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ALSを知ること/知らせること



◆立岩 真也 20041115 『ALS――不動の身体と息する機械』 医学書院,449p. ISBN:4260333771 2940 [amazon][kinokuniya] ※

□□第3章 わかること

 □1 わかることについてわからないこと
 □2 医師がわかる/わからないこと
 □3 医師から伝えられる/伝えられないこと
 □4 書類・カルテから知る
 □5 医療の方からでなく知る
 □6 ほかに
 □7 家族が知らされる
 □8 わかってしまうこと

 *以下は上記の本のために作ったメモの一部にすぎないものです。すみません。

◆国立療養所神経筋難病研究グループ 1997*
 「神経難病のインフォームド・コンセント――筋萎縮性側索硬化症を中心に」
 http://www.saigata-nh.go.jp/nanbyo/inf/inform.htm
 *ホームページ掲載が1997年2月27日

◆1997/08/10 田代邦雄(北海道大学医学部神経内科教授)「筋萎縮性側索硬化症(ALS)の現状」,北海道ALS友の会設立総会記念講演 於:北海道難病センター(札幌市)
 http://www2.snowman.ne.jp/~masasi/lecture.htm
 「この病気について、実際にどこまで頑張れるのか、という問題で、これは正直な話、二つの全く違った議論が進行中であります。それについては、それを研究されている先生方、あるいはお話されている先生方は、その方面については絶えず議論されているということで、ここにお名前も出ておりますが、東京都立神経病院におられまして、現在都立駒込病院に移られた林先生という方が いらっしゃいます。林先生は、ALSの患者さんの経過は、決して気管切開あるいは人工呼吸器で終わりではないと云うことを主張されている方であります。これは一つの病気のプロセスの、一つのプロセスの真ん中あるいは一部に過ぎないのだ、と云うふうに主張されておられて、そして入院・在宅ということで、人工呼吸器での生活に積極的に取り組んでおられる先生であります。一方、ALSのことについて、東京医科歯科大学の古川先生が云われてる事ですけど、ALSの患者さんに呼吸器を着けるべきかどうかということをどう考えるか、ということです。これはどういうことかと云いますと、もしも呼吸困難でALSで気管切開・呼吸器を着けられて、実際の患者さんのコミュニケーションは、眼の動きとかでしか表現できない状態になった場合に、そう云う状態で果たしてご本人が幸せなんだろうか、そうなられた患者さんのことを考えた場合、気管切開・人工呼吸器装置をするのが果たして良いことなのだろうか、と云う全く別な立場の考えであります。ですからこの二つはいつも学会で議論になりまして、 お互いに論争になります。ですから、このことについては、やはり勿論一人一人違うわけですけど、こういう二つの考え方がある。」

◆1999
 「先ず、「告知」に関しては私の経験と見聞から推測して、医療関係者の大部分は得意とは言えないように思います。これは偏差値と詰め込み教育に因る受験戦争の悲劇かと思います。「人間味」のある教育は全然受けた形跡は無かったように見受けました。最近一部の医科大や医学部の入試に、面接試験が取り入れられた事は大変好ましい事であり、今後の若い医学徒に期待します。」(本田[1999])

◆1999
 国立療養所等神経内科協議会(国立精神・神経センター含む)
 国立療養所における筋萎縮性側策硬化症(ALS)診療のガイドライン↓

◆2000

「国立療養所等神経内科協議会(国立精神・神経センター含む)では、国立療養所における筋萎縮性側策硬化症(ALS)診療のガイドラインを一九九九年度に作成した。このガイドラインでは患者自身に病名告知と病気の説明をする必要があるとしたほか、人工呼吸療法、緩和医療、在宅療養支援、他施設との連携、福祉、患者会等について解説した内容となっている。」(岩下他[2000])

 岩下 宏(国立療養所筑後病院)・今井 尚志・難波 玲子・早原 敏之・川井 充・春原 経彦・福原 信義・斎田 孝彦 200012 「国立療養所における筋萎縮性(ALS)診療のガイドライン」『医療』54-12:584-586

◆発行年不明 「ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者さんと御家族の生活の向上のために」  http://www.med.kyushu-u.ac.jp/nanbyou/QOL.html
文責  吉良潤一 (九大病院 神経内科)
    山田 猛 (九大病院 神経内科)
    岩木三保 (福岡県難病医療専門員)
    三好正堂 (浅木病院院長)
    早川恵子 (JALSA福岡支部事務局長)

 福岡県重症神経難病ネットワーク(福岡県重症神経難病患者入院施設確保等事業)  http://www.med.kyushu-u.ac.jp/nanbyou/nanbyou.html
 *このページからは上記のファイルはリンクされていないようです。

 「3. 病名告知は
 従来、ALSのような難病は患者さんに知らせるべきでない、と長く考えられていました。しかし国民の意識が変わって自分の病気は自分で知りたいという人が増え、また治療法の進歩もあり、患者さんに病気を知らせる場合が多くなったようです。
 しかしただALSの説明をすればよいものではありません。何を話すかは東京都練馬区の患者・橋本みさおさんの「ショックを跳ね返すパワーのあるうちに正確で親切な告知をお願いしたい。」に尽きるでしょう。“正確”、“親切”は告知のキーワードと言えるでしょう。福岡県のALS患者・山口氏は「病気を知らされて思い悩むこともありますが、出来るだけ楽しい想いをして毎日を前向きに暮らしていく方がずっと良いと考えることにしています」と述べています。
 また同じく福岡県のALS患者・三牧氏は「医師といえども余命の確定は出来ないこと、通常2〜5年と言われる余命も個人差があり、病気に対する気の持ち方で余命が大きく左右されること、リハビリが延命に極めて有効であること、人工呼吸器が普及したこと、・・将来的に病気の原因解明は必ず行われるであろうこと、などを含めて告知すべきと思います。・・・ 多少の障害はあろうとも、それが逆に生きる活力に変わり、生き甲斐を感じうることは、理解しがたいことであろうと思いますが、事実に相違ないことです(JALSA福岡支部便り3号)」と書かれていますが、非常に重要なことだと思われます。暗い事柄だけを話すのが、決して正確な告知でないことも銘記すべきでしょう。
 “正確”で“親切”とは、死の間際まで生き抜かなければならない患者さん方に正確な情報の提供をし患者さん方に自由な選択の保証をすることでしょう。ALSでは、最終的に四肢麻痺になってすべての生活動作に介助を要するようになる可能性があること、家族の肉体的・経済的負担がかなり大きいと予想されることなど、情報提供する上で困難も予想されます。
 しかし、一方以下のことも是非お伝えしたいことです。現在では、各種社会資源を活用すれば在宅療養は以前よりしやすくなっています。呼吸障害があっても人工呼吸器で10年以上延命できること、米国の例で89名中87名が人工呼吸器を使ってよかったと患者が答えた報告があること、発語不能でもコンピューターを利用したコミュニケーションができ、嚥下障害には胃瘻設置または鼻腔チューブ栄養という方法があります。わが国でも人工呼吸器で生き生き生活している患者さん方は決して少なくないのです。
 人工呼吸器の使用については、十分時間を掛けながら患者さん、ご家族と話し合い、迷う場合は非侵襲的人工呼吸(気管切開をしない)を行い呼吸苦を除去しながらゆっくり決断を待つべきと思います。気管切開、人工呼吸器装着、その他具体的治療や長期在宅ケアは、告知なしでは事実上困難です。患者さん・家族・医療提供者との間にコミュニケーションを十分とり、共通の認識と目標を育てていく努力が重要です。
 病気を説明する目的はただ一つ、今後の患者さんの人生の質(QOL: quality of life)を充実させるためなのです。」

cf.
武藤 香織・岩木 三保 200011 「神経難病の療養環境整備と医療情報ネットワーク」,『BIO Clinica』15(12):53-57 [14]
◇武藤 香織・岩木 三保・吉良 潤一 200004 「難病患者に対する入院施設確保事業の現状と問題点──福岡県重症神経難病ネットワークの取り組みより」,『医療と社会』10(1):145-157 [14]


UP:20030909 REV:0910, 20100918
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