『パラドックスとしての身体――免疫・病い・健康』
TASC(たばこ総合研究センター) 編 19970718 河出書房新社,285p.
■TASC(たばこ総合研究センター) 編/アンドルー ワイル・永沢 哲・多田 富雄・伊藤 源石・横山 輝雄・他 19970718 『パラドックスとしての身体――免疫・病い・健康』
河出書房新社,285p. ISBN-10: 4309611613 ISBN-13: 978-4309611617 2400+ [amazon]/[kinokuniya] ※ b02.
■広告
内容(「MARC」データベースより)
非線形生物学、人工生命、複雑性の科学等、現代の最先端の科学の現場で「身体」という古くて新しいテーマが再発見されつつある。シリーズ第一巻は多田富雄、畑中正一、中川米造らが、免疫と病いの構造から身体を探る。
■目次
Introduction 近代医学を超えて アンドルー・ワイル 永沢哲
1 生命と免疫系
免疫系、フラジャイルな生命 多田富雄
免疫のメタファ、科学のメタファ 伊藤源石
ほか
2 病いのパラダイム
「病い」を捉え直す 中川米造 125-144
豊かさとしての病い 波平恵美子
ほか
3 健康・反健康(健康の逆説 上杉正幸)
反健康論としてのスポーツ 三浦雅士・樋口聡・桂英史
■引用
◆中川 米造 19970718 「「病い」を捉え直す」,TASC(たばこ総合研究センター)編[1997:125-144]
「昭和二〇年に医学校に入ったのですが、戦争中でたまたま私の大学が例の七三一部隊*1の基地だった。大学に入学するなり医学とは人の病気を治したり、けがを治療するところではない、と先輩の軍医に言われました。今は世界を相手に戦っているのだから、医学も戦う武器をつくる、と。こっちは仰天しました。医学というのは人殺しだというのですかたらね。
それがその年の夏に敗戦。今度はそんな連中は雲散霧消して、再び医学は人のためにあると言われるようになる。そこでまた、世界観がひっくりかえされる。」(中川[1997:128])
「*1 七三一部隊 「私の入った京都大学というのは、あの関東軍防疫作戦部隊、細菌戦開発部隊のメッカだった。それで、医学校に入って、五月だったか、軍医の立派な方が来られて、<意外というのは、傷を治したり、病気を治したり、そんなもんじゃない。今は戦争である。兵器のための医学を開発しなけりゃならん>と言われて、万週のいろんな人体実験の映画やらスライドやらを見せられた。」(『「医の知」の対話』より)」(中川[1997:129])