『当事者主動サービスで学ぶピアサポート』
飯野雄治・ピアスタッフネットワーク著
クリエイツかもがわ 233ページ 3,300円+税
■飯野雄治・ピアスタッフネットワーク 2019 『当事者主動サービスで学ぶピアサポート』クリエイツかもがわ,233p. ISBN-10:4863422490 ISBN-13:978-4863422490 [amazon]/[kinokuniya].
■内容
AmazonHPより
アメリカ合衆国の厚生労働省・精神障害部局(SAMHA)が作成したプログラムを日本の制度や現状に沿うよう加筆・編集。ピアサポートを体系的に学ぶプログラム。
■目次
1 当事者主動サービス入門―Evidenceに基づいたピアサポート
(ピアサポートやセルフヘルプ活動について;当事者主動サービスの開発;各領域の概要と演習の例)
2 当事者主動サービスの人材育成用テキスト
(信念体系;環境;ピアサポート;学び;リーダーシップ;アドボカシー)
3 当事者主動サービスのエビデンス
(当事者主動サービス開発の歴史;当事者主動サービスにできること;共通要素;当事者主動サービスの原則と考え方;当事者主動サービスの参加者;当事者主動サービス実施の典型例;当事者主動サービスのエビデンスの確立;エビデンスに基づいたサービスへ)
■言及
■書評・紹介
■引用
p. 178
メンタルヘルスの新自由委員会最終報告書の達成目標:アメリカの精神保健改革(2003)には、次のように書かれています。「リカバリー志向のサービスや援助をうまく提供してきた人の多くは、当事者運営機関のコンシューマー(いわゆる当事者のこと)たちでした。研究で示されたように、当事者主動サービスやコンシューマープロバイダーはピアサポートを普及させ、一般的な精神保健サービスを利用している人と接点をもち(いわゆるピアスタッフのこと)、精神障害のリカバリーの道を歩む人として、サービスの提供に貢献できます」(p.37)。当事者主動サービスは、「精神保健のコンシューマーにより管理運営され、運営方法としてセルフヘルプが尊重されているプログラムやサービス」(アメリカ合衆国保健福祉省 1998)と定義されています。
p. 181
【ピアサポートの遺産】1960年代後半に一部の元患者たちが治療的な目標を達成するため、急進的なセラピスト集団に合流します。そして、立場の違いから2つのグループに分かれます。専門職との協働派と、オルタナティブの創造派という2つのグループです。
p. 215
1993年に米国精神保健センターは全米の当事者のリーダーたちから成る選抜チームが提供するプログラムに予算をつけ、サービス利用者の視点から治療の価値を評価する仕組みを開始しました。この選抜チームは、精神保健プログラムに最も関係が深いアウトカムとして、リカバリー、人間性、幸福感、選択を選びました(Trochim, Dumont & Cambell 1993)。米国精神保健センターの選抜チームはと全米精神保健統計改善プログラム(MHSIP)の当事者指向報告書では、プログラム効果を測定するにあたっての重要な要素のひとつに「当事者の価値観」を採用しました(Teagu, Ganju, Hornik, Johnson & McKinney 1997)。精神保健の専門家たちと対話をしながら当事者たちは、リカバリーやエンパワメントの測定の追加、ピアサポート研究への予算追加、研究プロセスへの当事者の加入を求めました(Campbell & Johnson 1995; Loder & Glover 1992)。ニューヨークでは専門職と当事者によりフォーラムが開催され、考え方の変革、リカバリーに向けたビジョンの共有、治療関係はより協働的になる方法が検討されました(Blanch、Fisher, Tucker, Wash,& Chassman 1993)。
pp. 216-217
精神保健分野で、入院させられていた人の経験や視点が価値あるものとして認識されていくにつれて、精神保健サービスの受け手の役割は、サービスのデザイン、供給、調査研究のパートナーとして見直されるに至りました(Campbell 1996; McCabe & Uzicker 1995; NASMHPD 1989)。〔中略〕精神保健サービスに当事者が関わることは法で義務づけられ、国や州の計画で積極的に推進されています(Parrish 1989; National Institute of Maental Health 1991)。最も有名なのは米国精神保健センターの地域サポートプログラムが14のプロジェクトに資金を提供し、1988年〜1991年に当事者主動サービスを導入・評価したことです。プロジェクトには、ドロップインセンター、アウトリーチプログラム、企業、雇用及び居住プログラム、クライシス対応サービスが参加しました(Van Tosh & del Vecchio 2001; Long & Van Tosh 1988。包括補助金や実証研究等への国庫補助等の国や州の援助により、当事者主動サービスの数は1990年代に拡大し、さまざまなタイプの当事者主動サービスが提供されるようになりました(Campbell & leaver 2003)。当事者のアドボケイトたちは、セルフヘルプの原則としてエンパワメントを採用するため、当事者主動サービスの評価にはエンパワメントを測定することとしました(Rogers, Chamberlin, Ellison & Crean 1997; Segal, Silverman & Temkin 1995b)(p.216)。当事者主動サービス多機関で、当事者主動サービス要素とポジティブ心理学尺度との相関(Campbell et al. 2006)が確認されました(p.217)。
*作成:伊東香純