『政治の教室』
橋爪 大三郎 20011029 PHP新書,235p.
■橋爪 大三郎 20011029 『政治の教室』(PHP新書),235p. ISBN-10: 4569618456 ISBN-13: 9784569618456 \660 [amazon]/[kinokuniya] ※
■内容
出版社/著者からの内容紹介
「自分で決めて選んだ」と実感できれば政治は必ず面白くなる――そう信じる著者が、社会学と政治学の垣根を超え、社会科学者として政治を俯瞰。民主主義の本質と日本型政治の問題を軽快に論じ、独自の改革案を提言する。
「原理編」では、ギリシャ・ユダヤ教・キリスト教・儒教などの政治と思想を通して民主主義とはどういうものかを説く。
「現実編」では、古代から続く全員一致・連帯責任のムラ原理、明治以来自分たちのものと実感できない憲法、国民に一つの選択肢しか与えなかった戦後政治、質の高い民主主義とはほど遠い現在の選挙制度……日本の政治とは何かを問う。
「改革編」では、有権者が政治にリアリズムを感じるための独自の改革案――「党員チケット制」、「次点歳費制」、政治リーダーを養成する学校の創設――を提言。そして有権者が質の高い意思決定をするために情報公開の必要性を訴える。
日本の政治をなんとかしたい、そんな市民のための待望の教科書。
内容(「BOOK」データベースより)
政治はダーティーだから、軽蔑する。軽蔑するから関わらない。関わらないから政治はよくならない。よくならないからますます軽蔑する――日本を覆っているそんな悪循環をどう断ち切るか? 民主主義の成立を歴史的・宗教的に解きおこす“原理編”。日本的政治の問題点をクリアに分析する“現実編”。政治がよくなる「金」「人」「情報」のあり方を提案する“改革編”。民主主義についての正しい知識と理解を身につけ、私たち一人一人が政治の主人公として行動するのをサポートする、待望の教科書。
著者略歴(「BOOK著者紹介情報」より)
- 橋爪 大三郎
- 1948年神奈川県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。現在、東京工業大学大学院社会理工学研究科価値システム専攻教授。専門は社会学
■目次
はじめに
プロローグ
社会科学と自然科学の違い
社会科学の存在意義
政治が面白くなるトータルな知識を
第1部 原理編
1 政治の本質
「決断」が「現実」をつくり出す
社会全体で「現実」を選び取っていく
決定の正統性が揺らぐと社会は混乱する
祭政一致の意思決定システム
権力には人々の承認が必要
多数決と全員一致
2 ギリシャの民主制
都市国家が政治を発展させた
政治制度の選択は究極の政治
ポリスとオイコス
言論による説得と投票による決着
民主制の欠点も自覚していたギリシャ
3 ユダヤ教の政治思想
絶対神ヤーウェは危険なエイリアン?
あらゆる政治形態を経験したユダヤ教社会
二王国論に基づくキリスト教の政治思想
統治契約と憲法
4 儒教の政治思想
民主制は儒教の天敵
政治の基本は「過去」にある
共産主義と儒教は相性がいい
5 近代民主主義の特徴
なぜ議会に立法権があるのか
法は恩恵か迷惑か
民主制と君主制は両立可能
民主主義の対立概念は何か
もっとも強力な正当性を持つ政治制度
いかに決定の質を高めるか
第2部 現実編
1 日本人の行動原理
なぜ日本人は日本人論が好きなのか
「古代化」の失敗と「荘園」の誕生
全員一致制と連帯責任のムラ政治
血縁より地縁重視のムラ社会
選択の余地がない固定社会がムラ原理をうむ
2 明治維新と大日本帝国憲法
維新の理論的裏付け
西欧の近代国家との違い
天皇機関説になれなかった明治憲法
運命共同体としての国家
3 戦後政治を振り返る
日本国憲法は日米安保条約とセット
国民が選択肢を奪われていた戦後政治
自民党内のムラ原理による「政権交代」
自由な憲法論議への動き
4 民主主義の蘇生に何が必要か
日米安保条約の質的変化
あらゆる事態を想定するリアリズムを
言論の自由をしっかり確保する
内側に閉じている日本の意思決定システム
民主主義に「死票」など存在しない
第3部 改革編
1 選挙制度と二大政党制
投票のパラドックス
比例代表制か小選挙区制か
総合的な国家運営プランを示すのが政党の役目
2 政治資金の制度改革
「お金のかからない選挙」などあり得ない
コストを支払えば関心が高まる
正しく資金を集めるための党員チケット制
二大政党制を促進する次点歳費制
3 政治家を育成する
有能な人材が政治家になれない現状
本格的な政治家養成システムを持った大学を
政治家という職務に名誉を
4 質の高い「情報」が質の高い選択を生む
有権者の意思決定に必要な情報は何か
言論の自由と情報公開
政治家の立証責任とインターネット
自分のことを自分で決めれば必ず政治は面白くなる
草の根民主主義のつくり方 10ヶ条
第1条 政党として、活動しよう
第2条 どんな意見も、自由に述べよう
第3条 何人か集まりグループをつくろう
第4条 地域ごとに、政党支部をつくろう
第5条 政党支部の役員を、選挙しよう
第6条 予備選の準備をしよう
第7条 会計報告をガラス張りにしよう
第8条 予備選で候補者を決めよう
第9条 選挙をボランティアでやり抜こう
第10条 政党の本部の、言うなりになるのはやめよう
あとがき
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:樋口 也寸志