人々の経験を集積して考察することで、
たとえば、人工透析は今では、誰でも比較的気軽に受けられる治療ですが、六〇年代末に人工透析が始まったころはあまりの治療代の高さに田畑を売り払ってそれでも亡くなる人もかった。その医療費の自己負担を抑えることができたそういう歴史が日本にあります(有吉玲子『腎臓病と人工透析の現代史』、生活書院)。それを知ることは、医療費の高騰、自己負担が言われる今、そしてこれからを考える上うえで有益だと思います。著者の有吉さんは京都の透析のクリニックで長年働いてきている看護師で、先端研で博士号とった人です。
また、ずっと京都大学で生体肝移植に携わってきた医療関係者が先端研の修了者(現在はセンターの客員研究員)にいますが、生体肝移植とは何なのか、あるいは家族間での移植が家族関係に及ぼす影響についてなどをまとめようとしています(一宮茂子、岩波書店より近刊)。そういった情報は今まで資料あるいは研究として蓄積されてきていません。