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野中 猛

のなか たけし


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last update:20210204


■著書

◆野中猛,2006,『精神障害リハビリテーション論――リカバリーへの道』岩崎学術出版社.

■論文

◆野中猛,2005,「リカバリー概念の意義」『精神医学』47(9):952-961.
p. 954
リッジウェイは、手記には共通の主題があることからナラティブ分析を試みた。25編の手記から早期の独創的な4編を選択した。それらの中核的な語りとして、慢性の状態で停滞した状況から、多様な交流のある生活に移行する過程が述べられていた。共通主題として次の項目をとらえた。すなわち、@絶望から希望への覚醒、A否認の打破、そして理解と受容の達成、Bひきこもりからの関心へ、人生への積極的参加、C受動的順応よりも積極的対処、D精神疾患を持つ者としてとらえず、肯定的な自己感覚を取り戻す、E孤立から意味と目的の感覚を取り戻す、F複雑で非直線的な旅である、G一人で果たせるものではなく、支援とパートナーシップを必要とする、とした。

p. 956
政策としてのリカバリーを考えるに当たって、Jacobson と Curtis(2000)が警笛(警鐘)を鳴らしている。1990年代後半から複数の州で精神保健政策にリカバリー概念を導入した。それらは、消費者も含む多様な利害関係者からなる委員会を立ち上げ、リカバリーを推奨する声明文を発表するといったものであるが、ときには現存するプログラムの名前をつけ直すだけで、「パワーと責任を共有する」という本質的な移行について認識されていないとした。個人的な過程をどのように理解するのか、それを測定することの是非など、果たしてリカバリーを精神保健システムの原則とすべきかどうかも疑問として残っていると論じた。

◆野中猛,1999,「病や障害からのリカバリー(特集:リカバリー支援)」『OTジャーナル』33(6), 594-600.
pp. 599-600
リカバリーは特別なプログラムでも技術でもなく、専門職のわれわれが当事者の生活や人生を支援しようと工夫し続けるなかから、当事者自身が獲得する精神性のことである。病気や障害に対する支援として、施設やプログラムや技術だけが注目されている現在、新たな概念として改めて考慮するに十分な価値のある視点である。




*作成:伊東香純
UP:20210204 REV:
精神障害/精神医療 障害者と労働  ◇障害学  ◇WHO
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