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「経営」という問題

立岩 真也 1998.01.18
旭児童育成クラブ(松本市)



※今の学童保育のあり方を前提するなら
 親(が二人の場合は二人とも)がフルタイムの(あるいはそれに近い)仕事をし
ていること,かつ,核家族であること。こういう人が一定数以上いること。この方
向に変わらないと学童保育を必要とする人は増えず,経営面の根本的な解決はなか
なか難しい。
 共働き&核家族が多い地域もあるだろう(特に都市の郊外,新興住宅地…)が,
そうはなかなかならない地域もある(どちらかと言えば,旧市街である私達のとこ
ろもそう)。
 男も女も働くというこの当然の方向になかなかいかない,それでうまい具合にい
かない,そういう地域でどうやっていくか,ということになる(ならざるをえない)。

※親がかける金銭的なあるいは時間的なコストと受ける利益。このことをどこかで
冷静に考えた方がよい(考えざるをえない)。
 毎日夕方まで働いている(&子どもが低学年である)親が受ける利益は大きいが,
そうでない親にとっては学童保育から得られる利益は相対的に小さい。両方の人が
いることを(そして現状では,前者の親がそう多くない地域があることを)考えて
いくしかない。
 負担について。金銭的な負担のこと(どの辺りが妥当な線なのか)も重要だが,
時間的な負担のことも。父母会の活動への参加も少なくとも一面では負担であり,
すべての親に積極的な参加を求めるのには無理があると考えるべきだろうし,この
ことをある程度前提して運営を考えていく必要があるだろう。(実際,このことか
ら,学童クラブへの入会をためらう,あるいは児童館を選ぶ親はいる。)

※公的支援の拡大は,私達もこれを求めているけれども,そう簡単でないと考えら
れる。
 一つ,「受益者負担」という主張――これは相当に強力な主張である――に対し
て何を言えるのかが問題である。
 もう一つ,利用者=受益者の(可能性としての)幅を拡大することによって対応
するという方向が考えられる。受益者が十分多くなれば,「受益者負担」の論理自
体を否定せずとも,公的支援を正当化しうる――みんなで(つまり税金で)払って
みんなで利用するということである。このことは(最初に述べた方向――すなわち
家の外で夕方まで働く親が多数派になるという方向――に現実がなかなかいかない
のだとすると),学童保育を,共働きの親のニーズに対応するだけでないものにす
ることを意味する。


 以上を踏まえた上で
 学童保育を利用する人を増やすか。一人当たりの負担を増やすか。もちろん両方
を追求しながら,両方のバランスをどうとっていくか。
 …とにかく,親の一人一人が経営者であり負担者であることを,親の一人一人も,
またその一部でもある役員も,わかって,考えにいれて,やっていくこと。…

 お金のこと
 α積極的に利用する人の場合,値上げを考えるべきかもしれない。(現在は低学
年1か月11000円,高学年9000円――ただ,これで結局足りず,今月(だ
け)5000円の追加負担を求めることにした。)
 βまた,部分的な,一時的な利用の拡大。私達のクラブの場合,日割計算での支
払いシステムがすでにある(1日1200円)が,この辺りの工夫がもっと必要に
なってくるかもしれない。フルタイムで働いているのでない親のニーズにも応える
こと。
 この場合,子どもの出入りの流動性が高まり,クラブのスタッフとしては扱いづ
らいという問題が指摘されている。誰でもどうぞという感じで門戸を広げると,結
局残る子が少ない,にもかかわらずスタッフの負担は大きい。しかし,この理由に
よってこの方向を断念するなら,継続参加が確実な少数の親により大きな負担を求
めるしかない→α(こうして負担が増えることによって,加入者が減る心配も語ら
れており,この辺の兼合いが難しい)。αだけで行かない(行けない)とすれば,
こちらも考えるしかないかもしれない(公的支援との兼合いもある)。予算が読み
切れないという問題はあるが,入会金にあたる部分を少し高めにして少しでも安定
の方向に向けていく策もなくはない――が,それで入会者が減ったらという心配も
ある。

 時間的な負担
 積極的になれない親がいるということは前提として認めるべきだろう。
 1)それでなおかつ,親も時間を費やすとするなら,一つは,その活動自体が負担
でないものである場合だろう。
 2)資金稼ぎのための活動をどこまでやるか。これは時間的な負担と金銭的な負担
との兼ね合いの問題でもある。私達は今年度,資金難という状況下で,お金を得る
ための活動をかなり行ってきたし,実際,例年に比べて多くのお金を得てきた――
資金難を解消するほどのものにはならなかったが。これは各自のお金による負担を
そう増やさないとすればやむをえない。来年度もそうなるだろう。そしてこの活動
は負担なだけの活動でもない。おもしろい面もある。(活動に参加しない親はいる。
ただ,学童保育により大きな恩恵を感じている親は積極的に参加し,そうでない
(と感じている)親はそうでないとすれば,それはそれでよいのかもしれない。た
だ,不公平も生じうるのだから,時間を負担できない人には金銭的に負担してもら
うという策はありうる――今のところ行ってはいないが。)
 3)特に会議等への参加。内部の運営に関する会議はもちろん必要であるとして,
それ以外はどこまで必要であるのか。検討してもよいと思う。(このように言うこ
とには,昼だけでなく夜の時間も仕事の時間であり,休日はたまった家事を片付け
るという日常を送っている報告者の個人的な事情も関わってはいるかもしれない。
とは言っても,報告者一人のことではない。そのように感じている人はかなりいる。)

 人数のこと
 とりあえず現在やれることとしては,保育園の行事の際,小学校の入学前の行事
の際等に,学童保育のことを宣伝すること,今学童保育を利用している親に,知り
合いに声をかけてもらうようにする,といったところ。


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