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SPSNニュースレター・No.4

1996/12/26

last update: 20170427


Social Policy Studies Network
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SPSNニュースレター・No.4 (1996/12/26)
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発行 SPSN (Social Policy Studies Network) 事務局
〒113東京都文京区本郷7-3-1東京大学文学部社会学(武川)研究室気付
FAX:03-3815-6672, EMAIL:VZQ12171@スパム対策niftyserve.or.jp

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第3回研究会の報告
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◆1996年11月30日(土)午後,第三回研究会が明治学院大学にて開催されました.
報告の概要は以下の通りです.

(3-1)(非政府+非営利)組織=NPO,は何をするか
立岩 真也(信州
大学)

 千葉大学文学部社会学研究室『NPOが変える!?――非営利組織の社会学』
(1996年3月)の第1章,第1章付論1,第2章を用いて以下3点について報告した.
 第一に,米国におけるNPOに関わる法制度,米国社会における位置について紹
介した.法制度の他に,組織運営・経営のあり方について注目すべき点があるこ
と等を指摘した.
 第二に,日本でNPOが注目されるようになった経緯,所謂NPO法案の動向につい
て紹介した.これに注目する民間,中央省庁,政党の動きが1995年1月の大震災
以前に始まっていたことを確認し,NPO法について民間団体,各政党間にある争
点を概観した.
 第三に,NPOについて考察する時の基本的な方向と考えるものを示した.非営
利・非政府組織について考えることは,そのまま,政治そして市場経済とは何か
(何ができる/できないか,何をすべきか/すべきでないか)を考えることに等
しく,また市場・政府に介入し制御する方法を考えることでもある.こうした視
点をとった時に浮上するいくつかの論点をあげ,私見を述べた.

(3-2)保健医療における効率と公正
田村 誠(東京大
学)

今後の保健医療システム・政策を「効率測定方法にかかわる問題」と「効率と
公正のジレンマ」の二つの観点から検討した.効率測定方法については、効率の
成果として「効用」を捉えたとしても、バラツキがあってしかるべきである人々
の効用の「平均値」をもって、提供する保健医療プログラムを取捨選択すること
は問題とみられた.そう考えると、医療制度については、現行のような「出来高
払い制度」で医療プログラムを取捨選択するよりも、医療者に裁量権のある「定
額支払制度」のほうが、個人の事情を斟酌でき望ましい側面があると考えられた.

効率と公正のジレンマは、他のさまざまな領域でみられるのと同様、保健医療
の領域にもあり、それは保健医療費抑制の高まりに応じて一層深刻な問題となる
とみられた.保健医療資源配分の公正感の実証研究によれば、所得等と同様、わ
が国では平等配分選好が強いとみられた.今後、このジレンマを考慮したシステ
ムとして、共生社会のコンセプトが参考になると考えられた.
討論は、効率測定と計画論との関係、効率と公正の関係に関する理論的整理の
問題、ミクロ効率とマクロ効率との関係、等について行われた.

◆参加者は以下の21名でした(順不同敬称略).
藤村正之(武蔵大学),三重野卓(山梨大学),矢野泉(東海大学),遠藤かお
り(東北大学),圷洋一(明治学院大学),磯網正子(人事院),鈴木祟之(明
治学院大学),藤井敦史(東京大学),箕浦光(神奈川県),高木俊之(専修大
学),深谷太郎(東洋大学),田村誠(東京大学),平岡公一(明治学院大学),
冨江直子(東京大学),和田環(お茶の水女子大学),佐藤晴美(法政大学),
村越功司(明治学院大学),武川正吾(東京大学),吉村哲也(東洋大学),山
森亨(大阪市立大学),大島巌(東京大学)

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第4回研究会のご案内
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日時:1997年1月25日(土) 13:30〜17:30
場所:立教大学7号館2階(最寄駅はJR,西武,東武,地下鉄各線の池袋駅)
参加費: 500円

1 地域福祉と福祉コミュニティ形成
報告者:中野いく子(東京都老人総合研究所)
討論者:交渉中

2 書評セッション:
武智秀之『行政過程の制度分析−戦後日本における福祉政策の展開』をめぐっ

問題提起者:藤村 正之(武蔵大学)
あと一人交渉中
討論者:武智 秀之(東京都立大学)

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次回以降の予定

第5回研究会 1997年3月29日開催予定
第6回研究会 1997年5月31日開催予定
第7回研究会 1997年7月開催予定

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事務局からのお知らせ
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◆事務局のEmail addressが変わりました.新しいaddressは以下の通りです.
VZQ12171@スパム対策niftyserve.or.jp

◆第三回研究会立岩報告の基になった報告書『NPOが変える!?――非営利組
織の社会学』はTAE01303(@スパム対策niftyserve.or.jp)かtateiwa@スパム対策gipac.shinshu-u.ac.jp,
または〒390 松本市蟻ケ崎1892-4 phone & fax 0263-39-2141立岩氏宛まで注文
していただければ,送料込1500円で入手することができます(代金は現物到着後
郵便振替で).657点を掲載した関連文献リスト等有り.1冊あると便利です.ホー
ムページhttp://alps.shinshu-u.ac.jp/ITAN/GED/TATEIWA/1.htm<生命・人間・
社会>にも関連情報があります.

◆1月10日(金)10:30〜12:00,国立社会保障・人口問題研究所(厚生省別館(
旧東京家庭裁判所)8階所長室--号外では共用第13会議室と伝えましたが所長室
に変更となりました--)にて下記の英語の講演がありますのでお知らせします.
「この機会に新研究所(7〜8階)をご覧いただくのも良いかと思います」と小島
氏.講演者はNair 氏(インド・ケララ大学人口学科教授兼人口研究センター長)
で,演題はDemographic Transition in India with Special Reference to Kera
la(インド・ケララ州ににおける人口転換)です.「同州は経済開発が進んでい
ないのに,社会開発が進んだために出生率が下がったことで,人口学で知られて
い」るそうです.また,16日(木)10:30-12:00に同じ場所で金益基氏の「韓国
高齢者における居住形態の都市農村格差」の講演があります.詳細は両方とも国
立社会保障・人口問題研究所国際関係部長小島宏氏にお尋ね下さい.tel 03-350
3-1711 ex 4420, fax 3591-4821, email: h-kojima@スパム対策so.ipss.go.jp

◆このニュースレターは,Email addressないしFax no.の登録を行なった方には,
郵送と上記手段の双方にてお送りしています.重複になりますが,当分の間,こ
の方法を採用します.

◆このニュースレターを研究会出席者以外でお送りした方が良いと思われる方が
ありましたら,その方のEmail addressまたはFax no.を事務局までご紹介下さい.


◆研究会の運営について意見がありましたら,事務局までお知らせ下さい(報告
者については自薦他薦いずれも可)

◆ニュースレターで流したい情報(例えば,共同研究者の募集,自著の紹介,研
究会の案内,等々,その他,社会政策研究に関することなら何でも)がありまし
たら,事務局までEmail(バイナリー形式ではなくテキスト形式)でお知らせ下
さい.

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ネットワーク参加者の新刊案内
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山田昌弘『結婚の社会学−−未婚化・晩婚化はつづくのか』丸善,1996年,定価
720円.

武智秀之『行政過程の制度分析−−戦後日本における福祉政策の展開』中央大学
出版部,1996年,定価5,150円

同報受信者:(略)


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