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多田 富雄
ただ・とみお
1934〜2010


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■関連

◆2010/07/01 『現代思想』38-9(2010-7)  特集:免疫の意味論――多田富雄の仕事,青土社,ISBN-10: 4791712153 ISBN-13: 978-4791712151 [amazon][kinokuniya] ※

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『現代思想』38-9(2010-7)   201007 特集:免疫の意味論――多田富雄の仕事

◆立岩 真也 2010/07/01 「留保し引き継ぐ――多田富雄の二〇〇六年から」,『現代思想』38-9(2010-7): 資料
◆立岩 真也 2010/09/01 「多田富雄さんのことから――唯の生の辺りに・5」,『月刊福祉』2010-9

■新着

◆20100510 『落葉隻語――ことばのかたみ』 ,青土社,219p. ISBN-10: 4791765451 ISBN-13: 978-4791765454 1680 [amazon][kinokuniya] ※ r02.
◆石牟礼 道子・多田 富雄 20080630  『言魂』 ,藤原書店,216p. ISBN-10: 489434632X ISBN-13: 978-4894346321 2310 [amazon][kinokuniya] ※
◆20080301 「死に至る病の諸相」
 『現代思想』36-3(2008-3):40-47→多田[2010:140-156]
◆20071210 『わたしのリハビリ闘争――最弱者の生存権は守られたか』,青土社,172p. ISBN-10: 4791763629 ISBN-13: 978-4791763627 1260 [amazon][kinokuniya] ※ r02
◆20070731 『寡黙なる巨人』,集英社 , 248p. ISBN-10: 4087813673 ISBN-13: 978-4087813678 1575 [amazon][kinokuniya] ※ r02.
◆20060408 「リハビリ中止は死の宣告」
 『朝日新聞』2006-04-08
 http://my.reset.jp/~comcom/shinryo/tada.htm cf.リハビリテーション



1934生
1971 サプレッサーT細胞の発見を国際免疫学会で発表
1974 千葉大学教授
1978 東京大学教授(1977?)
1984 文化功労章
2001/05/02 脳梗塞で倒れる 金沢医科大学付属病院
 cf.多田[20070731:11ff.]
2001/07初め 金沢医科大学付属病院を退院、東京都立駒込病院に転院
 cf.多田[20070731:49][2010:141]
2001/09半ば 東京都リハビリテーション病院に転院
 cf.多田[20070731:71ff.]
2005/12/04 NHKスペシャル「脳梗塞からの”再生”――免疫学者・多田富雄の闘い」
 http://www.nhk.or.jp/special/onair/051204.html
 cf.多田[20070731:185,234-236]
2006/04 脳卒中者等のリハビリテーションが発病後180日までに制限される
 (多田[20071210][2010:63ff etc.]etc.)
2006/04/08 「リハビリ中止は死の宣告」
 『朝日新聞』2006-04-08
 http://my.reset.jp/~comcom/shinryo/tada.htm cf.リハビリテーション
(20060614 HPにこの頁掲載開始)
2007 「自然科学とリベラル・アーツを統合する会(INSLA)」 設立、代表に
2008/04 後期高齢者医療制度開始
 cf.多田[2010:28-29]
2010/04/21 前立腺癌による癌性胸膜炎のため逝去。76歳

2010/05/10 『落葉隻語――ことばのかたみ』,青土社,219p. ISBN-10: 4791765451 ISBN-13: 978-4791765454 1680 [amazon][kinokuniya] ※ r02.
2010/05/30 13:35〜14:55 NHK総合・NHKアーカイブス「免疫学者 多田富雄の遺(のこ)したもの」



◇1934生

◇1955頃 水俣病についての報道
 →「水俣病という「踏み絵」」,多田[2010:137-139]

◇1959 「一九五九年に医学部を卒業し、農村の小さな病院に赴任した。」(多田[200707:142])

◇1960年代

 「私が大学を卒業したころには東京タワーが建ち、東京オリンピックの準備で東京が第変貌しようとしていました。よくボートをこぎに行った、東京・弁天橋ボート場の風景や、日本橋の風景が、無神経な高速道路の建設で一変したのに肝をつぶした記憶があります。やがてインターン闘争から学生紛争にいたるのですが、私はアメリカに留学したので、安田講堂の攻防戦はアメリカのテレビで見ました。日本にいたなら、私はさしずめ三派系だったでしょう。
 そのころの学生の変革へのエネルギーは、生命力に満ちていました。時代を変えるのはわれわれだという意気込みがあったんです。それが今では」(多田[201005:102])

◇1971 サプレッサーT細胞の発見を国際免疫学会で発表

◇1974 千葉大学教授

◇1978 東京大学教授(1977?)

◇1984 文化功労章

◇多田 富雄・山折 哲雄 20000428 『人間の行方――二十世紀の一生、二十一世紀の一生』,文春ネスコ,237p. ISBN-10: 4890361030 ISBN-13: 978-4890361038 1680 [amazon][kinokuniya] ※ d07.

 「多田 昔は、衰弱して死ぬことがもっとも自然な死に方のひとつだったと思うのです。ものが食べられなくなって、寝たきりになって、まわりの人も食べ物がはいらなくなったからそのうち死ぬだろうと覚悟して、そしてある朝目覚めることなしに死んでいたという、そういう死に方がいちばん自然な死に方でした。
 ところがいまでは、医療が衰弱を止める方法をつくりだした。当然昔だったら衰弱して死んでしまう状態、たとえばがんなどで食べ物が喉を通らなくなってしまったときでも、中心静脈栄養という生きてゆくために必要な量の栄養素を人工的に十分与えることができます。それから電解質なども必要なだけ与える。生命活動に必須なミネラル分のアンバランスも完全にコントロール<0083<できるわけです。ですから、死ぬべき人、いつまでも生かしておくことができるという状態が生まれるわけです。
 生かしておくことによって、苦しみが長引くとか、クオリティ・オブ・ライフ=生命の質が低下することについてなど、考慮を払うべきかどうかを、医学教育では教えてはおりません。医学部の教育は、本能的に生命を救う、延命させる方法だけを徹底的に教えています。
 延命させる、衰弱させない。これに関しては、技術が非常に発達しています。衰弱して死ぬという自然な死に方には当然逆行したやり方になります。」(多田・山折[2000:83-84])
 「多田 そうですね。自分の意思を明確にどこかに書いておくとか、あるいは人に伝えておくことでしょうか。いましておけることは。
 もちろん延命治療で、時間をとめることのメリットを無視することはできない。たとえば遠くにいる息子が来るまで生かしておくとか、たとえそういう状態でも、夫婦ふたりだけの時間を長引かせたいとか、そこには長引かせた生命のすばらしい価値が生まれます。
 しかし、衰弱させない、死なせない、それが無制限におこなわれるという状態をほんとうに私たちは望んでいるのでしょうか。」(多田・山折[2000:85])

◇2001/05/02 脳梗塞で倒れる 金沢医科大学付属病院
 cf.多田[20070731:11ff.]

◇2001/07初め 金沢医科大学付属病院を退院、東京都立駒込病院に転院
 cf.多田[20070731:49][2010:141]

◇2001/09半ば 東京都リハビリテーション病院に転院
 cf.多田[20070731:71ff.]

◇2002/01 「長い冬に入って、歩行の学校の卒業のときが迫っていた。お正月は自宅で過ごせるようにと、一時退院の計画が立てられた。自宅には帰れないので、急遽マンションを購入する計画が立てられ、妻はマンション探しに奔走した。幸い自宅の近くに新築のバリアーフリーで二LDKという貸しマンションを妻が見つけて、早速契約してきた。」(多田[20070731:89])

◇2002/02/08 退院(多田[20070731:96, 202])

◇多田 富雄・柳沢 桂子 20040430 『露の身ながら――往復書簡いのちへの対話』,集英社,269p. ISBN: 4087812650 1470 [amazon][kinokuniya] ※

 「もう体は回復しない。神経細胞は再生しないのだから、回復を期待するのは無理だ。それ<0259<だけは、この二年の間に嫌というほど思い知った。ダンテの「地獄編」に「この門をくぐるものすべての希望を捨てよ」とあったが、この病気でも同じである。
 しかし私の中に、何か不思議な生き物が生まれつつあることに気づくようになった。はじめのうちは異物のように蠢いているだけだったが、だんだんそれが姿を現したように思う。
 まず、初めて自分の足で一歩歩いたとき、まるで鈍重な巨人のように、不器用に足を踏み出そうとして戸惑っているそいつに気づいた。[…]
 声が出たときもそうだった。[…]
 私はこの新しく生まれたものに賭けることにした。自分の体は回復しないが、この不器用な<0260<巨人はいま形のあるものになりつつある。彼の動きは鈍いし、寡黙だ。それに時々は裏切る。この間こけたときは、右腕に大きなあざを作った。そのたび私は彼をなじる。
 でも時には、私に希望を与えてくれる。[…]
 もとの私は回復不能だが、新しい生命が体のあちこちで生まれつつあるのを私は楽しんでいる。昔の私の半身の神経支配が死んで、新しい人の半身が生まれるのだと思えば、障害者も楽しい。そう思って生きよう。そうすると萎えた足が、必死に体重を支えようと頑張っているのが、いとおしいものに思えてくる。」([259-261])

◇2005/05 前立腺癌が発見される(多田[20070731:114])

 「石牟礼道子さん往復書簡をやってみないかと藤原書店の藤原良雄さんからお勧めを受けたのは二〇〇五年の春であった。石牟礼さんは私はひそかに崇拝する女性の一人だったので、一も二もなくお引き受けした。
 私はそのころ、かなり進行した前立腺癌が発見されていた。手術や合併症の治療に忙殺されてて、私がお手紙を差し上げられる状態になったのは二〇〇六年に入ってからであった。はじめから完成が危ぶまれた。」(多田、石牟礼・多田[2008:201]*)<
*石牟礼 道子・多田 富雄 20080630 『言魂』,藤原書店,216p. ISBN-10: 489434632X ISBN-13: 978-4894346321 2310 [amazon][kinokuniya] ※

◇2005/12/04 NHKスペシャル「脳梗塞からの”再生”――免疫学者・多田富雄の闘い」
 http://www.nhk.or.jp/special/onair/051204.html

 「国際的な免疫学者でエッセイや能の作者としても知られる東大名誉教授の多田富雄さん(71歳)は、4年前、脳梗塞に倒れ、一夜にして右半身不随、声と食べる自由を失った。
 華やかな学者人生が一転、他人の介護なしでは日常生活も送れない日々に一時は自殺まで考えながらも、多田さんは科学者としての独自の目線で、病気をみつめ受容していく。例えば「リハビリは科学。創造的な営み」と今も週3回熱心に通う。車イスで何処へでもでかけ、キーボードで電子音が出る機械で弟子をしかりとばし、大好きだった酒はトロミをつけて味わう。触ったこともなかったパソコンを左手だけで操り、本も数冊出版、エッセイでは福祉の不備をこき下ろす。
 そんな多田さんが今、最も力を入れているのが今年上演される原爆の能の制作。科学者としての世界の核問題にかつてない危機感を覚えるからだ。しかし広島での公演を前に準備をすすめる多田さんを、今度はガンが襲う…。  脳梗塞で身体の自由を失い、さらに様々な困難に見舞われながらも多田さんは決して、歩き続けることをあきらめない。「失いたくないのは生きている実感」という類いまれな老科学者の半年を追ったドキュメントである。」
 cf.多田[20070731:185,234-236]
 http://www.st.rim.or.jp/~success/tadatomio_ye.html
 http://blog.goo.ne.jp/pkcdelta/e/9fbd3bf04502743f88f2f5507cb48173
 http://blog.goo.ne.jp/ogatyacl/e/1742609c17fc000571f4880fee83ab2e
 http://www.k2.dion.ne.jp/~m-kaze/bangumiF/bangumi.html

◇2006/04 脳卒中者等のリハビリテーションが発病後180日までに制限される
 (多田[20071210][2010:63ff etc.]etc.)

◇2006/04/08 「リハビリ中止は死の宣告」
 『朝日新聞』2006-04-08
 http://my.reset.jp/~comcom/shinryo/tada.htm(×:201006)
 http://homepage2.nifty.com/ajikun/news/tdtmo.htm

 「私は脳梗塞の後遺症で、重度の右半身麻痺に言語障害、嚥下障害などで物も満足には食べられない。もう4年になるが、リハビリを続けたお陰で、何とか左手だけでパソコンを打ち、人間らしい文筆生活を送っている。
 ところがこの3月末、突然医師から今回の診療報酬改定で、医療保険の対象としては一部の疾患を除いて障害者のリハビリが発症後180日を上限として、実施できなくなったと宣言された。私は当然リハビリを受けることができないことになる。
 私の場合は、もう急性期のように目立った回復は望めないが、それ以上機能低下を起こせば、動けなくなってしまう。昨年、別な病気で3週間ほどリハビリを休んだら、以前は50メートルは歩けたのに、立ち上がることすら厳しくなった。これ以上低下すれば、寝たきり老人になるほかない。その先はお定まりの衰弱死だ。
 私はリハビリを早期に再開したので、今も少しずつ運動機能は回復している。
 ところが、今回の改定である。私と同様に180日を過ぎた慢性期、維持期の患者でもリハビリに精を出している患者は少なくない。それ以上機能が低下しないように、不自由な体に鞭打って苦しい訓練に汗を流しているのだ。
 そういう人がリハビリを拒否されたら、すぐに廃人になることは、火を見るよりも明らかである。今回の改定は、「障害が180日で回復しなかったら死ね」というのも同じことである。実際の現場で、障害者の訓練をしている理学療法士の細井匠さんも「何人が命を落とすのか」と3月25日の本紙・声欄(東京本社版)に書いている。ある都立病院では、約8割の患者がリハビリを受けられなくなるという。リハビリ外来が崩壊する危機があるのだ。
 私はその病院で言語療法を受けている。こちらはもっと深刻だ。講音障害が運動まひより回復が遅いことは医師なら誰でも知っている。1年たってやっと少し声が出るようになる。もし180日で打ち切られれば一生はなせなくなってしまう。口蓋裂の子供などにはもっと残酷である。この子らを半年で放り出すのは、一生しゃべるなというようなものだ。言語障害のグループ指導などできなくなる。
 身体障害の維持は、寝たきり老人を防ぎ、医療費を抑制する目的とするなら逆行した措置である。それとも障害者の権利を削って医療費を稼ぐというなら、障害者のためのスペースを商業施設に流用した東横インよりも悪質である。
 何よりも、リハビリに対する考え方が間違っている。リハビリは単なる機能回復ではない。社会復帰を含めた、人間の尊厳の回復である。話すことも直立二足歩行も基本的人権に属する。それを奪う改定は、人間の尊厳を踏みにじることになる。そのことに気がついて欲しい。
 今回の改定によって、何人の患者が社会から脱落し、尊厳を失い、命を落とすことになるか。そして、一番弱い障害者に「死ね」といわんばかりの制度をつくる国が、どうして「福祉国家」と言えるのであろうか。

 1934年生まれ。医学博士(免疫学)。「生命の意味論」「独酌余滴」など著書多数。」(全文)

 「この問題の発端は今年の三月の末の出来事でした。私にとっては驚天動地の通告があったのです。リハビリに通っていた病院の医師から、「あなたは四月一日からリハビリができません」といわれたのです。やっと三十メートルぐらい歩けるように回復したのですが、ここで止められたらまたじきに歩けなくなる。それどころか、リハビリを休めば立ち上がることもできなくなってしまうのは、すでに経験済みです。
 なぜリハビリが出来ないかと問いただしたら、四月から診療報酬が改定されて、一部の疾患を除いて、リハビリ医療に上限日数が設けられたからだと聞かされました。疾患によって違うが、私のような脳卒中では、発症から起算して、最大一八〇日(六カ月)で打ち切られるというのです。私<0048<はもう発症してから五年もたっていますから、真っ先に打ち切りです。小泉政権の医療改革の一環で、医療費削減のためだと説明されました。
 はじめはそんな乱暴なことは冗談だろうと思いました。リハビリはそんなに費用のかかっている医療ではないし、中止したら寝たきりになる人が多数いるからです。それに急に言われてもどうしようもない。しかも私たちは、力の弱い障害者です。いくらなんでも福祉国家を自称しているのに、そんなことをするわけがないと思いました。
 でもそれは本当だったのです。患者の七〇%が打ち切られた都立病院もありましたし、泣く泣く治療を諦めたものも続出しました。そんな患者には、鶴見さんのように中止したら寝たきりになり命を落とす人が大勢いました。
 私はあまりのことに驚いて、『朝日新聞』の「私の視点」に投書しました。四月八日に掲載されたこの投書には、「身体機能の維持は、寝たきり老人<0049<を防ぎ、医療費を抑制する予防医学にもなっている。医療費の抑制を目的とするなら、逆行した措置である」「今回の改定は、『障害が一八〇日で回復しなかったら死ね」というのも同じことである」「それとも、障害者の権利を削って医療費を稼ぐというなら、障害者のためのスペースを商業施設に流用した東横インよりも悪質である」と書いたのです。この投書は幅広い反響を呼び、私の予想しなかった国民的署名運動に発展しました。
 兵庫県の医師や患者会が行ったこの運動には、たったの四十日あまりで四四万四千の署名が集まりました。これは国民二九〇人に一人が署名したことになります。このときほど言葉の力を感じたことはありません。市民運動がもとになって、フランス革命も独立戦争も、きっと水俣訴訟も、こうして始まったに相違ありません。」(多田、石牟礼・多田[2008:48-50]、続きは↓「私は患者の皆さんと一緒に…」)

(◇20060614 HPにこの頁掲載開始)

◇2006/06/30 「リハビリ診療報酬を考える会」44万筆をこえる署名を厚労省に提出

 「本年4月の診療報酬改定では、必要に応じて受けるべきリハビリ医療が、原則として、発症から、最大180日に制限されてしまいました。個々の患者の、病状や障害の程度を考慮せず、機械的に日数のみでリハビリを打ち切るという乱暴な改定です。それも、国民にほとんど知らされることなく、唐突に実施されてしまったのです。
 障害や病状には,個人差があります。同じ病気でも、病状により、リハビリを必要とする期間は異なります。また、リハビリ無しでは、生活機能が落ち、命を落とすものもいます。障害を負った患者は、この制度によって、生命の質を守ることが出来ず、寝たきりになる人も多いのです。リハビリは、私たち患者の、最後の命綱なのです。必要なリハビリを打ち切ることは、生存権の侵害にほかなりません。
 こうした国民の不安に対して、除外規定があるから問題はない、と、厚労省は言います。しかし、度重なる疑義解釈にも関わらず、現場は混乱するだけで、結果として大幅な診療制限になっているのです。
 このままでは、今後、リハビリ外来や、入院でのリハビリが崩壊し、回復するはずの患者も、寝たきりになる心配があります。リハビリ医療そのものが、危機に立っているのです。
 さらに、厚労省は、医療と介護の区別を明確にした、と言います。しかし、医療のリハビリと、介護のリハビリは、全く異質なものです。介護リハビリでは、医師の監視のもとで、厳格な機能回復、維持の訓練のプログラムを実施することは出来ません。
 リハビリは、単なる機能回復ではありません。社会復帰を含めた、人間の尊厳の回復なのです。リハビリ打ち切り制度は、人間の尊厳を踏みにじるものです。
 私達、リハビリ診療報酬改定を考える会は、この、打ち切り制度の撤廃をめざして、5月14日から、全国で署名活動を行いました。その結果、わずか40日余りで、40数万人もの署名を集めることができました。これは国民の300人に一人が署名したことになります。
 この、国民の声は、もはや圧殺できるものではありません。
 厚労省は、非人間的で、乱暴な、この、制度改定を謙虚に反省し、リハビリ打ち切り制度を、白紙撤回すべきであります。私達は、これを、強く要請します。
            平成18年6月30日
            リハビリ診療報酬改定を考える会・代表  多田富雄」(全文)
 「私は患者の皆さんと一緒に、六月三十日に厚労省を訪ね、担当者に車二台分の署名簿を手渡し、声明文を電子音声で読み上げました。そのとき泣<0050<く泣く苦しみを訴えていたポリオの後遺症の女性は、まもなく動けなくなり、入院してしまいました。鶴見さんのように命を落とした人もいます。
 しかし狡猾な厚労省は、机上の空論を並べるだけで、何も対策を講じようとはしません。その間に、二十紙を超える新聞が反対の社説を掲げました。テレビなど、マスコミの取材にも、政府は見直しをするつもりがないといっています。
 そこで私のような老人は智恵を出し合って、次々に新しい手を繰り出し糾弾しなければなりません。いまは一方の当事者でありながら沈黙を守っているリハビリ医学会を攻撃しています。本来なら真っ先に反対しなければならないのに、声を上げようとしない。それは間接的に、打ち切りを支持していると思われても仕方ありません。一部の幹部が厚労省の顔色をうかがっているからです。それを糾弾するために『世界』、『現代思想』などに論文を書き続けています。」(多田、石牟礼・多田[2008:50-51]*)
*石牟礼 道子・多田 富雄 20080630 『言魂』,藤原書店,216p. ISBN-10: 489434632X ISBN-13: 978-4894346321 2310 [amazon][kinokuniya] ※

◇200612 多田 富雄「リハビリ制限は、平和な社会の否定である」,『世界』2006-12→多田[2007:111-124])

◇2006 老人ホームに体験入所

 「妻が初めて同窓会のため、三日ほど家を空けるというので、私は妹がやっている老人ホームに体験入所しました。そのことをちょっと書いて終わりたいと思います。
 老人ホームは、都市化の進んだ茨城のつくば市にあります。でも田園風景に囲まれたのどかなところです。妻は糖尿病で、万一のときはここへ私<0055<を託さざるを得ないというので、まず体験しておこうとしたのです。生き延びるための緊急避難所を見ておくためです。」(多田、石牟礼・多田[2008:55-56])*
 「妻が初めて同窓会のため、三日ほど家を空けるというので、私は妹がやっている老人ホームに体験入所しました。そのことをちょっと書いて終わりたいと思います。
 老人ホームは、都市化の進んだ茨城のつくば市にあります。でも田園風景に囲まれたのどかなところです。妻は糖尿病で、万一のときはここへ私<0055<を託さざるを得ないというので、まず体験しておこうとしたのです。生き延びるための緊急避難所を見ておくためです。」(多田、石牟礼・多田[2008:55-56])
 「老人ホームはさまざまな人生が詰まっています。これを見ると、障害者である私は、できるなら楽に苦しまずに死にたいなどというずるい考えは捨てて、「老い」というものに必然的に伴う「苦しみ」を引き受ける覚悟を持たなければならないと思いました。
 それが「生老病死」の必然的ルールなのだと悟ったのです。楽にぽっくりと死ぬというのはずるい考えです。老人ホームの無気力な「お年寄り」に学ぶ必要があります。そう思うと、私の「受苦」に、もっと広がりが出ると勇気が湧いてきたのです。なにぶん、あの生死の境をさまよった経験のある自分です。苦しみといっても、何ほどのことがあると、昂然として体験入所を終えて帰宅したところです。」(多田、石牟礼・多田[2008:57]*)
<*石牟礼 道子・多田 富雄 20080630 『言魂』,藤原書店,216p. ISBN-10: 489434632X ISBN-13: 978-4894346321 2310 [amazon][kinokuniya] ※

◇2007/03/10 市民シンポジウム「これからのリハビリを考える市民の集い」
 http://hodanren.doc-net.or.jp/news/unndou-news/070313riha-sinnpo.html
 日時 :2007年3月10日(土)  14〜16時
 会場 :東京・両国・KFCホール 3F 地図
 シンポジスト :各関係団体(国会議員 患者団体 医療団体等)と要請中
 入場料 :無料(定員:360名)
 問合せ :全国保険医団体連合会 リハビリシンポ担当 Tel:03-3375-5121

 「三月十日には、全日本保険医団体連合会の主催でこれからのリハビリ<0110<を考える会」という市民集会が開かれ、私も車椅子で参加し、挨拶しました。三百七十人に及ぶ患者の悲痛な声は、私の「忿怒佛」を燃え立たせました。
 みな障害をもった人たちです。無常なリハビリ打ち切りで、どんな被害を蒙ったかを、泣きながら訴えていました。出席もしない厚労省からの、挑発的なメッセージが読み上げられたときは、会場全体がどよめきました。」(多田、石牟礼・多田[2008:110-111]*、「これは基本的人権の問題です。」に続く部分)

◇2007 「自然科学とリベラル・アーツを統合する会(INSLA)」 設立、代表に

 「突然こんなところで言うのは大げさかもしれませんが、科学者の行動の規範となる良心とは何だろうかと、私は悩みます。どうすればいいのか、私たちに突きつけられた問題です。各論的に対応するほかないのでしょうか。
 戦争の始まったとき、日本の歴史学者も同じような悩みを持ったでしょう。歴史の専門家が、歴史をよじ曲げるのを座視してしまったのですから。<0111<
 私は、周りの科学者や知識人と「自然科学とリベラルアーツを統合する会」というのを旗揚げすることにしました。専門の科学者が、科学の発展によって生じた問題を解くことが出来ない。環境問題も核問題も科学の産物ですが、科学者には解決の道すら見えてこない。
 一方、人文学者も、社会の問題は彼ら専門家の目線だけでは解決できない。こちらは科学の解析が不可欠です。
 それらを解決できるものがあるとしたら、科学の知と人文の知を統合した知なのではないか。そんな漠然とした議論を、もっとも真摯に聞いてくれた、建築家や生物学者の友人と諮って、この会ができました。
 まだ具体的な行動の予定は、少ないのですが、藤原書店のバックアップでホームページを立ち上げるところまで来ました。」(多田、石牟礼・多田[2008:111-112]、会場全体がどよめきました。)

◇20080301 「死に至る病の諸相」,『現代思想』36-3(2008-3):40-47→多田[2010:140-156]

 脳梗塞で倒れてから「六年余り、右半身麻痺と言語障害、摂食障害との戦いが続いている。懸命にリハビリをしたが、後遺症は基本的にはよくなっていない。
 その間には、何度も死の誘惑があったが、自死するには至らなかった。一度死の体験をすると死を恐れなくなるが、自死するほどの衝動もなくなる。
 かえって生の衝動が強くなる。生きて甲斐ない生だが、そんな生がなぜかいとおしいものになる。そのようにして丸六年が過ぎた。」(多田[2008→201005:144])

◇2008/04 後期高齢者医療制度開始
 cf.多田[2010:28-29]

◇2008/08/13 「介護に現れる人の本性――冠落葉隻語・8」,『読売新聞』2008-8-13夕刊→多田[2010:36-38]

 「私は最近まで特別養護老人ホーム(特養)に預けられていた。私の介護を一手に引き受けていた妻が、無理がたたって股関節の置換手術を受けたためである。老老介護の行き着く先である。術後のリハビリも含めて、約二か月入院しなければならない。」(多田[2008→2010:36]

◇2010/04/21 前立腺癌による癌性胸膜炎のため逝去。76歳


◇2010/05/10 『落葉隻語――ことばのかたみ』,青土社,219p. ISBN-10: 4791765451 ISBN-13: 978-4791765454 1680 [amazon][kinokuniya] ※ r02.

◇2010/05/30 13:35〜14:55 NHK総合・NHKアーカイブス「免疫学者 多田富雄の遺(のこ)したもの」
国際的な免疫学者、東京大学名誉教授の多田富雄さんが、先月亡くなった。脳梗塞で倒れながらも多くの手記を残し、生きる闘いを続けた多田さんの日々を改めて見つめる。 国際的な免疫学者、東京大学名誉教授の多田富雄さんが、先月亡くなった。脳梗塞で倒れながらも多くの手記を残し、生きる闘いを続けた多田さんの日々を改めて見つめる。▽NHKスペシャル 「脳梗塞からの再生 免疫学者・多田富雄の闘い」 (2005年制作)【ゲスト】(生命誌研究者・遺伝学者)中村桂子,(演出家)笠井賢一,【司会】桜井洋子 出演 【出演】【ゲスト】(生命誌研究者・遺伝学者)中村桂子,(演出家)笠井賢一,【司会】桜井洋子

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9A%E7%94%B0%E5%AF%8C%E9%9B%84


■著書

◆199206 『イタリアの旅から――科学者による美術紀行』
 誠信書房,293p. ASIN: 4414706017 2730 [kinokuniya][amazon]
◆199304 『免疫の意味論』
 青土社,236p. ASIN: 4791752430 2310 [kinokuniya][amazon]
◆199510 『ビルマの鳥の木』
 日本経済新聞社,271p. ASIN: 4532161746 [kinokuniya][amazon]
◆19951220 『生命へのまなざし――多田富雄対談集』
 青土社,350p. ASIN: 4791753704 [amazon][kinokuniya] ※
◆19970225 『生命の意味論』,新潮社,243p. ISBN-10: 4104161012 ISBN-13: 978-4104161010 1890 [amazon][kinokuniya] ※ d07.
◆199801 『免疫・自己と非自己の科学』
 日本放送出版協会,128p. ASIN: 4141889954 [kinokuniya][amazon]
◆199805 『ビルマの鳥の木』
 新潮社,269p. ASIN: 4101469210 [kinokuniya][amazon]
◆199808 『人間』
 作品社,260p. ASIN: 4878936703 1890 [kinokuniya][amazon]
◆199909 『独酌余滴』,朝日新聞社,250p. ISBN-10: 4022574364 ISBN-13: 978-4022574367 1890 [amazon][kinokuniya] ※→20060630 『独酌余滴』,朝日新聞社,朝日文庫,305p. ISBN-10: 4022643676 ISBN-13: 978-4022643674 630 [amazon][kinokuniya] 
◆200010 『私のガラクタ美術館』
 朝日新聞社,141p. ASIN: 4022574534 [kinokuniya][amazon]
◆200103 『大学革命』
 藤原書店,255p. ASIN: 4894342243 [kinokuniya][amazon]
◆200103 『免疫・「自己」と「非自己」の科学』
 日本放送出版協会,219p. ASIN: 4140019123 914 [kinokuniya][amazon]
◆20010425 『脳の中の能舞台』
 新潮社,342p. ASIN: 4104161039 2100 [amazon][kinokuniya] ※
◆200207 『懐かしい日々の想い』
 朝日新聞社,297p. ASIN: 4022577185 2100 [kinokuniya][amazon]
◆200405 『歌占――多田富雄全詩集』
 藤原書店,173p. ASIN: 4894343894 2940 [kinokuniya][amazon]
◆200604 『生命へのまなざし――多田富雄対談集』
 青土社,新装版,352p. ASIN: 4791762649 1890 [kinokuniya][amazon]
◆20071210 『わたしのリハビリ闘争――最弱者の生存権は守られたか』
 青土社,172p. ISBN-10: 4791763629 ISBN-13: 978-4791763627 1260 [amazon][kinokuniya] ※ r02.

■共著
◆多田 富雄・ウィリアム・E. ポール 198702 『基礎免疫学〈下〉』
 東京大学出版会,913p. ASIN: 4130601024 [kinokuniya][amazon]
◆多田 富雄・Norman Staines・Keith James・Jonathan Brostoff 198704 『免疫学への招待』
 南江堂,67p. ASIN: 4524216758 [kinokuniya][amazon]
◆多田 富雄・今村 仁司 198706 『老いの様式――その現代的省察』
 誠信書房,318p. ASIN: 4414803055 [kinokuniya][amazon] cf.老い
◆多田 富雄・山村 雄一 198801 『現代免疫学』
 医学書院,360p. ASIN: 4260104373 [kinokuniya][amazon]
◆多田 富雄・Ivan Roitt・David Male・Jonathan Brostoff 199007 『免疫学イラストレイテッド』
 南江堂; 第2版,358p. ASIN: 4524216774 [kinokuniya][amazon]
◆多田 富雄・河合 隼雄 編 19910830 『生と死の様式――脳死時代を迎える日本人の死生観』
 誠信書房,267p. ISBN-10: 4414803063 ISBN-13: 978-4414803068 2415 [amazon][kinokuniya] ※ d01. ot.
◆多田 富雄・山村 雄一 199207 『現代免疫学』
 医学書院; 第2版版,536p. ASIN: 426010442X [kinokuniya][amazon]
◆多田 富雄・谷口 克 1993 『免疫工学の進歩』
 医学書院,230p. ASIN: 4260104446 [kinokuniya][amazon]
◆多田 富雄・奥村 康・谷口 克・宮坂 昌之 199312 『免疫学用語辞典』
 最新医学社; 第3版版,683p. ASIN: 4914909103 [kinokuniya][amazon]
◆多田 富雄・Jonathan Brostoff・David K. Male・Glenis K. Scadding・Ivan M. Roitt 199403 『臨床免疫学イラストレイテッド 』
 南江堂,438p. ASIN: 4524202994 [kinokuniya][amazon]
◆多田 富雄・中村 雄二郎 編 19940520 『生命――その始まりの様式』,誠信書房,376p. ISBN-10: 4414803071 ISBN-13: 978-4414803075 3150 [amazon][kinokuniya] ※ be.
◆多田 富雄・岸本 忠三 199408 『免疫 (1993-94)』
 中山書店,221p. ASIN: 4521003818 7952 [kinokuniya][amazon]
◆多田 富雄・中村 桂子・養老 孟司 19940920 『「私」はなぜ存在するか――脳・免疫・ゲノム』
 哲学書房,240p. ISBN-10: 4886790577 ISBN-13: 978-4886790576 2330+ [amazon][kinokuniya] ※→200009 哲学書房,哲学文庫,250p. ISBN-10: 488679100X ISBN-13: 978-4886791009 [amazon][kinokuniya]
◆多田 富雄・岸本 忠三 199408 『免疫 (1994-95) 』
 中山書店,206p. ASIN: 4521004814 8461 [kinokuniya][amazon]
◆多田 富雄・立花 隆・日高 敏隆・河合 雅雄 199611 『マザーネイチャーズ・トーク』
 新潮社,379p. ASIN: 4101387214 [kinokuniya][amazon]
◆多田 富雄・石坂 公成 199702 『免疫系の調節因子』
 医学書院,105p. ASIN: 4260157116 [kinokuniya][amazon]
◆TASC(たばこ総合研究センター) 編/アンドルー ワイル・永沢 哲・多田 富雄・伊藤 源石・横山 輝雄・他 19970718 『パラドックスとしての身体――免疫・病い・健康』
 河出書房新社,285p. ISBN-10: 4309611613 ISBN-13: 978-4309611617 2400+ [amazon][kinokuniya] ※ b02. ms.
◆多田 富雄・南 伸坊 19971125 『免疫学個人授業』
 新潮社,165p. ISBN-10: 4104161020 ISBN-13: 978-4887184176 1200+ [amazon][kinokuniya] →20010101 新潮社文庫 204p. ISBN-10: 4101410321 380 [amazon][kinokuniya]
◆多田 富雄・田原 総一朗・日高 敏隆・岡田 節人・川那部 浩哉 199808 『田原総一朗の科学の巨人たち――人間圏はどんなユニットで21世紀を迎えるべきか』
 ケイエスエス,324p. ASIN: 4877092382 1890 [kinokuniya][amazon]
◆多田 富雄・青柳 恵介・安土 孝・河合 隼雄 199601 『白洲正子を読む』
 求龍堂,239p. ASIN: 476309601X 2039 [kinokuniya][amazon]
◆多田 富雄・森岡 正博・柴谷 篤弘・大越 俊夫 199902 『現代文明は生命をどう変えるか――森岡正博・6つの対話』
 法蔵館,237p. ASIN: 4831872415 2520 [kinokuniya][amazon]
◆多田 富雄・萩原 清文・谷口 維紹 199905 『マンガ分子生物学――ダイナミックな細胞内劇場』
 哲学書房,75p. ASIN: 4886790682 998 [kinokuniya][amazon]
◆多田 富雄・Ivan Roitt・David Male・Jonathan Brostoff 200001 『免疫学イラストレイテッド』
 南江堂,424p. ASIN: 4524217878 7140 [kinokuniya][amazon]
◆多田 富雄・山折 哲雄 20000428 『人間の行方――二十世紀の一生、二十一世紀の一生』
 文春ネスコ,237p. ISBN-10: 4890361030 ISBN-13: 978-4890361038 1680 [amazon][kinokuniya] ※
◆多田 富雄・養老 孟司・中村 桂子 200009 『「私」はなぜ存在するか――脳・免疫・ゲノム』
 哲学書房,250p. ASIN: 488679100X 1995 [kinokuniya][amazon]
◆多田 富雄・南 伸坊 19971125 『免疫学個人授業』
 新潮社,204p. ISBN: 4101410321 380 [amazon][kinokuniya] ※
◆多田 富雄・北沢 方邦・海野 和男・椹木 野衣 200105 『「まだら」の芸術工学』
 工作舎,279p. ASIN: 4875023499 2625 [kinokuniya][amazon]
◆多田 富雄・萩原 清文 200111 『好きになる免疫学』
 講談社,158p. ISBN: 4061534351 1890 [kinokuniya][amazon]
◆多田 富雄・萩原 清文 200211 『好きになる分子生物学――分子からみた生命のスケッチ』
 講談社,206p. ISBN: 4061534343 2100 [kinokuniya][amazon]
◆多田 富雄・鶴見 和子 20030615 『邂逅』
 藤原書店,231p. ASIN: 4894343401 2310 [amazon][kinokuniya] ※ r02.
◆多田 富雄・柳沢 桂子 20040430 『露の身ながら――往復書簡いのちへの対話』
 集英社,269p. ISBN: 4087812650 1470 [amazon][kinokuniya] ※
◆多田 富雄・森田 拾史郎 200504 『あらすじで読む名作能50』
 世界文化社,144p. ASIN: 4418052097 [kinokuniya][amazon]
◆石牟礼 道子・多田 富雄 20080630 『言魂』
 藤原書店,216p. ISBN-10: 489434632X ISBN-13: 978-4894346321 2310 [amazon][kinokuniya] ※



◆19870605 「老化と免疫系――スーパー人間の崩壊」
 多田・今村編[1987:76-102]*
*多田 富雄・今村 仁司 198706 『老いの様式――その現代的省察』
 誠信書房,318p. ASIN: 4414803055 [kinokuniya][amazon] cf.老い
◆多田 富雄 199101 「脳の「自己」と身体の「自己」――移植と脳死をめぐって 免疫の意味論・1」,『現代思想』19-01:030-36
◆多田 富雄 19910401 「脳死を題材に能を書いた免疫学者」(インタヴュー・ひと) 『科学朝日』51-04(603):008-009 ※
◆多田 富雄 19910401 「脳死と現代人の死生観――私が新作能「無明の井」を書いた理由」,『日本医師会雑誌』105-07:1128-1131(特集:死を考える)
◆多田 富雄 199201 「脳死・臓器移植問題で見失われているもの――免疫学の立場から」(インタビュー 聞き手:これひさ かつこ),『技術と人間』21-01:028-37
◆多田 富雄・これひさ かつこ(聞き手) 19920410 「「生と死」とは何だろうか」(インタヴュー 聞き手:これひさ かつこ),『技術と人間』21-04(224・241):058-065 ※COPY
◆多田 富雄・五木 寛之・中島 みち 199211 「いのちの尊厳――脳死と臓器移植をめぐって」(座談会),『婦人之友』086-11:20-31
◆多田 富雄 20000301 「ロマンチックな科学者はだれ?――発刊に寄せて」,井川編[2000:15-20]*
*井川 洋二 編 20000301 『続・ロマンチックな科学者――新しい生物学に挑戦する気鋭の研究者たち』,羊土社,230p. ISBN-10: 4897066417 ISBN-13: 978-4897066417 2940 [amazon][kinokuniya] ※



◆2010/04/21 「多田富雄氏死去 東京大名誉教授
 多田 富雄氏(ただ・とみお=東京大名誉教授、免疫学)21日午前10時31分、前立腺がんのため東京都内の病院で死去。76歳。茨城県出身。自宅は東京都文京区本郷6の24の5。葬儀・告別式は近親者のみで行い、しのぶ会を6月18日午後6時半から東京都千代田区丸の内3の2の1、東京会館で。喪主は妻式江(のりえ)さん。
 74年千葉大教授、78年東京大教授。主要な免疫細胞のT細胞には、体内に侵入した異物を攻撃するだけでなく、過剰な免疫反応を抑制するものがあることを発見し、国際的に注目を集めた。84年文化功労者。
 93年に「免疫の意味論」で大仏次郎賞。能に造詣が深く、脳死や原爆、相対性理論などを題材にした能を創作した。
 01年に脳こうそくで倒れたが、リハビリに取り組み、左手だけでパソコンを使って執筆活動を続けた。闘病生活をつづった「寡黙なる巨人」は08年に小林秀雄賞。」(全文)
 2010/04/21 19:06 【共同通信】

◆2010/04/21 「免疫学者の多田富雄さん死去 能楽にも深い関心」
 2010年4月21日15時1分 asahi.com
 http://www.asahi.com/obituaries/update/0421/TKY201004210271.html

 「国際的な免疫学者で、能楽にも深い関心を寄せた東京大名誉教授の多田富雄(ただ・とみお)さんが21日、前立腺がんによるがん性胸膜炎で死去した。76歳だった。葬儀は近親者で行う。「しのぶ会」は6月18日午後6時30分から東京都千代田区丸の内3の2の1の東京会館で開く。喪主は妻式江(のりえ)さん。
 多田さんは千葉大医学部卒。1974年、同大医学部教授に、77年、東大医学部教授に就任。東京理科大生命科学研究所長などを務めた。81年度の朝日賞を受賞、97〜07年度には朝日賞の選考委員も務めた。84年の文化功労者。
 体内に侵入したウイルスや細菌などから身をまもる免疫細胞のひとつ、T細胞には、異物を攻撃するアクセル役のほかに、ブレーキ役があり、両者でバランスを保って暴走を防いでいることを明らかにした。免疫の働きが強すぎると、自分を攻撃する自己免疫病につながってしまう。最新の免疫学の成果を紹介しながら、生命から社会のありようまで幅広く論じた「免疫の意味論」は93年、第20回大佛次郎賞に選ばれた。
 青年時代から能楽に関心を寄せ、時に自ら小鼓を打った。脳死移植や原爆などをテーマにした新作能を次々発表した。
 01年に脳梗塞(こうそく)で倒れ、重い右半身まひや言語障害といった後遺症を抱えたが、リハビリを続けて左手でパソコンを打ち、朝日新聞文化欄に能をテーマに寄稿するなど、意欲的な文筆活動を続けていた。」

◆2010/05/30 「悼む:東京大学名誉教授・多田富雄さん=4月21日死去・76歳」
 毎日新聞 2010年5月30日 東京朝刊
 http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100530ddm004070028000c.html

 「◇最後まで執筆を継続−−多田富雄(ただ・とみお)さん=前立腺がんのため4月21日死去・76歳
 1人の人の中に多様な才能がきらめくことがある。それが並大抵ではなかった。
 免疫学者として世界的業績をあげたのは30代。学界の主流に逆らった研究で、免疫反応を抑える細胞の存在を見破った。「人と違うことをする」「バラの香りのように美しい研究を」。弟子にはそうした心構えを伝えた。最先端の免疫学を語りつつ、生命の本質に迫る著書「免疫の意味論」は「目からウロコ」の感覚に満ちていた。その思想は今も古びていない。
 能への造詣の深さでも知られ、東京大学退官の際には「高砂」で小鼓を披露した。「さわやかにすうっと消えるという思いを託した」という言葉に、美学を感じさせた。
 真価が発揮されたのは01年、脳梗塞(こうそく)に倒れてからかもしれない。右半身まひ、言葉の自由も失う。死も望んだというが、自分の中の「新しい人」としてよみがえり、新作能、詩集、エッセーなどを矢継ぎ早に出版した。
 「もう恐れるものは何もない」と語り、診療報酬改定でリハビリが制限された時には先頭に立って厚生労働省と闘った。パソコンや50音の出るトーキングマシンを使い、マスコミにも登場し続けた。
 なぜそうまでしてインタビューに応じるのか−−。答えは「あたりまえのこと」だった。倒れる前と同じ生活を送っているだけだというのだ。「知ること、発見すること、それを感動をもって知らせることは科学、芸術に共通した喜び。書かなければ発見したことになりません」とも語った。
 前立腺がんの骨転移に耐えながら、最後まで執筆を続けた。とぎすまされ、そこはかとなくユーモアの漂う文章に、知の巨人のあらゆるメッセージが残されている。【青野由利、内藤麻里子】」(全文)

■言及

◆立岩 真也 20100701 「留保し引き継ぐ――多田富雄の二〇〇六年から」,『現代思想』38-9(2010-7): 資料
◆立岩 真也 2010/09/01 「多田富雄さんのことから――唯の生の辺りに・5」,『月刊福祉』2010-9
◆立岩 真也・天田 城介「……」 2011/**/** 『生存学』3 文献表


*作成:
立岩 真也小宅 理沙
UP:20060614 REV:0811 20071123 20080228, 20100603, 04, 05, 0702, 1223
WHO 

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