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呉 世雄

お せうん


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last update:20210212


■論文

◆呉世雄,2019,「韓国における社会的経済組織の現状と課題――支援政策と経営実態を中心に」第5回ソーシャルファームジャパンサミット in 大阪 口頭発表資料.
p. 92
韓国では、2007年に「社会的企業育成法」が制定され、2012年に「協同組合基本法」が施行された。2014年以降、これまでの社会的企業に代わり、基礎自治体の社会的経済関連条例や研究が増加している。

p. 94
社会的企業の種類には、@労働統合型(脆弱者が従業者の50%以上)、A社会サービス提供型(全サービスの利用者の内、50%以上が脆弱者)、B混合型(@Aそれぞれ、脆弱者の比率が30%以上)、C地域社会貢献型(地域社会、コミュニティの暮らしの質の向上)

p. 98
日本における実践的先駆性と韓国における制度的先駆性の融和。韓国で見られる制度・運営上の課題をいかにクリアーしながら、日本の制度改革に生かしていけるか。

◆呉世雄,2017,「韓国の社会的企業育成法の成果と課題」『社会福祉学』58(2):80-93.
p. 80
本研究は、韓国の「社会的企業育成法」の成果と課題を明らかにし、日本の社会的企業育成策に示唆を与えることを目的とする。

pp. 80-81
本研究では、社会的企業育成を政策的に進めている韓国の事例に着目する。韓国では、社会的企業を育成するための制度・政策が積極的に進められており、2007年には、アジア圏で初めての社会的企業育成法律である「社会的企業育成法」(以下、育成法)が制定された。育成法では、一定の条件を満たしている企業について「認証」を行い、それら「認証的社会的企業」に対して、一定期間にわたり人件費や商品開発等の財政的支援、経営支援、税制優遇などの支援が行われる。

p. 81
しかし、制度による終了後の経営の継続可能性の弱さについては、解決すべき課題として指摘されている。―中略―企業経営者の間では「補助金がなければ続かない」との声も少なくない。また、韓国の社会的企業育成策の特徴とも言える国家主導による「トップダウン型」の育成では、企業の自立性(自律性)や先駆性の低下を招く恐れがあるとの懸念も多い(張 2009;宋 2011)。

pp. 83
認証を維持している企業のなかに、実際は活動していない、いわゆる「開店休業」の状態の企業も多い。

p. 83
政府の補助金等を除いた「営業利益」で見ると、―中略―黒字企業数は約16%にすぎず、自力で経営が成り立っている企業は少ない。

pp. 85-88
@社会的企業の概念の混合:低所得者や障害者の就労支援などの福祉政策の一環として理解されることが多く、「企業」としての認識はまだ弱い状況である。A雇用の質の問題:脆弱階層を書類上は雇用しているが、実際には労働活動に従事していない例も見られる。また、社会的企業の多くは単純労働中心の最低賃金の就労先であり、不安定雇用を制度的に推し進めるのではないかという懸念もある。B経営の持続可能性の弱さ:付加価値の高い事業アイテムが少ないこと、まずは支援ありきで安易な考え方でもって参入する企業が多かったことなどが挙げられる。C公的支援による自律性の侵害:認証社会的企業のデメリットについては、収益の社会還元などへの要求や、制度上の規制が経営の自律性や迅速性の妨げになること、非営利組織から参入した企業の場合は非営利性が失われることなどが挙げられた。

p. 91
まず、社会的企業の自立・自律経営を促す基盤づくりが重要である。近年は、育成法の支援方針が人件費などの「直接支援」から企業の自立経営を促すための環境づくりなどの「間接支援」に舵を切っている。―中略ー意欲のある起業家を発掘し育てるような人材育成支援も間接支援の重要な側面と言える。

p. 91
日本では実態としての社会的企業が多く存在しており、経済的・社会的成果の面からも大きな役割を果たしている。(内閣府の調査)




*作成:伊東香純
UP:20210204 REV:
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