです。 ただフリーアルバイターでは響きが悪いので、自分の気持ちに正直に生きる人という意味をこめて『フリーター』とつけました」
 ――モラトリアム人間とは違う?
 「もっとしっかりした職業観を持っています。会社組織に入ることを絶対視せずに、自分の適性を伸ばそうと考える人たちです。塾の講師やスポーツインスト ラクターなど優越感に浸れる職業に人気があります」
 ――フリーターが増えると日本企業の活力が失われませんか。
 「会社への忠誠を求める伝統的な人事管理を続けたら企業の活力はなくなるでしょうね。今の大学生はほとんどフリーター志向があって、当たり前の生き方を 嫌います。年配の人は軽い生き方と思うでしょうが、若い人たちの志向を調べてそれに合った仕事を用意しなければついてきません」
 ――ご自身も志向がある?
 「ありますけど今となっては会社を離れるのは難しいですね。若い人たちがうらやましいですよ」(T)
 (みちした・かつお=48年東洋大経卒、リクルート入社、60年から現職。37歳)

■19880206
□私たちフリーアルバイター――"転職時代"の予感(消費最前線)(日経流通新聞)

 「アルバイター」に関する明確な定義も統計もなく、正確にその総数をつかむことは難しい。ただ、総務庁が六十二年二月に実施した労働力調査特別調査によ ると、十五歳以上三十四歳未満でアルバイトをしているのは在学中の者を除き全国で四十七万人で、これがいちおうの目安となる
 「フリーアルバイター」は就職できないのではなく、何らかの理由で定職につかず、アルバイトで生計を立てることを積極的に選んだ者というのが一般的なと らえ方だ。彼らの多くは仕事や職場にこだわらず、"転職"を重ねる。こうした労働意識を持つ層が、徐々に増えていることは、これからの本格的な"転職時代 "を予感させる。
 一方、求人数などの関係から、アルバイトだけで生活できる環境が整っているのは東京など一部の大都市に限られる。今のところ「フリーアルバイター」は都 市型人間特有の形態ともいえる。

■19880206
□私たちフリーアルバイター――池末さんの"自分探し"(消費最前線)(日経流通新聞)

 フリーアルバイターが急増している背景には、雇う側の変化が大きな要因としてある。外食産業、小売業、サービス業などではアルバイターは今や欠かせぬ戦 力。彼や彼女にも責任ある仕事を任せる。さまざまの若者がこの労働市場に入ってくる。安定した定職につくのをためらう模索型、気楽な身分を楽しむエンジョ イ型、目的達成のために今がんばる夢追い型、そしてボランティアをライフワークにしている人……。多彩なフリーアルバイターの横顔を紹介する。
今はフィルム現像所で働く池末さん
 フリーアルバイターには自分の人生をまだ決定したくない、という意識を強く持つ人が少なくない。東京・調布市に住む池末雅之さん(25)は自ら、「"自 分さがし"をしてるんです」と説明する。
 絵が好きで専門学校ではデザインを専攻したが、アングラ劇団で芝居もやっていた。卒業のころは芝居の方への関心がより強く人形劇団に入る。人形を手にか ぶせて演じる"役者"だったが、次第に芝居の裏方、中でも音楽・音響をやってみたいと思うようになり退団。作曲を始めた。
 アルバイトは初め、テレビ番組の舞台美術を請け負う制作会社で。月十七、八万円の収入は悪くなかったが、番組が撮り終わるまで際限なく待たされ、自分の 作曲活動の時間がとれない。やめて一カ月間全く働かず、巨大な恐竜の特撮ビデオ「メイキング・オブ・ゲゲボ」を友人と作った。
 仕上がった後、今度はフィルム現像所でアルバイトを始めた。収入は月十万円に減ったが、午後五時に必ず仕事が終わるので、残りの時間はそっくり自分のも のになる。シンセサイザーや音響機器など中古を含め百万円以上を費やした自室のスタジオがある。
 デザイン、アニメ、芝居、映画、音楽とやりたいことは限りがないが、まず独り立ちの突破口は音楽で、といまは考えている。五年後、三十歳が一つのメド。 サラリーマンになるのは人生に妥協した時、と思っている。

■19880206
□私たちフリーアルバイター――熊さんはボランティア(消費最前線)(日経流通新聞)

 ボランティア活動を生活の中心にすえるためにフリーアルバイターを選んだ人もいる。熊千鶴さん(24)はインドのスラム街の奉仕家、マザー・テレサを自 分の将来に重ね合わせている。
 ボランティア・スクールに通ったり、老人ホームや児童施設、障害者施設への訪問などをするため、その時々の予定に合わせ、アルバイトはいずれも短期。カ セットテープの組み立て工場からスーパーのレジ打ち、デパート販売員、絵画教室講師、居酒屋のお運び、喫茶店のウエートレスなどだ。
 収入は一般の勤め人に比べ少ないが、アパートの家賃二万五千円と食費のほか余計な出費もないのでそれほど気にならない。「自分の一番やりたいことに最も 時間とエネルギーを使うのは当然」。もちろん、そればかりではなく、六月には前から行ってみたかった中国をしばらく歩く予定も立てている。

■19880206
□私たちフリーアルバイター――石渡さんは夢追い人、好きな音楽に賭ける(消費最前線)(日経流通新聞)

 石渡長門さん(25)は、あと六日後に迫ったライブ出演に向けてバンドのメンバーと合宿に入っている。アルバイトを続けながら歌で身を立てることを夢見 ている石渡さんにとって今年は勝負の年。昨年、「フロム・エー」のCM曲コンテストでグランプリを取ったことをバネに念願のレコードデビューをねらってい る。
 大学卒業後、就職するのが嫌だったわけではない。「好きな音楽を続けるのに必要な働き方を考えたら、アルバイトしかなかった」。現在の職場は工事現場。 体力勝負の仕事で生活には何の保証もない。結婚や子供に対して人並みの欲求はある。だから将来を考えると不安だ。しかし今は、「若い時の情熱を不完全燃焼 させたくない」という気持ちが強い。それが今のアルバイト生活の支えだ。
 石渡さんのように将来を夢みてバイト生活に甘んじている人は多い。「あと三年で一千万円ためて、伊豆でロッジを経営するのが夢」と言うのは両角忠さん (22)。両角さんがバイク便大手のソクハイ(本社東京)の配送の仕事を始めたのも「とにかく稼ぎが大きいから」。野球、テニス、スキーと趣味は広いが、 遊びに金を使うのも将来のロッジ経営に役立つと思っているからだ。そのしたたかさもまた、最近のフリーアルバイターの一面なのだ。

■19880206
□私たちフリーアルバイター――佐瀬さんの余裕、やりがいある(消費最前線)(日経流通新聞)

 佐瀬久美子さん(25)はナレーター・コンパニオンの派遣会社、フレイム(本社東京)の契約スタッフ。産業展示会やコンベンションで来場者の案内や商品 説明をするのが主な仕事だ。コンパニオン歴五年目。人の出入りの激しいこの業界ではベテランに属する。
 この仕事の良さは余暇が多いのと働く日数の割に収入が多いこと。二百万―三百万円の年収は、仕事柄、買いそろえなければならない洋服や友人との旅行、最 近始めたウインドサーフィンなどに消えてしまう。昨年も五月にビジネスショーの仕事を終えてから五日間、サイパンに行った。当然ながら貯金はほとんどでき ない。「遊ぶお金を作るために働いているようなものですね」と笑う。
 だが、苦労は多い。「開催日直前に送られてきた原稿を必死に覚える時など、やめようかなと思う時もある」とは同僚の中嶋英津子さん(24)。自分の実力 が雇用主の反応でストレートにわかる厳しさもある。「あこがれだけで続く仕事じゃない」。
 それでも、今以上にやりがいがあり居心地のよい仕事はそんなになさそうな気もしている。「結婚しても続けたい」と二人とも声をそろえてはっきり言った。

■19880206
□"フリーター"って何――それは映画の中だけ、だけど登場の日近い(消費最前線)(日経流通新聞)

 「アルバイト」という言葉に、もう暗いイメージはない。この上に「フリー」とつけば、なお結構だ。一気にイマっぽいイメージに変わる。「フリーアルバイ ター」――かつてなかった新しい職種、職業人が生まれたのか。フリーアルバイターって何だ。そんな疑問を解消するための観察学を提供しよう。
(藤原、二宮記者) =関連特集2面に
 一本の映画がある。リクルートグループのアルバイト情報誌「フロム・エー」が製作した「フリーター」。「フリーアルバイター」を略した造語だ。そこに描 かれた若者像は、これまでとは異なった仕事観、生活観を持った新しい人種の誕生を予感させた。
 主人公たちは次々にアルバイト先を変え、稼いだ金の大半は外車購入のローンなどに消費してしまう。特に今、打ち込んでいることや将来設計もないが、自分 の人生は何ものにも縛られたくないと思っている。一見、刹那(せつな)的でいい加減だが、世の中を渡るしたたかさは十分に持っている。そんなフリーターた ちが現実に存在するのか。
 結論からいこう。"フリーター"は存在しなかった。幻想なのだ。確かに「フリーアルバイター」を堂々と自称する人は増えている。彼らにはかつてのアルバ イターのようなドロップアウト意識や社会に対する肩ひじ張った反抗心はない。ごく自然にアルバイト人生を享受している。そして、その多くの人は自分の生活 や将来を真剣に見つめ、同世代の勤め人たちと同じ悩みを持つ普通の人間だ。

■19880206
□私たちフリーアルバイター――「フロム・エー」編集長の道下勝男氏の話(消費最前線)(日経流通新聞)

 「フロム・エー」編集長の道下勝男氏の話 映画「フリーター」の主人公のようにステロタイプ化されたフリーアルバイターは実際にはまだ少ないとも思う。 今、アルバイトで生活している人たちはむしろ、世間から"根無し草"と見られないよう、普通のサラリーマン以上に真剣にがんばっている部分があるのでは。
 「平凡な働き方はしたくない」という機運が高まっている。親や雇用主の意識、社会環境など従来のアルバイターにとって大きな壁であったものも、徐々に変 化しつつある。アルバイトが就職と同じ働き方の一つになり、真の"フリーター"が登場する日もそう遠くないと思う。

■19880210
□伊勢丹、"都市遊民"向けパート制――「好きな時、自由に働いて」。(日本経済新聞)

 自分のライフスタイルを守り、企業に拘束されずに自由に働きたいというフリーアルバイターが若者の間で増えているが、伊勢丹は四月からこうした"都市遊 民"向けの新しいパートタイマー制度を導入する。原則として一年契約、週十二時間以上の勤務で、曜日や時間は自分で選択できる。
 伊勢丹は六月までに新規に二百五十人以上を採用する計画で、「営業時間の延長に伴う人員増に対応できる」と期待をかけている。
 この制度の名称は「サムタイマー制度」といい、週の労働時間が二十八時間以内の「サムタイマー1」と二十八時間以上の「同2」に分かれ、「1」は賞与や 各種保険が適用されない。時間給は同一で販売系が七百四十―八百七十円、事務系が六百八十―八百十円。専門能力などが評価されれば「同3」にランクが上が り、時間給も八百十―千円にアップする。

■19880213
□曜日、時間自分で選択、伊勢丹、4月から新パート制――6月までに250人採用。(日経流通新聞)

 伊勢丹は、四月から勤務する曜日や時間を自分で選択できる新しいパートタイマー制度を導入する。原則として一年契約で、週十二時間以上の勤務。六月まで に新規に二百五十人以上を採用する計画。最近、自分のライフスタイルを守り、企業に拘束されずに自由に働きたいというフリーアルバイターが若者の間で増え ているが、こうした層に対応した勤務形態で、同社は「営業時間の延長に伴う人員増に対応できる」と期待をかけている。
 この制度は「サムタイマー制度」という名称で、週の労働時間が二十八時間以内の「サムタイマー1」と二十八時間以上の「同2」に分かれ、「1」は賞与や 各種保険が適用されない。時間給は同一で販売系が七百四十―八百七十円、事務系が六百八十―八百十円。専門能力などが評価されれば「同3」にランクが上が り、時間給も八百十―千円にアップする。
 新制度による募集は二十日前後から開始し、六月から本格的に各売り場などに配置する。同社では現在一年契約のパートタイマー(臨時社員)が約三百人いる が、段階的にサムタイマーに移行させる予定だ。

■19880215
□春闘と勤労観 実質生活水準には強い不満/読売新聞全国世論調査=図付き(読売新聞)

 [春闘本番]
 今春闘も、まもなく本番。労働側が連敗返上の構えを強めているのに対し、経営側は低成長を理由に極力抑え込みの姿勢をみせているが、賃上げに対する代表 的な抑制論と必要論の賛否を聞いた。
 賃金が高くなりすぎると、企業は労賃の安い海外に出ていかざるを得ず、雇用機会は減少する。これを避けるためにも賃上げは抑えるべきかどうか。調査結果 は、「そう思う」が29%、「そう思わない」が45%。
 そうした理由による賃上げ抑制論には反対の方が多数だが、給与生活者では「そう思わない」57%、「そう思う」27%に対して、自営業者では、「そう思 う」40%、「そう思わない」33%と逆転する。自営業と給与生活者の立場の違いがはっきり反映した格好だ。
 職業別でも、考え方の差は顕著で、「そう思う」が「そう思わない」を上回っているのが、農林・水産業(39%対24%)、商工・サービス業(41%対 37%)。一方、管理・専門職では「そう思わない」63%対「そう思う」27%、事務・技術職でも同様に64%対22%と、「そう思わない」の方がかなり 多い。
 年齢別では「そう思わない」が二十歳代(56%)、三十歳代(59%)で半数を超えており、若い世代の高賃金志向が強いことがわかる。
 政府経済見通しでは六十二年度の消費者物価指数上昇率は〇・七%の見込みだが、労働側が主張する六―七%の賃上げは必要だとする意見に「そう思う」が 54%、「そう思わない」が21%。ここでも給与生活者と自営業者とでは意見が分かれ、「そう思う」が給与生活者では66%なのに対し、自営業者は44% と、20%以上の差がみられる。給与生活者の中で、事務・技術職の72%が「そう思う」と答えている。
 年齢別でみると、「そう思う」は二十歳代、三十歳代でともに62%と高く、四十歳代59%、五十歳代50%、六十歳代42%と、高齢化するにしたがって 減少している。
 [賃金]
 急激な円高によって、日本の製造業での賃金は、ドル換算で世界一の最高水準になるといわれているが、果たして国民にその実感はあるのだろうか。「実感は ない」とする人が実に79%にのぼるのに対し、「実感がある」とする人は10%に過ぎない。
 「実感がない」とする人は、年収四百万円から六百万円までの層で83%、六百万円から八百万円までの層で84%に達し、中堅所得層での強い反発がうかが える。
 「実感がない」は、二十歳代86%、三十歳代83%、四十歳代80%、五十歳代79%、六十歳代72%と青壮年層の方が高く、管理・専門職で89%と際 立っている。
 「実感がない」と答えた人にその理由を聞いたところ(複数回答)、「円高差益の還元が十分でない」が35%でトップ。特に管理・専門職では53%を占 め、円高対策に苦闘しているのに、差益の還元が少ないという印象が深いようだ。
 また、「食料費など、世界に比べ物価が高い」(35%)、「税金や社会保険料などの負担が重い」(32%)という理由を挙げる人も多く、以下「収入の伸 び悩み」(28%)、「老後への不安」「住宅ローンや家賃の負担が重い」(いずれも14%)などの順となっている。
 「住宅ローンや家賃の負担」を挙げる人は全体では14%だが、関東地方で19%、都市規模別でも大都市で23%と比較的高く、東京をはじめ大都市部で、 住宅ローンや家賃の負担が生活を圧迫している様子がにじみ出ている。
 [労働時間]
 "働き蜂(ばち)"といわれ、貿易摩擦の一因ともなっている、わが国の長い労働時間。いったい、勤労者は自分自身の労働時間をどう考えているのだろう か。
 収入を伴った仕事を持たない人を除いて、「長い方」と思っている人は40%、「適当」は48%、「短い方」は9%だった。これを六十年一月の調査と比べ ると、「長い方」は3%減り、「適当」は4%、「短い方」は1%それぞれ増えた。労働省の調べによると、わが国の昨年一年間の一人当たりの総実労働時間 (実際に労働した時間)は二千百十一時間。昭和五十年以来、二千百時間を境にほぼ横ばいで推移してきているが、これはアメリカ、イギリスより約二百時間、 西ドイツ、フランスより約五百時間も多い。それなのに、「長い方」との認識が微減した程度で、「適当」が半数も占めていることは、時間短縮が収入減につな がるなど事情はあるにしても、やはり日本人の勤労意欲は盛んといえそうだ。
 「長い方」が微減、「適当」が微増した主因は、職業別では自営業者での変化が影響している。農林・水産業と商工・サービス業は、「長い方」がそれぞれ 8%、7%減少、「適当」がそれぞれ10%、8%増えている。年齢別にみると、「長い方」の減少が目立つのは三十歳代(7%減)、四十歳代(5%減)、 「適当」の増加では三十歳代(6%増)、五十歳代(5%増)。男女別の傾向は前回調査とほぼ同じで、今回の調査では「長い方」は男性が45%なのに対し女 性は33%とかなりの差があり、残業などが男性に多い実態を反映しているようだ。
 労働条件の改善を目指す労働団体の「連合」は五年後に年間総実労働時間千八百時間の達成を目標にしているが、実際問題として、勤労者は労働時間を短縮で きると考えているのだろうか。
 「できる」と考えている人は36%、これに対し「むずかしい」は57%。前回調査に比べ「できる」は4%増、「むずかしい」には変化はない。
 「できる」との見方が多いのは、事務・技術職がトップで48%、次いで管理・専門職の44%、農林・水産業、労務・サービス職、商工・サービス業はいず れも30%、前回調査比では事務・技術職の9%増が目立つ。年齢別では、二十歳―四十歳代が39―37%で、五十歳代は30%と少ない。前回調査比では、 四十歳代で7%増えている。
 「短縮できる」と答えた人に、短縮についての二つの考え方のうちどちらに近いかを聞いたところ、「一日の労働時間は減らなくてよいから、休日を増やす」 が64%、「休日は増えなくてもよいから、一日の労働時間を減らす」は32%で、前回とほとんど変わっていない。
 一方、「できない」と答えた人に、その理由を聞いたところ(複数回答)、トップは「収入が減るから」と「あとで自分にしわ寄せがくるから」で41%(前 回比各2%増)とぬきんでている。
 以下、「仲間に迷惑がかかるから」19%(同増減なし)、「経営者の理解が足りないから」14%(今回加えた選択肢)などの順となっている。
 ◇好条件なら52%が希望◇
 [転職]
 最近、"脱サラ"などサラリーマンの転職志向が目立つ。そこで、「能力や適性が発揮できたり、収入が増えるなら」という条件で聞いたところ、「転職した い」52%、「そう思わない」35%と、好条件での転職希望はかなり強いようだ。
 年齢が若いほど転職志向が多い。二十歳代で74%、四十歳代でも54%と半数を超え、五十歳代で44%と半数を割るなど、年齢差が非常に大きい。
 職業別では、転職志向は、自営業(39%)に比べ給与生活者(63%)の方がはるかに多く、特に事務・技術職(69%)で高い。また、学歴が高くなるほ ど(高校卒56%、大学卒69%)増える。
 他の質問との関連では、転職志向は、年功序列優先グループ(41%)よりも能力主義優先グループ(59%)の方が多く、終身雇用賛成グループ(50%) より終身雇用反対グループ(66%)の方が高い。
 こうした傾向を反映してか、若者を中心に定職につかずに好きな仕事を好きな時だけやるという"フリーアルバイター"が増えているといわれている。この生 き方に対し、どの程度共感を持っているものだろうか。「大いに」(9%)と「多少は」(31%)を合わせて共感を持つ人は40%、「あまり」(40%) 「全く」(16%)を合わせて共感を持たない人は56%。共感を持つ人が多いのは、二十歳代(57%)、三十歳代(50%)、事務・技術職(53%)な ど。
 「大いに共感できる」人だけを取り出すと、学生(24%)、大都市(12%)、男性(11%)、大学卒(12%)、管理・専門職(11%)に目立つ。
 ◆急速に拡大「ゆとり」志向◆
 ◇より豊かな生活を求め「時短派」大幅に増える◇
 [勤労観]
 《働く目的》 働く目的や理由について八項目の中から二つまで挙げてもらったところ、「より豊かな生活を送るため」(50%)と「生活を支えるためにや むを得ないから」(49%)がぬきんでている。以下「人間の務めだから」(26%)、「生きがいだから」(21%)、「自分の能力を発揮するため」 (17%)、「社会に貢献したいから」(9%)、「企業の発展につくすため」(3%)、「出世のため」(1%)−−の順。
 年齢別では、二十、三十歳代で「より豊かな生活を送るため」がそれぞれ60、58%でトップを占めたものの、四十歳代以上では「生活を支えるためにやむ を得ないから」が54―46%と最も多く、働く目的は年代によってかなり異なる。
 男女別でも、男性の51%が「生活を支えるためにやむを得ないから」と考えているのに対して、女性では48%とやや低く、「より豊かな生活を送るため」 が50%と上回っている。
 職業別では、「より豊かな生活を送るため」と考えている人は、事務・技術職57%、主婦52%に多く、「生活を支えるためにやむを得ない」と考えている 人は農林・水産業67%、労務・サービス職61%、商工・サービス業53%で高い。
 《収入と労働時間》 収入増か労働時間の短縮か−−今回の調査で際立った変化がみられる。
 「収入が若干減っても労働時間が短くなる方が望ましい」とする時短派は43%で、六十年一月調査より17%増え、「労働時間が若干長くなっても収入が増 える方が望ましい」とする収入派は44%で、前回比10%減となっている。わずか三年の間に、30%も開いていた差が一挙に肩を並べるまでに縮まり、"ゆ とり"志向が急速に広がっている。
 年齢別でみると、二十、三十歳代の若年層が時短派優位、四十歳代以上が収入派優位とはっきり分かれている。時短派と収入派の対比は二十歳代で52%対 39%、三十歳代で47%対43%だが、四十歳代で41%対47%、五十歳代41%対49%、六十歳代40%対43%、七十歳以上26%対43%と高齢化 するにつれ収入派の方が多い。
 男女別では、男性が収入派53%、時短派36%なのに対して、女性では収入派38%、時短派48%と、"ゆとり"志向が強い。
 職業別で時短派が多いのは自由業63%、学生60%、事務・技術職51%、主婦50%など、収入派が多いのは農林・水産業67%、商工・サービス業 55%、労務・サービス職51%など。
 《勤労意欲》 人より余計に働きたいか、それとも人並みで十分か。「人並みで十分だ」が78%に達し、「人より余計に働きたい」は17%にとどまってい る。日本人は勤勉だといわれ、次の質問でもその勤勉さはこれからも続くと思っている人が六割近くも占めているのに、自分のことになると「人並みで十分」と いう人が八割近くにのぼる。自分の考えと日本人全体をみる見方の間にかなりギャップがあるようだ。
 「人並みで十分」という人は、どの階層でも圧倒的多数だが、二十歳代で88%と際立っている。「人より余計に働きたい」という人が目立つのは、自由業 25%、商工・サービス業、農林・水産業各23%など。
 《日本人の勤勉さ》 日本人の勤勉さがこれからも続くものだろうか。「続くと思う」58%(五十九年十一月調査59%)、「そうは思わない」35%(同 33%)で、前回調査に比べほとんど変わっていない。「続くと思う」人は、男性60%に対して女性57%、都市規模別で小都市63%、中都市60%に対し 町村55%、大都市54%と分かれる。職業別で、「続くと思う」人は自由業66%、事務・技術職64%、管理・専門職60%で比較的多く、学生は48%と 低い。年齢別では、特徴は、さほどみられない。
 ◆能力主義優先70%も 終身雇用制、大半が肯定◆
 [雇用慣行]
 《年功序列か能力か》 サラリーマンの昇進や昇給を決める際に、学歴や勤続年数などを重視する年功序列主義と、個人の能力を重視する能力主義のどちらを 優先するべきかでは、「どちらかといえば能力主義を優先した方がよい」が70%に達し、「どちらかといえば年功序列主義を優先した方がよい」は19%で、 大差となっている。
 「能力主義優先」グループは、大都市75%、中都市72%、小都市69%、町村62%と、都市規模が大きくなるほど多く、逆に「年功序列主義優先」グ ループは、大都市15%に対し、町村24%と、都市規模が小さくなるほど増える。
 職業別にみると、「能力主義優先」グループは、労務・サービス職(76%)、商工・サービス業(75%)、管理・専門職(74%)、事務・技術職 (73%)など、サラリーマンや都市型の職業に多く、農林・水産業では57%。
 年齢別では、「能力主義優先」グループは、二十歳代80%、四十歳代69%、六十歳代58%といった具合に若い人ほど多く、年功序列主義は次第に後退し ていきそうな勢いだ。
 能力主義の浸透を実感するような調査結果だが、「能力主義」というと、まずどんなことばを思い浮かべるか、そのイメージを自由に挙げてもらった。〈1〉 「努力」(11%)〈2〉「実力」(10%)〈3〉「やる気、意欲」(6%)が上位三位。一位の「努力」は一見「能力主義」には結びつかないようだが、努 力すれば能力向上につながり、それが評価されるということだろうか。「実力」は、能力主義の要素でもあり、当然といえよう。「努力」を挙げる人は、二十歳 代後半が15%で最も多く、四十歳代前半と五十歳代前半がともに13%。自営業で13%、給与生活者が11%。
    「能力主義」というと、まずどんなコトバを思い浮かべますか
    (15位まで、自由回答、数字は%)
〈1〉 「努力」          11.0
〈2〉 「実力」          10.7
〈3〉 「やる気、意欲」       6.6
〈4〉 「勤勉、まじめ」       4.8
〈5〉 「技術、技能、特技」     4.4
〈6〉 「力、行動力、実行力」    3.9
〈7〉 「学歴、勉強」        3.8
〈8〉 「頭脳、頭のよさ、エリート」 3.5
〈9〉 「出世、地位」        3.4
〈10〉「仕事ができる、やり手」   3.2
〈11〉「誠実、協調、責任」     3.1
〈12〉「実績、ノルマ、結果」    3.0
〈13〉「才能、素質」        2.8
〈14〉「弱肉強食、差別、窓際族」  2.3
〈15〉「競争」           2.0
 《終身雇用制》 いったん採用した人を定年まで雇う終身雇用制は、わが国独特の雇用慣行として定着しているが、この終身雇用制について賛否をただしたと ころ、「非常に望ましい」と「多少は望ましい」を合わせた肯定グループが76%と大半を占め、「あまり望ましくない」と「全く望ましくない」を合わせた否 定グループは16%にとどまっている。肯定グループは、給与生活者で77%を占め、自営業(72%)より5%上回っている。給与生活者のうち管理・専門職 は82%にのぼり、職業別では一位、労務・サービス職は78%、事務・技術職では75%。主婦も78%と高いが、農林・水産業、商工・サービス業では全体 平均を下回って70%台前半で、職業によって微妙な差が出ている。ただ学生だけは肯定グループが68%とかなり低い。
 年齢別にみると、肯定グループは、四十歳代から七十歳以上までの中高年層で77―78%を占め、二十、三十歳代よりやや多い。
 ◆積極受け入れ派は4%◆
 [単身赴任]
 サラリーマンが家族と離れて転勤する単身赴任が関心を集めているが、調査では「やむを得ない」(45%)と「すべきでない」(46%)が二分し、積極的 に受け止める人はわずか4%。年齢別でみると、反対派は三十歳代(52%)が最も多く、五十歳代(41%)が最も少ない。未婚者の多い二十歳代(47%) では、全体平均程度だが、三十歳代だけが半数を超えているのは、子育ての時期と重なり、抵抗が強いのかもしれない。
 職業別では、反対派が多いのは主婦(54%)、少ないのは事務・技術職(39%)。積極的に応じる人が目立つのは管理・専門職(7%)。
 また、「人より余計に働きたい」と思っている人では、積極的に応じる人が8%、「やむを得ない」が47%、「すべきでない」が41%なのに対し、「人並 みで十分」という人では、それぞれ3%、46%、47%で、仕事への意欲の強弱によって微妙に差がみられる。
 《調査の方法》 この調査は、去る一月二十三、二十四の両日、全国の有権者の中から層化多段無作為抽出法で選んだ三千人(二百五十地点)を対象に、調査 員による個別訪問面接法で実施。旅行、病気、転居などの理由で面接できなかった人を除く二千二百三十人から回答を得た(回収率74%)。

■19880404
□消えぬ企業内ミスマッチ――一橋大学教授津田真澂氏(月曜経済観測)(日本経済新聞)

〇…フリーワーカー増加
 ――一年単位の契約社員や勤務地を特定した地域限定社員、あるいは基幹職と補助職との中間職など新しい雇用形態が続々誕生していますが、この面の展望は いかがですか。
 「高い専門能力を持ちながら一つの会社に拘束されない"職業人"がふえるでしょう。フリーアルバイター、フリーワーカーといってもいいでしょう。今、情 報技術革命を起こしている新しい産業社会はニュービジネスのチャンスに満ちているので、職業人は無視できない厚みを持った大きな市場になるでしょう。企業 にとっては彼らをどう引きとめるか、魅力づくりが課題になります」

■19880629
□気ままな稼業フリーターも甘くない――無目的では不満つのる(婦人)(日本経済新聞)

 三日やったらやめられないのが、不定期の就業で口に糊(のり)するフリーター稼業とか。「時間管理の自在さ」「組織からの解放感」「まずまずの収入」と いったメリットに引かれ、OLから派遣社員にくら替えする独身女性も少なくない。だが、そんな不定期勤務が成功するのも、確かな目的意識や不断の向上心が あればこそ。中には安穏で場当たり的な生活に流され、気がつけば根無し草のまま幾星霜、といったフリーター哀話もあるようで……。
 「ぼくはこの秋、米国へ帰ることになりそうだ。きみもそろそろ新しい仕事を探さなくちゃね」。外資系企業で派遣秘書として働くYさん(34)は、ある 日、ボスからこう耳打ちされてガックリきた。就社や就職というより"就人"的な性格の強い外資系企業の派遣秘書の場合、ボスが代わると同時にお払い箱にな るケースもしばしば。また一から職探しかと思うと夏休みも楽しめそうにないからだ。
 「のんびり海外旅行がしたいばかりに、それまで勤めていた電機メーカーを辞めて五年。当初こそ一年ぐらい稼いでは旅行に出る生活が快適でしたが、今では 地中海もカナディアンロッキーも感興をそそらない。帰国しても定職がないと思うと、無邪気に遊ぶ気にもなれないんです。結婚の当てもなく、他に生きがいも ないまま、四十路、五十路を迎えるかと思うと、時々、恐ろしくなることも」とYさん。
 雇用職業総合研究所の「人材派遣業(事務処理)の女子労働者の仕事と生活に関する調査」(六十一年)によると、派遣労働者のうち過去に就業経験を持つ人 は九六%で、その立場は大半が正規従業員。離職理由で目立つのは労働条件への不満で、「仕事に将来性が望めない」「賃金が低い」「休暇がとりにくい」など 上位に挙がっている。ちなみに年齢構成は、数種の調査をつき合わせたところ、三十代前半までが七、八割。未婚比率はマンパワージャパンが六七%、テンポラ リーセンターでは五八%だった(各六十年調査)。
 「派遣労働者の利点は、労働時間を自己管理しながら、『能力』で勝負できること。自分のライフスタイルにかなっていれば、実に合理的な働き方と言える。 ただし、仮に一年以上続けて勤める気があるなら、正社員の道もあることをアドバイスしています」。テンポラリーセンター広報室長の深沢旬子さんが言うよう に、不定期な働き方を意味のあるものにするには、それなりの自覚と将来設計が欠かせない。
 その便法として、派遣会社の中には、OAや貿易実務などの自己啓発講座を無料で開催しているところもある。定時に退社できる好条件を生かして語学学校に 通い、スチュワーデスになったTさん(26)も派遣業務を飛躍のバネにした好例。証券会社、商社など積極的に畑違いの企業を志願してワープロ技術を磨き、 どんな要求にも応じられるベテランに成長したNさん(31)のようなケースもある。
 「ところが、本来"つなぎ"のつもりだった働き方が、今や"本業"と化してしまって」と憂え顔なのは単発のアルバイトや派遣業を繰り返して六年目のKさ ん(32)。
 「プロとしての自負は確かにあります。沈滞しきったマンネリOLの間で、私たち派遣タイピストの仕事師ぶりは際立っており、学歴だってこっちの方が立 派。男子社員の中には『きみたちこそが、うちの戦力だよ』なんてささやく人もいて、悪い気はしない。でもその程度の評価に満足していない。正規のエグゼク ティブ秘書になるための勉強はタナ上げの状態」
 無目的の不定期勤務は、収入面でも不満をかこつ結果になりやすい。たとえばある会計事務所でアルバイトとして働くMさん(40)の場合。時給二千円で一 日七時間、月に二十日前後働くため、月額二十八万円ほどと、一見、かなりの額になる。
 「ただしボーナスが無いから年収は三百三十万円余。交通費や税金を引くと三百万円足らずで、同等の仕事をしている同年齢の正規社員の半分程度でしかな い。加えて社会保険、失業保険、退職金なども無い無いづくし。身から出たサビとはいえ、三年目ぐらいからばかばかしくなりました」
 誤算に気付いた場合、正規社員に舞い戻れるチャンスは――。「時々、十年近くも派遣業務を続けた女性が定職を求めて来るが、悪い"クセ"がついていて、 難しい場合が多い」と言うのは人材紹介会社ケンブリッジ・リサーチ研究所通訳紹介部担当の名取都留さんだ。
 職場の拘束力がないのをよいことに、忘年会や社員旅行なども無視し続けるうち、ビジネス社会に必要な協調性が欠けてしまう。しかも多数の企業を渡り歩い た"実績"から、ついしたり顔で各社比較をやらかしたり、社内事情を暴露したり。「むろん経験の豊富さを武器にできる女性も少なくないが、多様性を身につ けるのが目的なら、一社につき三カ月も働けば十分だろう」(名取さん)とも。
 長すぎたフリーター稼業を悔やむ女性たちが、さらに気をもむのが、四十代になってもコンスタントに仕事が舞い込むかどうかという点。特に「若さ」が売り 物の職種の場合、将来は深刻だ。
 もっとも人材派遣会社フラッシュ専務の小熊千枝さんによれば、会社側も対応策は講じているらしい。「最近はイベントのコンパニオンやコンピューターのイ ンストラクターとして働いてきたベテランを、その道の後輩指導者に振り向けるなど、派遣業務の間口を広げているところ」と。
 こんな派遣会社の親心、とりも直さず、登録者の長期化、高齢化のあかしとも取れる。たしかに働き方の選択肢が広がったこと自体、女性にとって朗報には違 いない。せっかくのメリットを生かせず、かえって将来、職業選択の不自由さをかこつようなことのないよう、ますます長期的な展望が必要になった。

■19880412
□レタッチャー 印刷用写真製版の原版作り(カタカナ仕事)(朝日新聞)

 技術革新進み若者が増える

・いま中沢さんのところには、19歳−24歳の女性が1人、男性が4人。東京・市谷にある大日本印刷の工場内で仕事をしている。中沢さんは一見気むずかし い職人さんの印象だが、口調はゆったりと温かい。とくに、若い人たちのことを語るときは熱がこもる。

 中沢さんは、「かつての職人とはちがうものの、レタッチャーになろうという若い人は、学歴とは別の、手に技能を持つことをめざしているんです。フリー ターと呼ばれる腰かけ的なアルバイトのつもりでやっている人はいません」。
          *
 収入は、1年ぐらいの経験者が月に20−25万円。数年の経験者だと40万円以上稼ぐこともある。雑誌が多くなり、パンフレット、カタログなどの印刷も 増え続ける現在では、まだまだ人手不足だといわれる。残業が多くなり、週刊誌などの製版づくりでは、日航ジャンボ機墜落のような大事件が起きると、徹夜の 作業になることもある。

 中沢さんは「レタッチは登場したのが古くても、これからの職業であることは間違いありません。とくに要求される素養はありませんが、プロとしてやってい くというやる気は欠かせない」と、新風に期待している。

■19890816
□川西希代子さん(夏・ひと・新社会人:9) 茨城(朝日新聞)

 日立プロセスコンピュータエンジニアリング勤務<22歳>

 数学好きでこの道に…残業も2時間

 −−学生時代と違って朝は早いのでしょうね。

 会社の寮の3DKの部屋に同期生と一緒に住んでます。午前6時に、自然に目が覚めます。お弁当を作るからそのくらい早く起きないと。もう1人の人は、だ いたい15分ずつくらい生活のテンポが速いので、そのへんはうまく。8時ちょっと前くらいには会社に着きます。

 −−どんな仕事をしているのですか。

 通信制御装置のマイクロ・プログラムの開発、ということになっているんですけど。いまは、教育をしていただきながら、ですね。

 「これはどうしてこうなるんですか」などと先輩たちに聞きながら、ひと通りプログラムを書いてみる。こうしたほうがここは簡単になる、とか、なんでこん なことしたのか、とか、先輩に直していただいて、それを清書するんです。

 −−この職業を選んだのは。

 数学的なものと離れるというのは考えられなかったんです。高校時代は数学が好きで、国語が嫌いでした。数学は答えがピシッと出る。大学のサークルも、勉 強してたわけじゃないけど、数学研究会でした。

 −−仕事が終わるのはふつうの時間ですか。

 今日はここまでやろうと決めたら、そこまでやらなきゃ気持ち悪いので、2時間くらい残業します。そのあとは真っすぐ帰ることが多い。

 −−夏休みは十分にとれますか。

 8月6日から11日間。大学時代の友達2人と、青春18切符で鈍行に乗って、福島の海や山に行こうかって話してます。(取材は休暇の前でした)

 −−ところで、仕事の目的をどんなふうにとらえていますか。

 1つは生活するため。もう1つは、いろいろ学ぶことがあるので。

 −−生活のためなら、アルバイトでも。

 今はやりのフリーターでもたしかに生活できると思うんですが、肩書っていうわけじゃないけど、仕事をしてるけど何もしていないような感じがあるんです よ、私から見れば……。どこにお勤めですかって言われて、フリーターですって、私には言えない。

 −−技術者は転職しやすいといわれますが、あなたは。

 元気のある人が転職すると言った先輩がいる。私はあり得ない。なじんじゃうと離れがたいし、お金だけでは割り切れない、と自分では。

 −−女性ですと、結婚して子供ができたらどうするのかと気になりますが。

 当面、結婚する予定もないんで、そこまで考えてないんです。本当は家庭と仕事が5対5でバランスがとれるといいんですけど、雑誌なんか見てると無理みた い。猛烈社員みたいな男の人と結婚したら、(両立は)無理なんじゃないかな。

 −−もう1つ、会社内での出世は考えますか。

 女の人って出世できるんですかねぇ。実績が残せないのでは。女の人はやめちゃうから。 =おわり

   *  *  *

 県立緑岡高校から茨城大学理学部数学科に進み、今年3月卒業。


*製作:橋口昌治* 2007.07-
UP:20070711
◇労働 http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/d/w001.htm
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