SPSNニュースレター・No.7
1997/06/30
last update: 20170427
Social Policy Studies Network
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◇ SPSNニュースレター・No.7 (1997/6/30)◇
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発行:SPSN (Social Policy Studies Network) 事務局
〒113東京都文京区本郷7-3-1東京大学文学部社会学(武川)研究室気付
Fax: 03-3815-6672, Email: VZQ12171@スパム対策niftyserve.or.jp
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第6回研究会の報告
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◆1997年6月8日(土)午後,第六回研究会が東京大学にて開催されました.報告
の概要は以下の通りです.
(6-1) 都市家族の変化と地域政策の転換
−−再生産とアイデンティティーをめぐって−−
山田昌弘(東京学芸大学)
家族に関する地域政策は、1970年代を境にして大きく変化している。1970年代以
前は、近代家族の完成を目指した政策であり、1970年代以降は、近代家族の揺ら
ぎに対応した政策をとらざるを得なくなっていることによる。1970年代に、都市
において近代家族が成熟したとたん、近代家族に内在する諸矛盾が出てきた。そ
れが、家族責任が家族によって不平等にかかっているという現実、家族のアイデ
ンティティーからはじかれる人々が生じているという事実である。その現実に対
応して自治体は、家族の不平等を是正し、子育て後の主婦や元気な老人などのア
イデンティティーを確保する政策を推進せざるを得なくなってきている。
(6-2) 参加型福祉社会における在宅介護労働の社会的認知
−−ジェンダー・二重労働市場・専門化の観点から−−
森川美絵(東京大学)
現状の在宅介護労働に対する社会的認知のあり方は、ジェンダー・二重労働市場・
専門化という観点から問題化される。本報告ではそれら三つの観点から、a)介護
職をめぐる制度展開と、b)参加型福祉社会という社会構想理念のもとで展開され
ている多元主義的なサービス供給システム(「参加型」供給システム)の検討を
行い、両者の相互連関から、現状の在宅介護労働に対する認知の問題構造を明ら
かにした。すなわち「参加型」供給システムは、在宅介護労働市場において、介
護職の制度展開に伝統的な「在宅介護=女性役割・周辺労働」図式を再生産し、
介護専門職の身分保障や専門性概念確立の阻害要因として機能している(「非専
門化」圧力)。最後に、これまでの知見をもとに、1)「生のリアリティを体現す
る行為としての介護」の尊重と、2)「職業化・専門職化された介護労働」の経済
的・実質的な価値評価の保障とが両立しうる基盤づくりが、今後の福祉社会構想
の追加要件となることを示した。
◆参加者は以下の35名でした.順不同.
三重野卓(山梨大学),板垣文(城西国際大学),冨岡有子(城西国際大学),
遠藤かおり(東北大学),土屋葉(お茶の水女子大学),岩間暁子(和光大学),
仙田幸子(国立社会保障人口問題研究所),湯浅典人(文教女子大学),深谷太
郎(東洋大学),直江章子(淑徳大学),市東賢二(淑徳大学),立岩真也(信
州大学),圷洋一(明治学院大学),金子充(明治学院大学),中谷茂一(東海
大学),細谷容子(上越教育大学),三枝麻由美(千葉大学),和泉広恵(千葉
大学),鍋山祥子(中央大学),川上礼子(日本女子大学),松村直枝(お茶の
水女子大学),永田夏来(東京学芸大学),平岡公一(お茶の水女子大学),武
智秀之(東京都立大学),下平好博(明星大学),藤村正之(武蔵大学),山田
昌弘(東京学芸大学),森川美絵(東京大学),三井さよ(東京大学),武川正
吾(東京大学),小出昭太郎(東京大学),箕浦光(神奈川県庁),高木俊之
(専修大学),上村泰裕(東京大学),立岡洋(摂南大学).
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第7回研究会のご案内
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日時: 1997年7月18日(金)
【研究会】13:00〜17:00 【懇親会】17:30〜19:30
場所: 武蔵大学(西武池袋線江古田駅徒歩7分)
【研究会】教授研究棟(大学正門から見て左手奥の10F建て建物)
1F 01ーB 会議室
【懇親会】パスタクラブ2番館(武蔵大学構内)
参加費:【研究会】 300円
【懇親会】一般2,000円,大学院生1,000円
1 社会構成主義アプローチ
−−ソーシャルワークのポストモダン的展開−−
報告者:野口裕二(東京学芸大学)
討論者:湯浅典人(文教女子大学)
2 準看護婦問題における「差別」の構成
報告者:三井さよ(東京大学・社会
学)
討論者:山本武志(東京大学・保健
社会学)
※ 今回は会場等の都合で,金曜日となります.あしからずご了承下さい.
※ 今回は一周年に当たりますので懇親会を開催します.こちらにもふるってご
参加ください.
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第8回研究会 1997年9月下旬開催予定
第9回研究会 1997年11月下旬開催予定
第10回研究会 1998年1月下旬開催予定
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情報交換・networking
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◆新刊書の紹介
新刊書を紹介させてください。『中国帰国者のための日本語教育Q&A』(文
化庁・大蔵省印刷局)1,400円、4月25日発売です。第一章の「中国帰国
者と日本社会」を執筆担当致しました。この仕事を通して、2年間多くの帰国者
に会ってお話しを伺うことができ、勉強させていただきました。一般の人に読ん
でいただきたい本なので、帰国者の現実により近づいていただけるのではと、事
例を多く取り上げました。本になるまでに二重三重のチェックが入り、削除され
たところも多くあります。一番苦労した「中国帰国者と日本社会チェックリスト」
は全面削除。しかし、そこここに確信犯的犯罪(?)を犯しています。例えば生
活保護を受けながら、孫に小遣いをあげたり、葬式費用を箪笥預金している話な
ど。(現実の話ですから。)
【藤沼敏子(東洋大学大学院社会福祉学専攻)Nifty-Serve:VZV03045】
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SPSN関係者の新刊書
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◇藤沼敏子ほか『中国帰国者のための日本語教育Q&A』文化庁・大蔵省印刷局,
1997年4月25日,1,400円
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事務局からのお知らせ
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◆ニュースレター送付方法の変更
電子メイル・アドレスおよび/またはファックス番号を登録いただいている方に
は,第七号から電子メイルおよび/またはファックスにて送付いたします.引き
続き,郵送も必要な方は事務局までご連絡ください.なお,電子メイル・アドレ
ス,ファックス番号のいずれも登録いただいていない方には,引き続き郵送いた
します.
◆ニュースレターの送付を新たに希望する方は事務局までご連絡下さい.また,
不要な方も同様に願います.
◆研究会の運営について意見がありましたら,事務局までお知らせ下さい(報告
者については自薦他薦いずれも可)
◆ニュースレターで流したい情報(例えば,共同研究者の募集,自著の紹介,研
究会の案内,等々,その他,社会政策研究に関することなら何でも)がありまし
たら,事務局までEmail(バイナリー形式ではなくテキスト形式)でお知らせ下
さい.
REV: 20170427