SPSNニュースレター・No.5
1997/3/2
last update: 20170427
Social Policy Studies Network
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◇ SPSNニュースレター・No.5 (1997/3/2) ◇
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発行:SPSN (Social Policy Studies Network) 事務局
〒113東京都文京区本郷7-3-1東京大学文学部社会学(武川)研究室気付
Fax: 03-3815-6672, Email: VZQ12171@スパム対策niftyserve.or.jp
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第4回研究会の報告
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◆1997年1月25日(土)午後,第四回研究会が立教大学にて開催されました.報
告の概要は以下の通りです.
(4-1) 地域福祉と福祉コミュニティ形成
中野いく子(東京都老人総合研究所)
「地域福祉」が社会福祉の政策課題になってから,すでに4半世紀が経過し,高
齢社会に向けて住民を巻き込んだ福祉コミュニティの形成が目標の1つとなって
いる.しかし,「地域福祉」の概念は未だに確定したものにはなっていない.
「地域福祉」はわが国独特の用語で,戦後設立された社会福祉協議会に,その活
動の理論的根拠を提供していたコミュニティ・オーガニゼーションとイギリスの
コミュニティ・ケア政策が結合して生成・発展してきたものといえる.それゆえ,
異なる原理が組み込まれ,理論的混乱を来している.
そこで第一に,イギリスのコミュニティ・ケア政策に遡って,その考え方や原
理を明らかにし,第二に,わが国の地域福祉論をめぐる議論を検討し,第三に,
「地域福祉」概念と「福祉コミュニティ」概念の再構築を行なった.「地域福祉」
を,フォーマルな予防サービス,フォーマルな在宅ケア・サービス,インフォー
マルな在宅ケア・サービス,相互援助・互酬的支援の社会関係ネットワークを構
成要素とする概念とした.「福祉コミュニティ」は,特定の地理的範域内の要援
護者とその家族を中心に,上記の構成要素の担い手が,ケアとその予防という共
通関心に基づいて,相互に結び合わされた社会関係のネットワークの総体とする
ことなどを報告した.
討論では,ケアにおけるジェンダーの問題,専門職と住民(素人とするのは疑
問)の関係,ケアと福祉の相違などについて討議された.
(4-2) 書評セッション:
武智秀之『行政過程の制度分析−−戦後日本における福祉政策の展開』
藤村正之(武蔵大学)
本書は行政学の視角からおこなわれた福祉政策の作動メカニズムへの基礎研究
的接近である.組織理論と経済学理論を摂取し,行政実務への理解のもとに書か
れた本書では,福祉政策の特徴が範域の流動性と政策の代替可能性の高さと把握
され,民営化と分権化という現代的課題が従来の措置委託と機関委任事務体制と
をめぐる公私関係と政府間関係の新たな展開として検討されている.それらの検
討によって,日本の中央政府の行政手法が,組織論的には組織間関係の内部組織
化による安定維持として整理できることが指摘される.制度概念の意味,中央政
府・省庁間関係と中央・地方政府間関係の連動性,国家直営論ならびに福祉多元
論と異なる民営化の位置づけ,行政学の意義などの論点をめぐり議論がかわされ
た.
◆参加者は以下の22名でした(順不同敬称略).
中野いく子(東京都老人総合研究所),庄司洋子(立教大学),森川美絵(東京
大学),高木俊之(専修大学),遠藤かおり(東北大学),高橋万由美(法政大
学),田辺道子(有信堂),下平好博(明星大学),田村誠(東京大学),藤崎
宏子(聖心女子大学),箕浦光(神奈川県),上村泰裕(東京大学),矢野泉
(東海大学),津富宏(法務省),深谷太郎(東洋大学),武智秀之(東京都立
大学),李明鉉(韓国国立釜山大学),富江直子(東京大学),和田環(お茶の
水女子大学),武川正吾(東京大学),平岡公一(明治学院大学),藤村正之
(武蔵大学).
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第5回研究会のご案内
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日時: 1997年3月29日(土) 13:00〜17:00
場所: 東京大学(本郷キャンパス)法文一号館
(最寄駅:地下鉄丸の内線本郷三丁目または地下鉄南北線東大前,
正門から安田講堂の方へ向かって左側二つ目の建物)
参加費: 500円
1 福祉国家の将来−−成長問題とフレクシビリティ問題−−
報告者:武川正吾(東京大学)
討論者:下平好博(明星大学)
2 転換期における社会的シティズンシップの再検討
−−システムとモラルの関係から−−
報告者:遠藤かおり(東北大学)
討論者:高木俊之(専修大学)
※教室利用可能時間の関係から,今回は13:00に開始しますのでご注意下さい.
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次回以降の予定
第6回研究会 1997年5月31日開催予定
第7回研究会 1997年7月下旬開催予定
第8回研究会 1997年9月下旬開催予定
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事務局からのお知らせ
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◆このニュースレターは,Email addressないしFax no.の登録を行なった方には,
郵送と上記手段の双方にてお送りしています.重複になりますが,当分の間,こ
の方法を採用します.
◆研究会の運営について意見がありましたら,事務局までお知らせ下さい(報告
者については自薦他薦いずれも可)
◆ニュースレターで流したい情報(例えば,共同研究者の募集,自著の紹介,研
究会の案内,等々,その他,社会政策研究に関することなら何でも)がありまし
たら,事務局までEmail(バイナリー形式ではなくテキスト形式)でお知らせ下
さい.
同報受信者:(略)
REV: 20170427