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「周縁‐寄せ場‐集合身体」

《映画『月夜釜合戦』(佐藤零郎監督 2017年/115分)上映ならびに
佐藤零郎(『月夜釜合戦』監督)×村上潔(女性史研究者・立命館大学生存学研究所客員研究員)のトーク》

2023年5月28日(日)17:00〜21:00
於:キャンパスプラザ京都 4F 第4講義室

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last update: 20230604

■Index
開催要項
企画趣旨
告知
資料:村上潔
〈arsvi.com〉内関連項目
言及/反応

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■開催要項

◆開催日時
2023年5月28日(日)17:00〜21:00

◆タイムテーブル
・17:00 開場
・17:10頃〜19:10頃 『月夜釜合戦』上映 *フィルム上映
・19:10頃〜19:30頃 休憩&釜ヶ崎からの報告
・19:30頃〜21:00頃 佐藤零郎氏×村上潔氏トーク&質疑応答

◆会場
キャンパスプラザ京都 4F 第4講義室

◆入場料金
1,000円

◆主催
〈釜ヶ崎に連帯する学生の会〉
*本企画についての問い合わせ先
fukeqiniliandaisuruxueshengnoh@gmail.com

チラシデータ(PDF)

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■企画趣旨

 日雇い労働者の街として知られる大阪・釜ヶ崎――近年は福祉化・高齢化の進む「あいりん地区」として有名――は、エネルギー産業の転換に伴う炭鉱からの離職者や、都市化の進む農村を離れる者、諸々の事情からこの地に流れ着いた者までを、流動的な労働力として集約し、高度経済成長期以来のインフラ整備に大きな役割をはたしてきた。
 行政は<男性・単身・労働力>供給の場として釜ヶ崎を位置づけてきたが、長い歴史でみると、この地域は家族連れも住むところの「スラム」であり、また、見えにくいかもしれないが、釜ヶ崎を出たり入ったりしてきた/している人々もいうまでもなく<(日本人)男性・単身・労働力>に還元しえない存在である。そして、ときには行政・資本が求めるこうした役割に個人の身体レベルから集合的な共振関係にいたるまで、(目にはみえにくくても)抵抗(の試み)がなされてきたはずである。
 労働市場の規制緩和・世界的な資本蓄積行き詰まりから「釜ヶ崎が全国化した」と言われて久しい。行政・資本は、均質的な労働市場から均質的な商業空間へと釜ヶ崎に求める役割の転換をはかり再開発と野宿者排除を進めている。野宿者に大阪府が立ち退きを求める裁判も最高裁にまで至っている。釜ヶ崎で生きてきた人々は存在も記憶も何重にも存在を消されようとしている。
 そこで、映画『月夜釜合戦』――再開発下の釜ヶ崎を舞台にした喜劇であり、そこにはセックスワーカーやいわゆるゴロツキにいたるまで雑多な人々がうつしだされ、走り回る――の上映、そして監督・佐藤零郎氏と、ジェントリフィケーションや社会周縁部の女性の自律的実践に焦点をあてた論考がある女性史研究者の村上潔氏のお話を聞く本企画を、野宿者支援などに関わる有志で行うことにした。
 先述した釜ヶ崎の事態をとらえ、そこで排除されようとしている人々と共にあるために、そして、かつて「釜ヶ崎から世界が見える」とも言われてきたが、同時に「世界から釜ヶ崎を見る」ために私たちは何をできるかを考える機会としたい。

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■告知

◇映画「月夜釜合戦」-The Kamagasaki Cauldron War(@tukikamadoro)
2023年5月19日10:46 https://twitter.com/tukikamadoro/status/1659374969347002368

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■資料:村上潔

*随時増補*

トークで話したいこと

◆釜ヶ崎を描いた過去の代表的作品と異なる点
◇土埃の世界 × 水辺(湿地/貯木場)の世界
 = 男たち × 女・子ども
 ――という構図が明確にわかるように示されていること

◆過去の海の世界との接続
◇海:水/生命/養分
◇再生産する身体
└癒やし・回復・再生

cf. 磯道真 2014 「生い立ち、いまだ謎残る 変わりゆく大阪平野(1)――軌跡」,『日本経済新聞』2014年7月8日,(https://www.nikkei.com/article/DGXNASHD0201D_S4A700C1AA1P00/

◆物体/液体
◇釜:物体そのもの(金属の塊)
┃用途:中に入れるのは液体
└調理:再生産労働=女性労働
◇作中での釜は:使われない・象徴としてのみある(液体・調理と無縁)――男たちの争いの焦点

◇奪い合う × 分け与える
┃釜で作る飯:自分一人ではなくみんなで食べる――生存のための食物を分け与える cf. 炊き出し

トークで話したこと(上記内容以外で)

◆女・子ども(釜ヶ崎から外部化された存在)が身を寄せる「生息地」
◇水辺・屋根の上・地下道――地上の(男たちの)騒動・競争・争い・企みから退避できる空間

◆過去の無数の(無名の)生命たちと身体が交感・共鳴する場所
◇水辺
┃海と陸の境目:両方の記憶の集積地
◇墓地――では自然に踊り出す
┃かつてあった時間・かつてあった生命の世界とつながる

◆[監督から]貯木場と女性とをつなぐ要素:かつてあったマッチ工場
◇女子労働者が工場をやめて→セックスワークに:という流れ

◆セックスワーカーが結婚して仕事をやめる=街から抜け出る=勝ち組になる:ことの難しさ
◇もし(騙されるのでなく)「ふつうの」「幸せな」結婚ができたとしても:その(主婦としての)生活・労働の閉塞感・疎外感に果たして耐えられるか――難しい

◆運動の描きかた:敬意を払いつつコミカルに戯画化
◇2000年代以降の独立系労働運動(若者主体・オルタナティヴ的)の感覚では抵抗なく受け止められるのでは

◆ジェントリフィケーションとジェンダー
◇女性たちが中心となった主体的な対抗運動の存在
┃ロンドンでは若年シングルマザーのグループが公営住宅確保をめぐって運動
┃京都では公立(市営)保育所を守る運動

トークで話しそびれたこと

◆セックスワーカーが結婚して仕事をやめる=街から抜け出る=勝ち組になる:ことの難しさ
◇DV→逃げて逆戻り――というパターンは珍しくない
◇メイの生きかたは、愛という名の束縛や「愛の労働」を遠ざけ、自然な再生産活動を日々営むうえでは、極めて合理的といえる(逆にいえば、「社会的」生活を支障なく送るうえでは、極めて非合理的――だから一般の感覚ではそう見える)。

◆監督の問題意識としてある「包摂の名のもとの排除」について
◇そこにいる人々(の存在・営み)を「社会化」していく
┃社会化されない(がゆえにある)価値を否定・消去していく
└再生産の(身体的)営みは、消費されるサーヴィスに置き換わっていく。:疎外化→危機はどこに発露するのか?
◇「社会化」を拒んだ女性たちの集合的実践
┃ウーマンリブ運動
└社会的実践としての「フェミニズム」との相克

文献:村上潔

◇村上潔 2022 「森崎和江と/のエコフェミニズム――現状との接続線」,『現代思想』50(13): 359-370 *2022年11月臨時増刊号《総特集:森崎和江――1927‐2022》
◇佐藤由美子×村上潔(司会:堅田香緒里) 2019 「[トークセッション]オリンピックとジェントリフィケーション――ジェンダー・文化・アクティヴィズムの観点から」,『支援』9: 151-181(生活書院)
◇村上潔 2019b 「佐藤由美子×村上潔「[トークセッション]オリンピックとジェントリフィケーション――ジェンダー・文化・アクティヴィズムの観点から」(『支援』Vol.9)に関する補足説明」,反ジェントリフィケーション情報センター,2019年5月29日,(https://antigentrification.info/2019/05/29/20190529mk/
◇村上潔 2019a 「アナーカ・フェミニズム」,『現代思想』47(6): 170-173 *2019年5月臨時増刊号《総特集:現代思想43のキーワード》
◇村上潔 2018d 「トークセッション「オリンピックとジェントリフィケーション」を終えて」,反ジェントリフィケーション情報センター,2018年9月27日,(https://antigentrification.info/2018/09/27/20180927mk/
◇村上潔 2018c 「トークセッション「オリンピックとジェントリフィケーション」出演にあたって」,反ジェントリフィケーション情報センター, 2018年9月1日,(https://antigentrification.info/2018/09/01/20180901mk/
◇村上潔 2018b 「ノート:『月夜釜合戦』における「メイ」の存在について」,arsvi.com:立命館大学生存学研究所,2018年2月4日,(http://www.arsvi.com/2010/20180204mk.htm
◇村上潔 2018a 「[詩]女と水と導火線――『月夜釜合戦』に寄せて」,反ジェントリフィケーション情報センター,2018年1月12日,(https://antigentrification.info/2018/01/12/20180112mk/
◇村上潔 2013 「女の領地戦――始原の資源を取り戻す」,立命館大学生存学研究センター編,『生存学 Vol.6』,生活書院,379-393(特集2:都市)

文献:その他

◇Patterson, J.R., 2022, "Stewards of the Forest: The Pioneering Women's Collective Harvesting the Gambia's Oysters", Guardian, May 3, 2022, (https://www.theguardian.com/global-development/2022/may/03/stewards-of-the-forest-the-pioneering-womens-collective-harvesting-the-gambias-oysters).
 *河川 *森林 *水 *食物 *女性の協同労働
“【Caption】The all-female workforce is part of a visionary project committed to protecting the wetland forests. Now their challenge is to earn a sustainable living year-round”
◇Tiayon, Shanna B., 2020, "Living off the Land: The New Sisterhood of Black Female Homesteaders", Guardian, July 31, 2020, (https://www.theguardian.com/us-news/2020/jul/31/living-off-the-land-the-new-sisterhood-of-black-female-homesteaders).
 *フェミニズム *人種 *農場 *土地
“【Caption】From the South Side of Chicago to tiny Carolina farms, a growing number of Black women are reclaiming the land ― and their wellbeing”/“【Quot.】Beyond this shared intention, these women’s stories are connected in their origins ― experiences with trauma as Black women in the US and a decision to return to the land for healing: sisters of the soil, victors of their destiny.”
◇Federici, Silvia, [2016] 2020, "Feminism and the Politics of the Commons", BAK, April 15, 2020, (https://www.bakonline.org/prospections/sylvia-federici-feminism-and-the-politics-of-the-commons/).

プロフィール:村上潔

1976年横浜市生まれ、町田市育ち。音楽文化誌ライター等の活動を経て、2004年4月、立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程入学(2期生)、2009年3月修了。博士(学術)。専門は、現代女性思想・運動史。現在、立命館大学生存学研究所客員研究員、先端総合学術研究科非常勤講師等。著書に『主婦と労働のもつれ――その争点と運動』(洛北出版)等。論文に「森崎和江と/のエコフェミニズム――現状との接続線」(『現代思想』50-13〔2022年11月臨時増刊号〕)等。近況として、共同主宰を務める〈反ジェントリフィケーション情報センター〉の再始動に向けた準備作業に取り組んでいる。
Webページ:http://www.arsvi.com/w/mk02.htm

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■〈arsvi.com〉内関連項目

都市・空間・場所[City / Urban / Space / Place]
ホームレス/寄せ場[Homeless / Homelessness / Yoseba]
居住の権利/正義――を求める運動[(Struggle for) Housing Rights/Justice]
生活・生存[Life / Survival]
労働運動/労使関係[Labor Movement / Labor‐Management Relations]
女性の労働・家事労働・性別分業[Women's Work / Housework / Domestic Labor / Sexual Division of Labor]
フェミニズム/家族/性[Feminism / Family / Sex]
Sex Work 2022
[Gender/Sexuality]
身体[Body/System]
環境倫理/公害/環境思想[Environmental Ethics/Thought and Pollution]
コミュニティ・ガーデン/コミュニティ・キッチン[Community Garden / Community Kitchen]

◇立命館大学産業社会学部2017年度後期科目《質的調査論(SB)》(担当教員:村上潔)
┃第13回:「スラムを「内側から」描くということ――映画『月夜釜合戦』を題材に」[2018/01/09]

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■言及/反応

・2023年5月29日14:54 https://twitter.com/crisis_cl/status/1663061309435568128
・2023年5月29日10:26 https://twitter.com/numazonununu/status/1662993662433976321
・2023年5月29日0:24 https://twitter.com/kdykkdyk/status/1662842401151668232


*作成:村上 潔Murakami, Kiyoshi
UP: 20230513 REV: 20230514, 17, 20, 24, 27, 28, 29, 0604
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