p. 173
1950年に精神医療に関わる総合的な法律として、措置入院や同意入院など新しい制度を多数実装していた精神衛生法が成立した。一方で、図21に示されているように、1950年代の入院は、新しく導入された特別法での医療費支払(措置入院)の運用はわずかなものにとどまり、生活保護法(公的扶助)での入院が最多となっていた。〔中略〕強調されるべきと思われるのは、1961年に国民皆保険が達成されたにもかかわらず、その1960年代を含め、1977年になるまで精神科入院で最も多かったのは、社会保険での患者ではなく、生活保護法による入院患者だったことである。
p. 178
後藤基行は、精神病床入院の機能を「社会防衛型」「治療型」「社会福祉型」の3類型に大別し、それぞれ「特別法(措置入院)」「私費・社会保険」「公的扶助(生活保護法)」という医療費支払い区分に操作的に対応させて、社会的入院が減少しない要因を次のように分析している。家族の同意による医療保護入院制度、生活保護法での医療費支払い免除、民間病院の営利目的、といった各要因が相まって社会福祉型の入院の拡大と長期化を招いたと述べている。