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「大阪府精神障害者退院促進支援事業実施要綱」

大阪府 20000401 平成19年度改正版

萩原 浩史 20191210  『詳論 相談支援――その基本構造と形成過程・精神障害を中心に』,生活書院,資料

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last update:20200719


「大阪府精神障害者退院促進支援事業実施要綱」
大阪府
2000年4月1日
平成19年度改正版

(目的)
第1条
 精神科病院に入院している精神障害者のうち、症状が安定しており、受け入れ条件が整えば退院可能である者に対し、地域の精神障害者社会復帰施設等を利用する機会を提供し、退院のための支援および退院後の自立生活のための支援を行うことにより、精神障害者の社会的自立を促進することを目的とする。

(定義)
第2条
(1)対象者
  「対象者」は、原則として、精神科病院に入院している精神障害者のうち、症状が安定しており、受け入れ条件が整えば退院可能である者をいう。
(2)社会的入院解消
  この要綱で「社会的入院解消」とは、大阪府障害福祉計画に掲げる「精神障害者の社会的入院の解消」(「病状は落ち着いているが精神科病院に入院を継続している者の退院促進」をいう。)
(3)協力施設等
  「協力施設等」は、精神障害者に対する理解が深く、退院を目指す精神障害者を受け入れ、退院のための支援を行うことを通じてその社会的自立を促進することに協力する精神障害者社会復帰施設、障害福祉サービスを提供する事業所、地域活動支援センター、福祉ホーム及び福祉作業所をいう。
(4)自立支援員
  「自立支援員」は、対象者の「協力施設等」への通所・体験を支援する精神障害者の福祉に理解と熱意を有する者であって、精神保健福祉士又はこれと同等程度の知識を有する者をいう。
(5)障害者ケアマネジメント従事者
  この事業における「障害者ケアマネジメント従事者」とは、「障害者ケアマネジメント従事者養成研修」「相談支援従事者初任者研修」等を終了した者であって、第3条の規定により実施する希望する精神保健福祉士を配置して精神障害者への指定相談支援を併せて行う地域活動支援センター(以下、「精神障害者に係る地域活動支援センター」という。)において、「対象者」の退院後の地域生活に向けた障害者ケアマネジメントを行う者をいう。

(事業の委託)
第3条
 大阪府は、事業の一部を、希望する精神障害者に係る地域活動支援センターの運営主体等に委託して実施するものとする。

(自立支援員の委嘱)
第4条
 知事は、対象者の退院支援を行うため、「自立支援員」の委嘱を行う。

(運営委員会の設置等)
第5条
 本事業を効果的に実施し、精神障害者の社会的入院解消を推進するため、「大阪府精神障害者退院促進支援事業実施運営委員会」(以下「運営委員会」という)を設置する。
(1)組織
  「運営委員会」の委員は、別表に掲げる組織・機関の代表者で構成する。
(2)協議事項
  「運営委員会」の委員は、次の事項を協議する。
 @社会的入院解消のための課題と解決方策に関すること
 A社会的入院解消の進捗状況の把握
 B対象者の把握と事業実施の年次計画策定
 C第5条(4)に規定する「自立支援促進会議」、第6条に規定する「退院促進支援協議会」からの報告の受領および、「自立支援促進会議」「退院促進支援協議会」への本事業に係る方針の提示・助言
 D実績報告を受けての事業効果の評価と「大阪精神障害者退院促進支援事業実績報告書」(様式第1号)の作成
 E事業促進のために必要な研修に関すること
 Fその他、事業推進のために必要な事項
(3)運営
  「運営委員会」の事務局は、大阪府健康福祉部障害保健福祉室地域生活支援課におき、会の長は、地域支援課長があたる。運営委員会は、年2回以上開催する。
(4)保健所「自立支援促進会議」への委任
  「運営委員会」は、第5条(2)に掲げる協議事項を、障害保健福祉圏域ごとの保健所に設置する「自立支援促進会議」に委任する(高槻市・東大阪市を除く)。
  「自立支援促進会議」とは、「保健所及び市町村における精神保健福祉業務について」(平成17年7月14日改正、障発第0714004号 厚生労働省社会・援護局障害保健節部長通知)第1部第2の3(4)に規定される「地域精神保健福祉連絡協議会」等をいう。
  「自立支援促進会議」は、毎年度末に運営委員会に「障害保健福祉圏域事業実績報告書」(様式第2号)を提出する。

(自立支援促進会議の役割および退院促進支援協議会の設置)
第6条
 府保健所域にあっては、「自立支援促進会議」は、支援の進捗状況の把握、具体的な支援の方法等について協議し、円滑に支援をより迅速に実施していくため、第6条(1)に規定する業務を行うものとする。「自立支援促進会議」は、原則として月1回以上開催するものとし、必要に応じて当該対象者の参画を求めるものとする。
 高槻市・東大阪市にあっては、本事業の委託を受けた精神障害者に係る地域活動支援センター等の運営主体等は、支援の進捗状況の把握、具体的な支援の方法等について協議し、円滑に支援をより迅速に実施していくため、障害保健福祉圏域ごとに「退院促進支援協議会」(以下「協議会」という。)を設置し、当該協議会の事務を担当するものとする。「協議会」は、精神障害者に係る地域活動支援センター等職員、自立支援員、保健所精神保健福祉業務担当者、対象者を直接退院支援する関係機関職員(精神科病院職員、協力施設職員、市町村精神保健福祉業務主管課職員・生活保護主管課職員等)で構成し、原則として月1回以上開催するものとし、必要に応じて当該対象者の参画を求めるものとする。この場合、「協議会」は、保健所に設置する「地域精神保健福祉連絡協議会」と連携を図りつつ、本事業を実施するものとし、対象者の決定については、「地域精神保健福祉連絡協議会」に諮るものとする。
(1)自立支援促進会議および協議会の業務
  「自立支援促進会議」および「協議会」の業務は以下のとおりとする。
 @対象者の決定(「協議会」にあっては「地域精神保健福祉連絡協議会」と合議事項とする)
 A対象者の自立支援計画(ケア計画)の策定
 B「自立支援員」への助言
 C事業の進捗状況の把握、事業効果の評価ならびに自立支援計画(ケア計画)の見直し
 D退院支援終了時には事業の効果分析、支援を中止した場合に合ってはその要因分析
 E退院支援終了時および年度末における「障害保健福祉圏域事業実績報告書」(様式第2号)(府保健所域)、「退院促進支援協議会支援実績報告書」(様式第3号)(高槻市・東大阪市域)の作成
 F手続きに係る書類の管理
 Gその他、本事業の実施にあたって必要な事項

(障害者ケアマネジメント従事者の配置)
第7条
 第3条「事業の委託」の規定により実施する精神障害者に係る地域活動支援センターは「障害者ケアマネジメント従事者」を配置する。
 「障害者ケアマネジメント従事者」は、「自立支援促進会議」および「協議会」と連携を図りつつ、「対象者」の退院後の地域生活に向けた障害者ケアマネジメントを行う。
 「障害者ケアマネジメント従事者」は、障害者ケアマネジメントの状況を「自立支援促進会議」または「協議会」に報告するとともに、毎年度末に「運営委員会」に実績報告するものとする。

(手続き等)
第8条
(1)利用の手続き等
 @精神科病院の管理者は、当該病院に入院し、病状が安定しており受け入れ条件が整えば退院可能であるもののうち、本事業による支援が適当と考えられるものに対し、事業の利用を勧めるものとする。
 A精神科病院の管理者は、「対象者」の承諾を得て、「精神障害者退院促進支援事業推薦書」(様式第4号)を、府保健所域にあっては保健所長(「自立支援促進会議」)に、高槻市・東大阪市にあっては、「協議会」に提出する。
 B「協議会」は、事業実施の適否について、「地域精神保健福祉連絡協議会」に協議する。
 C「自立支援促進会議」および「協議会」は、協議の結果を精神科病院の管理者および対象者に通知する。
 D「自立支援促進会議」または「協議会」と「自立支援員」は、対象者に事業について説明し、「事業利用申込書」(様式第5号)を受け取る。
(2)協力施設への依頼等
 @「自立支援促進会議」および「協議会」は、対象者の希望を勘案しながら支援計画を策定し、「協力施設」に対象者の受け入れを、「協力依頼書」(様式第6号)により、依頼する。
 A「自立支援促進会議」および「協議会」は、定期的に支援計画を見直し、協力施設の変更の必要が生じた際には、新たな「協力施設」に「協力依頼書」により、依頼する。
 Bなお、「協力施設」を定めるまでの期間の見学などによる利用については、この限りではない。

(退院支援の実施)
第9条
(1)自立支援員の業務
  「自立支援員」は、活動拠点を指定相談支援事業所等におき、以下の業務を行う。
 @対象者への支援内容の説明および対象者との信頼関係の構築
 A病院から「協力施設」等への通所支援・体験支援
 B対象者の支援中の状況把握および対象者の了解を得て必要な情報の伝達
 Cその他退院準備のために必要な支援
 D「自立支援促進会議」または「協議会」への支援経過の報告
 E「支援経過報告書」(様式第7号)の作成
(2)障害者ケアマネジメント従事者の業務
  「障害者ケアマネジメント従事者」は、精神障害者に係る地域活動支援センターにおいて、以下の業務を行う。
 @対象者との信頼関係の構築
 A退院後の地域生活に向けた障害者ケアマネジメント
 B「自立支援促進会議」または「協議会」への支援経過の報告
 Cその他、退院後の地域生活に向けた障害者ケアマネジメントを実施するために必要な業務
 D「ケアマネジメント従事者活動報告書」(様式第8号)「ケアマネジメント従事者個別支援経過報告書」(様式第8号―1)の作成
(3)支援の期間
  「自立支援員」による退院支援の期間は、原則として6か月以内退院までとし、必要に応じて更新することができる。ただし、対象者の病状悪化の場合にあっては主治医が、その他の場合にあっては「自立支援促進会議」または「協議会」が、本事業の継続が困難になったと判断したときには、退院支援を中止し、この旨を当該対象者の入院先精神科病院管理者および当該対象者へ通知するものとする。なお、中止は再開を妨げるものではない。
  また、地域生活の移行にあたって引き続き自立支援員による支援が必要と「自立支援促進会議」または「協議会」が認める場合には、退院後2か月に限り、支援を継続することができる。
  「障害者ケアマネジメント従事者」による支援期間は「対象者」が地域生活に定着するまでとし、特に期間は定めない。

(その他)
第10条
 「自立支援員」・「障害者ケアマネジメント従事者」・「協議会」・「自立支援促進会議」・「運営委員会」の構成は、事業の中で知りえた対象者の秘密を漏らしてはならない。
 精神障害者に係る地域活動支援センター等は、本事業に係る経理と他の事業に係る経理を明確に区分することとする。
 「自立支援員」は、支援にあたって、定期的に主治医に状況を報告し、指示があった場合にはそれに従うものとする。

附則
この要綱は、平成15年4月1日から施行する。
附則
この要綱は、平成16年4月1日から施行する。
附則
この要綱は、平成17年4月1日から施行する。
附則
この要綱は、平成18年4月1日から施行する。
附則
この要綱は、平成18年8月1日から施行する。
附則
1.(施行期日)
この要綱は、平成18年10月1日から施行する。
2.経過措置
 この要綱の施行の際、改正前の旧要綱の規定に基づく精神障害者地域生活支援センターは、平成19年3月31日までの間改正後の新要綱の規定に基づく精神障害者地域活動支援センターとみなす。
附則
この要綱は、平成19年4月1日から施行する。



*作成:坂本 唯
UP:20191129 REV:20200719
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