「一九〇六年(明治39)時点で、繊維工業の女工数六十三万人に対して、ほぼ同数の家事サービス労働者として女中がいた(七十六万人)。つまり、当時の女性の主要な働き口<0198<は女性と女工で占められていたことがわかる。もちろん商業にもほぼ同じ程度の多くの雇用が吸収されていたが、この産業には零細の行商から大手デパートまであらゆる小売り、卸売りが含まれているので、職業としては雑多なものを含むことになる。」(篠塚[1995:198-199])
「戦後、復員した男性たちが続々と職場に復帰してくると、戦時中生産現場を含め社会参加を強要された女性たちが、今度は家庭に追い返された。アメリカの女性たちも同じ経験をしていた。しかし、すでに婦人解放運動が政策的に実施されていたアメリカでは、婦人の解雇を公然とするのはむずかしい。そこで、婦人が率先して辞めていくように「家庭への復帰」を導く社会的風潮が作られたという(S・ファイアストーン、林弘子訳『性の弁証法』)。」(篠塚[1995:145])
*Firestone, Shulamyth 1970 The Dialectic of Sex : The Case for Feminist Revolution, William Morrow =1972 林弘子訳,『性の弁証法――女性解放革命の場合』,評論社,305p. <172> ※ *f