『孤立を恐れるな!もう一つの「一七歳」論』
石川 憲彦 他 20010525 批評社,新装増補改訂版,253p.
last update: 20190107
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石川 憲彦 他 20010525 『孤立を恐れるな!もう一つの「一七歳」論』,批評社,新装増補改訂版,253p.ISBN-10: 4826503326 ISBN-13: 978-4826503327 1800+
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■内容
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「17歳」たちが惹起する事件について、多くの論評は「現実」から遠ざかっている。排除されるべきは〈社会事象の精神医学化〉であろう。
自称精神科医たちが言及する社会は、現実の社会分析としては、およそ的外れとしか言いようがない。
何をなすべきか、なさざるべきか。メンタルヘルスの拡大と治療の限定も、また求められる急務である。
孤立の彼方にしか新しい共同体はないという視点から、6人の専門家が若い読者のために語った、肩の力の抜けた前向きなメッセージ。
第一部では高岡健によるキーノート、及び児童精神医学の分野で自前の思考と実践を展開する石川憲彦、山登敬之と高岡健によるジョイント・セッションを掲載。
第二部では藤井誠二、牧野剛、三上治が「一七歳」と犯罪、暴力、学校、予備校、国家、戦争などについて、ダイアローグを構成する。
プロフィール
高岡 健
岐阜大医学部助教授。雑誌『精神医療』編集委員。著書に『不登校を解く』(共著、ミネルヴァ書房)他。本書では精神科医の立場をベースに、幅広い論を展開している。
石川 憲彦
静岡大保健管理センター所長。著書に『子育ての精神医学』(ジャパンマシニスト社)他。
山登 敬之
児童精神科医。劇団東京乾電池に所属し、演劇の創作と批評活動に携わる。著書に『拒食症と過食症』(講談社現代新書)。
藤井 誠二
ノンフィクションライター。少年問題に関する優れたレポートを多く上梓する。著書『17歳の殺人者』(ワニブックス)他。
牧野 剛
河合塾講師。1984年の〈共通一次的中事件〉の当事者。愛知県知事選挙にも立候補。著書に『されど予備校』(風媒社)他。
三上 治
評論家。60年安保、全共闘運動を経て、常に新しい思想的地平を切り開く。著書に『1960年代論』(批評社)他。
出版社からのコメント
本書が知的で語彙の豊かな「一七歳」にとどまらず、孤立を恐れる、あるいは孤立を認められない「一七歳」と、その親である団塊=全共闘世代、ポスト団塊=ポスト全共闘世代の人々に届くことを願います。
「BOOK」データベースより
ニートやひきこもりの若者が、あたかも無気力で反社会的存在であるかのように喧伝され、教育や医療からは蔑みと憐れみの対象としてラベリングされ、問題視されている。家族や地域、学校や職場における関係の崩壊が子どもたちの時空間の閉塞化と相俟って、生き場のない孤立の世界を形造っている。自立を求めて、孤独を恐れない新たな関係の構築を!大人たちの軌跡をとおして語りかける。
「MARC」データベースより
精神医学と医療を、徹底して孤立を擁護するものに改編する。編者の考えをキーノートとして示し、児童青年精神医学の分野の論客と、また精神医療を超えた分野についてノンフィクションライターや予備校講師らと対談する。
■目次
第1部 精神医療の中で(キーノート「一七歳」論
座談会 新しい「一七歳」論への視座(石川憲彦
山登敬之
高岡健))
第2部 精神医療を超えて(孤立を恐れるな!―少年犯罪と暴力
未来はどこにあるか―学校vs予備校
「一七歳」は戦争と無縁か―国家と共同性)
第3部 医療と社会のはざまで(精神保健医療の立場から見た最近の少年事件
ひきこもり―その脱精神医学化のために)
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:岩﨑 弘泰