この指針は、社会学研究の全体を統制[#「全体を統制」に傍点]しようとするものでも、社会学研究の自由と可能性を束縛しようとするものでもありません。むしろ教育・研究のレベルを高め、社会の信頼に応え、さまざまな圧力や誘惑から社会学研究を守っていくために[#「圧力や〜ために」に傍点]、倫理綱領および本指針を策定しました。倫理綱領および本指針の規定と精神をふまえて、会員が主体的・自律的に研究・教育をすすめていくことを期待します。(強調は引用者)
第10条(共同調査による調査対象者の保護と科学性の確保)
会員は、研究機関との共同調査のみならず、行政、企業、各種団体との共同調査においても、調査対象者の保護ならびに調査過程における実証性・科学性の確保をつうじて、実践的な課題の解決に貢献しうる調査をおこなうよう努めなければならない。
第11条(データ・知見改竄の禁止)
会員は、調査母体となる団体・企業の利益に反する結果が得られた場合でも、知見を偽ってはならない。
「薬害被害者」が行政を始めとして、社会に認知されてゆく事はある意味「薬害被害者」という専門性を期待される事である。「薬被連」の当事者は、人によってはさまざまな専門的知識をももっているが、いわゆる専門家ではない[#「専門家ではない」に傍点]。専門家と議論しながら専門家ではない「薬害被害者」という名で呼ばれる『専門家』は、常に自らの苦しみや、悲しみを再生産しながらでなければ、「薬害被害者」であり続ける事ができない。だとすれば、「薬害被害者」による当事者運動は、常に身を削る事でしか持続できないのかもしれない。いわば、薬害被害者の『専門性』は、そのまま当事者性という言葉に置き換える事が可能であり、当事者性は被害者の実存的所与の変容によって規定される。こうした変容は「薬害被害者」の役割の内面化過程において基礎となる。もし、「薬害被害者」がこうした過程を観念的に合理化してしまえば、当事者であっても当事者性は失ってゆく事になるだろう。(花井 2005: 172)