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油田 優衣
ゆだ・ゆい
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■自己紹介
1歳の時に、全身の筋力が次第に衰えていくSMAII型(脊髄性筋萎縮症II型)の診断を受ける。現在は電動車椅子を用いて移動。ほぼすべての日常生活動作に介助が必要で、夜間は呼吸補助装置を着ける。中学までは特別支援学校に通い、高校からは普通学校へ進学。新設の特色入試により京都大学に合格。昨年4月から、実家(福岡)を離れ大学に通う。進学にあたり24時間介助者の支援を受けて一人暮らしを始めた。
■著作
雑誌
油田 優衣 20190810 「強迫的・排他的な理想としての〈強い障害者像〉――介助者との関係における「私」の体験から」
『臨床心理学――当事者研究をはじめよう』
,金剛出版,11
油田 優衣 20171101
「「障害者」としての歩み」
『ノーマライゼーション――障害者の福祉』
,日本障害者リハビリテーション協会,37(436)
■関連ファイル
組織
◇
日本自立生活センター(JCIL)
報告・資料
◇
天畠 大輔
・
油田 優衣
20200919
「当事者研究の新たな可能性について」
,
障害学会第17回大会報告
(オンライン開催)
◇油田 優衣 20191124
「筋ジス病棟の実態に関するアンケート中間まとめ報告」
,
筋ジス病棟の未来を考えるプロジェクト始動,第8回DPI障害者政策討論集会分科会
発表原稿 於:戸山サンライズ
◇油田 優衣 20190907
「すれ違う「障害者・介助者」観:医療関係者と障害当事者間のズレ 」
報告スライド
[PDF]
障害学会第16回京都大会
,於:立命館大学朱雀キャンパス
◇油田 優衣 20190823
「メディカル “Who R U?” vs 当事者 “Who am I?” 〜すれ違う〈障害・介助者〉観〜」
第34回リハ工学カンファレンスinさっぽろ
,於:北海道科学大学
◇油田 優衣 20170822
「大学生活と一人暮らしにおける福祉サービスの現状と問題点」
第32回リハ工学カンファレンスin神戸
,於:神戸国際会議場
■報道・紹介・言及
◆2019/10/16
「「線は引けない」 京大初、24時間介助の女子大生が願うこと 公的介助と教育」
『京都新聞』2019年10月16日
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/37677
「油田優衣さん
重度の身体障害があり、常時介護が必要だが家族介護に頼らず、1人暮らししながら学ぶ学生が京都大にいる。4年の油田優衣さん(22)=京都市左京区=は
脊髄性筋萎縮症(SMA)
で、子どもの頃から車いすで過ごしてきた。進行性難病のため筆記具を握るのも、キーボード入力もつらい。京大の障害学生支援ルームによると、自立生活する24時間介護が必要な学生は京大初という。
(中略)福岡県で育ち、夜間は6歳から人工呼吸器を使う。特別支援学校中学部に在学していた時に、油田さんは障害者の当事者運動団体・自立生活センター「ぶるーむ」に出合った。普通高校に行きたい。幼い頃から放課後に友達と遊ぶ弟の姿がうらやましかった。弟は障害がなく普通学校に通っていた。油田さんがどこを受験しようかと高校を回ると、「前例がない」と、何度も心ないことを言われた。(続く)」
→一般社団法人ぐるり:
https://gururizumu.jimdo.com/
◆2019/10/14 「当事者同士 思い共有を 脊髄性筋萎縮症患者グループ 南区で19日サミット、壁高い就労、恋愛など語り合う」
『京都新聞』2019年10月14日朝刊
「体幹や手足の筋力低下や筋萎縮が進む難病の脊髄性筋萎縮症(SMA)の関西在住患者でつくるグループ「SMA SHIP」が19日午後1時半から、当事者の集い「第5回SMAサミット」を京都市南区の京都テルサで開く。高いハードルがある就労など、当事者同士でなければ実感を共有しにくいテーマについて率直に思いを語り合う。
グループは、京都大4年の油田優衣さん(22)=京都市左京区=ら大阪府内で2017年からSMAサミットを開催する有志が5月に結成した。小児期までに発症する人が10万人に1〜2人とされる難病で、同じ境遇の人に出会う機会が少なく、自らの将来を想像しにくいといい、仲間づくりを目的に京都で初めて開催する。
過去4回のサミットは、就労に関心が集まった。常に介助が必要な病気だが、重い障害のある人がヘルパーを原則1割負担で利用できる「重度訪問介護」制度は就業時は適用されない。国は雇用側が負担すべきとするが、採用担当者から「企業のマイナスを上回る貢献ができるのか」と突き付けられたメンバーもいるという。
小暮理佳さん(23)=大阪府吹田市=は就活で10社に落ち、大学卒業後はネットショップを運営している。「在宅の仕事しか選択肢がない。生きるために必要なことで同じスタートラインに立てる社会になってほしい」と訴える。
恋愛も、よく話題になるという。パートナーとの間に介助者が入るため、デートや同居の際に3人の距離感をどうするかが悩ましい。体調管理について質問が出ることも多い。SMA患者は筋力が弱く、風邪やインフルエンザなどの細菌やウイルスをせきで体外に出しにくく、肺炎などに悪化しやすいからだ。
サミットでは当事者同士が率直に語り合うことができるよう、医療的ケアの必要な人を除き、家族や介助者を部屋に入れずに話し合う。メンバーらは「困った時、たとえ解決しなくても同じ立場で分かり合えるだけで心強いこともある」と参加を呼び掛けている。
18歳以上のSMA患者が対象。1500円(初参加は千円)。申し込み先着12人。16日までに「ぐるり」のホームページで。(鈴木雅人)」
◆2019/09/29
「移動支援「電動車いすは電源切って」異例の運用、ようやく改善へ」
『京都新聞』2019年9月29日朝刊
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/25453
「油田優衣さんが行政交渉
申請に同行した日本自立生活センター(京都市南区、JCIL)の当事者スタッフ、油田優衣さん(22)=同市左京区=は宇治市の対応に驚きを隠さない。自身も電動車いすで移動支援を利用しているだけに、「京都市では当たり前なのに隣の市では使えないなんて。介助は押すだけではなく、姿勢の変更や服の脱ぎ着、水分補給など、障害によってさまざま必要になるのは当然」と訴える。(続く)」
◆京大の「実は!」 Vol.47 2017/01/26
「大学全体のバリアフリー化を目指して・・・障害学生支援ルームの実は!」
京都大学メールマガジン vol.123
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/mm/jitsuha/170126.html
「利用者の声を聞いてみました!教育学部1回生 油田優衣さん
以前、「実は!」Vol.42にもご登場いただいた油田優衣さん。
「脊髄性筋萎縮症」という難病を抱えながらも、困難を乗り越えてきた経験を活かし、2016年に特色入試に合格!
「好きなこと、関心のあることを追究できるのが楽しい」と、障害学生支援ルームを活用しながら充実した大学生活を送っています。
Q.障害学生支援ルームのことを知ったのはいつですか?
「いろいろな大学の障害学生支援施設を調べていて知りました。オープンキャンパスでも見学はできたのですが、個別にじっくりと見学したいと思い、高2の11月に京大のルームを訪問。当時6〜7校くらいの施設を実際に訪問してみたのですが、京大の雰囲気がダントツ良かったんです!」
Q.同ルームを利用してみて、良かったと思う点は?
「初めて訪問したときから感じていたことですが、何といってもスタッフさんの頼れる雰囲気!人によって障害はバラバラですし、できる支援とできない支援があります。どこまでの支援ができるか分からないけれども、一緒に問題を考え、解決してくれようとする姿勢がとても協力的で心強く、安心感を覚えました。」
また、支援者の確保は障害のある学生にとって大きな問題ですが、そこをサポートしてくれるところがとてもありがたいです。支援が義務化されていない高校では、先生に自ら交渉しなければいけませんでした。交渉のために時間を費やし、勉強する気力が残っていない、なんてことも・・・。けれども今は、困ったら相談できる環境があり、移動介助をしてくれる学生サポーターさんもいます。周りと同じスタートラインに立ち、好きなことに思いっきり打ち込めることが今はただ嬉しいです。」
Q.今後、期待することはありますか?
「大学内での食事やトイレ介助が可能になればと思っています。実は、今の法律ではそこまでカバーされていなくて、教育機関の中で受けられる福祉のサポートには限界があります。日常的な当たり前のことを、みんなと同じようにできるようになれば、障害を理由に大学を諦める学生もきっと少なくなると思います。時間がかかる難しい問題ですが、少しずつ解決されていくことを願っています。」」
◆京大の「実は!」 Vol.42 2016/07/28
「京都大学の特色入試の実は!」
京都大学メールマガジン vol.118
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/mm/jitsuha/160728.html
「生まれつき「脊髄性筋萎縮症」という難病を抱えながらも、特色入試に挑戦した油田さん。特色入試では、障害を抱えるがゆえに立ちはだかってきた数多くの困難を乗り越えてきた経験や「京大で学びたい!」という強い意欲をアピールし、見事合格。この春からは念願の一人暮らしもスタート。
[…]
Q:京大で初めて挑戦する一人暮らし、どうですか?
一人暮らしは、京大じゃなくてもどこの大学でもしようと最初から決めていました。
体制が整うまでいろいろとハードルもありましたが、京大の障害学生支援ルームの心強いバックアップがあって、スタート出来ました。いろんな大学の支援ルームを訪ねましたが、京大の支援ルームはダントツ充実してますよ! 今の生活は、そんないろんなアシストがあってこそだと思っています。
一人暮らしを始めて最初の頃は、24時間ヘルパーさんがいる生活に慣れませんでしたが、今はすっかり慣れて自分のペースをつかめてきました。昼間は京大の学生スタッフが介護してくれています。自分のペースで好きなように自由に時間を使えて、今は毎日がとても充実しています。
同じように重度の障害をもった人でも、障害を持たない人と同じように大学生活が出来る。一人暮らしだって出来る!ということを、自分自身で検証したいと思っています。私自身がロールモデルになって、同じ境遇にいる人たちの後押しになれば。[…]
◆山本 紀子 2016/03/24
「脊髄性筋萎縮症の苅田町・油田さん、挑戦続け京大合格 「マイナスをプラスに」と壁突破 /福岡」
『毎日新聞』2016年3月24日 地方版
https://mainichi.jp/articles/20160324/ddl/k40/040/454000c
「全身の筋力が低下する難病・脊髄(せきずい)性筋萎縮症の油田優衣さん(18)=苅田町=がこの春、京都大教育学部に進学する。中学校まで特別支援学校で学んだが、学園生活にあこがれて県立京都高校に入学、こつこつと勉強を重ねて難関を突破した。油田さんは「心理学を学んで将来は誰かをサポートする仕事がしたい」と夢を語った。【山本紀子】
油田さんは四肢が不自由で3歳の時から電動車いすで生活している。右手で書いたり食べたりはできるが、着…
この記事は有料記事です。
残り851文字(全文1063文字)」
◆AERA dot. 2016/03/17
「重度の身体障害はねのけ京大合格 「私をサンプルにして」」
『週刊朝日』2016年3月25日号
https://dot.asahi.com/wa/2016031500180.html
「重度の身体障害があるけれど、京大でカウンセリングや心理について学びたい。障害のある人を支えたいんです」
「京大の特色入試で教育学部に合格した油田(ゆだ)優衣さんは、そう力強く語る。生まれつきの脊髄性筋萎縮症。全身の筋力が低下する難病で、ペンを握る手にもあまり力が入らない。日常生活には全て介助が必要だ。
小学校は自宅近くの公立小に入学。だが、体調が不安定で小2から中3までは特別支援学校へ。周囲の障害への理解は深かったが、お互いの障害について深く立ち入ることはタブーという雰囲気を感じたという。 「地域とのかかわりはほとんどなく、狭い世界でした」
そんな窮屈さを振り払うように勉強に打ち込んだ。小4からは通信教育も始めた。次第に、同封の漫画に描かれる「普通学校での生活」に憧れを抱くように。
「もっと広い世界に出たい。普通高校に進学したい」
思いは強くなっていった。だが、立ちはだかったのは「前例なし」という言葉。それまで地域で全介助が必要な生徒が、普通高校に進学した例はないといわれたのだ。油田さんは県立京都(みやこ)高(福岡県行橋市)の協力を得ながら、県教育委員会や自宅がある福岡県苅田町(かんだまち)などと粘り強く交渉し、理解してもらい、学びやすい環境を確保した。
そのときの体験は、中学卒業を前に参加した「イングリッシュコンテスト」のスピーチで紹介し、最優秀賞を受賞した。
高校入学後は、自分から進んで病気のこと、介助が必要なことなどを話した。3年間担任だった開田(ひらきだ)涼子教諭は、こう振り返る。
「明るい性格で、すぐクラスになじんでいましたね。前向きな努力家で成績優秀。授業に集中し、わからないことは納得いくまで質問する生徒でした」
油田さんが入学したことで、周囲も変わった。それまで1階に一つしかなかった身障者用トイレは二つに増えた。介助者と共に、クラスメートも自然と手を貸すようになったという。
「電動車椅子の音がすると、だれともなく、すぐ教室の扉を開ける。段差がある場所では男子が車椅子を持ち上げていました」(開田教諭)
特別支援学校時代には、地域の友達はいなかったが、京都高校入学後には、多くの友達に恵まれた。
「友達が手伝ってくれることがありがたかった。でも、私は代わりに勉強を教えたから、ギブ&テイクです」
と笑う油田さん。修学旅行も楽しみ、どんなところにも出かけていった。
「もっと広い世界を見たい」、そう思うきっかけになったのが、高2の夏の「DO―IT Japan」。東京大学先端科学技術研究センターが、障害や病気のある若者から未来のリーダーを育てようと、2007年度から始めたこのプログラムへの参加で、目が開かれる思いがしたという。
「討論ではさまざまな価値観に触れることができました。福祉制度を利用して、東京で一人暮らしをしている大学生の話を聞いたときには希望が持てました」
高2の秋、京大の障害学生支援ルームを訪ね、キャンパスを見学したときに京大に「一目ぼれ」。
「支援ルームの対応もすばらしく、雰囲気もよくて、『ここで学びたい』と強く思いました」
特色入試のことを知ったのはその後だ。「求める人物像」を読み、「ぴったりだ」と思った。提出書類は、調査書、学びの報告書、学びの設計書。報告書には主に、普通高校進学のために交渉したことを、設計書には心理全般や社会の仕組みを学びたいこと、重度の身体障害者が福祉制度を利用して一人暮らしができるか、自分自身で検証したいことなどを書いた。
油田さんは学力も申し分なかった。塾などの助けもなく、センター試験の得点率は9割超。教育学部の基準点である8割を楽々クリアし、見事合格を勝ち取った。
だが、全般に介助が必要で車椅子の生活。4月からの一人暮らしに家族は不安はないのだろうか。母親のあゆみさんは胸中を明かす。
「もちろん心配はあります。最初は、自宅通学の大学にすればいいのにとも思いました。でも、優衣の思いは強かった。将来は経済的にも自立してほしいので、応援しようと思っています」
とはいえ、住まい探しは予想以上に大変だったという。設備がないなどを理由に、不動産業者に断られることも多かった。
そんなとき支援してくれたのが、障害学生支援ルームだった。担当者は話す。
「過去にも上肢や下肢に重い障害がある学生さんが学んでいたので、学内のバリアフリーは進んでいます。ただ、油田さんのような一人暮らしは初のケースです」
今後、不便があれば、随時改修工事をして対応していく方針という。油田さんは現在、ケースワーカーに相談しながら学内介助について京都市と交渉中だ。
「重度の障害者である私自身がサンプルとなり、一人暮らしを検証したい。ロールモデルになれればうれしいですね」
将来の目標は?
「障害者の心をサポートできる仕事をしたい。福祉制度など社会の仕組みも変えていきたい。だれもが、やりたいことを諦めなくていい世の中にしたいです」
合格後、祖父母、母、弟と旅行を楽しみ、石垣島で人生初のシュノーケリングにも挑戦した。
「前例がない」ことに立ち向かい、切り拓いてきた油田さん。これからも自らが「前例」となって道を作っていくのだろう。
UP: 20191126 REV: 20191202,11, 20201122
◇
脊髄性筋萎縮症(SMA)
◇
日本自立生活センター(JCIL)
◇
WHO
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生を辿り道を探る――身体×社会アーカイブの構築
◇
病者障害者運動史研究
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