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石川 憲彦

いしかわ・のりひこ
1946〜

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last update: 20210216

このHP経由で購入すると寄付されます

・1946年 神戸市生
 http://futoko50.sblo.jp/article/177966983.html
・灘中学校入学
・灘高校入学
・1965年 東京大学入学
・1973年 東京大学医学部卒業
・東京大学医学部附属病院小児科、同精神神経科
・1987 医学部助手就任 児童精神科設立
 https://books.google.co.jp/books?id=4kJxDgAAQBAJ&pg=PA64&lpg=PA64&dq=%E7%9F%B3%E5%B7%9D%E6%86%B2%E5%BD%A6&source=bl&ots=0f5H4va-Rk&sig=ACfU3U2sUFj0wN2yeVU2VlhRMCfDMPcz1g&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwicztCwt777AhWJlFYBHageAL0Q6AF6BQjMAhAD#v=onepage&q=%E7%9F%B3%E5%B7%9D%E6%86%B2%E5%BD%A6&f=false
・1988 『治療という幻想』
・1994 マルタへ ([77])
・1996 マルタから帰国→静岡大学保健管理センター([79])
・静岡大学教授(保健管理センター所長)
・2004年、東京都目黒区に「林試の森クリニック」を開業

・林試の森クリニック
 http://sih.jp/news/tio/newsletter/vol_68.htm *リンク切れ
 http://www2.wam.go.jp/iryoappl/detail_display.do?scenario=f1&code=W0179040 *リンク切れ
*林試の森クリニック院長は2018年3月に退任。

・『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』(『ち・お』/Chio):編集協力人

■プロフィール

https://enpedia.rxy.jp/wiki/石川憲彦
 精神科医。東京大学医学部卒。1987年まで東大病院を中心とした小児科臨床、とりわけ障害児医療に携わり、共生・共学の運動に関与。患児らが成人に達し、東大病院精神神経科に移る。1994年、マルタ大学で社会医学的調査を開始し、1996年から静岡大学保健管理センターで大学生の精神保健を担当。同所長を経て、現在は林試の森クリニック院長」(石川・高岡[2006])
・「1946年、兵庫県神戸市生まれ。73年、東京大学医学部卒業。小児科医・精神科医として主に東大病院で臨床を重ね、そのかたわら障害児や親たちと“医療と教育を考える会”を結成し、活動を続ける。94年よりマルタ大学で2年間研究生活をすごし、静岡大学保健管理センター所長を経て現在、林試の森クリニック院長。『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』編集委員」(『みまもることば』/2013)
・「1973年、東京大学医学部卒業。以後、東京大学医学部附属病院小児科、同精神神経科、マルタ大学児童精神科客員研究員、静岡大学教授(保健管理センター所長)などを歴任。『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』編集協力人。2004年、東京都目黒区に「林試の森クリニック」を開業。2017年院長を交代してフリーに。」(『アフターコロナ世代の子育て』https://japama.jp/aftercorona/)

・小児科医
・「1946年生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。1987年まで東大病院を中心とした小児科臨床、とりわけ障害児医療に携わり、共生・共学の運動に関与。患児らが成人に達し、東大病院精神神経科に移る。1994年、マルタ大学で社会医学的調査を開始し、1996年から静岡大学保健管理センターで大学生の精神保健を担当。同所長を経て、現在は林試の森クリニック院長」(石川・高岡[2006])
・「1946年、兵庫県神戸市生まれ。73年、東京大学医学部卒業。小児科医・精神科医として主に東大病院で臨床を重ね、そのかたわら障害児や親たちと“医療と教育を考える会”を結成し、活動を続ける。94年よりマルタ大学で2年間研究生活をすごし、静岡大学保健管理センター所長を経て現在、林試の森クリニック院長。『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』編集委員」(『みまもることば』/2013)
・「1973年、東京大学医学部卒業。以後、東京大学医学部附属病院小児科、同精神神経科、マルタ大学児童精神科客員研究員、静岡大学教授(保健管理センター所長)などを歴任。『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』編集協力人。2004年、東京都目黒区に「林試の森クリニック」を開業。2017年院長を交代してフリーに。」(『アフターコロナ世代の子育て』https://japama.jp/aftercorona/

■新着

●ジャパンマシニスト社(YouTubeチャンネル)
https://www.youtube.com/channel/UCRyFiK2m9OpoyyHkAOy8mYA

◆石川憲彦オンライン精神科相談
https://www.youtube.com/playlist?list=PL8uwDHb6EBaF5Pp7GYoVtU6MghbD29QYF
――“43年児童精神科レジェンドDr.石川憲彦のオンライン精神科相談室
これまではこんなことがあったのでしょうか?
こどもの成長、親子の関係、家族、うつ、思春期、不登校、発達障害、服薬……
プロ中のプロがあなたの質問や疑問に直接答えます!
石川流「場の療法」とはなにか、「場」の中で何が生まれ、何か変わっていくのでしょうか。
患者さん本人、その家族のみならず、医療当事者、心理カウンセラー、支援者の方々にも、このオープンで、温かく、こころが解放されていく「場」をぜひ実感してください。”

◆待望の一冊『心療内科・精神科の薬、やめ方・使い方』(精神神経科医・石川憲彦著)2021年3月3日刊行。予約受付中
 2021/02/16_11:20 ジャパンマシニスト社
 https://note.com/japama/n/n7caa1ab49d5a

◆「精神神経科医・石川憲彦さん|コロナ感染流行についての、二言目。|本日、お昼にメールをいただきました。」(ジャパンマシニスト社/2020-03-13_17:34)
 https://www.facebook.com/japanmachinist/posts/1081295568901913/

◆「新型コロナウイルスについて。『ち・お』編集協力人、児童精神科医の石川憲彦さんより。」(ジャパンマシニスト社/2020-02-25_16:05)
 https://www.facebook.com/japanmachinist/posts/1068455326852604/

◆オンライン:石川憲彦さんの精神科相談室(こころ学シリーズII『「成長」とは「発達」とはなんだろう?』刊行記念)(ジャパマシニスト社)
【開催日時】
2020年1月23日(木)
2020年2月13日(木)
2020年2月27日(木)
https://japama.jp/online_ishikawa/

■著書・編著・執筆

『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』(『ち・お』/Chio)

◆青野典子・石川憲彦・内田良子・大谷尚子・岡崎勝・国崎信江・熊谷晋一郎・桜井智恵子・富山洋子・浜田寿美男・満田夏花・山田真 20190125 『[ちいさい・おおきい・よわい・つよい 122]災害大国 子連れの心がまえ』,ジャパンマシニスト社,192p. ISBN-10: 4880499226 ISBN-13: 978-4880499222 1,600+税 [amazon][kinokuniya][KARAIMO BOOKS]
 “地震、台風、水害、原発事故……。災害時、パニックにならずにこどものいのちを守るために、ほんとうに必要なことはなんだろう?”(https://japama.jp/chio122/

山田真(対談:石川憲彦) 20181025 『[ちいさい・おおきい・よわい・つよい 121]清潔育児をやめないか?』,ジャパンマシニスト社,192p. ISBN-10: 4880499218 ISBN-13: 978-4880499215 1,600+税 [amazon][kinokuniya][KARAIMO BOOKS]
 “何はなくとも病院へ・お薬を……そんな医学の過信から抜け出せば、からだの底力が見えてくる。大切なのは、自然治癒力を邪魔しないこと。”(https://japama.jp/chio121/

◆石川憲彦・北村小夜熊谷普一郎・山口ヒロミ・山田真 20180125 『[ちいさい・おおきい・よわい・つよい 118]こどもの「ちがい」に戸惑うとき』,ジャパンマシニスト社,192p. ISBN-10: 4880499188 ISBN-13: 978-4880499185 1,600+税 [amazon][kinokuniya]

その他

◆石川憲彦 20210303 『心療内科・精神科の薬、やめ方・使い方』,ジャパンマシニスト社,116p. ISBN-10: * ISBN-13: 978-4880493398 1200+ [amazon][kinokuniya]
“精神科医療に衝撃! 反論か、無視か!?|長期服用、低年齢に処方の禁断に切り込む患者待望の書!!”(https://japama.jp/kusuri_yamekata/

◆石川憲彦 20201005 『[こころ学シリーズ 3]「発達障害」とはなんだろう?――真の自尊ルネッサンスへ』,ジャパンマシニスト社,408p. ISBN-10: 4880494933 ISBN-13: 978-4880494937 3800+ [amazon][kinokuniya][Karaimo Books]
“新しい発達障害が次々と登場し、ほとんどの人が障害者になる。間もなくそんな日がやって来そうです。|なぜ、そうなるのか?|それはどんなふうに起こってくるのか?|本書ではAD/HDを第T章、LDを第U章、自閉スペクトラム症を第V章で取り扱います。各障害は、医学的見解をめぐって各々以下のテーマとの関連を中心に紹介します。|第T章は、障害を治療しようとする社会的圧力が生み出す精神医療の薬剤依存傾向。|第U章は、教育による知の細分化を生み出した知の分断と精神科診断の現状。|第V章は、障害が新たにつくられていく過程とその中で生み出される混乱。|第W章では、今日行われている治療を批判的に検討しながら、今「発達障害」と呼ばれている人たちにとっての問題解決の方向を探ります。|この作業を通じて、新たに障害者となる私たちの未来とそこに至る心構えも垣間みえてくるでしょう。”

◆山田真・石川憲彦(ジャパンマシニスト社編集部編) 20200612 『アフターコロナ世代の子育て――30分で読む!』,ジャパンマシニスト社,88p. ISBN-10: 488049335X ISBN-13: 978-4880493350 1000+ [amazon][kinokuniya][Karaimo Books]
“感染症への確かな基礎知識、社会変化に対してパニックにならないメンタルケア、科学技術への反省、暮らしや教育や豊かさへの価値観の見直し……
昭和から平成時代の子育てや教育、医療現場で、発言を続けてきた筆者らが緊急提言。
ウイルスや細菌との共生、競争や孤立からの連帯を学ぶことに、未来は開かれていく。”

◆石川憲彦 20190610 『[こころ学シリーズII]「成長」とは「発達」とはなんだろう?――自然治癒力と「場の療法」の可能性』,ジャパンマシニスト社,344p. ISBN-10: 4880494925 ISBN-13: 978-4880494920 3700+ [amazon][kinokuniya]

◆石川憲彦 20180605 『[こころ学シリーズI]「精神障害」とはなんだろう?――「てんかん」からそのルーツをたずねて』,ジャパンマシニスト社,280p. ISBN-10: 4880494917 ISBN-13: 978-4880494913 3000+ [amazon][kinokuniya]

◆石川 憲彦 2015/04/10 「書評:立岩真也『自閉症連続体の時代』」『精神医療』78:156-160

◆石川 憲彦 20131225 「[連載]子ども若者に関する精神医学の基礎(第1回)精神医学が見失いかけているもの」
 『不登校新聞』344号(2012-08-15)
 https://futoko.publishers.fm/article/243/
 *連載一覧:全33回
 https://futoko.publishers.fm/tag/32149/

◆石川憲彦 20131110 『みまもることば――思春期・反抗期になっても いつまでもいつまでも』,ジャパンマシニスト社,256p. ISBN-10: 4880491985 ISBN-13: 978-4880491981 1600+ [amazon][kinokuniya]

◆石川 憲彦・高岡 健 20120601 『発達障害という希望――診断名にとらわれない新しい生き方』,雲母書房,222p. ISBN-10: 4876723176 ISBN-13: 978-4876723171 1650 [amazon][kinokuniya]

◆石川 憲彦・高岡 健 20060625 『心の病いはこうしてつくられる――児童青年精神医学の深渕から』,批評社,メンタルヘルス・ライブラリー,172p. ISBN-10: 4826504454 ISBN-13: 978-4826504454 1890 [amazon][kinokuniya] ※ m

◆石川 憲彦 20060201- 「石川憲彦さんに聞く発達障害」,『Fonte』2006-2-1, 2-15, 3-1
 http://www.futoko.org/special/special-03/page0630-159.html

◆石川 憲彦 20050520 『こども、こころ学――寄添う人になれるはず』,ジャパンマシニスト社,198p. ISBN-10: 4880491756 ISBN-13: 978-4880491752 1575 [amazon] ※ b m d07d

◆石川 憲彦 20030310 『こどもと出会い別れるまで――希望の家族学』,ジャパンマシニスト社,1:145p. 2:143p. ISBN-10: 4880491330 ISBN-13: 978-4880491332 2500+ [amazon] ※

◆19990909木  「障害者の性を考える」 於:横浜市


◆石川 憲彦 他 1983 『心身障害児の療育を考える』
  母子衛生研究会
◆19841115 『影と向きあう教育と医療』
  光村図書出版,朝日カルチャー叢書,228p. 1200
◆石川 憲彦 1985 『子育ての社会学』,朝日新聞社,241p. 1000→1990 朝日文庫,268p.
◆石川 憲彦 他 1987 『お医者さんは神さまではない』
  筑摩書房
◆石川 憲彦 19880225 『治療という幻想――障害の治療からみえること』,現代書館,269p. ISBN-10: 4768433618 ISBN-13: 978-4768433614 2060 [amazon] ※ ms. e19.
◆石川 憲彦・内田 良子・山下 英三郎 編 19930215
  『子どもたちが語る登校拒否――402人のメッセージ』,世織書房,1062p. 3914

◆19810625 「欧米の統合教育」
  『福祉労働』11:033-042 ※
◆19810925 「障害者教育と近代」
 (篠原論文「『障害児の教育権』思想批判」を読んで(2))
  『福祉労働』12:125-138 ※
◆19811215 「人間管理に対する批判のあり方をめぐって」
 (篠原論文「『障害児の教育権』思想批判」を読んで(3))
  『福祉労働』13:119-136 ※
◆19820325 「障害者ぬきの障害者教育」(障害者年・現場からの声)
  『福祉労働』14:069-071 ※
◆19830625 「直すこと・直ること」(「障害」と治療 その1)
  『福祉労働』19:161-174 ※
◆19830925 「てんかん――その1」(「障害」と治療 その2)
  『福祉労働』20:157-171 ※
◆19831225 「てんかん その2」(「障害」と治療 第3回)
  『福祉労働』21:165-178 ※
◆19840325 「てんかん その3」(「障害」と治療 第4回)
  『福祉労働』22:150-162 ※
◆19840625 「先天異常と予防医学 その1」(「障害」と治療 第5回)
  『福祉労働』23:162-175 ※
◆19840925 「先天異常と予防医学 その2」(「障害」と治療 第6回)
  『福祉労働』24:143-154 ※
◆19850325 「脳性麻痺――(1)」(「障害」と治療 第7回)
  『福祉労働』26:158-171 ※
◆19850625 「脳性麻痺――(2)」(「障害」と治療 第8回)
  『福祉労働』27:159-171 ※
◆19850925 「脳性麻痺――(3)」(「障害」と治療 第9回)
  『福祉労働』28:148-160 ※
◆19851225 「脳性麻痺言(4)」(「障害」と治療 第10回)
  『福祉労働』29:158-169 ※
◆19860325 「言語治療(1)」(「障害」と治療 第11回)
  『福祉労働』30:161-175 ※
◆19860625 「言語治療(2)」(「障害」と治療 第12回)
  『福祉労働』31:142-154 ※
◆19860925 「言語治療(3)」(「障害」と治療 第13回)
  『福祉労働』32:139-155 ※
◆19870325 「言語治療(4)」(「障害」と治療 最終回)
  『福祉労働』34:140-155 ※
◆19920210 「脳死・臓器移植を考える」(脳死・臓器移植――私はこう思う
  九一年七月二十日・「脳死・臓器移植に反対する緊急市民集会」より)
  『技術と人間』21-02(222):021-024 ※

◆石川 憲彦 19880225 『治療という幻想――障害の治療からみえること』,現代書館,269p. ISBN-10: 4768433618 ISBN-13: 978-4768433614 2060 [amazon] ※

◆石川 憲彦,20020810,「メンタルヘルスの多面性と両義性」『精神医療』4-27(102): 37-47.

■引用

◆石川 憲彦 19880225 『治療という幻想――障害の治療からみえること』,現代書館,269p. ISBN-10: 4768433618 ISBN-13: 978-4768433614 2060 [amazon] ※  ※

 「戦後四十年。脳性麻痺の治療学は、古典的医学の治療という発想の下では、まったく進歩がなかったといってよい。なぜなら「一度破壊された脳細胞は再生しない」という、医学の命題はまだ解決されていないからである。
 にもかかわらず、映画「さようならCP」がその内容をよそに表題のみが社会的に利用されたように、相次いで日本に上陸した早期療法(2)の宣伝によって、一九七〇年代は「脳性麻痺は直る」「紀元二千年に脳性マヒ故に歩けない人は存在しなくなるであろう」といった宣伝が公然と登場してきた。これは、…(p.140)…”戦後の人権意識”に強く支えられた”療育”の立場から語られ始めた。筆者もボイタ法の講習会に参加して、何カ月かこの熱狂的叫びにとらわれ、心揺さぶられた体験がある。
 しかし、この数年、次第にその熱気は冷めつつある。日本脳性麻痺研究会のこの二年の記録は、それを物語っている。同記録『脳性麻痺研究』のNo.3(一九八三年)及びNo.4(一九八四年)は各々、「早期療育」「脳性麻痺は減ったか」のテーマにおいて、リハビリテーションへの基本的な疑問を投げかけている。一言でいえば、「脳性麻痺は減ったが、その主役は胎児新生児病学における治療技術の進歩であり、領域によって減ったといえるのだろうか」という内容の疑問である。(p.141)」(石川[1988])

「「『障害』は病気ではない。だから直す対象として『障害』をとらえることが誤っている」という障害者からの指摘は正しいと思う。しかし、病気と「障害」との差異を強調することだけで(p.35)は不十分である。それは、たちまち「障害」だけを孤立させることになる」(石川[1988])

 cf.脳性麻痺

◆石川 憲彦 20050520 『こども、こころ学――寄添う人になれるはず』,ジャパンマシニスト社,198p. ISBN-10: 4880491756 ISBN-13: 978-4880491752 1575 [amazon] ※ b m d07d

◇立岩 真也 2008/09/05 『良い死』,筑摩書房,374p. ISBN-10: 4480867198 ISBN-13: 978-4480867193 [amazon][kinokuniya] ※ d01.et.,

 「(46)「一〇年前、父が九〇歳で死んでから、母は希死願望をもつようになりました。「何もできなくなった。生きていてもしかたない」というのです。とりわけ身体の衰えが目立ちはじめた八〇代後半からは、私の顔を見ると「なんか、医者やろ、楽に死ねる方法、教えて」と訴え、ついには「殺して」があいさつになります。
 職業柄「死にたい」と訴える人とのおつきあいは少なくありません。しかし、親子となると、つい口論になります。
 […]「自分より弱い人のことを、自分以上に大切にしなさい」が口ぐせで、私は小さい頃から毎日念仏のように聞かされて育ちました。私が医者になったのはこの口ぐせの影響が大です。
 その母から、「殺して」と頼まれると、むなしくて、つい本気で怒りをぶつけてしまいます。[…]
 気持ちがわからないのではありません。その生いたちから気位だけで人生を支えてきた母のこと。人にしてあげることは大好きでも、されることにはがまんできない。それが、自分がどんどん無力になって、一方的にされる立場になっていく。金井さんをはじめ、障害者とのつきあいがなかったら、きっと私も、母の気持ちに深く同調し、尊厳死を願っていたことでしょう。
 「できなくなったら終わり」「人のお世話になりたくない」。この潔癖すぎる個人主義は、人間と人間の本来の関係を否定します。できないままの自分を素直に生き、おたがいに迷惑をかけあうところから、初めて本当の人間関係が始まる。障害者の主張を、そんなふうに聞けるようになり、すべてを一人で背負いこむ自己完結型の自立を幻想であると理解できるまでには、ずいぶん時間がかかりました。」(石川憲彦[2005 : 136-137])
 文中の金井は金井康治。脳性麻痺の人で、彼が普通学校に就学できるための運動があった。一九九九年九月一一日に三〇歳でなくなった。」

■言及

◆立岩 真也 20140826 『自閉症連続体の時代』,みすず書房,352p. ISBN-10: 4622078457 ISBN-13: 978-4622078456 [amazon][kinokuniya] ※

◆立岩 真也 2013 『造反有理――精神医療現代史へ』,青土社 ※

◆稲場 雅紀・山田 真・立岩 真也 2008/11/30 『流儀――アフリカと世界に向い我が邦の来し方を振り返り今後を考える二つの対話』,生活書院,272p. ISBN:10 490369030X ISBN:13 9784903690308 2310 [amazon][kinokuniya] ※,

 「山田さんは小児科医で、今年だと毛利さんとの共著で『育育児典』が十月に出て、順調に売れていると思います。僕は、山田さん、毛利さん、それから後でも出てきますが石川憲彦さんといった人たちの本が一定の読者を獲得していることは、この医療という陰鬱な業界において数少ない喜ばしいことの一つであろうと思っています。そして山田さんや毛利さんの本は学者なんぞを相手にしてはいない。それは表紙を見ただけでわかります。」(山田・立岩[2008]、立岩の発言)

 「すこし戻しますと、医療者たちの世界をどうこうしようという動きが出てきたとおっしゃった。例えば幾つかの学会がどこまでのことをしたのか、あるいはしなかったのかということを見ておく必要があるだろうと思いますが、他方、毛利さん、山田さん、石川さんたちは、この間専門化向けではない本をいっぱい書いてきている。私は、こうして出されたてきたものって、とてもよいものだと思うのですが、山田さんはこの間もう何十年も、専門家むけではない本をいっぱい書いてきたわけです。これはそうなっちゃったから、なっちゃったんだという答えで終わってしまうのかもしれないんだけれども、文体や装丁も含めて、毛利さんや山田さんは、こういうものの言い方とか伝え方をしていかなきゃいけない、していったほうがいいんだという、思いみたいなものはあるのですか。」(山田・立岩[2008]、立岩の発言)

 「山田:中井さんや神田橋さんに、社会的な運動をやってほしいって要求してもちょっとそれはね。
 立岩:それはそれでいいと思うんです。それはいいんです。
 山田:だからむしろ運動をやっていた部分が、運動をやりながら、世の中変えるということを目指しながら、同時に患者さんに寄り添うことはできたはずなんだ。イギリスへ留学した私の一年下の精神科医の話を聞くと、やっぱりイギリスで反精神医学をやった連中は、その後物凄く苦労して、試行錯誤で、いろいろな実践をやったらしい。一旦は反精神医学的に割り切ったけれども、それだけでは済まないというところへもう一回戻って、そこで苦悩して新しいところを切り開こうとする努力をした。その部分が日本では欠けていると思う。そこをやってほしかった。やろうとしたけど、もうそこには運動がなくなっていて、できなくなってしまったという。だから石川憲彦なんかはいわゆる活動家ではないけど、やっぱり何かやらなければいけないと思い続けて実践していると思うのだけれど。
 立岩:石川憲彦さんの著作が与えたものは大きかったです。[『治療という幻想――障害の治療からみえること』が重かったです。一九八八年の刊行ですね。雑誌『季刊福祉労働』の連載がもとになっていますから、まず連載の方を読んだのかもしれませんけど。もっと以前に出た本のような気がしていました。ずっと東大病院で小児科医してらして。「医療と教育を考える会」というのをやっていましたよね。いっしょに『生の技法』を書いた仲間の岡原正幸がそこに出入りしていたと思います。
 石川さんは一九四六年生まれだから、山田さんより若いんですね。このごろもいろいろと書物を出しておられる。岐阜大学の高岡健さんと対談した『心の病いはこうしてつくられる――児童青年精神医学の深渕から』はとてもよい本だと思いました。そしてこの本で、石川さんもまた障害者の運動から受け取ったものが大きかったことを語っています。
 『ちいさい・おおきい…』の連載を集めた『こども、こころ学――寄添う人になれるはず』もじつは硬派な本ですが、そこにもそのことを書かれています。」(山田・立岩[2008]、立岩の発言)

 「立岩:武見さんって確かにね、権益を守る側にいるとともにそういうある種のモラリストでもあるという人だったと思うんですよね。その時勢で、現実はそこまでもいってないと。それに対して例えば、今日話の最初に出た松田さんとかね、それはまた全然違うスタンスというか、場所、ポジションですよね。一方は日医の会長であり、一方は京都の町医者。でもメディア的にはどうなのというあたりで、それこそ患者の権利とかね、そういう路線で言ってきて、ほぼそれは当たりでというか、大変尤もなことであったと思うんだけれども、例えばそれこそ終末期医療云々の議論の中で言うと、じゃあそのモラリズムなり専門家主義に対して、松田さんの線でいけるのかという話がやっぱりあるわけじゃないですか。
 それはそうでありながら、従来どおりの仁術専門化主義、モラリズムでいくっていっても、そうはなかなかいかん、現実にはいかないだろうと。それに対して、患者のある種の消費者主義と権利で押してきたときに、まるまるオッケー、なんでもオッケーみたいな話になってきて、それの方がある意味で医者は楽じゃないですか。言われた通りにやるだけです私、みたいなね。
 どっちに行ってもそれでいいのというときに、そこのところをという話ですよね。最近の話は、そこにいる人を診ろ、付き合えという話が一方にあって、それはその通りだと思いつつ、でもそれは言ってみれば一人ひとりの医師のある種の心意気のようなものに委ねられている部分もあるわけだから、さぼろうと思えばさぼれるわけですよね。付き合うやつは付き合うかもしれないけれど、付き合わなくたって世の中の医療者の仕事は進んでいく。そういう意味で言えば、本人をきちんと、というのは正解ではありつつも、二つの方向に対する代案、システムとしての代案にはなりにくい。というようなやっかいな状況にあるんだと思うんだけれども、どうなんでしょう?
 僕なんか、山田さんや石川さんが書かれてきたそういった本に書かれていることって、「この世のことはなんでもいちがいには言えないよね」というだけではないと思うんです。医療者のパターナリズムってものがあって、それがいけないということに、いつのまにやらなって、振り子は反対の方に振れている。でもそこにあるのはそう違うものなのか、と。たしかに威張る度合は減ったかもしれないけれども、その代わりに仕事を放棄し人を放置して楽をしているのは医療者じゃないか。そういうことを書かれている。」(山田・立岩[2008]、立岩の発言)

◆立岩 真也 2008/09/01 「集積について――身体の現代・3」,『みすず』50-9(2008-9 no.564):- 資料,

 「『治療という幻想』(石川[1988])等の重要な著作がある小児科医の石川憲彦と精神科医の高岡健との対談の本に以下のような発言がある。

 「高岡 自閉症脳障害説に関しては、例えば自閉症協会でもそういうふうに言っていますし、これまでの親の育て方が悪かったという誤解に対するアンチテーゼとしてはそういう言い方で私は十分いいと思うのです。しかし、この説で何が証明されるかというと、私は永遠に証明されないだろうと思っています。」(石川・高岡[2006:41])

 「石川 私も、医者の立場から親の育て方に対するアンチテーゼとして自閉症脳障害説を認めたというところでは、そこは半分そうだと思う。でも、それを医者が言ってはおしまいだとも思う。」(石川・高岡[2006:42])

 こうしたものいいに対して、自閉症がどんな機制で発現しそして持続したり変化したりするのかについては、親が言おうが、医師たちが言おうが、同じであるはずだ、と批判することはたやすい。ただまず、この二人はこのように言っている。なぜこのように言うのかについては考えてみてよいと思う。  本人やあるいは家族に、病気だということにした方がよいと思う人たちがいる。それはわかると言いながら、しかし、とさらに言う人がいる。双方がそれなりに真剣に考え、まじめに思っている。どうなっているのか。家族や当人たちの話はさきになる。まず、人を相手にする仕事をする人たち、そのことについて何ごとかを言う人たちが「社会」を持ち出すことについて考えてみる。」

◆立岩 真也 2018 『不如意の身体――病障害とある社会』,青土社


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なおすこと  ◇発達障害  ◇精神障害/精神医療  ◇東京大学やその周りでの  ◇障害学  ◇病者障害者運動史研究  ◇生を辿り道を探る――身体×社会アーカイブの構築  ◇WHO