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和田 八束
わだ・やつか



◆和田 八束 19741128 『税は公平か――福祉社会の税金を考える』,日本経済新聞社,日経新書,177p. ASIN: B000J9U746 [amazon] ※ t07.

 「所得は、それが生み出される源泉がどこであるかにかかわりなく、一つの量的な大小として示される。資産の所有や階級の違いなどにかかわりなく、貨幣所得が多いか少ないかということを容易に明らかにできるのである。税負担の公平を客観的に実現しうる指標として、さしあたり最も便利なものといえよう。税の公平のうえから、所得税が理想的であるといわれるのは、このためである。
 所得税の最も優れている点は、所得再分配を行うのに適していることである。つまり所得の分配を課税によって修正し、とくに高所得者に対する税を重くすることによって、可処分所得(税引き後の所得)を平準化しようというわけである。
 このためには、あらゆる源泉からの所得を総合して、これに累進的な課税をする必要がある。」(和田[1974:62])
和田 八束 19750115 「企業課税と資産課税の基本問題」,国民税制調査会編[1975:103-123]*
*国民税制調査会 編 19750115 『国民税制への提言――インフレ下の税制改革』,学陽書房,238p. ASIN: B000J9UTLM 1200 [amazon] ※ t07.

 「法人税は、個人所得との関連を考慮することなく、全く別個の独立したものとし、所得階級に応ずる累進税率う採用するべきである。また、企業経理の方式についても厳格な会計原則によることとし、租税特別措置の廃止や交際費、寄付金等への課税強化をとはかることは勿論、従来「費用」として処理されていた部分を「収益」として顕現化させる必要がある。」(和田[1975:122])

◆和田 八束 19840210 『日本の税金』,日本評論社,209p. ASIN: B000J77YF8 1500 [amazon] ※ t07.

◆和田 八束 19860115 「福祉と負担の税体系」
 国民税制調査会編[1986:45-62]*
*国民税制調査会 19860115 『財政危機下の税制改革――"増税なき財政再建"は可能か』,学陽書房,236p. ISBN-10: 4313820124 ISBN-13: 978-4313820128 1680 [amazon][kinokuniya] ※ t07.

 「段階に応じて税負担が高まることによって、所得再分配が可能であり、こうした構造をもっている主な税としては、現在のところ、所得税が唯一のものである。各国で所得税が、税制の中心におかれているというのは、こうした性格によるものということができよう。
 しかしながら、税の公平・公正の実現、そして所得再分配の実現は、所得税だけでは不可能である。また、税制の目的が[ママ]、所得再分配だけではない[「だけ」に傍点]。こうしたことから、実際の税制では、各種の税の組み合せにならざるをえないし、それらが互いに補完し合うことになる。<0056<
 これが税体系となってくるわけである。」(和田[1986:56-57])
 「将来の社会保障のあり方を考え、また、税体系の公平・公正とをはかるためには、現行税制を基本的に見直す必要があることは否定できない。政府再度では、「シャウプ以来の大改正」を期待する発言もみられるが、かりに、そうした大改正を企てるならば、将来の財政のあり方について明確な方向を出すと共に、税体系をいかに公平・公正なものにするかについて、国民的合意を得るべく、十分な議論をつくすべきであろう。
 そのためには、現在の税制調査会による審議だけでなく、専門家を中心として税制研究を広く行<0061<うほか、調査データなどを公表し、客観的かつ合理的な結論を得たのちに、具体的な改正案をつくることが望ましい。」(和田[1986:56-57])

◆和田 八束 19881230  『日本の税制――総点検と新時代への選択』 ,有斐閣選書,345p. ISBN-10: 4641181128 ISBN-13: 978-4641181120 1800 [amazon][kinokuniya] ※ t07.

 1986年10月の税制調査会答申の考え方は「所得税を中心として、垂直的公平を重視してきた「シャウプ以来の税制」に代って、新しい公平観念の導入と間接税重視への転換に他ならない。いわば、戦後税制とは別の新しい土俵の設定であるというべきである。したがって、税制改革にあたっては、この転換を明瞭かつ具体的に提案して、その価値判断を国民に求めるべきであった。この点を曖昧にして、たんに減税とその財源の問題として提出したところに、国民の理解がえられず、むしろ反撥を買った原因があるといえよう。」(和田[1988:186])

 1986年3月の税制調査会「累進構造に関する専門小委員会」の報告では、税率を高くすることの「「弊害」についての”指摘”はしていても”実証”はしていない。つまり、限界税率や累進構造が、どのようにして上記の弊害をもたらすか、ないしはもたらしているのかの事実の証明はない。
 そもそも、この報告書ないし税調答申でもしばしば出てくる「限界税率が高すぎる」とはいかなることを指しているのか。[…]限界税率は、ある所得区分(ブラケット)の幅について、一定の率が定められるものであり、それが「高すぎる」とはどの部分についてのことかをいわないと無意味である。」(和田[1988:234])

◆和田 八束 19901120 『日本の税制――総点検と新時代への選択 増補版』 ,有斐閣,354p. ISBN-10: 4641181497 ISBN-13: 978-4641181496 [amazon][kinokuniya] ※ t07.

◆和田 八束・星野 泉・鵜川 多加志・青木 宗明 編 19941210 『現代の財政と税制――21世紀への税財政構想』,文眞堂,237p. ISBN-10: 4830941766 ISBN-13: 978-4830941764 [amazon][kinokuniya] ※ t07.

和田 八束 19941210 「日本財政の展望――財政の役割と国民負担」,和田・星野・鵜川・青木編[1994:3-16]

 「法人税の転嫁の実態は明らかではないが、かなりの程度行われていることは常識になっている。法人税の税収にしめる割合は約25%(1994年度)であるから、これをすべて直接税に区分するか、間接税としても扱うかで、直・間比率には大きな差が出てくる。逆に、現行の消費税は売上税としての性格が強く、企業税として直接税に含めるという立場もありうるわけである。
 したがって、直・間比率という観点から、将来の租税構造を議論することには、余程慎重でなければならない。」(和田[1994:13])

 「これからの財政が、地方財政に大きく重点を移すであろうことは、さきほどのべたところであるが、そのためには、地方税財源の拡充が必要であると共に、国・地方を通ずる税制上の整合性をはかる必要がある。
 このためには、まず整備されるべきは、個人所得に係わる税としての、所得税と住民税である。両税とも所得を課税標準にして、税率を国・地方(都道府県・市町村)で分け合う形となっているが、所得控除等がやや異なっていたり、税率も地方分でも軽度の累進性をとっているなどの違いがある。このため、個人所得税としての負担が不明瞭である一方で、地方税としての独自性にも欠けていることになっている。
 これを是正する1つの方策として、住民税率を完全フラット化(単一税率)して、所得税で累進税率を設定するという案が出されていた。こうした提案の採用も検討すべきではなかろうか。納税者にとっても、この方が分かりやすいといえる。」(和田[1994:14])

◆和田 八束 19970530 『税制改革の理論と現実』 ,世界書院,269p. ISBN-10: 4792770521 ISBN-13: 978-4792770525 3990 [amazon][kinokuniya] ※ t07.

 「問題を明らかにして、将来の支出と負担の関係を示して、正面から国民の理解を求めることの必要性があった[…]。
 第2に言えることは、高齢化社会での負担のあり方について、明確な方向が示されないと、国民合意が十分に得られないという点である。
 […]第3には、増税よりも財政支出の削減がしばしば主張されるが、では、財政支出がどのようになっていて、いかなる実態にあるかということについて、明確な開示に欠けている。」(和田[1997:89])

◆坂本 忠次・和田 八束・伊東 弘文・神野 直彦 編 19990620 『分権時代の福祉財政』,敬文堂,324p. ISBN-10: 476700067X ISBN-13: 978-4767000671 [amazon][kinokuniya] ※ t07.

◆和田 八束 19990620 「21世紀の福祉と財政」,坂本・和田・伊東・神野編[1999:1-17]

 「日本の租税負担率は、なお低い水準にあるとはいえ、社会保障負担の比率が高く、増加の度合いも租税よりも大きい。こうした現象は、社会保障負担を”租税”ととらえることでも説明できるが、同時に「租税国家」の崩壊としてもとらえることができよう。
 中央集中型の福祉財政が、新しい分権型の福祉社会に変る時、これまでの「租税国家」も変質せざるをえない。
 租税のあり方としては、19世紀の「中立」から、20世紀においては「所得再分配」が基本理念とされていた。21世紀の租税理念としては、「参加型」ともいえるものに移行していくのではなかろうか。とくに、中心となるべき地方税においては、行政サービスとの対応、住民による参加と決定、コスト意識の重視という要素が基本となるのであり、それは住民自らの決定する「福祉サービスの価格」としてとらえられるであろう。それは、従来の「応益負担」に似ているともいえるが、より高度化した、新しい租税理念としてとらえるべきである。
 具体的な税の形として考えると、多くの税が「目的税」になるといってよかろう。地方税としては、自主課税が原則であり、地方財政需要に対応した税種と税収を決定することになり、その賛否は住民自治によって行われる。こうした地方自治の原則に立つかぎり、税は一般税ではなく、目的と限界を限定し、課税の範囲も特定した形の税にならざるをえてい。さきの地方分権推進委員会の「勧告」にも示されていた「法定外目的税」が多用化[ママ]されるといってもさしつかえない。
 21世紀においては、20世紀的な意味合いでの「租税国家」は、しだいに消滅していくことになるであろう。」(和田[1999:15])

■言及

◆立岩 真也 編 2009 『税を直す 付:税率変更歳入試算+格差貧困文献解説』,青土社


UP:20081217 REV:20090627, 0704
  ◇WHO 

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