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大友 芳恵

おおとも よしえ


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last update:20210220


■論文

◆大友芳恵,2019,「ディーセント・ワークの再考」(特集:「半福祉・半就労」を考える)『社会政策』11(1) :68-73.
p. 69
【ディーセント・ワーク推進に向けての日本の20年間の取り組み】1999年の第87回ILO総会において「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」がILO活動の主目標に位置づけられて以降、日本は民主党政権に移行しての2007年に、官民トップ会議の合意により「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」が策定され、「多様な働き方の模索」の項目において、「ディーセント・ワークの推進は、就業を促進し、自立支援にもつなげるという観点からも必要である」と盛り込まれた。ディーセント・ワークに関する具体的な政策提示はこれが初めてであった。2008年ILOの97回総会においては、ディーセント・ワーク実現のための4つの戦略目標が提示されている。重要なのは単なる仕事の創出にとどまらず職場環境や社旗保障の充実といった社会的保護の拡充であり、労働者の権利の保障、尊重であり、それにかかわる対話の促進であることが示された。

p. 71
その後、2012年7月31日の閣議決定で示された「日本再生戦略」のなかで「ディーセント・ワーク」の実現という文言が明文化されている。しかし、主眼は経済の活性化であることがみてとれる。また、2016年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」を見ると、最大のチャレンジは働き方改革であり、「全員参加型の社会は単なる社会政策ではなく、究極の成長戦略である」とし、労働参加率向上やイノベーションの創出が図られることを通じて経済成長が加速することを目標としている。つまり、経済成長のためにすべての人を包摂する社会を目指すということである。近年の政策の主張の骨子に、さまざまな困難状況にある人々の就労をサポートするのは日本経済の成長のためであるという論理がみて取れる。社会成員一人ひとりの労働権の保障としてのディーセント・ワークの理念は形骸化し、文言のみが盛り込まれているものの、実際の具現化に向けての理念も方策もみえにくくなっているのではないだろうか。



*作成:伊東香純
UP:20210220 REV:
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