『障害者の可能性を拡げるコンピュータ――electoronic equalizerがもたらす新しい世界』
浅野 史郎 編/高松 鶴吉・太田 茂 著 19900401 中央法規出版,203p.
last update:20100721
■浅野 史郎 編/高松 鶴吉・太田 茂 著 19900401 『障害者の可能性を拡げるコンピュータ――electoronic equalizerがもたらす新しい世界』,中央法規出版,203p. ISBN-10: 4805807067 ISBN-13: 978-4805807064 2000 JPY [amazon]/[kinokuniya] ※ c07 c071990
■内容
■目次
I 障害を持つ人々とハイテク
1 はじめに
2 私自身の小経験
3 専用品として
4 マイナスの顔とプラスの顔
5 終わりに
II 家庭や職場におけるコンピュータ
1 コンピュータはどんなことに役立つか
2 コンピュータの仕組み
3 情報の入力
4 情報の記憶
5 情報の出力
6 情報の伝達
7 情報の処理
III 障害者とコンピュータ
1 アクセシビリティの実現方法
2 視覚障害者対策
3 肢体不自由者対策
4 聴覚・言語障害者対策
IV コンピュータを我がものとした先駆者たち
面接者自己紹介 太田 茂 (福祉システム研究会代表)
1 自分に必要な道具は自分で作る
齋藤正夫さん (前田整形外科)
吉村隆樹さん ((株)九州微生物研究所)
2 盲人用ワープロの完成にかける
長谷川貞夫さん (筑波大学付属盲学校)
有光 勲さん (高知県盲学校) / 太田博志さん ((株)高知システム開発)
北川紀幸さん (元高知県立盲学校)
3 点字へのこだわりを形にして
高村明良さん (筑波大学付属盲学校)
星加恒夫さん (ニュー・ブレイル・システム)
4 手が足らないなんて贅沢だ
清水広伸さん (吉備ワークホーム)
宮崎豊和さん ((株)ビー・オー・シー)
繋 周作さん (岩崎技研工業(株))
5 手は口ほどにものをいい
若林泰志さん ((株)データムシステム)
6 企業で活躍する視覚障害を持つプログラマ
池田敬一さん ((株)富士通東北海道システムエンジニアリング)
石田 透さん ((株)千葉電子計算センター)
7 コミュニケーションの手段としてコンピュータを活用する
山本泰範さん (元電電公社)
西川謙弥さん (国立療養所新潟病院)
8 仕事は与えられるものではなく,自分で作り出すもの
あるパイオニアの苦悩
竹田 保さん (北海道オフィスプロダクツ)
9 可能性を拡げる人たち
内山幹男さん (フリーの電子技術者)
小山智史さん (弘前大学教育学部助教授)
野原政雄さん (元NHK福祉番組担当チーフディレクター)
川上博久さん (大阪府立身体障害者福祉センター)
中邑賢龍さん (香川大学教育学部助教授)
V 教育訓練機器としてのコンピュータ
1 視覚障害者向け施設
鳥取県立鳥取盲学校
社会福祉法人 日本ライトハウス 職業・訓練センター
社会福祉法人 日本盲人職能開発センター
2 肢体不自由者向け施設
北九州市立養護学校
東京都立府中養護学校
財団法人 肢体不自由者職能開発センター
トーコロ情報処理センター
大阪市職業リハビリテーションセンター
3 聴覚障害者向け施設
兵庫県立こばと聾学校
筑波大学附属聾学校
4 その他の施設
国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所
国立職業リハビリテーションセンター
VI 海外の動向,そして日本での取り組みは
1 米国リハビリテーション法508条とその背景
2 米国の現状
3 欧州の現状
4 日本の進む道
☆座談会 「情報化社会における障害者の可能性,果たすべき役割について」
司会 浅野 史郎
出席者 高松鶴吉 / 野原政雄 / 太田 茂 / 長谷川貞夫
付属資料
資料1 米国リハビリテーション法508条
資料2 米国連邦情報資源管理令公報第56号概要
資料3 情報処理機器アクセシビリティ指針(暫定案) 抜粋
■引用
I-5
「新しいハイテク製品ははからずも障害人を排除する。だが時にはそのままで福音ともなる。しかも障害人を排除している汎用器でも,片手でも使える機能をちょっと追加したら,片手使用者が楽に使用できる機器となる。目が不自由でも耳が不自由でも,不自由なく使えるコンピュータもできる。汎用 5>>6 器にわずかな機能を追加するだけで,多くの障害人が使用可能となる。
さらに一歩進み,ハイテクを積極的に専用器として開発していくことも望まれている。コンピュータは「外脳」なので,とにかくはまずコミュニケーション補助器という専用器を育ててほしい。
老人はすなわち障害人ではないが,それでも老えばワープロやパソコンは使いにくくなる。障害は持たぬからと無関心な方も,いつかはその仲間になる。私は無関係と思っていてもやがては老いる。それに病気や事故もある。
失語症となって話せず,運動まひで字が書けず,目はかすむは耳も遠くなってしまう。もしもこんな状態になったら,まずはコミュニケーション(人と心を通じ合わす)が不自由になり,苛立ちが募る。そしてやがて絶望,孤立して偏屈となり,果ては痴呆と誤解され,そのうち本物にもなっていく。
私たちがそのような状況に陥れば,コミュニケーション補助器を必死で求めるだろう。明日の私たちの求めを今,この時に叫んでいる人々がいるはずだ。
ハイテクの女神を身近な味方と思いたいのである。」(5-6)
III-1 アクセシビリティの実現方法
「コンピュータを利用することを,アクセスするという。アクセシビリティとは,コンピュータなどの電子機器を使いやすくする配慮のことである。
アクセシビリティを具備した機器やソフトを使えば,体の不自由な人が、コンピュータにアクセスする際の不利益,つまりは,健常者との差を減少できる。こうした製品をエレクトロニック・イコライザ (Electronic equalizer) と呼ぶ本書では、単にイコライザという。」(38)
VI-1 米国リハビリテーション法508条とその背景
「1986年連邦議会は,リハ法に第508条「電子機器アクセシビリティ」条項を追加することを承認した。この条項は資料1の訳文でお分かりのように短いもので,趣旨は「障害を持つ個人が,特別な周辺機器を使ってでも,電子(事務)機器が利用できるよう保証せよ」というものである。この法律は,この趣旨を実現するための指針を作成し,それに基づいて電子事務機器を調達(購入とリース)するよう連邦政府に命じている。この文面から分かるように,この条項で恩恵を受けるのは連邦政府職員だけである。
電子(事務)機器アクセシビリティという言葉は508条の表題 Electoric (Office) Equipment Accessibility の訳語である。長すぎるせいか Office という言葉は通常省略されているが,本来は電子技術を利用した事務機 [ママ] 全般を指す言葉で,複写機やFAX,電話機などを含むが,指針ではコンピュータ関連機器だけに限定されたようで残念である。アクセシビリティとは,これらの機器を”使いやすくする仕組み”のことである。
電子機器アクセシビリティに関する活動は1980年代から全米各地で散発的に始まり,次第に全国規模となり,リハ法508条として実を結んだ。教育省と連邦調達庁 (General Services Adimistration) ; 連邦政府の調達方針決定機関,以下調達庁と略す) は,87年に教育省と共同で508条を実施するための指針*1を作成して予告した後,88年にはこれを政令 (Regulation) に変え,施行すると同時に,この趣旨を解説する公報(資料2)を発行した。以下,これらを総称して,米国法規と呼ぶ。」(118)
資料1
「米国リハビリテーション法第508条
(1986年10月21日制定 作成:米国連邦議会 翻訳:福祉システム研究会)
(a) (1) 教育省長官は,国立障害リハビリテーション研究所および連邦調達庁長官を通じてエレクトロニクス業界と協議の上,障害を持つ個人が,特別な周辺機器の有無にかかわらず,電子事務機器を利用できることを保証するように企画された電子機器のアクセシビリティに関する指針を作成し,確立しなければならない。
(2) (1)項に基づき制定した指針は,購入・リースを問わず,電子機器に適用しなければならない。
(3) 指針初版は遅くとも,1987年10月1日までに作成され,技術の進歩や変化に応じて定期的に改正されなければならない。
(b) 1988年9月30日から後,調達庁長官は電子機器の連邦政府調達に際して,(a)項に従って制定した電子機器アクセシビリティに関する指針を採用しなければならない。
(c) この条文でいう「特別な周辺機器」とは,普通なら電子機器にアクセスできないような障害を持つ個人でも、電子機器がアクセスできるようにする特別な要求に応える補助装置のことである。
(d) 修正についてーーこの法令の目次の「第507条」の後ろに下記の新しい項目を挿入して修正する。
「第508条 電子機器アクセシビリティ」」(189)
資料2 米国連邦情報資源管理令公報第56号概要
(1988年9月30日公布 作成:米国連邦調達庁 翻訳:福祉システム研究会)
「4 定義
a. 電子機器アクセシビリティ:生産性を高め,仕事に関連し,かつ,公開された情報資源へのアクセスを促進するために,障害者の機能的な制限を考慮した方式で適応させた電子機器の応用/構成。」(190)
「5 まえがき
障害の有無に関わらず,電子機器へのアクセスは平等でなければならない。……」(190)
■書評・紹介
■言及
*作成:中倉 智徳