李 省翰
い そんはん
last update:20210213
■論文
◆李省翰,2020,「社会的企業による地域福祉事業所の経営モデル開発に関する研究――韓国社会的企業の類型分類と事例分析を中心に」日本福祉大学大学院『福祉社会開発研究』第15号:63-75.
p.
本研究は, 社会的企業の経営方式を通して地域福祉事業所の経営モデルを開発することを目的としている.(これまで地域福祉事業所は, 事業範囲が地域に限定されており, その利用者も地域住民に定められていた. このような地域福祉事業所の課題には, 経営戦略や経営マインド, もしくは地域資源や住民のニーズを基盤とした経営モデルの不在が大きな要因としてみられた. このような課題を中心に, 本研究では社会的企業を地域福祉事業に活用する国のなかで, 日本と類似している韓国の事例を4 つの経営モデル(住民参加群, 非営利組織群, 公益企業群, 協同組合群) に分類し, 5 つの経営機能(市場性, 地域性, 雇用創出, 福祉機能, 持続可能性) を取り上げ, 25 項目の半構造化面接項目を抽出した.半構造化面接項目によって分析した結果, 非営利組織群と公益企業群は, 5 つの機能が全般的に強い傾向(3 点以上) にあり, 福祉機能と地域性が強い傾向にあったので, 地域福祉事業所として経営可能なモデルであることが分析された. また, 「公益企業群」の以外には, 全般的に市場性が弱いことが分析され, 大きく経営計画と管理, 収益の効果的な分配, 地域資源を開発し, 市場性を強化するマネジメント手法と福祉サービスの質の向上, 相談と雇用支援プログラム開発, 雇用に関するニーズ把握及び対象者を発掘する福祉機能と地域性を高めるソーシャルワークによるマネジメント手法が求められることを明らかにした.
p. 75
最後に, 本研究は, 5 つ経営機能や4 つの経営主体を一般化することではなく, 経営モデルの開発可能性を検討することであった. 4 つの経営主体は, あくまで韓国で地域福祉事業を行う社会的企業の経営主体の共通点を単純に分類した結果であり, 経営モデルとしての妥当性は低いものである. このような経営モデルが成り立つためには, より信頼度が高い分析結果を得ることが求められており, 多くの事例分析や面接調査のケースが必要であり, 尺度や変数の妥当性を高めることも必要がある.
*作成:伊東香純