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「家族ケアとストレス─要介護老人・精神障害者家族研究における現状と課題─」

南山 浩二 1997/07 日本家族社会学会編『家族社会学研究』第9号,pp77-90.

last update: 20151221


家族ケアとストレス
─要介護老人・精神障害者家族研究における現状と課題─

南山 浩二

日本家族社会学会編『家族社会学研究』第9号,pp77-90,1997/7.

───────────────────────────────────────

1.はじめに

 要介護老人・障害者をケアする家族に関する研究を概観すると、家族のburden、str
ess、well-bingなどに焦点をあてた理論的・実証的研究への関心の高まりが見られる。
近年、特に、その中でも、Lazarusらのストレスモデル[Lazarus,Folkman,1984]に依拠
する研究が数多く行われている[Lawton et al,1991.,中谷,1992.,和気・矢富・中谷・
冷水,1994.,Pearlin,1990,1993.,新名,1992.,松岡,1993,1994.,南山,1995]。ケアスト
レス研究は、ストレス研究における理論的実証的な蓄積を背景に、従来、比較的、経験
的な色彩が強かった介護研究における知見を、体系的に整理、把握することを可能にし
ている[新名,1991:754-762]。
 ケアストレス研究の主たる研究関心は、「ケアすることが家族に与えるインパクト」
を探ることにある。要介護老人・障害者のコミュニティケアを構成する重要な要素とし
て、事実、大きな役割を担っている家族が、ケア状況下で如何なる問題を抱えているの
か、あるいはケア状況で生じやすい問題が、どのような条件下の場合、改善可能である
かといった、実践的な関心がその研究の誘引となっていると思われる。
 しかしながら、今日、老人への虐待・介護遺棄、あるいは「家族は障害者の自立を阻
む存在である」とする告発[安積,岡原,尾中,立岩編,1995]など、ケアの受け手にとって
も、家族ケアを巡る問題も少なくないことが示されている。最終的な関心がケア提供者
へのインパクトのみによせられてきたケアストレスの既存モデルでは、このような問題
性を解明出来ないことは明らかであり、ここに一例として挙げた今日的関心を、如何に
研究の射程に取り組むことができるのかといった問題も生じていると思われる。
 また、ケア提供者個人に焦点があてられる従来のケアストレス研究では、充分に捉え
きれなかったダイアドや集団レベルの問題を捉える枠組みの必要性[松岡,1993:111]も
強調され、理論的・実証的研究[松岡,1985.,前田・石原・大島,1986.,藤崎,1990]も行わ

ている。
本稿の課題は、今日、ケアストレス研究に寄せられているこのような諸関心をより具
体化していく一端として、特にその研究の視点や概念構成に関し、直面していると思わ
れる諸問題を検討し、今後、取り組むべき課題を明らかにすることにある。なお、ケア
ストレス研究は、ケアの受け手の疾患・障害の種別からして、膨大な蓄積があるため、
本論では、主として、比較的研究の蓄積の多い要介護老人に関する研究と、筆者が関心
を寄せている精神障害者家族研究に限定し概観することとしたい。
 近年、わが国では、戦後の社会福祉・社会保障体制の急速な見直しが進められている
。老人福祉領域における新ゴールドプランの策定、そして、精神障害者領域に関連して
、障害者基本法の制定、精神保健法の精神保健福祉法への改正、障害者プランの策定と
、特に、この二領域において法制度上に大きな展開が見られる。このような社会的背景
の中で、老人福祉・精神障害者福祉は2大急務であるとの位置づけもされており、よっ
て、本研究は、こうした実践的ニードにも答えることができるのではないかと思われる

 もちろん、ケアの受け手の疾患・障害の種別によって、家族のケア状況を規定する諸
条件の異同が考えられるが、まず、疾病・障害の違いを超えて、見いだしうる共通項を
整理することを課題とし、特にその差異に留意が必要な場合に限って、随時、触れてい
くこととしたい。

2.ケアストレス研究の視点と理論枠組み

 「ストレス」とは、個人によって「個人の資源に負担をかけ、あるいはその限度をこ
えるもの、そして、個人の安寧を危うくするもの」として評価される「人間と環境との
間の特定な関係」[Lazarus,Folkman,1984:19]である。ケアストレス研究では、要介護
老人・障害者といったケアの受け手・あるいはケアの受け手を抱えているというケア状況そのものが、ケア提供者にとっての環境の一部と位置付けられるわけである。しかし、
ケアストレス研究に限らずストレス研究全般の傾向とも言えるが、ライフイベントやス
トレーン(1)などと抑うつなどに代表されるディストレスに関係が見られた場合、そ
の関係を「ストレス」と表現する場合が多く、実際の枠組みの構成概念として「ストレ
ス」が用いられることは少ない[稲葉,1995:104]。
 ケアストレス研究において使用される概念については、統一がとれておらず、使用概
念の混乱が、ケアストレス研究の主要問題といえる。松岡が指摘しているように、Laz
arusらのストレス理論が、ケアストレスといった特定のストレスを想定していないこと
が、この問題の大きな原因であるとともに[松岡,1993:102]、その枠組みによって「何
を明らかにするか」という視点の相違も関係している。しかしながら、先行研究を概観
してみると、おおむね「ストレッサー」「ストレス反応」「リソース」そして「コーピ
ング」などの概念が用いられている。
 ストレッサーとは、ストレス反応を引き起こす可能性をもつ刺激要因であり、ケアス
トレス研究では、ケアの受け手の心身の障害の程度などがあてはまる。「ストレス反応
」とはストレッサーによって引き起こされる結果であり、ケアストレスのプロセスの結
果として位置付けられる。その一つとして、多用されるのは、抑うつであり、最近では
、燃えつき(burn-out)を用いた研究[中谷,1990.,和気,1994]もみられる。
 そして「コーピング」「リソース」は、ストレスのモデレーターとして位置付けられ
る。
 「コーピング」とは、人間と環境との特定な関係としてのストレスを減じたり・解消
するために、個人によって行われる認知的・行動的努力[Lazarus,Folkman,1984]と定義
される。機能別の分類としては、@ストレスを生じさせている状況の処理、A状況に対
する意味づけの処理、B状況から生じたストレス反応の管理、の三つのタイプ[Pearli
n et al.,1990:590]とする分類などが挙げられる。
 「リソース」は、コーピングに動員される手段であり、ケア提供者個人などの能力・
特性・物質的・心理的サポート等を示し、その所在と機能により更に分類される[松岡,
1985,1993,1994]。その中でも、特に「ソーシャルサポート」は、常にリソースの一つ
として取り上げられることが多い。「ソーシャルサポート」とは、直面している生活問
題を処理することにおいて、個人が実際に利用している人的資源であり、個人が形成す
る社会関係全体を示すソーシャルネットワークと概念上、厳密に区分される[Pearlin,
1985,1989,1990] 。通常、ソーシャルサポートを、その提供者により区分し、また、近
頃では、更にそのサポートを機能別に区分する研究も見られる[和気・矢富・中谷・冷
水,1994]。
 また、近年では、この4つの概念の他に、ストレッサーに対する「認知・評価」を使
用する研究も散見される。それらの研究では、Lazarusらのモデルに従って、「認知・
評価」は、ストレッサーとストレス反応を媒介する要因とし位置付けられる。分析レベ
ルでは、介護に対する負担感が操作化されることが多く、因果関係を明確に措定したパ
ス解析を行う研究も見られる[中谷,1992.,新明,1992.,和気,1994]。
 以上の様な概念構成に基づき、その分析の主な焦点となるのは、ストレッサーのスト
レス反応に対する直接効果、コーピングやソーシャルサポートを含むリソースのストレ
ス反応に対する直接効果・緩衝効果の検証、「認知・評価」の規定要因やストレス反応
への効果などである[中谷,1992.,和気・矢富・中谷・冷水,1994.,新名,1992.,松岡,19
93,1994.,南山,1995]。

3.ケアストレス研究における諸問題

 前章では、ケアストレス研究における視点およびその枠組みを概観した。ケアストレ
ス研究は、家族のケア提供に関わるストレスについて、より詳細な理解を可能にしてき
たといえるが、未解決な問題も少なくないとの指摘も多い(2)。そこで、本章では、
ケアストレス研究が如何なる問題に直面しているのか検討することとしたい。

(1)ケアの受け手にとっての家族ケアの問題

 確かに家族がケア状況下に置かれることは、日常的なケアの提供ということに加えて
、家族関係を、一方的なケア供給という唯一の関係性に特化して再組織化することを余
儀なくする状況であり、まさに困難にみちたストレスフルな状況[Aneshensel et
al,1993:55]である。しかしながら、最終的に、ケア提供者へのインパクトのみに焦点
をあてる既存モデルでは、ケアの受け手にとっての家族ケアの意味を探ることが出来な
いことは明らかであり、近年、このようなモデルの限界に対する指摘も徐々に見られる
ようになった。
 Noelkerらは、従来のケア研究は、ケア提供が家族に与えるインパクトのみに着目し
すぎていた傾向があるとし、ケアの結果をケアの受け手に対する効果としても捉える必
要性を主張している。そして、ケア提供者の主観的判断によるものという測定上の問題
はあるもののケアの効果を結果変数に位置付けた研究を行っている[Noelker et
al,1987,Townsend et al:1987]。その他にも、最近の老人介護研究でも、結果変数とし
てケア提供者の健康状態のみならずケアの受け手の健康状態も位置付ける研究[Worces
ter,1990]もある。精神病家族の感情表出[EE:Expressed Emotion]研究[Brown:1972]
でも、家族の患者に対する感情表出の様態が、退院後の患者の再発を予測する重要な要
因であることが実証的に明らかにされており[大島・三野:1993]、家族環境がケアの受け
手にとってストレッサーとなりうる可能性があることを明示している。
 また、アルツハイマー症研究での指摘も興味深い。Aneshenselらは、在宅ケアを断念
し入院処置に至った場合、ケア提供者のストレス反応に寄与する要因が低減されるなど
の効果がケア提供者側にはあるが、一方、老人の死亡率が、在宅継続の場合に比べて入
院処置の場合の方が高いという知見を示している。彼らは、この結果から、従来のスト
レス研究は、コーピングの結果をその対処主体に対する効果という視点のみに着目し、
利己的な判断を尊重してきたと批判を加えている[Aneshensel et al,1993:54-70]。
 つまり、ストレッサーとしてのケアの受け手→ストレスの受け手としてのケア提供者
という、一方向の規定関係ではなく、ケア提供者-ケアの受け手が相互に規定し合う双
方向モデルとしてケアストレスモデルを再構成していくことが必要であると思われる。


(2)病いと障害の社会的意味

 病むことや障害を持つことにより、老人・障害者は家族に依存する存在となる。
 アルツハイマー症老人の家族ケア研究においてもこのプロセスは指摘される。障害の
重度化に従って、当初のケア、愛情、支援の互酬的な交換関係に特徴付けられる老人と
家族の関係は、より一方向的な関係となる。役割に関連した期待と義務が変容し、成人
の自律規範は、患者の依存に置き換えられる[Aneshensel et al,1993:55]。この様な一
方的な依存関係の成立は、もちろん、疾患・障害の種別や程度に大きく左右されるもの
であるが、「病い」「障害」の位置付け方、そして老年観・障害者観の問題とも捉え返
すことができる。
 日本の伝統的な老年観では、「自立」にあまり重きが置かれないため、心身の自立能
力の低下に伴って家族への依存性が高まっていく老人について、ケア提供者が自立能力
を維持・強化しうると考えるよりは、やむなしと見なす可能性が高い。このような認識
のもとでは、身体機能の維持・向上を目的とするリハビリテーションも、老人にとって
、辛くかわいそうなこととされ、老人自身も現状維持的な認識を持たざるを得ない状況
が生じやすい[藤崎,1990:68]。
 精神障害の場合においても、同様に、社会復帰・リハビリテーションの可能性に対す
る家族や障害者自身の拒否や諦観が、障害者の家族への依存度が高まることを肯定する
要因となる場合が見られる(3)。一方、逆に、障害者本人や家族が、内面化している
精神病イメージ<精神病は「忌み嫌われる病い」である>ゆえに病気自体を否定したり、
精神病の疾患としての理解や障害理解を持ち得ないために、病気やその経過について楽
観視し、早急な社会復帰やリハビリテーションを試みる場合も見られる[南山,1996a]。

 しかし、こうした問題を、家族という私的領域に限定し論議することには限界があり
、病いや障害のイメージ、老人、障害者観といった家族外コンテクストとしての文化と
の関連において議論すべき問題といえる。従来、家族ケアに関する研究では、家族外コ
ンテクストとして、主として、伝統的家意識などが用いられることが多かった。更にこ
の視点を加えていくことによって、家族ケアと社会との連関をより詳細に記述していく
ことが可能になると思われる。
 そして、「病い」「障害」の認識のあり様、老年観、障害者観が、ケア提供者-ケア
の受け手間において必ずしも一致するとは限らず、その結果、ケア提供者-ケアの受け
手間に葛藤が生じることとなる。また、両者の間に、認識の共有がなされている場合に
ついては、そのあり様が問題となる。例えば、既に触れたような、老人や障害者は、守
られる存在であり、今のままでよいとする認識のもとでは、老人・精神障害者の家族へ
の一方的な依存関係を導くこととなりやすい。一方、自立能力の維持・向上が可能であ
るとすると認識のもとでは、リハビリテーションに向けた協同関係が成立しやすいこと
などが想起しうる。つまり、病むことは、医学的な意味での病気にとどまらない社会的
事象であり、他者との相互関係に規定される社会現象[清水,1989:110,1992:195-203]な
のであって(4)、この意味においても、ケア提供者-ケアの受け手間の相互規定性を
研究の枠組みに包含していく必要性が示唆される。
 従来の研究では、ケア提供者・ケアの受け手をペアとした調査の困難さといった実査
上の理由などを背景に、主観的要因としては、伝統的家意識など、家族側の要因のみが
取り上げられてきたきらいがあり、今日、病者・障害者の主観的側面をどのようにして
研究の枠組みの中に取り込んでいくのかといった問題が生じていると思われる。つまり
、病者・障害者を、ケア提供者にとっての単なる「環境」として見なすのではなく、如
何に主体化していくかが問われているのである。

(3)ケア提供者のケアに関する意識

 「ケアを誰が担うのか」。その大きな決定要因とし、まず第一に、親族関係とジェン
ダーに基礎を置く、社会文化的に定義された階層的順位[Cantor:1983,597-604]が、考
えられる(5)。こうした社会規範の文脈の中で、ケアを担うこととなったケア提供者
が、ケアすることをどのように意味づけ、さらにケア提供に対する意識とストレス反応
との関係を明確にしようとする研究も見られる。
 松岡は「介護義務意識」と「介護継続意志」からなる「介護意識」を構成概念として
用い、「介護すべきだ」「介護したい」という介護意識が高いほどストレス反応が低く
なることを明らかにしており、ケア提供者のストレス反応を予測する重要な要因として
指摘している[松岡,1993:101-112]。
 しかし、「介護継続意志」は、ケア提供者のケアへの自発的な関与を示す意識であり
、「介護義務意識」は、必ずしも自発的なケアへの関与意識に裏付けられている(自分
でやりたいと思うし、やることは当然だ)とは言えず、ただ単に義務感としてケアへの
関与を表明する場合も含まれると思われる。
 石原は、精神障害者家族を対象にした研究において、家意識の強さあるいは拡大家族
形態の存続という意識・形態レベルにおける家制度の伝統の強さは、結果として、家族
の障害者に対する扶養機能を維持することになるが、自発的でない「規範に拘束された
」ケアは、負担感や犠牲感を伴いやすく、障害者に対する受容的態度としての共感性が
形成されにくいという知見[石原,1982:40-43]を示している。また、他の精神障害者家
族研究では、介護継続意志を含むケア役割への肯定的意識が強いほど、負担感が低いと
の報告も見られる[全家連,1997:53]。この二つの知見を参照すれば、今のところ、扶養
規範を内面化している場合も含めた自発的な関与の意識(ケアしたい)と、規範拘束的
な非自発的な義務意識(やりたくはないがしなければならない)とに概念上、区分すべ
きではないかと思う。そして、継続意志については、ケアストレスの表れの一つ、つま
りケアプロセスの結果として捉える枠組みもあり[Pearlin,1990]、介護意識に関しては
、現状認識にとどめ、将来的な予測である継続意識に関しては別のものとして扱う必要
性も示唆される。
また、自発的なケアへの関わりを説明する理論として社会的交換理論が有用といえよ
う[藤崎,1990:67-68]。老人介護の場合のケアへの自発的な関与は、「「かつて自分を
育ててくれた親の苦労や愛情に報いる」あるいは「将来、自分が年老いて子供から受け
るかもしれないケアを今のうちに親にしておく」」というように、過去の報酬そして未
来の報酬への代償と解釈することができる[袖井:1993]。しかし、精神障害者家族に関
して、交換理論を援用する際、留意が必要である。精神病は、思春期前後の発病が多く
、その経過は、慢性化・長期化しやすい傾向にあり、精神病者は、彼らにとってサポー
ト源となる可能性が最も高い親やきょうだいに対し、過去にサポートを供給した歴史を
広範には持ち得ない。よって、家族は、障害者へのケアを"過去に受けた報酬に対する
返礼"と位置付けにくいのである[Horwitz et al,1996:150]。そして、発病時に既に、
思春期・成人期に達している精神病者は、その障害ゆえに、家族にサポートされるわけ
で、これは、年齢に関連した交換規範を破壊するものである。そして、その病気の経過
の不透明性ゆえに、家族は、将来的に障害者から報酬を得られることを期待しにくいの
である[Horwitz et al,1996:150]。
 むしろ、精神障害者家族の場合、ケア提供に次に示すような意味付けを伴う場合が多
い。家族は、家族成員が精神病と診断を受けたとき、「しつけ」「教育」の問題なのか
、あるいは「遺伝」の問題なのか、というように発病の原因探しに翻弄され、その原因
を家族の過去の歴史に求めることが多い[滝沢,1985.,南山,1996a]。この場合、家族の
ケアは「ケアの受け手への過去の振る舞いに対する罪の意識」[Biegel et
al.,1991:31-32]に基づく、報いという意味づけを伴いやすいのである。
 以上、介護意識をめぐる問題を概観したが、介護意識なるものが、ケアプロセスにど
のように位置付くかといった概念枠組み上の問題も残っている。ストレスプロセスを仲
介する資源要因として位置付くのか、ケアプロセスの結果として位置付くのか、または
、その意識の変化自体が、ケアプロセスの中で新たに生じるストレーンとして位置付く
か、といった問題である。他の構成概念との排他性を示唆する研究[中谷・東條,1989、
Lawton et al,1989]は見られるものの、介護意識については、今後、更に検討の余地
があると思われる。

(4)ケアプロセスで生起する諸困難

 ケアを一つの役割と見なすならば、役割遂行により、ケア提供者自身の欲求が満たさ
れうる側面もあるだろう。「ケアすることは生きがい」「ケアを通じて何かうるものが
ある」といったケア提供者の言葉はこの側面を示している。一方、ケアは「(相手が自
立能力を欠くがゆえに)いったん開始されたならば、やめるにやめられない、あるいは
やめることが非常に難しいという特性」を有し、ケアの受け手の状態に応じて臨機応変
に対処しなければならない側面をもち、計画化や合理化や省力化といった戦略を取りに
くい[袖井,1995:228]傾向を持つものである。ケアすること自体、家族にとって、多大
な困難をもたらすものであることは否定しがたい。
 家族ケア研究の主要な課題は、「ケア状況に置かれた家族がどのような困難に直面す
るのか」を明らかにすることにあったといえる。従来の、家族ケア研究では、こうした
課題に対応すべく、「健康、心理的安寧、財政、社会生活、ケア提供者と要介護者との
人間関係などに関する諸問題」と定義づけられる負担概念[Zarit,1980:651]が中心概念
として位置付けられてきた(6)。しかし、ケア場面で生起する多様な問題をあまりに
も包括的に捉えすぎていたという問題は否めず、結果として、個々の問題の生起の特徴
(例えば、ケアを開始してからの時間経過のズレなど)や、どのような負担が最もスト
レス反応を引き起こしやすいのか、といったことについては明らかにされてこなかった
といえよう[Pearlin et al,1990:586-587]。
 ケア場面で生起する多様な問題を、包括的に把握せず、ある程度のディメンジョンに
区分するなどして把握した方が、ストレス反応をもたらしやすい問題のより個別的な特
定を可能にし、実践的貢献も高く、また、実際の家族が置かれたケア場面をよりリアル
に記述しうるという利点も考えられる。しかしながら、どのような基準をもって、ケア
状況下で生じる諸問題を、概念区分していくかが問題であろう。

(5)家族システムレベルの特性の看過

 ケアストレス研究を概観してみると、Hill[Hill et al:1949]を起源とする家族スト
レス論の枠組みに依拠する研究、Lazarusらの[Lazarus et al.1984]心理的ストレス論
に依拠する研究にほぼ大別される。前者は家族を社会システムとしてとらえ、システム
としての家族が、主として要介護者を抱えるという状況にたいしてどのように適応して
いるかが問題とされ、後者では「主たるケア提供者」「主介護者」「主世話人」と呼ば
れる、家族ケアにおけるキーパーソンの心理的ストレスに焦点があてられる。 
 近年では、家族ストレス論に依拠した研究が比較的乏しい中で、一方、理論面・実証
面における手堅さという利点から、心理的ストレスモデルに依拠した研究が増えている
といえる(7)。心理的ストレスモデルに依拠する研究では、家族ストレス論に見られ
た「凝集性」「適応性」[Olson et al,1979]など家族システム全体の特性を示す概念は
姿を消すこととなり、世帯類型や世帯人員など家族の構造的側面やライフステージ、家
族内の世話代替者の有無などが、統制変数や資源要因の指標として用いられているにす
ぎない。
 しかしながら、家族の情緒的統合性など、家族の全体的特性のケアストレスへの影響
の大きさの指摘[松岡,1993:111]もあり、今までの研究では、ケア提供者個人に還元で
きない家族の全体的特性が比較的看過されてきたという問題が指摘しうる。
 この問題に関しては、ケアの受け手-ケア提供者のダイアド関係に着目することで一
定の解決が可能と思われる。家族を一つの社会システムとして措定した場合、ケアの受
け手-ケア提供者のダイアド関係は、サブシステムと位置付けられる。この2者関係の
あり方に注目し、更に、他の家族成員とこの2者関係の連関を明らかにすることで、当
該関係の家族システムにおける位置を示すことができ、結果として、「家族の全体性」
に幾分かは、接近することができるのではないだろうか。また、この2者関係のあり方
が、ケアの受け手・ケア提供者双方の安寧に強い影響をもたらしているとの実証レベル
での指摘[Horwitz  et al,1996]や、ケアの受け手-ケア提供者のダイアド関係がケア
状況に与える影響を枠組みに取り入れた研究[Pallett et al,1990]も少なくない。そし
て、抽象度の高いシステム論に依拠し、家族全体を対象に理論化し、分析する場合と比
べ、ダイアド関係を基軸とした場合の方が、理論的実証的な検討の確かさが高い[前田
et al,1987]と思われる。

(6)介護状況の可変性の問題-「時間」概念導入の必要性

 ケアの受け手のニード・ケア提供者の状況・ケア提供がなされる文脈は、時間経過の
中で変容する。ケアは、時間経過の中で変化するプロセス[Elder et al,1996,278-279]
とし
て捉えることができ、近年では実査デザインにおいても、何時点かのパネルデータに基
づく調査研究が散見され[Aneshense et al,1993、清水,1992、南山,1996b]、ケアを動
態として把握する立場が重要視されている。
 もちろん、「時間」経過がケアプロセスにもたらす意味の多様性・複雑性には留意が
必要であろう[藤崎,1990:74]。まず、時間経過の中でケアを提供することは、"ストレ
スが急激に増加していくプロセス"[Pearlin:1993],"ストレスの累積"[Patterson et
al,1983:21-36]の過程である。また、ケア提供者にとって、ケアの経験の蓄積の過程で
もあり、ケアに関する技術・知識・自信の獲得をもたらすことなども考えられよう。
 調査上の留意点とし、特に2つの意味の「時間」経過を区別することが肝要である。
一つは、「要介護状況となった時点、つまり家族がケアを開始した時点からの経過」と
いう意味での「時間」経過である。この意味の時間経過においては、特にケアの受け手
の疾患・障害の種別による違いにも考慮が必要である。例えば、精神障害の場合、思春
期前後に発病し、その経過も長期化する傾向にあり、よって、「親」が長期に渡ってケ
アするケースが多いのに対し、要介護老人の場合、ライフコース後半での出来事であり
、精神障害に比べ、比較的、家族ケアがなされる時間が短く、「配偶者」「子(子の配
偶者)」がケアするケースが大半をしめるといった、ケアのあり方の相違が指摘しうる

 今一つは、パネル調査を実施する場合のインターバルという意味での「時間」経過で
ある。この意味での時間設定は、特に「どの程度の間をあけて継続調査を実施すること
で、ケアプロセスのどのような側面が明らかになるのか」といった焦点となる関心によ
って異なるといえる。

4.まとめ - 理論枠組みの再構成に向けて

 今日のケアストレス研究が抱える諸問題について検討を試みてきた。総括すれば、ケ
アの受け手を、単にケア提供者にとっての環境と見なすのではなく、如何に主体化し、
ケアの受け手とケア提供者の相互規定性を、どのようにして枠組みの射程に取り入れて
いくかが主要な課題となっているのである。さらに、そのような相互規定性が時間経過
の中でどのような変化を経験するのか、そして、ケア提供者一主体に還元し得ない創発
的特性に如何に接近可能であるかも大きな課題であると思われる。
 このような課題を満たす概念枠組みを構築していくために、ここで、重要なポイント
を示しておきたい。「病むこと」「障害をもつこと」自体、その個人に対して、何らか
の対応を要請するものであり、まさにストレッサーといえる。病者・障害者は、単にケ
アの受け手としてではなく、自らもストレッサーに対処する存在として位置づける事が
できよう。よって、ケア提供者/病者・障害者の2者関係は、単に「ケアする存在/ケア
される存在」という関係性を超えて、「同一のストレッサーに起因するストレス状況、
あるいはその発生の可能性に対し、個人および家族内外の諸資源を動員し対処」する存
在として表現される。つまり、ケア提供者は、「病者・障害者」となった家族成員をケ
アし、「病者・障害者」となった家族成員はセルフケアする存在としても位置づけられ
る。そして、ケアプロセスにおいて家族/病者・障害者個々にもたらされる結果である、
ストレスの表出は、家族/病者・障害者、双方の対処の複合的な結果として捉えられよう
。更に、ケアの受け手とケア提供者の2者関係が、他の家族成員とどのような関係にあ
り、2者間の相互規定性がどのような影響を受けているのかを明らかにしていくことで
、ケア提供者一主体を超えた家族の全体性に近づくことが出来るのではないかと思われ
る。そして、このようなケアプロセスに影響を与える家族外コンテクストとして、伝統
的家意識などの社会規範、病いや障害のイメージ、老人観・障害者観といった文化の存
在が措定されるだろう。
 以上の様な点が、重要な視点として考えられよう。しかしながら、前章で検討を試み
た課題の内、幾つかの課題に関しては、更に検討が必要である。
 まず、第一に、ケアプロセスの中で生じる諸困難をどのように概念化していくかであ
る。ケア提供者が直面する諸困難を整理する概念として「役割ストレーン」が有用であ
ろう。役割ストレーンとは「通常の社会的役割に従事する中で経験する困難、挑戦、そ
して葛藤あるいはその他の問題」[Pearlin,1983:8]を示す。役割ストレーンは、期待さ
れる遂行課題が役割を担う個人の能力を超えた状況を示す「役割過重」、妻と夫・親と
子などといった相補的な役割セットの関係にある2者間で生じる問題、複数の役割から
期待される遂行課題が両立し難い状況を示す「役割葛藤」、個人が役割の不本意な義務
者となっている状況を示す「役割拘束」、役割セットにおける「役割の再構造化」など
、更に幾つかのディメンジョンに再区分されている[Pearlin,1989:245-246]。役割スト
レーンに着目することで「人々の活動、関係、経験を広く構造化するコンテクストと人
々の安寧との関連をより明確にする」[Pearlin,1989:245]ことができ、ケア提供者が直
面する諸困難を整理する概念として有用であろう。しかし、ケアの受け手自身が、ケア
プロセスの中で受けている諸困難をどのように把握すべきかという点についても、今後
、検討をしていく必要があるだろう。今、一つは、ケアを経時的なプロセスと考えた場
合、ケアの受け手・ケア提供者個々にもたらされたストレスの表れが、ケアの受け手・
ケア提供者個々の何にフィードバックされるかが問題といえ、この点についても、検討
が必要である。
 以上、本稿では、ケアストレス研究が抱えている問題を整理し、取り組むべき課題を
提示した。そして、理論枠組みを再構成していくにあたっての視点を示すことも出来た
が、こうした検討に基づいた理論枠組みの提示までには至らなかった。本稿で試みた理
論検討をもとに理論枠組みの構築を進めていくとともに、再構成された枠組みに対する
実証レベルでの検証が、今後の課題となる。また、本稿では、要介護老人・精神障害者
家族の場合、双方をまとめて論及したが、検討の結果、幾つかの点で、両者間に相違点
があることも明らかになった。今後は、更に、疾患・障害の種別によるケアプロセスの
違いを整理し、個々の疾患・障害の特性に応じたケアストレスモデルを構築していく必
要があると思われる。
<注>
(1)ストレーンとは「日常生活上、人々が直面する、比較的永続する問題・葛藤・脅威」
と定  義され、急性的・突発的なライフイベントと区別される。また、あえて、その特
性を強 調するために、chronic strain(「慢性的ストレーン」)という場合もある
[Pearlin, 1989:245]。
(2)老人介護研究の先駆的存在であるZaritは、ケアストレス研究は、洗練された多変量
モ  デルにもとづく検証によって、ケア提供に関わるストレスについて詳細な理解を
可能に してきたと評価しつつも、未解決な問題として、実査上・分析上の問題を中心
に以下の ような問題をあげている[Zarit,1980:147-148]。
 @モデルがより洗練され多要因化することにより、データの分析は、多変量解析を使
用 することになる。よって、設定されたモデルを十分に検証するには、サンプル規
模を 大きくする必要があること。
 Aほとんどの研究は、専ら、ケア提供者による自己報告によっていること。  
 B要因間の因果関係を特定するためにも、時間の統制が必要であること。
(3)本論は、老人・精神障害者が家族に「依存」することを全否定するものではない。
他者 へのある一定の「依存」は、病気の治療や疾患・障害の程度に応じたリハビリテ
ーショ ンプログラムにとって重要な基盤となるものである。アルコール依存症研究に
おいても、 正確な「依存」理解の重要性が指摘されている[清水,1992:202-203]。ま
た、近年では、 多くの精神障害者研究が、精神障害者を家族に一方的に依存し、相互
的な社会関係を営 めない存在として位置付けてきたことを強く批判する研究[Horwit
z et al,1996:151]も 散見される。
(4)清水が、アルコール依存症研究において、フロイトの疾病利得(sickness gain)とパ
ー ソンズの病者役割(the sick role)概念を用い、病気の社会的側面についての整理
を行 っているので参照されたい[清水,1992:195-203]。
(5)福祉国家が、女性を「ケアを担うべき存在」として社会的に位置づけ、女性の犠牲
を背  景に、男性を中心とした資本社会を成立・存続させるシステムとして機能してき
たとい  う批判 [クリストファー・ピアソン、田中 浩・神谷直樹訳,1996『曲がり角に
きた福祉 国家-福祉の新政治経済学』未来社:133-155]を取り上げるまでもなく、と
りわけ、ジェ ンダーが強力な決定要因といえ、今日においても、女性がケアを中心
的に担う可能性は 未だ高いと言わざるをえない。
(6)今日では「客観的負担」「主観的負担」に区分する研究[Worcester,1990]が行われ
てお  り、精神障害者家族を対象とした研究においても、ほぼ同様の動向が概観され
る。しか し、こうした区分自体にも問題があることを既に筆者は指摘した[南山,19
95]。
(7)家族ストレス論に対する理論的・実証的問題の提起[Klein:1983, Walker:1985, 藤
崎: 1985, 石原:1987, 稲葉:1989, 清水:1989]に対し、認知要因に焦点をあてた理論
的実証 的研究[前田・大島・石原:1987]、個人レベルと家族レベルのストレスを区別
した理論 実証研究[稲葉:1990]、家族ストレス論の結果変数である家族適応の理論的
リファイン をはかる研究[清水:1989]などが示された。しかし、今日、これらの理論
検討に基づき、 家族ストレス論の立場から、システム全体を対象とした、理論的・
実証的な家族ケア研 究は乏しい状況にある。
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