『なくそう! 官製ワーキングプア』
官製ワーキングプア研究会編 20100515 日本評論社,211p.
last update:20110520
■官製ワーキングプア研究会編 20100515 『なくそう! 官製ワーキングプア』,日本評論社,211p. ISBN-10: 4535556334 ISBN-13: 978-4535556331 1600+税 [amazon]/[kinokuniya] ※ w0107 w0114 w0119 w0120
■内容
◆帯文
「国・自治体がワーキングプアつくってどーすんだ!? 「公」の世界がまるごと劣化している。それは、実態とかけ離れた美辞麗句の下、あまりにも安直・性急に「安上がり」を追求してきた結果だ。「公」は官だけが担うわけではない。「公」の担い手としての、また「公」の受け手としての民の生活も劣化していく。「公」を壊しても、私たちの生活はよくならない。私たちはもう、そのことに気づくべきだ。」湯浅 誠
◆内容紹介
公務・公共サービスにおける「貧困」を現場実態の紹介を通して明かにし、解決へ向けての提言を行う。
■目次
第1部 作られたワーキングプア
第1章 雇い止めと闘う非正規公務員
第2章 「常勤的非常勤」の怪――アンケート調査から
第3章 「恒常的臨時職員」の怪br>
第4章 解雇と闘い職場復帰を勝ち取る――中野区非常勤保育士解雇事件
第5章 非正規当事者からの声
第2部 公共サービスの貧困
第6章 利用者、住民の安全はどこへ?――ふじみ野市営プール事故から
第7章 入札で際限のないダンピング競争
第8章 労働者の命を奪う――下請け、孫受けの労災事故
第9章 サービスを向上させる条件に欠ける公共施設
第10章 指定管理者でサービスは向上するのか
第3部 官製ワーキングプアからの脱却
第11章 なぜアウトソーシングと直雇用非正規は拡大したのか?
第12章 重要情報満載!〇八年総務省「臨時・非常勤(全国)調査」を東京から検証する
第13章 国情研裁判から見通す訴訟の力と新しい運動
第14章 東村山市退職金訴訟判決を活用する
第15章 労組の闘い
第16章 何よりも安定した雇用を!――ILO条約を活用する
第17章 公共サービスの貧困からの脱却――公契約制度の活用と限界
■引用
■書評・紹介
◆紹介:村上 潔
「優遇されすぎ」とバッシングに晒される「公務員」の「裏側」を鋭く的確に問題化した、「官製ワーキングプア」というひとつの造語。いまいちピンとこない、というかたはぜひこの一冊を。公務職場で働く非正規当事者の実情とその声、闘いの軌跡をくわしく紹介し、問題の所在をきわめて具体的に指摘している。ここでは印象に残る当事者の声を抜粋しておこう(「小川さん」はユニオンエクスタシーの小川さん)。
――「おかしな終わり方にしたくない。今、茨城県でも『有期五年雇用』で非正規職員を次々と雇い止めにしようとしていますが、私が争うことで、雇い止めへの抑止力になるはずです」〔岩澤さん〕(p.8)/「大学人事企画課は、僕たちの仕事が『補助的だから問題ない』と主張します。でも補助的かどうかは関係ない。仕事は仕事。その収入で生きている。『使い捨て』は本当に許せない」〔小川さん〕(p.10)/「自治体は『財源がない』との理由で正職員も非正規職員も減らしています。でも、それで、やっと仕事を覚えた人が次々と辞めて新しい人が入れ替わりに入るのでは、相談の質が保てません。専門知識と経験の積み重ねができる職場を守りたい。まず有期五年雇用を撤廃させたい」〔玉城さん〕(pp.17-18)/「私たちはただ安心して働き続けたいんです。給与が安くとも、子どもを養うシングルマザーもいれば親を支える人もいます。それをわずか五年で雇い止めにするのは納得いきません」〔神田さん〕(p.18)/「私たちは人件費ではなく物件費で賄われるので、事業年度の予算しだいでは、年限を残していても雇い止めはあります。年度末になると『次年度の雇用は大丈夫か?』と毎月ビクビクしながら仕事をしています。法的に何の根拠もなく、五年でクビを切られては、安定した生活が守れません」〔山本さん〕(pp.19-20)/「なぜ私が辞めなければならないのか。そんな思いで辞めた人が何百人もいる。そんな非常勤の多くは女性です。大黒柱で働く人もいる。私は女性問題としても伝えたいんです」〔神田さん〕(p.22)/「雇い止めの理由が『二〇年以上働いているから』は納得できません。そんな理由で解雇される正職員は一人もいないのです。加えて、三、四年で異動を繰り返す正職員と違い、一つの部署で二〇年以上も経験を蓄積してきた職員は市の宝です。なぜ雇い止めが行なわれるのでしょうか」〔太上さん〕(p.27)
本書の最後に挙げられている「解決する道」――「任期の定めのない一般職短時間公務員制度の実現、非正規公務員へのパート労働法の適用、公契約条例の制定、ILOの各条約批准などの大きな目標に向かって、労組による改善運動や訴訟などを積み重ねていく」(pp.201-202)――をぜひとも共有したい。
■言及
*作成:村上 潔