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ろう教育の有効性:聴覚障害者の基礎学力向上と真の社会参加を目指して

科学研究費補助金 若手研究(スタートアップ)(科研費課題番号20830119)
研究代表者:坂本 徳仁(国立障害者リハビリテーションセンター研究所流動研究員・立命館大学衣笠総合研究機構客員研究員)


このページでは、平成20-21年度にかけて行なわれる 科研費若手研究(スタートアップ)プロジェクト「ろう教育の有効性:聴覚障害者の基礎学力向上と真の社会参加を目指して」 (研究代表者:坂本 徳仁)に関連する研究成果の発信や情報の公開をしていきます。なにがしかの誤り、不都合、ご意見、応援などが ありましたら、sakamoto-norihito(アットマーク)←「@に変えてください」rehab.go.jp までご連絡ください。

■本研究の目的・課題
本研究の目的・課題は三つあります。以下では、その三つの研究課題各々について説明します。
(1)聴覚障害児童の低学力を引き起こす要因の分析
聴覚障害者の学力は、一般に高校卒業時点で小学校3〜4年生程度しかないものと指摘されています。 この低学力問題については心理学・教育学に基づいた膨大な先行研究が存在しますが、 @小サンプルで体系的な知見を得るには信頼性に欠けること、 A学力に影響する諸要因の無視(家庭・教育環境といった要因の無視)、といった問題があり、 残念ながら低学力の原因を特定できる水準にはありません。本研究では、これらの問題を明示的に扱い、 研究期間内に「計量分析」、「社会調査」、「海外との比較分析」といった三つの手法を用いて、 聴覚障害児における学力の実像と低学力を引き起こす諸要因を少しでも明らかにすることを目標としています。
(2)聴覚障害児童の基礎学力向上に有効な教育手法の分析
聴覚障害児の基礎学力を上げるために、様々な教育方法が提案・実践されてきました。しかしながら、 これらの教育方法にどの程度まで学力向上の効果があったのか、データに基づいて精密な分析を行なった研究はあまり存在しないのが実状です。 先行研究では、親の学歴や教育熱心さ、子供の学校外での学習時間 などの家庭環境の要因、教員の教育哲学や就業年数、教育熱心さといった教員の質に関わる要因を考慮していないため、推定される結果に様々なバイアスがかかっているものと思われます。 本研究では、実際に行なわれている各々の教育方法の学力向上効果を@家庭環境、A児童の状態、B教育現場といった変数を含めた精密な計量分析によって明らかにすることを目的としています。
(3) 聴覚障害者が豊かな生を享受するためには、どのような支援が望まれるのか明らかにすること
聴覚障害者自身が思っていることと、聴覚障害児童を取り巻く環境(@保護者、A教師及びソーシャル・ワーカー、B教育・就業政策、C関連NGOの活動、D周囲の人々の理解)をアンケート及びインタビューに基づく調査によって分析し、聴覚障害者が豊かな生を享受するためには、@各関係者はどのように聴覚障害者と接していくことが望ましいのか、A聴覚障害者の教育・就業支援はどのようなものが望ましいのか、B聴覚障害者の社会参加にはどのような形態がありうるのか、といった問題を考察します。

■ろう教育に対する僕の基本的立場について
僕は口話主義、手話主義のどちらの立場でもありません。 @聴覚障害者が自尊心を持って社会参加するためには、どのような教育・就労面での配慮が必要なのか明らかにすること、 A学力やコミュニケーション能力の向上のために有効な手だては何か明らかにすること、という二つの事柄を最大の関心事としており、 音声言語、手話言語のどちらが優先されるべきかという問題は、これら二つの事柄について一定の研究成果が得られた上で 判断すべきだと考えています。上述の研究目的を達成するために、一科学者として客観的・中立的であるようひたすら努めることを旨とし 研究を進めていく所存です。ちなみに、僕が聴覚障害者の問題に興味をもったキッカケと 現在の研究計画を練るに至った経緯を「僕が科研費に応募するまで」(製作途中、お待ちください。)で説明します。 なぜ経済学者が聴覚障害の研究をすることになったのか興味を引かれた方はどうぞご覧ください。

■本研究の成果(2009年6月現在)
◆坂本 徳仁 (2009) 「人工内耳装用児におけるリテラシー・言語・学力」
◆坂本 徳仁 (2008) 「人工内耳装用児におけるコミュニケーションと家族関係」
(執筆中) ・・・ 執筆終了後、著作権上の了解を得られた場合には掲載します。
◆坂本 徳仁・佐藤 浩子・渡邉 あい子 (2009) 「聴覚障害者の情報保障と手話通訳制度に関する考察:3つの自治体の実態調査から」
(執筆中) ・・・ 執筆終了後、著作権上の了解を得られた場合には掲載します。

■最後に。
本研究を行なうためには、たくさんの方々のご理解とご協力が必要不可欠です。 聴覚障害児童とそのご家族、聾学校の教職員、ソーシャルワーカー、 NPO、障害者政策担当の官僚、実務家の皆様に協力して頂けなければ、学力調査やアンケート調査、インタビュー調査が行なえません。 世間知らずな若輩者で、皆様にご迷惑をおかけすることが多々あるかと思いますが、 調査研究を行なう際にはなにとぞ宜しくお願い申し上げます。



*作成: 坂本 徳仁
UP:20080903 REV:20090603
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