『広告の誕生――近代メディア文化の歴史社会学』
北田 暁大 20000306 岩波書店,228p.
last update: 20100521
■北田 暁大 20000306 『広告の誕生――近代メディア文化の歴史社会学』(現代社会学選書),岩波書店,228p. ISBN-10: 4000265113 ISBN-13: 978-4000265119 \2625 [amazon]/[kinokuniya] ※
■内容
出版社/著者からの内容紹介
「マジメに見ているわけではないのに、捕らわれてしまっている」――かつてベンヤミンが〈気散じ〉と呼んだ、奇妙に弛緩した身体性において受容される広告。現代を生きる我々の身体をも画定しているこの散漫な広告-経験の成り立ちを、日本近代におけるメディア・消費文化の生成に即して具体的に検証し、その「ねじれた」政治性を浮き彫りにする。
内容(「BOOK」データベースより)
広告とは何か―日本近代の文脈でその社会的意味を探り、ねじれた政治性を浮き彫りに。広告の探究を通して、近代を生きる主体、近代という時代のありようを的確に捉える。刺激的な問題関心と新しい社会認識の視角。
■目次
序章 問題と方法
1 広告のある風景――消費者のイメージ装置
2 広告の存在論――ベンヤミンから
3 方法をめぐって――広告コードと受け手の身体性
第1章 孤立する広告
第1節 見世物のなかの/としての「広告」
1 「文芸」と「広告」――戯作の読書空間と「広告」
2 遊動空間のなかの「広告」――現前性 (presentation) の表象空間
第2節 広告の誕生
1 広告の萌芽――《舞台》としての新聞
2 《香具師的なるもの》の回帰――売薬広告をめぐって
3 言説の逡巡――売薬広告とそのメタ言説
第3節 『近代』の軋み
第2章 散逸する広告
第1節 広告の美学化
1 《三越的なるもの》とポスター――啓蒙のメディアとしての美人画ポスター
2 文化としてのテクノロジー――石板ポスターと表象空間
3 「趣味」の涵養――初期ポスターと受容空間
第2節 広告の工学化――工学の所産としてのポスター
1 刺激としてのポスター―ポスターの媒体性への注視
2 刺激の工学―商業美術(家)のアイデンティティ
第3節 散逸する広告空間
第3章 融解する広告
第1節 流動する《舞台》
1 《舞台》の粉飾――《私的な遊動空間》の構築
2 踊る広告――広告の「散逸」と「融解」
第2節 〈欲望〉する女性と広告
1 受け手としての女性――〈注意散漫〉な身体
2 読み手/買い手としての女性――レスペクタビィリティと逸脱性の〈あいだ〉
3 〈欲望〉する女性と消費――消費社会の虚焦点
第3節 融解する広告空間
終章 遊歩の弁証法
注
あとがき
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:小辻 寿規