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高岡健

たかおか・けん
1953〜

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last update: 20140820

◆以下,Wikipedia の人物紹介
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E5%B2%A1%E5%81%A5

高岡 健(たかおか けん,1953年-)は,日本の医学者,精神科医。専門は児童青年精神医学,精神病理学
1953年徳島県生まれ.1979年,岐阜大学医学部を卒業後,岐阜赤十字病院精神科部長などを経て,現在は岐阜大学医学部准教授.日本児童青年精神医学会評議員.少年事件の精神鑑定も数多くてがける.雑誌『精神医療』(批評社)の編集委員をつとめる.

■著作

高岡 健 201302 『続・やさしい発達障害論』,批評社,219p. ISBN-10: 4826505736 ISBN-13: 978-4826505734 ¥1785 [amazon][kinokuniya] ※ ds
◆高岡 健 20100105 『少年事件 心は裁判でどう扱われるか――弁護士と児童精神科医の対話』,明石書店,275p. ISBN-10: 475033118X ISBN-13: 978-4750331188 \1890 [amazon][kinokuniya] ※ m
◆高岡 健 20090410 『やさしいうつ病論』(サイコ・クリティーク 7),批評社,173p. ISBN-10: 4826505019 ISBN-13: 978-4826505017 \1575 [amazon][kinokuniya] ※ d05 s01
◆高岡 健 20090404 『発達障害は少年事件を引き起こさない――「関係の貧困」と「個人責任化」のゆくえ』,明石書店,203p. ISBN-10: 4750329657 ISBN-13: 978-4750329659 1680 [amazon][kinokuniya] ※ m
松本 雅彦・高岡 健 編 20080410 『発達障害という記号』,批評社,165p. ISBN-10: 4826504802 ISBN-13: 978-4826504805 \ [amazon][kinokuniya] ※ m
◆高岡 健 20071225 『やさしい発達障害論』,批評社,175p. ISBN-10: 4826504756 ISBN-13: 978-4826504751 \1575 [amazon][kinokuniya] ※ d00b
◆高岡 健 20070515  『自閉症論の原点――定型発達者との分断線を超える』 ,雲母書房,221p. ISBN-10: 4876722250 ISBN-13: 978-4876722259 \1890 [amazon][kinokuniya] ※ a07
石川 憲彦・高岡 健 20060625 『心の病いはこうしてつくられる――児童青年精神医学の深渕から』,批評社,メンタルヘルス・ライブラリー,172p. ISBN-10: 4826504454 ISBN-13: 978-4826504454 \1890 [amazon][kinokuniya] ※ m
◆高岡 健・岡村 達也 20050910 『自閉症スペクトラム・浅草事件の検証――自閉症と裁判』,批評社,メンタルヘルス・ライブラリー14,184p. ISBN-10:4826504284 ISBN-13:978-4826504287 2100 [amazon][kinokuniya] ※ m a07 a07b
◆高岡 健・岡村 達也 編 20040525 『人格障害のカルテ 理論編』(メンタルヘルス・ライブラリー 11),批評社, 203p.ISBN-10: 4826503962 ISBN-13: 978-4826503969 2100 [amazon][kinokuniya] ※ m
◆高岡 健 20031020 『新しいうつ病論――絶望の中に見える希望』,雲母書房,243p. ISBN-10: 4876721491 ISBN-13: 978-4876721498 1890 [amazon][kinokuniya] ※+[広田氏蔵書] d05 m
◆高岡 健 20030110 『人格障害論の虚像――ラベルを貼ること剥がすこと』,雲母書房,235p. ISBN-10: 4876721300 ISBN-13: 978-4876721306 \1890 [amazon][kinokuniya] ※ m

■論文・その他書いたもの(ごく一部)

◆高岡 健・木村 一優 20110110 「自閉症を有する者の訴訟能力」,『刑事弁護』現代人文社,65: 75-77
◆高岡 健 20101010 「資料・クロニクル1968(特集 精神医療の1968年)」,『精神医療(第4期)』60: 34-39
◆高岡 健 20101010 「精神医療の1968年」,『精神医療(第4期)』60: 2-5
◆高岡 健 20101010 「発達障害とは何か」,『部落解放』639: 12-19
◆高岡 健 20100601 「子どもの『うつ』とその背景」,『児童心理』金子書房,64(8): 49-52
◆高岡 健 20020810,「編集後記」,『精神医療』4-27(102): 192.
◆高岡 健 20020810,「巻頭言 グローバル・メンタルヘルス・クライシス」,『精神医療』4-27(102): 2-5.
◆高岡 健・関 正樹 200101 「自傷――リストカット・オーバードーズ」,『小児科診療』73(1): 85-88

■言及

◆立岩真也 2014/08/25 『自閉症連続体の時代』,みすず書房,352p. ISBN-10: 4622078457 ISBN-13: 978-4622078456 3700+ [amazon][kinokuniya] ※

◇「個人にもっぱら注目することを批判し「社会」の側を問題にする人たちがいた。社会(科)学をやっている人たちはそんなことをよく言う。医療者は、普通は身体に関わる人なので、別の見方をすることが多いが、中には社会を問題にする人たちもいる。それは良心的な行ないなのではあるが、その意味、妥当性はよく検討されるべきである。これまで社会を持ち出す側としては、医学が示す病因論に対してはそれが確実でないことを指摘し、また社会的因子を強調するというのが常道だった。その意義を了承しつつ、しかしそれだけではすまないはずだと考えているのである。
 「すまない」と思うのは、一つに、家族、当人の側からいやそれはただの病気なのだと言われた――前章にあげた本でも繰り返される――から言われるからでもある。このことについて、その意味について考えることになる。
 そして、ことはなかなか複雑ではある。

 「高岡 自閉症脳障害説に関しては、例えば自閉症協会でもそういうふうに言っていますし、これまでの親の育て方が悪かったという誤解に対するアンチテーゼとしてはそういう言い方で私は十分いいと思うのです。しかし、この説で何が証明されるかというと、私は永遠に証明されないだろうと思っています。」(石川・高岡[2006:41])
 「石川 私も、医者の立場から親の育て方に対するアンチテーゼとして自閉症脳障害説を認めたというところでは、そこは半分そうだと思う。でも、それを医者が言ってはおしまいだとも思う。」(石川・高岡[2006:42])

 つまり、かつて親に原因があるという説があって、その後それが否定された、親たちもそれを否定した、それはもっともだった、しかし「医者が言ってはおしまいだ」と小児科医の石川憲彦★01が言っているということだ。これはいったいどうなっているのかということである。
 まず、家族・親、もっと限定すれば母親に問題がある原因があるという説を巡って言われてきたことをすこし見て、考えられることを述べる。」

◇「薬についても同じことは起こる。ニキは薬も使う。それは自分にちょうどよいぐらいに使われる(cf.ニキ[2008a])。しかし、いつもそうでないかもしれない。さきの引用でワイズは、まずAD/HD(ADHD)を認めた上で、うまく対処して、軋轢を大きくしないようにしようというのだった。しかしそのようにうまくことが運ぶだろうか。これらのことを心配する人もいる。前章の冒頭(◆頁)で小児科医の石川憲彦との対談の本(石川・高岡[2006])から引用したことのある精神科医の高岡の「AD/HDという診断の乱用」という見出しのついた文章より。

 「行為障害という概念の源流はイギリスにあります。同じものを指して、アメリカでは、AD/HD(注意欠陥/多動性障害)と呼ぶ場合が多いのです。[…]イギリスの心理学会は、アメリカで行われているAD/HDの診断の乱用と、それに伴うリタリンという「治療」薬の乱用に追随しないよう、警告を発しています。
 AD/HDは、不注意と多動−衝動性を示す子どもに対して下される診断名です。不注意の中には、「指示に従えず、学業・用事・職場での義務をやり遂げることができない」などが含まれ、多動−衝動性には、「教室や、その他、座っていることを要求される状況で席を離れる」などが含まれます。
 こういう診断が恣意的に乱用されると、教室での出来事は、何でも子ども個人の病理に帰されることになってしまうでしょう。[…]この診断名が乱用されるときには、行為障害の場合にはワンセットにされていたはずの、教育的・社会福祉的支援の必要性が、すっぽりと抜け落ちてしまうのです。
 近年、AD/HDの子どもは行為障害に発展し、さらに反社会性人格障害に陥ってしまう、というキャンペーンが、アメリカを中心に、激しさを増してきました。[…]
 しかし、ほんとうはそうではありません。むしろ、AD/HDというラベルを貼られることにより、子どもたちが自分を悪い子だと信じ込むようになってしまうことが、反社会的な行動を惹起してしまうのです。つまり、自己価値の低下です。[…]自分はどうせ無価値だから、暴力を振るおうが、万引きをしようが、これまでより価値が下がるわけがない、という心理です。このような心理なくして、AD/HDが自動的に反社会的人格障害へ至ることはありえません。」(高岡[2003:152-153]★03)

 ずいぶんとたくさんのことが一度に言われている。飛躍もあるように思われる。例えばある子が「AD/HDというラベルを貼られること」は、その子が「悪い子」であると自らのことを思うこととは異なることのはずである。しかし、つながらないはずのものがつながってしまうのは、この文章の中においてというより、社会の現実においてのことである。懸念はたんなる懸念でなく、現実のものとしてある。大人であり、声を発しそしてそれが聞かれるのであれば、決めたことが通るのであれば、あまり心配することはないかもしれない。しかしそんな人たちばかりではない。とくにこのことに注意しておいた方がよい。第8章1節でここまでを継いで、言えることを述べる。」


UP: 20090602 REV: 20110129, 0411,0505, 20130420, 21040820
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