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環境・保全関連ニュース

2007年12月5日〜11日
本ページに掲載されるニュースは、「環境」と「保全」というキィ・ワードを含むものです。
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◆Date:2007/12/5
◇Source: 東日新聞
◇Title: きっぱりと「ダム必要です」
◇URL:http://www.tonichi.net/news.php?mode=view&id=21527&categoryid=1

 最後の巨大ダムと言われる設楽ダムの建設が間もなく始まろうとする中、5日開いた豊橋市議会定例会一般質問で、改めて設楽ダム論議が行われた。梅村直子氏(共産)が利水、治水効果の根拠がなく、自然環境に与える影響も大きいとして、「建設は中止すべきだ」と訴えたのに対し、東三河の下流市町、議会および関係団体でつくる豊川水系総合開発促進期成同盟会の会長も務める早川勝市長は「やっぱり必要だ」と言明し、梅村氏の提案を退けた。

 梅村氏は「利水は01年度に完成した豊川総合用水事業で確保され、水需要見通しも実績と離れた過大なものになっている。流水の正常な機能維持容量についても有効貯水量の65%にもなり、全国的に見ても異常なダム計画だ」と指摘。

 環境面に関しても「環境アセスで天然記念物・ネコギギを移植するとしているが、ネコギギの移植は技術的に未確立であり、生息し続ける保障はない。不必要なダム建設をやめるべきだ」とし、治水・利水の根拠や環境影響に対する認識について、建設を促進する立場を取る市の考え方を聞いた。

 堀内一孝企画部長は「設楽ダム建設は、豊川水系河川整備計画で位置付けられ、利水目標を明記した豊川水系水資源開発基本計画も閣議決定された。環境アセスも終了し、現在、設楽ダム建設基本計画の策定作業が進められている」と経過を説明。

 「建設後の水道料金への影響は明らかにされていない」とし、天然記念物など生態系への影響についても「環境保全措置を配慮した事項が盛り込まれているので、影響はできる限り回避、または低減されていると認識している」と答弁。

 三河湾への影響については「設楽ダムによる流入量の変化より、市街地などの汚濁負荷や閉鎖性水域など自然変動の方がはるかに大きいことから、設楽ダムが三河湾の水質におよぼす影響は非常に小さいとされている」との認識を示した。

 さらに梅村氏は「渇水による実害は出ていない。設楽ダムに頼らない治水計画はないか」と聞いたが、堀内部長は「豊川の明日を考える流域委員会で、さまざまな代替案などについて議論の末、設楽ダムの必要性が確認された。ほか行政懇談会などを踏まえ、きちっと建設の必要性が位置付けられている」と答弁。

 最後に早川市長が「やっぱり必要だ」とした上で「ダムは100年スパンで考えるべきものだ。10、20、30年、世代を考える観点で判断したい」と説明した。

◆Date:2007/12/5
◇Source: 北海道新聞
◇Title: ダム新設困難に 矢臼別演習場の風蓮川水系(12/06 07:02)
◇URL:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/environment/64364.html

 陸上自衛隊矢臼別演習場(根室管内別海町など)内の砂防ダム建設問題で、北海道防衛局は演習場内の風蓮川水系で確認された絶滅危惧(きぐ)種・イトウについて、「生息環境の保全を図る」とした調査報告書をまとめ、五日までに関係自治体などに送った。これにより同水系でのダム新設は事実上困難となり、既存ダムの改良を求める声も高まりそうだ。

 報告書によると、調査は四月二十−二十二日、風蓮川水系の七つの支流で行い、四匹の親魚と三十一の産卵床を確認したほか、産卵に適した場所も五百十三に上った。

 このうち二つの支流ではダムに魚道を設けたが、産卵床はゼロと二カ所で極めて少なく、「魚道が十分に機能していないと考えられ、遡上(そじょう)ができていない」とした。その上で、遡上対策を含む資源回復策を図るのが望ましいとした。

 砂防ダムは演習場内の土砂が河川に流入するのを防ぐのが目的で、別海町の要請を受け、十五基を設置済み。しかし、演習場内の釧路管内厚岸町側にある別寒辺牛川水系の砂防ダムでも、イトウ遡上の妨げが指摘され、二○○五年に二基の建設が凍結された。

 今回の報告書では、当時の結果を踏まえるとしており、防衛省も来年度の概算要求で建設関連経費を見送っている。

 報告書の中で道防衛局は、「関係機関と調整の上、検討したい」とした。別海町の磯田俊夫副町長も「土砂流出対策にダムは必要で、協議に応じたい」と話している。

 自然保護団体「道東のイトウを守る会」の田中明子事務局長は「風蓮川では危機的状況のイトウも多く、建設中止はもちろん既存ダムの改修を含めた対策を早急に行うべきだ」と指摘している。

◆Date:2007/12/5
◇Source: 朝日新聞
◇Title: パーム油CO2放出量、化石燃料の10倍 NGO指摘
◇URL:http://www.asahi.com/life/update/1206/TKY200712060063.html

2007年12月06日12時03分

 バイオ燃料として世界的に需要が高まっているパーム油について、国際NGO「国際湿地保全連合」(本部・オランダ)が5日、製造過程での二酸化炭素(CO2)放出が多いため、結果的には「化石燃料より最大10倍のCO2を放出する」との調査結果を発表した。「パーム油が環境に優しいというのは神話に過ぎない」と警鐘を鳴らしている。

 バリ島で開催中の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)の関連行事で発表した。

 パーム油を抽出するアブラヤシの耕地面積は、インドネシアとマレーシアが世界の90%を占める。同連合の調査では、このうち約20%が、植物の残骸(ざんがい)が炭化して積み重なって形成された「泥炭地」だった。泥炭地の樹木を伐採したり水路を掘ったりする耕作過程で、1ヘクタールあたり年間で最大100トンのCO2が放出されると試算。この結果、石油などの化石燃料をエネルギー源に使った場合より、3〜10倍のCO2を放出するという。

 パーム油は最近、食用油や洗剤のほか、欧州を中心に軽油の代替燃料として需要が急増。同連合は「消費者側の認識をただすことと、インドネシアとマレーシアの両政府による徹底した管理が急務だ」と指摘している。

◆Date:2007/12/6
◇Source: 日刊スポーツ新聞
◇Title: 2030年までにアマゾンの森林55%壊滅も
◇URL:http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20071206-292225.html

 環境保護団体「世界自然保護基金」(WWF)は6日、世界最大級の熱帯雨林がある南米アマゾン川流域について、開発や地球温暖化で2030年までに森林の55%が壊滅的な打撃を受け、それが地球環境の悪化を加速する恐れがあるとする報告を発表した。

 気候変動枠組み条約締約国会議を開催中のインドネシア・バリ島でWWFが発表した報告書「アマゾンの悪循環」によると、アマゾン川流域は太陽光や熱を大量に吸収、地球を冷やしている。

 しかし、農園開発や森林伐採、火災、干ばつが現状の勢いで続くと、30年までに55%の森林が消失するか、森林機能が激しく劣化。近年の世界的なバイオ燃料、大豆、食肉の需要増大で、森林破壊のペースはさらに早まる可能性がある。

 アマゾンの森林劣化は地球規模の温暖化を加速し、南米だけでなく、北米の穀倉地帯や東アジア、インドにまで降雨量減少などの影響が及ぶという。

 今回の気候変動枠組み条約締約国会議は、今後の国際交渉の行程表づくりに次いで森林保護が重要課題。WWFの報告書は熱帯雨林の保全のため、森林火災の防止のほか、森林を保護する発展途上国に対価を与える新たな仕組みが必要と指摘している。

[2007年12月6日21時47分]

◆Date:2007/12/7
◇Source: 日刊建設通信新聞
◇Title: ◆環境配慮契約法の基本方針/きょう閣議決定/ESCO幅広く導入
◇URL:http://www.kensetsunews.com/news/news.php?date=20071207&newstype=kiji&genre=1

 政府は、5月に成立した「国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律(環境配慮契約法)」の基本方針を7日に閣議決定する。各省庁や独立行政法人は08年度から基本方針の内容に沿った契約を本格的に実施する。基本方針では、ESCO(エネルギー・サービス・カンパニー)事業の契約に当たっては、フィージビリティー・スタディー(導入可能性調査)を実施した上で可能な限り幅広く導入することを明記した。

 また、建築工事と大規模改修を実施する際には、原則として設計段階で環境配慮型プロポーザル方式を採用し、実施に当たっては、技術提案項目として温室効果ガスなどの排出削減の内容を必ず一つ以上盛り込むことなどを求めている。

 基本方針は、有識者委員に設置した「電力」「自動車」「ESCO」「建築」の各ワーキンググループで検討してきた基本事項と、補足解説資料で構成している。

 ESCO事業については立案段階で、フィージビリティー・スタディーに基づく適切な遂行手段を確立した上で、創意工夫が最大限に取り込まれた技術提案などを総合的に評価して事業者を選定するよう求めている。

 建築物の建築、大規模改修の設計業務を発注する場合は、原則として温室効果ガスなどの排出の削減に配慮した内容を含む技術提案を求める環境配慮型プロポーザルを採用し、契約段階で設計者に対して総合的な環境保全性能と生涯二酸化炭素排出量(LCCO2)の評価を求めることを明記している。

◆Date:2007/12/7
◇Source: JanJan
◇Title: 愛知県下最大規模の環境団体「あいち自然ネット」設立へ 2007/12/07
◇URL:http://www.news.janjan.jp/area/0712/0712056739/1.php

 12月4日(火)午後、「あいち海上(かいしょ)の森センター」(浦井 巧・所長/主管:県農林水産部森林保全課)で「あいち自然環境団体・施設連絡協議会」の第5回設立準備委員会が開かれた。審議の結果、案件すべてが了承され「(愛称)あいち自然ネット」が最終的に立ち上がった。すでに11月上旬から会員募集を始めていたが、締め切り(12月8日)後も引き続き受け付けるとし、事務局は「あいち海上の森センター」と再確認された。
 ・http://www.pref.aichi.jp/kaisho/aichisizennet.pdf

 「あいち海上の森センター」は、愛知万博・瀬戸愛知県館を改築して建てられた万博記念施設である。海上の森の保護・保全をはかり、人と自然が関わり、共生を探る拠点を目指す県営の展示・管理センターでもある。海上の森を所管する愛知県は、その面積の広さ、自然資源の貴重さから「あいち海上の森条例」を制定し、平成18(2006)年4月1日から施行している。

 ほぼ530haの広さを持つ海上の森は、1990年2月に愛知万博の会場候補地に選定された。並行して公表された「万博跡地に2000戸・6000人規模の住宅を建設する」という新住計画の存在から、自然破壊、環境破壊の万博計画として、激しい住民運動の嵐に巻き込まれていった。

 しかしその後、国際博覧会協会から自然破壊の計画と厳しい警告を受け、絶滅危惧種のオオタカの営巣の発見もあり、大幅な会場計画の変更を重ね、森のほとんどが開発を免れ、保存されることになった。国が進める巨大公共事業からの撤退という、まれなケースになった。

 ところで私(宮永正義・「海上の森野鳥の会」)は、「あいち自然ネット」の会長候補となった。最初、「あいち自然環境団体・施設連絡協議会」の案内が来たとき「何かの間違いではないか」と確認の電話をした。でも「間違いではない。どうぞ参加して下さい」ということで、3月に実施された官・民40数団体が参加した意見交換会に出た。

 その後、設立準備委員に選任され、皆さんと遠慮なく本音で話しあえる関係を築きながら協議を重ねた結果、なぜだか、きっと声が大きいせいでしょうが「しっかり支えるから」という副会長メンバーなどの声に後押しされて、今回、会長を引き受けることにした。

 「あいち自然ネット」は恐らく、環境関連では初めて全県をカバーする官民の連携組織となる。地球温暖化問題など、個人のレベルを超えた環境問題は国家や地方自治体の「積極果敢な英断と敢然たる断行あるのみ」だと思う。

 しかし、そういったグローバルで鳥瞰的な立場とは別に、孤立しがちな個々の団体・施設が連携し、自らできることを地域から実践すべきということから、まず、愛知から民と官が力を合わせ、いま暮らしている地元を「どげんかせんといかん」と協働を旗印に、「あいち自然ネット」は立ち上がった。

 発起人で事務局長の浦井巧氏は、「あいち海上の森センターは、森林や里山に関する学習と交流の拠点として設立されました。施設を有効に活用していただくには、同じような施設や団体と情報を交換し、交流を盛んにすることで連携を深めることが必要だと……。そのためのネットワークを作れたらと思い、提案しました。

 当初、公的機関・団体は30、自然・環境関連団体60に参加を呼びかけ、紹介を受けて25団体にも参加を呼びかけた(合計115)。申し込み団体数は5日現在で30を超えたところです。12月7日には、午後2時から『県政記者クラブ』で設立の記者発表をします。12月22日に『あいちNPO交流プラザ』(愛知県・東大手庁舎)で午後2時から設立総会を開きます」と語る。

 「あいち自然ネット」は、国や県などへの人任せではなく、日々実際に活動する組織が手を結び、自ら行動を起こし、行く末が不安視される環境問題に対し、郷土は自分たちで守る意気込みで発進する。一つでも多くの団体・組織の皆さんの参加を歓迎します。連絡先は:あいち海上の森センター:電話・0561(86)0606 FAX・0561(85)1841(担当・小野島)
 ・http://www.pref.aichi.jp/kaisho/aichisizennet.pdf
(宮永正義)

◆Date:2007/12/7
◇Source: 群馬建設新聞
◇Title: 里山活用して地域再生(川場村) ブランド材を開発 バイオマスタウン構想推進
◇URL:http://www.nikoukei.co.jp/gunma/200712/20071208/kj071208_01.htm

 川場村は、「都市交流と協働−−森と農の再生計画」と題した地域再生計画を策定した。同村の中心部にある後山(里山)整備に着手、それにより生産される間伐材などを利用し、木工芸品の新規開発、さらには地域資源の循環社会構築に向け、木質バイオマスタウン構想を推進する。
 
 同計画では、川場村の第3次総合計画の主要テーマに位置づけられている後山(里山)12の森林127haを整備し、それにより生産される間伐材の集積と製材所を整備する。それを活用して川場ブランド材や木工芸品の新規開発、また地域資源の循環社会構築に向け木質のバイオマスタウン構想を推進する。さらに、森林整備や古道の再生により、多くの人々が里山を訪れるよう、林間広場を整備し観光客の入り込みの増加を図る。また、里山周辺の遊休農地を活用して市民農園を開設し、団塊の世代のUJIターンを受け入れ、2地域間居住を推進して交流人口の増加を促し、地域活性化を目指した都市交流と協働による森と農の再生を進める。これを実現するために、以下の支援事業を総合的かつ一体的に推進する。
 【里山エリア再生交付金】
 地権者の管理下で、風致に配慮しつつ木材の生産や特用林産物の生産を推進し、森林整備に関しては、健康村里山自然学校と連携を図りながら、村民、区民、地権者、環境保全に取り組む企業やボランティア団体が協働して整備し里山を再生する。施業は、長伐期(80年〜100年)の択伐複層林施業、小面積皆伐施業、修景林施業のうちいずれかの方法で進め、下草刈り、間伐、枝打ち、育林を行うとともに、産出する間伐材の集積所、製材所を整備する。
 また、木材の搬出のために使われていた山道を整備して古道として再生するとともに、林間広場を2カ所程度整備し、多くの人々が気軽に里山に訪れるような環境・健康教育の場を整備することで、林業体験の場や癒しの場などとして森林を活用する。現在は樹齢30年〜60年生のスギ、ヒノキが多いが、これを80年〜100年の長伐期にして、川場ブランド材化を図る。
 さらに、沢に木製のミニダムを整備し、森林および農地の景観保全も推進する。20年度事業申請予定。
 【上下流連携いきいき流域プロジェクト事業】
 東京都世田谷区と「区民健康村相互協力協定」を締結して以来25年にわたり、小学校5年生を対象にした移動教室に、区内64校の児童が2泊3日の日程で川場村を訪れ、自然体験や農林業体験を学ぶなど、各分野において展開されてきた人的、物的な様々な交流により、自然の親しみや自然への理解などの増進を図っている。
 このような取り組みの一環として、上下流連携いきいき流域プロジェクトを活用しつつ、利根川上流流域林業活性化センターと東京都流域林業活性化センターと連携して、森林環境教育を推進し、森林・林産業への支援意識の一層の醸成を進める。20年度事業申請予定。
 【山村力誘発モデル事業】
 森林整備を継続的に実施し、地球温暖化の原因となっている二酸化炭素を吸収する森を再生するため、都市と農山村における協働の森林整備を推進して里山の再生と農山村への交流居住を進める。20年度事業申請予定。
 【地域バイオマス利活用交付金】
 森林整備により生産される間伐材などの残材、剪定枝などを活用して、それらを燃料とする木質のボイラーを設置し、役場庁舎などの公共施設、第三セクターなどの事業所への暖房や給湯を推進する。
 また、教育施設や一般家庭への木質ペレットストーブを普及することを図り、バイオマスタウン構想を推進し、地域資源の循環社会構築を進める。23年度に施設を整備する予定。
 また、独自の取り組みとして以下の支援事業を行う。
 【木工芸品の開発】
 同村の木工芸品を生産、販売している森林組合の「みみずく工房」を当該事業で進める木材集積所、製材所周辺への移転を検討し、同時に利根沼職業訓練校の誘致を進め、協働による生活用品や民芸品の新規開発を推進する。
 【安全で健康的で豊かな農村ライフの推進】
 遊休農地を活用し、市民農園を開設することで農と土にふれあう環境学習の場の創出と環境保全運動を展開する。市民農園の参加者が農園の管理基地として同村内に長期滞在できるよう、間伐材などによるエコ住宅建設を支援し団塊の世代を受け入れ、安全で健康的で豊かな農村ライフを進める。
 なお、計画期間中において必要に応じて事業内容の見直しを図るため、事業主体において整備状況について検討する。

◆Date:2007/12/7
◇Source: JCN Network
◇Title: Bertelsmann Stiftung、日本人の未来に対する期待と予測の調査結果を発表
◇URL:http://www.japancorp.net/japan/Article.asp?Art_ID=41082&sec=163

Berlin, Germany, Dec 7, 2007 - (JCN Newswire) - 世界の主要国のひとつである日本においては、気候変動と環境破壊に最も大きな関心が寄せられています。日本人の間では世界の主要国にとっての最重要課題は環境保護と資源の保全であると考えられています。日本人はまた、米国の重要性が劇的に低下し、中国、インド、およびEUが特に力を拡大すると予想しています。日本自体については、世界の主要国として果たす役割は今後縮小すると考えられています。平和で安定した世界を作り出すにあたり、日本では各地域の主要国の間における協力に希望が託されています。ドイツのBertelsmann Stiftung財団が世界の主要国の9,000人を対象として最近行った意見調査のうち、日本においてはこのような結果が得られました。

世界にとって最大の課題と脅威は何かという質問に対し、1,200名の日本人回答者のうち72%は環境破壊と気候変動を挙げました。2005年に行われた同様な調査に比べ、この回答の割合は16%の急激な増加を示しています。この回答を選んだ人々の割合は、今回調査対象となった国の間で日本が最も高い値を示しました。この回答を選んだ人の割合は世界全体の平均においても最も高く、回答者の54%が最重要の課題および脅威としてこれを挙げました。これは2年前の調査結果から10%の増加です。しかしこの問題に対する関心は地域によってはそれほど高くなく、インドでは28%、ロシアでは31%でした。これ以外に日本人が最も重要な課題と脅威として選んだ項目としては国際テロの39%、戦争の38%、および資源欠乏の31%が上位を占めました。

世界の主要国が目指すべき目標として最も多くの日本人が選んだのは環境保護であり、日本の回答者のうち58%がこれを挙げました。世界の他の国と比較した場合、この項目を選んだ人の割合も日本が最も高くなっていました。これ以外には平和維持(36%)と核兵器の拡散防止(34%)が重要な目標として日本人回答者に選ばれました。

将来の国際政治においてどの国が決定的な役割を果たすかという質問に対し、日本人は各国の重要性が大きく変動すると考えています。国際政治の決定権を現在握っている国が米国であると考える人の割合は依然として最も高い70%を占めましたが、36%の人は中国、21%は国連、20%はEU、および19%は日本を挙げました。しかし2020年の時点において米国が決定権を持っていると考える日本人回答者の割合はわずか46%でした。米国に拮抗する強大国の候補として中国を挙げた人の割合は45%に達し、これはインドの20%とEUの20%を大きく上回りました。国連が2020年にも決定権を持っていると考える人の割合は現在よりも15%下がりました。日本自体の重要性もさらに低下すると考えられており、2020年に日本が決定権を持っていると考える日本人回答者の割合は14%でした。

自国に対するこのような評価に対し、他の国からは異なる評価が日本に寄せられています。今日、世界中の回答者の35%は日本を強大国であると考えており、この比率は国別の順位としては4番目でした。2020年にも日本が強大国であると考えている世界の人々の割合は33%であり、これは国別では5番目に高い割合でした。

将来的な平和と安定に国連が重要な役割を果たすと考える日本人回答者の割合は39%に達しました。しかしこれはドイツの82%や英国の83%と比較すると低い値です。国連に対する日本人の評価の低さは、国際平和への枠組みに対する疑問もその原因となっています。この分野において国連が主導的役割を果たしていると考える日本人回答者の割合はわずか29%でした。国際的に比較した場合、日本人は最も低い評価を国連に与えています。世界全体を平均した場合には41%が国連にこの役割を果たすことを望んでおり、ドイツでは66%、英国では51%に達しました。日本人の多くが考える最善の未来とは、各地域からの複数の強大国によって率いられるものであるとされています。

この調査のまとめとして、Bertelsmann Stiftungの国際関係担当ヘッドであるヨーセフ・ヤニング(Josef Janning)は次のように述べています。「未来に対する人々の期待と予測は、政策に対して極めて大きな影響を及ぼします。世界のあらゆる地域において、人々は米国がその優位性を失い、中国が台頭すると考えています。しかし人々は国連によるような、世界政府の下において調和とバランスのとれた世界が実現するとは期待していません。ほとんどの国の人々は、グローバルな競争においては自国の力に頼り、また平和と安定を拡大するにあたっては自国がより大きな役割を果たすことを望んでいます。国際政治においてこのような考え方や期待が主流となった場合、20世紀の欧州において大きな悲劇をもたらしたような、民族主義的な瀬戸際外交が再び復活する恐れもあります。しかし気候変動という脅威により、国際的なレベルでの政治的協力が拡大しているようにも思われます。」

このBertelsmann Stiftungの調査は意見調査を専門とするGallup International/TNS-EMNIDにより、世界中の9,000名の人々を対象として最近行われました。対象国は米国、ロシア、ブラジル、中国、インド、日本、ドイツ、フランス、および英国でした。この調査の比較対象としてはBertelsmann Stiftungが2005年に行った調査が使用されました。この結果はBertelsmann Stiftungがベルリンで開催した第2回Global Policy Councilにおいて発表されました。この会議にはさまざまな分野と地域から著名な専門家が集まり、グローバル化のダイナミクスに伴う課題と期待、新しいワールドパワーの台頭、および安全保障に関する新たなリスクについて分析を加えました。日本からは元外務審議官の田中均氏、元国連特使であり現在は軍縮・不拡散促進センターの所長である須藤髢邇=Aおよび小泉首相の顧問を務めた岡本行夫氏が参加しました。

この国際的調査の詳細については http://www.bertelsmann-stiftung.de/bst/de/media/xcms_bst_dms_23193_23194_2.pdf をご覧ください。

概要:Bertelsmann Stiftung

Bertelsmann Stiftungはドイツの非営利財団です。同財団はシンクタンクおよび政治諮問機関として、グローバル化の進む世界が直面する課題に対する画期的かつ人道的な解決策の策定に取り組んでいます。専門とする分野のひとつは国際関係です。同財団は1977年にドイツ人事業家のラインハルト・モーン(Reinhard Mohn)によって設立され、現在も国際的なメディア企業であるBertelsmann AGの主要株主です。Bertelsmann Stiftungが取り組むプロジェクトはいずれの政治的信条にも基づかず、またBertelsmann AGとも無関係に行われます。

お問合せ先:

Stefani Weiss
Project Manager
Bertelsmann Stiftung
Email: s.weiss@bertelsmann.de
Phone: +32 - 22 80 28 30

2007年12月7日 19:05:34

/japan
Topic: Corporate Announcement
Sectors: 国際

◆Date:2007/12/7
◇Source: 読売新聞
◇Title: 屋久島の自然環境保全業務に改善通知…総務省行政評価局など
◇URL:http://kyushu.yomiuri.co.jp/local/046/046_07120801.htm

安全柵が破損し、観光客の転落が懸念される遊歩道(鹿児島行政評価事務所提供) 総務省九州管区行政評価局などは7日、屋久島で環境省と林野庁が行っている自然環境保全業務に対する行政評価・監視の結果を発表した。その結果、▽遊歩道の安全柵が破損し、登山者が転落の恐れがある▽世界遺産地域に自然環境の保全を目的としたルールがない――などの問題が見つかり、10項目について改善するように通知した。

 屋久島は1993年に世界自然遺産に登録され、それに伴う観光客や登山客の急増で、自然環境への影響が懸念されている。また、登山客の遭難事故も後を絶たず、安全対策上の問題も指摘されている。このため、同評価局は現状の課題を探り、改善に役立てようと、調査を実施した。

 調査では、登山道の誘導標識の距離表示が誤っているものが2か所で見つかったほか、遊歩道の安全柵が破損し、転落の危険性がある場所が4か所あり、補修の必要性を指摘。さらに、環境省九州地方環境事務所が作成したマナービデオで初心者が通らないよう注意喚起している登山道を、林野庁九州森林管理局のホームページでは一般的な登山道と同列で紹介していることも判明し、改善を求めた。

 また、世界遺産地域となっている島西部で、明確なルールがないため、登山客や観光客が登山道を外れて入り込み、貴重な植物を踏み荒らしている可能性を指摘。九州地方環境事務所に対し、島西部の自然環境の保全を図るためのルール作りに積極的に関与するよう求めている。

 記者会見した鹿児島行政評価事務所の下地頭所隆・評価監視官は「予算の制約もあって難しい部分はあると思うが、観光客・登山客の安全確保と自然保全のためにできるだけ早期に改善を図ってほしい」と話している。

◆Date:2007/12/9
◇Source: JANJAN
◇Title: 農業改革10箇条(15)農業はいずこへ 2007/12/10
◇URL:http://www.news.janjan.jp/living/0712/0712080871/1.php

6.農蓄産物流通の近代化

1.農蓄産物は食品である。生産者の氏名表示を義務づけるべきだ。
  トレーサビリティーすら可能な時代であり実現をめざせ!
  これにより、農業者の自立意識が格段に向上する。
  優良な商品は消費者に歓迎され、生産者も利益還元の恩恵を受けるはずだ。 
2.流通機構にも独禁法の適用を検討すべし。
  農協の「農産物集荷センター」や「農機整備施設」はほとんどが
  【補助金】という税金を70%以上も投入して作った「農業施設」である。
  ここで、乳母車や布団・墓石まで展示し、販売行為をするのは目的外の使用である。
  補助金支給の違法性はないのか?と問いたい。
  過疎地は別としても、都市近郊では完全に民業圧迫である。
  農協組合員以外でも自由に購入できる現実は、国会図書館で本を売るのと同じ発想。
3.消費者ニーズに応える付加価値をつけて農産物を流通させる個人・法人の育成に援助  を。
  
7.農協三分割案(この案は昔に戻せと言ってるだけか?)
  
 農協は分割民営化方式とすべきだ。足掛け50年、農業近代化の失政は農協を過保護にして、放漫経営を黙認助長して来たからだと言える。農家が苦しんでいるのに農協は総合商社として栄えている。この構造は何なのか?。ちょっと田舎に入ると、近代的な建物と安定した職場は役場と農協。これをおかしいと言う人が少ないのは奇異でさえある。

 多くの場合、組合長は名誉職か選挙目当ての長老である。民主党の農業政策に「ばら撒き援助だ」という批判派が多い。しかし、新農政の現況を現場から見ると、補助金の多くは中間で「組織というスポンジ」に吸い込まれ、農民の自力向上には役立っていない。このままでは、完結する平成27年度に「食料自給率」が今より向上しているとはとても思えない。

1.生産物販売部門

 全ての施策を「お上だより」にし、消費者思考に欠け、苦しくなると「政治家に頼む」という構造から脱却すべき時だ。品質表示を徹底し、消費者ニーズに応え、流通業界にも積極的に売り込み、食と命と夢を売る産業へ脱皮すべきだろう。

 現況は多くの場合、農産物の販売は卸売市場まかせである。農協は農産物を生産者に代って送るだけの組織になっている。販売担当の役員は、市場関係者に「うちの産物を高い価格で(セリ)にかけて下さい」と、お土産持参で陳情に行く始末である。このままでは、この部門は国庫補助金の受入れ集団に過ぎない。補助金に備え「実績」が欲しいので、一般市場に流通した販売代金も組合口座を通させ「売上高還付金」という餌をまいてリベートを要求する手口さえある。

2.購買供給部門

 組合員への販売活動の多くを業者にやらせ「売上比例」でピンはねする甘えの構造になっている。そもそも、商品を売っておいて「生産物の売上代金から差し引く」という安易な商行為から「新しい発想や意欲的な経営感覚」が生れるはずが無い。

 全てのビジネスは「販売戦略」と「代金回収のリスク管理」から始り、損益分岐点という初歩から始めるべきなのだ。赤字は組合員負担。担当者は売るだけで回収の苦労なし。購買担当者はリベートを沢山くれるところを探すのが腕の見せ所という組織。資源や環境にやさしい農業を展開すべき農協が、肥料・農薬・人造農業資材の拡販部門を持っているのは正に「マッチポンプ」でしかない。

 この部門の多くは専門業者が農協組織外にあり、知識も技能も彼らの方が勝る事が多い。ガソリンスタンドなどはその典型的機構で市中価格となんら差異はない。代金回収の費用は限りなくゼロなのに……である。

3.金融共済事業
 
 「農林中金には不良債権は無い(ことになっている)」??。ダイエーでもコクドでもAAAと思ってたところから、大口不良債権が出たではないか。農協の経営まで口を出せる身分ではないが、夕張市並の財政状況の農協も多いはずだ。地方都市における第3セクターの不良債権は10兆円をこす規模。多くの場合、裏では農協もからんでいる。金融不透明の時代に、ひとり農協だけが有利な利息で資金を預かり、高額な配当(分配率)をうたう共済が破綻しないはずが無い。

 現に旧・農業者年金は破綻したのではなかったのか?。農業近代化資金をはじめ国庫補助の付いた制度融資を独占し、紐付き融資で潤っている。各種の共済事業も含め、国庫補助のある事業資金は民間金融機関にも開放すべきである。

8.社会主義から自由主義へ

 米・麦・大豆・甜菜・馬鈴薯(澱粉用)・牛乳、多くの食品が「お上にお願いして」価格が決まる(認可・承認・助成を含む)。安定基金制度を含め、我国の農業は極論すれば社会主義経済である。完全自由化は無理としても、陳情という団体交渉で決着する姿は異常である。政府が価格や流通をコントロールしてうまくいった業界はない。

 BSE全頭検査でさえたった2億円の補助金がないと継続できない構造で、自由主義経済といえるのだろうか?。牛肉などは生産者が自己責任でBSE検査をし「安全マーク」を添付して出荷すべきものだ。(検査費用は生産者の負担であるべきだ)国際競争力を言うのであれば農協や農水省の外枠で考察しないと農業を破壊するだけだと思う。

9.株式会社の農地所有は疑問
 
1.不在地主の多発
 農業法人に組織変更し「農地の細分化」が名目上避けられても実態は変らない。農地を取られ悔しい思いをした地主が「良好な農地」を手放すとは思えない。耕作放棄地は益々増大するであろう。反面、東京本社の法人が山形県に広大な農地を確保したとしましょう。金融機関はその農地担保で融資するでしょうか。株式の多発は危険です。西武やコクドでさえも行詰った。株式会社の所有権が登記されれば農地のファンド化は避けられない。

2.共同作業への対応
 農業に水は欠かせない。水は高きより低きにしか流れない。農村社会はこの事を前提に形成されている。利水管理(特に豪雨の時など)は24時間体制です。社員を地域に住まわせ、全責任を負わせることは無理。

3.農村社会の崩壊
 農道の維持・公有地の草刈・鎮守様の保守から保育園・小学校の運動会に至るまで、農村は一種の社会主義国家。自由主義経済の論理では対応できない。

4.農協組織の崩壊
 法人は当然非組合員となり農協と対立する(農協法参照)。中核農家のいない農協は経営崩壊する。結果として農協共済が破綻する(これは下手をすると金融恐慌の引き金となる)。

10.税制等による農業振興

1.老齢就農者を優遇する(平成20年度からは逆の税制となる)。
  基礎控除に70万円程度を上乗せし16年形の税制に戻す。
2.就農していると年金受給資格がないのは異常である。
 (例:農業者年金の上乗せ部分)
3.年金受給者の農業所得は非課税.年金控除なしとする。
  以上3案で「Uターン農家」を育成する。
 (都市住民の食糧生産者に対する援助と考えれないか?)
4.都市計画法・建築基準法の緩和。
  牛小屋にも建ぺい率の適用があり、雨樋・排水溝・電気・防火設備に至るまで、居宅や工場並みに施工しないと建築確認がおりない。やがて耐震基準も強化されるだろう。
  これでは「法の乱用」「建設業の過保護」でしかない。
  (北海道で補助金対象の牛舎を見てびっくり、我家よりも近代的設備が完備)
5.補助事業で利益が出ない最大の原因は[行政指導]による過剰投資である。
  (農機具屋が言うのです)
6.農業用施設(農機具用車庫等)への課税免除。
  個人所有の農業施設にも適用し「儲かる農業」を応援する。
7.後継者育成の援助。
  各地の農業大学・技科大農学部・営農大学を無償化し、緑の防衛大学とする(卒業  後20年は就農する事を条件とする。コムスンの社長ばかり出ても困るので……
  =皮肉です)。
8.相続開始3年を経過した農地は、占有者による納税を認めない。
  つまり、登記名義人にしか納付できない様にする。
  現状は故人名義のままでも、税金をはじめ各種の負担金の支払い請求書が「占有   者」に郵送され「だれでも納付」できる。
  この矛盾が相続のあいまいさを助長し、耕作放棄地は増加の一途となる。

結び

 農業者の法的・社会的地位を確立し、「農業が魅力ある産業である。」という仕組みを若者に見せないことには、後継者は育たず農業は衰退する。どんな作物をどのように栽培するかは、個々の農業者の経営感覚の問題であろう。規模拡大だけでは問題は決して解決しない。豪・米とは規模が違い過ぎて農産物の国際競争力は論ずる余地なし。

 国土保全を優先するなら「環境税構想」という国民的コンセンサスが必要だし、収入補償をするなら国際的な合意も必要だろう。農業問題は外交防衛問題でもあり庶民にはその出口が見えてこない(伊吹の知恵の外です……無念)。

 長期的には先ず指導者の養成から始めなくてはならないだろう。「育種権」や「栽培作物の権益尊重」など制度不備の是正も緊急課題であろう。特色ある農業を育てようとして「有機農産物」や「特別栽培農産物」のように「規格や表示をがんじがらめ」にしてしまっては元も子もない。多くの食品が自由市場で切磋琢磨され、消費者ニーズに応え、それなりの評価を得た物だけが生き残っている。農産物とて例外ではなかろう。農民の英知と勇気を伸ばす農政を期待したい。業界団体を擁護して1兆円近い補助金を黙認し、個々の農業者の育成には、なぜ「バラマキ」と批判するのか?。私には理解できない。

 穀物をはじめ資源の国際相場高騰であらゆる食品が値上げになりつつある。幸いコメのみは価格低迷だが十年先は不透明、遠からず反騰するであろう。食料品の値上りは節約だけではしのげない。飽食の時代はそう永くは続かないであろう。「吉兆」などという「ブランド」に惑わされず、多くの人々が「食料」について再考察すべき時に来ていると思う。

農耕地は3年放置すると荒地に変ってしまう。時間的余裕はあまり無い。

     ◇  ◇  ◇

 これで「農業はいずこへ」はひとまず筆をおきます。「農村やぶにらみ」との重複事項もあったことをお詫びし、諸氏の御批判と御指導をお願い申し上げます。

(伊吹春夫)

     ◇

特集:コメはいま ライスショック

◆Date:2007/12/10
◇Source: 読売新聞
◇Title: 環境省と日本経団連、温室ガス排出権取引で攻防
◇URL:http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20071210ib22.htm

 環境省と日本経団連は10日、都内で懇談会を開き、2013年以降の「ポスト京都議定書」の地球温暖化対策などを意見交換した。

 鴨下環境相は席上、温室効果ガスの排出枠を企業間などで売買する排出量(権)取引制度について、「もはや世界のトレンド(流れ)であり、真剣な検討に値する」と述べ、日本も制度作りに向けた議論を本格化すべきだとの考えを示した。

 これに対し、経団連の御手洗冨士夫会長は、「排出権取引制度に頼ることなく、真に環境保全に役立つ民間の自主的な取り組みを生かしていくことが重要だ」と応戦し、導入に強く反対した。

 排出量取引制度を巡っては、「排出枠を売買するだけでは温室効果ガスの削減につながらず、環境技術の開発にも影響を及ぼす」との理由から、経済産業省も反対している。

 環境省は、排出量取引市場で活発な売買が行われている欧州などのケースを踏まえて、導入論を強めており、「経産省・産業界」連合とのせめぎ合いが激しくなりそうだ。

(2007年12月10日23時29分 読売新聞)

◆Date:2007/12/10
◇Source: 中国新聞
◇Title: 温暖化対策に市場機能を 財務相会合の議長総括案判明 '07/12/11
◇URL:http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200712110138.html

 【ジンバラン(インドネシア・バリ島)10日共同=加藤裕】十一日にインドネシアのバリ島で開かれる気候変動枠組み条約第十三回締約国会議(COP13)財務相会合の議長総括文書原案が十日、判明した。地球温暖化対策のために現在の資金規模は不十分だと指摘。先進国が発展途上国での温室効果ガス削減事業に出資する京都議定書の「クリーン開発メカニズム(CDM)」など、市場メカニズムの拡充を通じ国際機関や民間の資金を呼び込む必要性を強調した。

 総括案は各国に対し、温暖化対策を経済政策や開発計画の中心に置くよう提言した。

 温暖化に焦点を合わせた財務相会合の開催は初めて。中国など主要排出国や、財政難に苦しむ後発発展途上国に資金が流れる仕組みを拡大し、温暖化対策を加速するのが狙いで、今後、国際的な議論が加速しそうだ。

 総括案は「気候変動は単なる環境問題ではなく、経済や開発、投資に関する問題でもある」と明言。

 その上で、先進国が出資して途上国で排出削減事業を行い、削減分を先進国に繰り入れるCDMの効率化や、森林保全による排出削減に資金が供与されるような仕組みづくりなどの具体案に言及し、途上国への流入資金を拡大させるべきだとした。

 CDMを活用すると、例えば先進国の企業が途上国の生産設備にエネルギー効率が優れた発電機を設置する事業に出資し、温室効果ガスを排出できる権利が得られる。手続きの簡素化などを通じ、民間資金を積極的に呼び込むことで、温室効果ガスの削減が一層、進むことが期待できる。

 総括案はまた、温暖化対策を早期に進めれば、対策を取らなかった場合に比べ損害が小さくできると指摘。締約国会議を補う財務相会合を定期的に開き、温室効果ガス削減の資金政策に関する国際的な研究に取り組むことなどを求めた。

 財務相会合には三十七カ国が参加し、十日に事務レベルの準備会合を開催。十一日は遠藤乙彦財務副大臣が出席する。

◆Date:2007/12/10
◇Source: 富山新聞
◇Title: 歴代レンジャーが支援会 白山の環境保護活動の力に
◇URL:http://www.hokkoku.co.jp/_today/H20071211101.htm

自然保護官事務所前で交流する歴代レンジャーたち=白山市白峰
 白山国立公園の自然保護活動に取り組んできた環境省の現役職員やOBらが十日までに、「白山レンジャーの会」を結成した。環白山保護利用管理協会や地元団体の活動を支援する方針で、地域の絆(きずな)に支えられ、レンジャーとしての礎(いしずえ)を築いた地に恩返しをする。同会によると、全国に二十九カ所ある国立公園でも、歴代レンジャーが会を組織するのは初めてという。
 白山周辺の石川、富山、福井、岐阜県にまたがる四万七千七百ヘクタールは、一九六二(昭和三十七)年から国立公園に指定されており、白山市白峰の事務所に駐在する自然保護官が公園の保護活動などを行っている。

 同公園と白峰の集落部が近かったこともあり、多くの保護官が地元の住民と交流したり、手助けを受けてきた。現在は退職したり、全国の他の職場に異動している約三十人が「第二のふるさとのために力になりたい」と会を結成した。

 白山レンジャーの会は、白山周辺の四県六市一村の産学官が連携して一月に設立した「環白山保護利用管理協会」とともに、自然や景観を生かした地域振興を目指す。地元団体とシンポジウムの開催なども企画する。青山銀三事務局長は「外からの目線で白山の保全を考えていきたい」と話している。

 八日には、同市白峰で総会が開かれ、会長に中島和さんを選んだ。自然公園指導員などとして同公園の保護に尽力した山田英樹さんの藍綬褒章受章祝賀会も併せて開かれ、地域住民らと旧交を温めた。

◆Date:2007/12/10
◇Source: 日経BP社
◇Title: コクヨ、自社カタログで「地球に優しくない」商品を明示2007年12月11日
◇URL:http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/news/20071210/1005200/

 コクヨ、コクヨS&T、コクヨファニチャーは、文具/オフィス家具カタログに掲載する自社ブランド商品のうち、環境に対する配慮が不十分なものにマーク「エコ×(バツ)マーク」を付けて注意を喚起する取り組みを始める。2008年からの3年間で商品の環境配慮を推進し、2011年以降のカタログ掲載自社ブランド商品の環境配慮100%達成を目指す。

 12月13日発行の2008年版「コクヨ総合カタログ(ステーショナリー編)」および「コクヨ総合カタログ(ファニチャー編)」より、エコ×マーク添付を開始する。ステーショナリー編は「エコマーク、グリーン購入法適合マークなどの一般的な環境マーク基準と、同社独自の環境マーク基準のいずれも満足しない商品」、ファニチャー編は「商品サイクルの3段階『つくる時』『つかう時』『すてる時』のどれか1つでも環境配慮が不十分な商品」にマークを付ける。

 具体的には、例えば「つくる時」は森林保全性、「つかう時」は洗濯可能や省エネルギー性、「すてる時」はリサイクル性といった項目で判断する。

 2010年中に環境配慮100%を達成するため、自社環境配慮基準の見直しや、原材料の環境配慮度の再評価、新素材の使用、包装素材や形態の見直し、配送時における環境負荷の検証と削減などの活動を推進していく。

■関連情報
コクヨのWebサイト
コクヨS&TのWebサイト
コクヨファニチャーのWebサイト

◆Date:2007/12/10
◇Source: IBTimes
◇Title: [コラム]一膳の割り箸から考える国内山林問題
◇URL:http://s04.megalodon.jp/2007-1212-1132-34/jp.ibtimes.com/article/biznews/071211/14974.html

出典:日本総合研究所ホームページ(http://www.jri.co.jp/)「研究員のココロ (株)日本総合研究所 研究員 大島裕司 2007年12月10日付」より

1.「荒れている」という言葉があたえる誤解

 「日本の山は荒れている」と言われて久しい。しかし、この「荒れている」という言葉が曲者であり、「荒れている」=「森がなくなっている」と想像してしまう人も少なくないはずである。たしかに、世界全体の森林資源量は発展途上国の人口増加、エネルギー需要増加などにより毎年7百万ha以上の面積が減少しているといわれる(世界森林資源調査)。しかし日本では、戦後の林業振興政策の結果、植栽してから40年前後経た8齢級や9齢級(齢級とは:森林の年齢を5年の幅でくくったもの)をピークとする人工林面積分布になっている(図1)。このため、利用伐採可能な10齢級超の人工林の面積比率が、現在の30%から10年後には60%へと倍増することになる。

2.なぜ「荒れた山」が増えるのか?

 では、この「荒れている」とはどういうことであり、何がその原因なのか。それは、日本の国土の約7割を占める山林のうち、4割が人工林にある点があげられる。この人工林は、すなわち人が人工的に作った森である。それゆえに人が除伐、間伐、下草刈りなどの手入れをしなければ、日本のような温暖で雨量の多い気候では、森内の樹木やその他の植物も好き放題に成育、種間競争などが起こり、結果として育成すべき木が枯死するなど、荒れ放題の状態になってしまう。そのため、林内を手入れしながら定期的に木を伐って、利用し、再び植えるというサイクルが必要なのである。しかし、(近年は自給率が若干上がっているものの)国内木材需要のうち、約8割が外国産材に頼っている状態では、思うように国内の山林に手が入らないのが現実である。

 一方、人工林ではない雑木林などにおいても、電気・ガス・灯油などが普及している現代では、家庭での薪・炭などの燃料としての利用はほとんどなくなってしまった。この事実だけを捉えると「(人の手入れが必要な人工林は木を伐ることが必要と理解できても)天然林は使わないことこそが山林保全では?」と考えてしまいたくなる。しかし、近年では、人が薪などの利用のために適度な伐採を行ってきたことが、木を枯れさせる病害虫の蔓延などを防いでいたとも考えられている。

 要するに、日本の山林保全には、適度に木を伐り、利用するといった行為が、多かれ少なかれ必要であるということを誰もが認識すべきである。

3.「言うは易し」の国産材利用

 しかし、「国産材の利用を進めよ」というのは、まさに「言うは易し」である。
まず、木材の大口需要先である国内のハウスメーカーなどは、建材を同一規格で大量発注する形態をとるため、一度出来上がってしまっている外国産材中心の流通形態を壊してまで(ある意味のリスクを背負ってまで)、国産材にシフトしていくことは容易ではない。

 では、と注目されるのが、バイオマスエネルギーとして、間伐材を利用することである。バイオマスエネルギーとは、木にみられるように、植えればまた使える再生可能エネルギーであり、また、木を燃焼しても再び木の成長過程で固定されるため、理論上、排出は0となり(カーボンニュートラル)、今後の地球温暖化対策の切り札と注目されるエネルギーである。日本においても、平成14年12月に「バイオマスニッポン総合戦略」を閣議決定し、国をあげて研究開発、利用に取り組む方針を掲げている。

 しかしながら、間伐材のペレット化、エタノール化、さらには水素の取り出しなどは、既存エネルギー、あるいは海外との価格優位性や技術面等において多くの課題を残している。また、アメリカなどとの熾烈な特許競争なども顕在化している。

 実際に筆者も自治体のエネルギー関連計画策定やその他の調査依頼のなかで、バイオマスエネルギーとしての間伐材の利用を何度か検討したこともあるが、どれもコストの面から簡単ではないという結論となった。一部の地域では、間伐材を利用したペレット製造や発電などの事業が取り組まれてはいるが、その多くは、国からの多額の補助金や関係者の熱意で辛うじて事業が継続されているという事例も少なくない。

 このように、建築材の国産材へのシフト、あるいは間伐材のバイオマスエネルギーとしての利用が難しいとなると、「CO2吸収源」として期待される山林も、近い将来、人を近づけないような暗黒の空間となり、枯れた木々や倒木ばかりが目立つ「一大CO2排出源」となってしまうのではという危機感すら覚える(京都議定書では削減割当6%のうちの3.8%を山林で吸収するとしている)。

4.山林問題解決のきっかけは「割り箸」!?

 筆者は予てから、「荒れた山」の再生につながる新エネルギーの導入など、その仕組み、あるいは産業の育成はできないかと思いを巡らせてきた。しかし、期待するような「救世主」を見つけることはできなかった。そんなあるとき、とあるニュース番組が特集した「割り箸問題」に一筋の光明を見出したのであった。

 筆者は「救世主」が見つからない今、日本の山林問題を考える際に重要な視点は、まずは国民あるいは企業が、前述の「木は使ってこそ」「木は無限のエネルギー」ということを認識するところから始める必要があるのでは、と感じていた。そう考えた際、割り箸は、年間250億膳、国民一人当たりに換算すると年間200本近くを利用しているという、もっとも身近な木材製品であり、認識のきっかけとして、これほど向いているものはない。

 しかし、「割り箸は森林破壊や廃棄物を増加させるものでは」と考える人も少なくないであろう。ここでは改めて割り箸の是非論を行うつもりはないが、後述の背板や間伐材等から作られるものであれば、少なくとも森林破壊にはつながらないことは、おわかりであろう。仮に、是非論にわずかに触れるとした場合、割り箸は日本人にあまりに身近な存在であるため、世界的な森林資源の減少、あるいは「使い捨て文化」などと結び付けられ、環境問題の「究極の悪玉」に仕立てられた感がある。しかし、割り箸が本来は背板と呼ばれる木材加工の際の不要な部分から作られていた点、あるいは間伐材から作られたのであれば、決して環境問題の元凶などではないことがわかる。

 筆者は、割り箸が「究極の悪玉」になれるのであるから、正しい情報さえあれば「究極の善玉」にもなりえ、「救世主」とはいかないまでも、日本が抱える「木が使われない」という山林の現状を誰もが理解し、真剣にその対策を考える「きっかけ」にはなれるのではと考えるのである。

5.割り箸の国産化への可能性と課題

 では、国内で割り箸を大量生産することは可能なのか?実は、現状の数字だけをみると、そのような環境にはない。なぜなら、割り箸は日本固有の文化として誕生したにも係らず、近年の外食産業の進展から国内では需要を賄い切れず、海外に技術移転した結果、現在では消費量全体の98%を海外に依存するまでとなっている。なかでも、中国が99%を占め、割り箸=中国産という図式となっている(図2)。

 しかし、割り箸の国産化への追い風が供給側の中国から吹き始めているのである。それは、一に中国国内の森林保護政策により、木材製品に大幅な輸出関税がかけられ、その結果、年々割り箸の価格があがっている。また、この森林保護政策に絡んでは、日本向け割り箸の輸出をストップすべきという論調もにわかに高まっている。さらに近年、中国製品の安全性が世界的な問題となっているが、割り箸に関しても、製造工程での大量の薬品(防カビ剤としての二酸化硫黄等)使用が問題となっている。すなわち、国産割り箸復活のチャンスというよりも、国産化せざるを得ない状況になりつつあると言ったほうが的確かもしれない。

 実は、既に国内で背板や間伐材から割り箸を製造し、立派な活動を行っているNPO団体がある。それは、JYUON(樹恩)NETWORK(事務所:東京都杉並区)という団体で、全国3ヶ所の工場で割り箸を作り、60以上の大学生協などに納入している。特にこのNPOの活動で注目すべきは、地域の森林組合と連携し、割り箸の原材料(背板)を確保するとともに、地域の身障者の雇用にもつなげ活動している点にある。すなわち地域内の一つの産業化、特に山林を意識した環境産業としての割り箸の可能性を示すものとして注目に値する。

 ただし、割り箸の国産化は一筋縄ではいかない。まず外食産業界、コンビニ業界などの多量割り箸使用業界が、(年々差が縮まりつつあるとはいえ)いまだ割高の国産割り箸の利用に踏み切れるか。また、それらの業界が中国以外の第三国での製造に切り替える可能性もある。そして、仮に多くの企業が国産に切り替える意欲を見せた場合に、その需要に既存割り箸業界が機械化を進めるなどし対応できるか、あるいは新規の参入事業者が現れるのか、といった課題も残る。さらには、こういった動きを国などの公的機関が積極的に支援するような動きがとれるのか、といった点もある。

6.割り箸が映し出す日本が抱える諸問題

 ここまで述べたように、割り箸の国産化を考えることは、木の直接的な利用につながるため、山林問題解決の一ツールとなることは理解していただけると思う。そして、割り箸という誰もが身近に感じるものゆえに、山林問題を考える入口となれる可能性があることもすでに述べた。

 そして、さらには割り箸の利用を促進することが、「保全=触らない」あるいは「リサイクルこそ環境保全」と考えがちな社会へ一石を投じる機会、あるいは、「口にいれるもの」である割り箸が、多くの食品で問題となっている安全性への懸念、産地不明といった課題を考えるきっかけを与えてくれる。さらに言えば、割り箸を使う企業としては、CSR(企業の社会的責任)とも密接に関わってくる話ともなってくる。

 たった一膳の割り箸が、日本が抱える様々な問題を映し出す鏡になることを考えると、「たかが割り箸、されど割り箸」といったところである。

おわりに

 身近なものでありながら体系的な情報・データが少ない割り箸というテーマを追いかけるなかで、多くの方々にご協力いただいている。特に、森林ジャーナリストの田中淳夫氏には、11月26日(月)に弊社が主催した割り箸問題をテーマとしたシンポジウムの講師、パネリストとしてご参加いただいたほか、様々な場面で知見をいただいている。この場を借りて、御礼申し上げる次第である。

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大島 裕司
(株)日本総合研究所 研究員 産業政策・技術戦略クラスター 環境価値創成クラスター
専門分野:環境全般(エネルギー・地球温暖化、廃棄物等の調査・計画)
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◆Date:2007/12/11
◇Source: JANJAN
◇Title: 森と自然を守る全国集会・愛知で開催 2007/12/12
◇URL:http://www.news.janjan.jp/culture/0712/0712117051/1.php

 12月8、9、10の3日間にわたって、瀬戸市定光寺・サンパレア瀬戸(愛知県労働者研修センター)で第20回日本の森と自然を守る全国集会が開催された。「日本の森と自然を守る全国連絡会」(代表世話人:笠原義人・宇都宮大学名誉教授)が主催し、東京大学愛知演習林(芝野博文演習林長)が「愛知瀬戸集会」として共催・実施した。

 8日は125名が参加して基調講演とパネルディスカッション、9日は111名参加で4つの分科会と総括集会が行われた。沖縄、仙台、四国など全国からの出席者が連日、熱心に報告に聞き入り、真剣な質疑が交わされた。最終日10日は東大赤津演習林、海上の森などを巡る現地見学会に47名が参加した。なお9日の総括集会で「愛知瀬戸集会・宣言文」が出席者全員による真剣な討議を経て採択され、発表された。

 日本で一番経済が元気な愛知で、環境問題にも官・民・学が手を結び最先端で取り組もうと「人工林、里山林、都市の緑―森と緑づくりのための行政、市民、研究者の協働」と題し、林野庁中部森林管理局、愛知県、瀬戸市、中日新聞社など後援を得ての開催だった。

 集会1日目は「豊田市水道水源保全基金」「福岡市水道水源かん養事業基金」「環境税と山・都市の人の繋がり」などについて、現場体験に基づく報告がされた。

 2日目午前9時から同時開催の4分科会のうち、筆者は小額ながら庶民でも環境保護に寄与できるかもと関心を持った、第2分科会「森林環境税を考える」コーディネータ:蔵治光一郎(東大愛知演習林・講師)に参加した。その一部を以下に報告する。

 まず瀬戸集会・事務局長・蔵治氏による「分科会の趣旨」を要約すると:
「森林環境のため県民に負担を求める税制を定め、得た税金を森林に投入する方式が全国で実施されている。愛知県でも導入を目指している。この財源を森と緑の再生に有効に使うには、どのような課題と解決策があるのか、具体的に議論する場を提供したい」

 これを受けて「環境政策における費用分担と参加」と題し、藤田 香氏(桃山学院大学経済学部)が講演した。興味を引いた点をいくつか列挙する。

 ――まず日本で最初に導入したのが高知県である。引退した元知事の強い政治力による主導でできた条例といえよう。個人負担は均等1人500円。ワンコインの負担が県民に受け入れられたようだ。税収規模は平成18年度分が1億8千万円程度。森林環境保全基金として入金、県民からの意見を基金運営委員会で検討し、各種事業を実施している。

 成果はダム上流など森林約2,500haを整備したこと。「こうち山の日」を制定し、森林ボランティア団体が急増したこと。森林環境税の仕組みが高知から他県に波及したなど。課題は、整備対象が限定されるためボリュームが少なく、効果の実感が県民に伝わらない。過疎や高齢化が進む山村地域からの拡大を求める声に対応しきれないこと……など。

次いで最近07年4月から導入した神奈川県の事例では:
 個人にだけ負担で5年間の時限立法。納税者1人あたり年間平均950円。税収規模は年額約38億円。高知に比べれば高額である。また必要額を計算してから県民に負担を求め、この金額になった。静岡、山梨など近隣県の水源環境保全及び再生の事業にも、この財源を投入するところが特徴である。

 課題は、国・自治体の多額な補助金の投入にもかかわらず、林業の荒廃が極限に近いまでの現状をしっかり検証する必要があろう。次いで環境税の入口と出口が住民に明示され、その根拠が理解され、しかも住民が参加できるシステムが必須であろう。更に費用対効果、使い道の妥当性をしっかり検証する必要があろう……など、だった。

 質疑に移り、会場から「必要額が38億と聞こえる説明だったが、実情は違うのではないか」との指摘があった。これに対し「議員など関係先からさまざまな働きがあり、当初108億の必要額が議会に認定されたときには38億、約3分の1になった」と藤田氏からの説明があった。

 ここで蔵治氏から平成19年11月1日現在の資料2枚が配布され、森林整備の地方課税導入が23県、議決済み2県、検討中19道府県、計44道府県が実施または準備中とわかった。次いで地元・愛知県の動きが名古屋大学大学院生命農学研究科・服部重昭教授から座長として携わった愛知県森林税制検討会議での取り組みが報告された。

 服部氏:愛知県の場合、森と緑のゾーニングで「都市の緑、里山、森林」の3つに分けて議論したのが第1の特徴だ。現状として手入れ不足・放棄森林の増加、都市化による土地利用の改変、都市内の緑の減少などがある。対応として、共有財産としての森林や緑への県民の意識向上をはかり、緑づくりへの参加を促し、都市と農山村の連携・協働の強化が必須である。

 納税者1人当たり一律500円の負担で約20億円、1000円負担で約40億円の税収が見込まれる。この負担額は今後議会などでの検討を経て決められる。森林環境税については様々な異論もあったが推進の方向で答申をした。(以下、藤田氏の講演と重複する部分など割愛)ということだった。
 
 いずれにせよ、地球規模で今や待ったなしの状態にある環境問題。愛知県民一人一人が自覚し理解できるような広報を充分したうえで、「郷土の環境をこれ以上悪化させず維持さらには改善をはかるには、最低ワンコインの負担は覚悟すべきだろうな」というのが記者の感想であった。読者諸氏の意見はいかがなものであろうか。
(上野数馬)


*作成:森下直紀(保全・公共政策論・環境政策史)
UP:20071214; REV:
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