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藤井 克典

ふじい かつのり


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last update:20210212


■著書


■論文

◆藤井克徳・平野方紹・大塚淳子・古屋龍太,2018,「働くことの意義と支援を問う――就労支援の商業化の中で(特集:働くことの意義と支援を問う)」『精神医療』91:12-40.
p. 13
【古屋】実際に働くことは難しくても、障害サービス報酬をそのまま横流しするような形で、ご本人たちに賃金を提供してやっているブラックな事業所の存在は、かなり早くから指摘されていて、それに対していよいよ厚生労働省も歯止めを打ち出したので、あちこちで資金が回らなくなって破綻してきたという経緯があります。〔中略〕障害者福祉に持ち込まれた新自由主義的な政策の流れが営利企業の参入を招き、ブラックな現場を生み、営利追及の傾向が加速している現状があります。今年(2018年)4月からの障害報酬の改定についても、より鮮明に自立支援/就労支援といった方向がはっきりしてきています。B型事業所を中心にあちこちの現場から、今の報酬では人員をカットせざるを得ないとか、現場での当事者とかかわる時間にゆとりが無くかかわりが薄くなっているという嘆きや、このままでは事業所を維持できないという悲鳴が聞こえてきます。

p. 17
【平野】自立支援法も障害者総合支援法も、「自立」を「経済的な自立」、つまり障害者が働いて稼ぐ、自活することと定義して、限定してしまったことで、社会一般の自立と障害者の「自立」が同じになったので、民間企業の参入が可能になったのです。しかし、自立を同じように議論することは障害者にとって無理があります。また、障害者を、経済的に「自立できる」障害者と、生活介護に代表される「自立できない」障害者に分断してしまったという大きな問題があります。

pp. 22, 25, 32
【古屋】企業が参入してきて、いわば就労支援が商業化してきている(p.22)。それによって、障害報酬を活用し売上をとにかく重視していく流れができてきている。【藤井】働くという行為は、人間の最も本源的な行為の一つです。働くことの動機や意義は、それこそ研究し尽されています。一つは、生活の糧を得ることです。所得を得たいということです。二つ目は、自己実現です。必ずしもお金だけでなく、働くことに生きがいややりがいを見出したいという考えです。三つ目は、社会と繋がりたいという欲求です。社会連帯とも言います。しかし、この間の自立支援法以降の流れを見ていると、労働を型にはめていくような感じがしてならない(p.22)。先にも言いましたように、労働は、人間の本源的な営みであり、本来は解放されるべき行為です。障害のある人は、本来の労働の中で、自分を見つけたり、自信を回復するのではないでしょうか。「基準」に追われたり、せちがらさの毎日では、本来の労働とは遠ざかってしまうのではないでしょうか。平均工賃や出勤日数で、障害の重い人が肩身の狭い思いをすることは避けなければなりません(p.25)。「障害はあっても働けて良かった」「働く場での仲間やスタッフに支えられている、働くことを通して人とのつながりができた」「仕事の力はそれほどないけれど、再発の防止につながっているような気がする」などは、働く場で得られる重要な要素かと思います。一般就労に移行できることも重要です。しかし、これを急進的に追求するあまり、状態が悪くなっては元も子もありません。一人ひとりの生きがいややりがい、生きる力につながるようなものでなければと思います(p.32)。




*作成:伊東香純
UP:20210212 REV:
精神障害/精神医療 障害者と労働  ◇障害学  ◇WHO
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