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中井 久夫
なかい・ひさお
1934〜2022/08/08
・1934生奈良県に生まれる
・1946年 旧制甲南高等学校尋常科入学
・1948年3月 学制改訂により新制甲南中学校3年生となる
・1949年4月 新制甲南高等学校入学
・1952年 京都大学法学部に入学するも結核で休学
・1955年 京都大学医学部に転向
・1959年4月 大阪大学医学部でインターン
・1959年8月 医師免許取得
・1960年4月 京都大学ウイルス研究所助手
・1963 『日本の医者』出版
・1966年6月 ウイルス研究で、京都大学より医学博士号取得
・1966秋結婚
・1966 『病気と人間』出版
・1967年4月 東京大学医学部附属病院分院精神科研究生
・1969年 青木病院勤務
・1971年4月 東京大学医学部附属病院分院助手
・1971年3月 東京大学医学部附属病院分院講師
・1975年3月 名古屋市立大学医学部精神科助教授
・1980年6月 神戸大学医学部精神神経科教授
・1997年3月 神戸大学定年退官
・1997年4月 甲南大学文学部人間科学科教授、神戸大学名誉教授
・2004年3月 甲南大学を退職。兵庫県こころのケアセンター所長に就任。
・2007年3月 兵庫県こころのケアセンターを退職。
◆中井久夫「災害がほんとうに襲った時」電子データの公開および無償頒布につきまして(最相葉月)
http://homepage2.nifty.com/jyuseiran/shin/shin00.html
→東日本大震災関連 cf.
災害と障害者・病者
■著作
◆楡林 達夫・小山 仁示 編 1963 『日本の医者』,三一新書,267p. ASIN: B000JAAV8W
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※ ms. m.
*中井久夫
『日本の医者』
第一部に、楡林達夫(中井久夫の筆名)担当箇所を抜粋して掲載
◇楡林 達夫 1963〜1964頃 「抵抗的医師とは何か――新入局者への手紙 あわせてほかの僚友たちへ」,岡山大学医学部自治会刊行
*中井久夫
『日本の医者』
第二部(pp.91-131)に全文掲載
◆楡林 達夫・小山 仁示・金谷 嘉郎 1966 『病気と人間――医学・医療の社会的背景』,三一新書
*中井久夫
『日本の医者』
第三部に、楡林達夫(中井久夫の筆名)担当箇所を抜粋して掲載
◆中井 久夫・山中 康裕 編 197803 『思春期の精神病理と治療』,岩崎学術出版社,345p ¥4000
◆中井 久夫 編 197912 『分裂症の精神病理8』,東京大学出版会,297p
◆中井 久夫 19820215
『分裂病と人類』
,東京大学出版会,UP選書,252p. ISBN-10: 4130020218 ISBN-13: 978-4130020213 2310
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※+
[広田氏蔵書]
m.
◆中井 久夫 19841003
『中井久夫著作集 精神医学の経験・1――分裂病』
,岩崎学術出版社,412p. ISBN-10: 4753384101 ISBN-13: 978-4753384105 6500+
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※+
[広田氏蔵書]
m.
◆中井 久夫 199007
『治療文化論――精神医学的再構築の試み』
,岩波書店,227p. ISBN-10:4006000529 \945
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※ m
◆中井 久夫 編 199102 『分裂病の精神病理と治療3』 星和書店,269p. 5500
◆中井 久夫 199210 『記憶の肖像』,みすず書房,336p \2575 ISBN10:4622045540
◆中井 久夫 19950922
『家族の深淵』
,みすず書房,389p. ISBN-10: 4622045931 ISBN-13: 978-4622045939 2884
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※ m.
◆中井 久夫・麻生 克郎・小川 恵・郭 慶華・川本 隆史・J ブレスラウ・村田 浩・六反田 千恵 19960408
『昨日のごとく――災厄の年の記録』
,みすず書房,324p.ISBN-10:4622037998 \2000
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※+
[広田氏蔵書]
ma n08
◆中井 久夫 19960705
『精神科医がものを書くとき・T』
,広英社,349p. ISBN-10: 4906493025 ISBN-13: 978-4906493029 2600+
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※ m.
◆中井 久夫 19961028
『精神科医がものを書くとき・U』
,広英社,423p. ISBN-10: 4906493033 ISBN-13: 978-4906493036
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※ m.
◆中井 久夫 19970808
『アリアドネからの糸』
,みすず書房 ,375p. ISBN-10:4622046199 ISBN-13:978-4622046196 \3150
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※ m. d10.
◆中井 久夫 19980508
『最終講義――分裂病私見』
,みすず書房,159p. ISBN-10: 4622039613 ISBN-13: 978-4622039617 2000+
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※ m.
◆中井 久夫・永安 朋子 200009 『分裂症の回復と養生』, 星和書店, 258p ¥2800 ISBN10:4791104242
◆中井 久夫・山口 直彦 20010315
『看護のための精神医学』
,医学書院,320p. ISBN4-260-33116-7 2940
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※ b m
◆中井 久夫 20020405
『清陰星雨』
,みすず書房,268. ISBN-10: 4622048191 ISBN-13: 978-4622048190 2625
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m.
◆中井 久夫 20040401
『徴候・記憶・外傷』
,みすず書房,404p. ISBN-10: 462207074X ISBN-13: 978-4622070740 3990
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※+
[広田氏蔵書]
m. ptsd.
◆中井 久夫 20050420
『時のしずく』
,みすず書房,289p. ISBN-10: 4622071223 ISBN-13: 978-4622071228 \2730
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m m2005 tt04
◆中井 久夫 20051124
『関与と観察』
,みすず書房,333p. ISBN-10:4622071754 ISBN-13: 978-4622071754 2730
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※ m.
◆中井 久夫 200609 『樹をみつめて』,みすず書房 260p \2800 ISBN10:4622072440
◆中井 久夫 20070525
『こんなとき私はどうしてきたか』
,医学書院,240p. ISBN-10: 4260004573 ISBN-13: 978-4260004572 2100
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※ m.
◆中井 久夫 20080822
『臨床瑣談』
,みすず書房,165p. ISBN-10: 4622074168 ISBN-13: 978-4622074168 1800+
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※ m.+
[広田氏蔵書]
◆中井 久夫 20081004
『日時計の影』
,みすず書房,346p. ISBN-10: 4622074370 ISBN-13: 978-4622074373 3150
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※ m.
◆中井 久夫 20090710
『臨床瑣談 続』
,みすず書房,192p. ISBN-10: 4622074818 ISBN-13: 978-4622074816 1900+
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※ m.
◆中井 久夫 20100915
『日本の医者』
,日本評論社,309p. ISBN-10: 4535804249 ISBN-13: 978-4535804241 2100
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※ m.
◆佐竹 洋人・中井 久夫 編 『「意地」の心理』,創元社,304p \1700 ISBN10:4422110918
■
◇中井久夫 1991 「吉田脩二『思春期・こころの病――その病気を読み解く』序文」→中井[1996:385-286]
◇中井久夫 1992 「書評:小田晋『現代人の精神病理』」,『文化会議』278→中井[19961028:346-351]
◇中井 久夫 1994 「わが精神医学読書事始め」,『学術通信』56,岩崎学術出版社→中井[19960705:13-20]
◇中井 久夫 200701 「神田橋先生のいる風景」、『ひとつの歩み――神田橋條治先生古稀記念集』、福岡・行動医学研究所→中井[2008:93-103]
◇中井 久夫 20070331 「東大分院神経科がある風景」、「東京大学精神医学教室120年」編集委員会編[2007]→中井[2008:118-129]
◆1979 「西欧精神医学背景史」,『現代精神医学体系第一巻A 精神医学総論T』,中山書店
◆198309 「家族の表象――家族とかかわるものより」『岩波講座 精神の科学7――家族』,岩波書店,331p
◆198312 「文化精神医学と治療文化論」『岩波講座 精神の科学 8――治療文化』,岩波書店,331p
◆198702 「世に棲む老い人」,伊東 光晴ほか 編『老いの発見4――老いを生きる場』,岩波書店,262p
◆中井 久夫 199310 「精神病棟の設計に参与する」,『精神科治療科学』8-10→中井[152-177]
◆「わが精神医学読書事始め」 1994 『学術通信』56,岩崎学術出版社→中井[19960705:13-20] ◆20000510 「災害被害者が差別されるとき」,『仏教』50:002-013 ※
◆200007 「解説――阪神間の文化と須賀敦子」,『須賀敦子全集4』,河出書房新社,553+20p \5400 ISBN10:4309621147
◆200303 「外傷性記憶とその治療」,森 茂起 編『現代人のメンタリティに関する総合的研究――心の危機の臨床心理学的・現代思想的研究 : 平成10年度〜平成14年度私立大学学術研究高度化推進事業(学術フロンティア)研究成果報告書 : 論文集. 1――トラウマの表象と主体』,甲南大学大学院人文科学研究科人間科学専攻学術フロンティア研究室, 227p
◆200303 「「踏み越え」について」,横山 博 編『現代人のメンタリティに関する総合的研究――心の危機の臨床心理学的・現代思想的研究 : 平成10年度〜平成14年度私立大学学術研究高度化推進事業(学術フロンティア)研究成果報告書 : 論文集4――心の機器と臨床の知』,甲南大学大学院人文科学研究科人間科学専攻学術フロンティア研究室, 345p
◆20030531 「踏み越え」について」,横山編[2003:197-222]*
*横山 博 編 20030531
『心理療法――言葉/イメージ/宗教性』
,新曜社,心の危機と臨床の知4,345p. 3570 ISBN-10: 4788508540 ISBN-13: 978-4788508545
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[kinokuniya]
※ m. m01c.
◆200502 「戦争と平和についての観察」,森 茂起 編 『埋葬と亡霊――トラウマ概念の再吟味』,人文書院,257p \2500,ISBM10:440943028
◆200804 「思春期における精神病および類似状態』安田生命社会事業団 編『子ども精神衛生講座 第5巻――児童精神医学総説2』,日本図書センター,90+159p
◆20100630 「戦争から、神戸から」,河出書房編集部編[2011:43-54]*
*河出書房新社編集部 編 20110630
『思想としての3・11』
,河出書房新社,ISBN-10: 4309245544 ISBN-13: 978-4309245546 1680
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[kinokuniya]
※ d10.
■翻訳
◇Sullivan,Herry Stack =1976 中井 久夫・山口 隆 訳 『現代精神医学の概念』,みすず書房,348p \3500
◇Perry, Helen Swick
Psychiartrist of America:the life of Harry StackSullivam
= 198510 中井 久夫・今川 正樹 共訳 『サリヴァンの生涯1』,みすず書房,347p,ISBN10:4622021943
◇Perry, Helen Swick
Psychiartrist of America:the life of Harry StackSullivam
= 198510 中井 久夫・今川 正樹 共訳 『サリヴァンの生涯2』,みすず書房,312p,ISBN10:4622021951
◇Sullivan,Herry Stack
The psychiatric interview
= 198612 中井 久夫 ほか訳 『精神医学的面接』,みすず書房,\4000,ISBN10:462202196x
◆198809 『カヴァフィス全詩集』 Cavafy, COnstantine, 中井 久夫 訳,みすず書房,431p
◇Balint, Michael
Thrills and regression
=199112 中井 久夫 訳 『スリルと退行』,岩崎学術出版社,201+30p \3605 ISBN10:4753391116
◆Sullivan, Harry Stack 1962 Schizophrenia as a Human Process, Norton=1995 中井 久夫・岩井 圭司・加藤 しをり・安 克昌・片岡 昌哉 訳
『分裂病は人間的過程である』
、みすず書房,500p. ISBN-10: 4622040972 ISBN-13: 978-4622040972 7560
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※ m.
◇Herman,Judith Lewis
Trauma and Recovery
=199612 『心的外傷と回復』,みすず書房,400+50p \6798 ISBN10:4622039575
◇Balint, Michael
ie Urformen der Liebe und die Technik der Psychoanalyse.
=199903 森 茂起・枡矢 和子・中井 久夫 共訳 『一次愛と精神分析技法』,みすず書房,368+25p. \7000
◆
Young, Allan
1995
The Harmony of Illusions: Inventing Post-Traumatic Stress Disorder
, Princeton University Press=20010215 中井 久夫・大月 康義・下地 明友・辰野 剛・内藤 あかね 訳,
『PTSDの医療人類学』
,みすず書房,441+29p. ISBN:4-622-04118-9 7000 ※
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[kinokuniya]
※ ma.,
cf.立岩 真也 2004/02/25
「『PTSDの医療人類学』」
(医療と社会ブックガイド・35),『看護教育』45-02(2004-02)(医学書院)
◇1999 『ヘランベルジェ著作集1――無意識のパイオニアと患者たち』Ellenberger,Hennri 中井 久夫 編訳,みすず書房,391p ¥6000
◇1999 『ヘランベルジェ著作集2――精神医療とその周辺』Ellenberger,Hennri 中井 久夫 編訳,みすず書房,370p ¥6000
◇2000 『ヘランベルジェ著作集3――精神医学/犯罪学/西欧と非西欧』Ellenberger,Hennri 中井 久夫 編訳,みすず書房,391p ¥6600
◇Kerdiner,Abram <u> War stress and nerotic illness= 200412 中井 久夫・加藤 寛 共訳『戦争ストレスと神経症』,みすず書房,378p ¥5000 ISBN10:4622071169
◇Putnam,Frank W
Dissociation in children and adolescents
=200107 『解離――若年期における病理と治療』,みすず書房,471p,\7600 ISBN4622041251
◇Sullivan, Harry Stack
A Harry SUllivan Stack case seminar
=200605 中井 久夫 訳『サリヴァンの精神科セミナー』,みすず書房,385p ¥5200 ISBN10:4622072173
◇Lidell,Robert
Cavafy
=200802 茂木 政敏・中井 久夫 訳 『カヴァフィス――詩と生涯』, みすず書房,347p \5200
■
・1934生奈良県に生まれる
・1946年 旧制甲南高等学校尋常科入学
・1948年3月 学制改訂により新制甲南中学校3年生となる
・1949年4月 新制甲南高等学校入学
・1952年 京都大学法学部に入学するも結核で休学
・1955年 京都大学医学部に転向
・1959年4月 大阪大学医学部でインターン
・1959年8月 医師免許取得
・1960年4月 京都大学ウイルス研究所助手
・1963 『日本の医者』出版
・1966年6月 ウイルス研究で、京都大学より医学博士号取得
・1966秋結婚
・1966 『病気と人間』出版
・1967年4月 東京大学医学部附属病院分院精神科研究生
「夫人には話さずじまいだったが、当時の私は最悪の状態にあった。事実上母校を去って東京で流動研究員となっていて、身を寄せた先の研究所で自己批判を迫られていた。フッサールという哲学者の本を読んでいるところを見つかったのである。研究室主宰者は、「『プラウダ』がついに核酸の重要性を認めたよ」と喜びの涙を流しておられた、誠実で不遇のマルクス主義者だった。傘下の者が「ブルジョア哲学」にうつつを抜かすのを許せなかったのであろう。筆名で書いたものもバレて、そのこともお気に召さなかった。 しかし、私にはやはり理不尽に思えた。「かつて政党に加入したこともない者が政治的な場でもないここでなぜ自己批判か」と返して、押し問答になった。結局、私は「自己批判」を拒否した。<0029<」(中井[199304→19950922:29])
*199304 「Y夫人のこと」,『みすず』385→中井[19950922:27-55]
*19950922
『家族の深淵』
,みすず書房,389p. ISBN-10: 4622045931 ISBN-13: 978-4622045939 2884
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※ m.
・1969年 青木病院勤務
・1971年4月 東京大学医学部附属病院分院助手
・1971年3月 東京大学医学部附属病院分院講師
・1975年3月 名古屋市立大学医学部精神科助教授
・1980年6月 神戸大学医学部精神神経科教授
・1997年3月 神戸大学定年退官
・1997年4月 甲南大学文学部人間科学科教授、神戸大学名誉教授
・2004年3月 甲南大学を退職。兵庫県こころのケアセンター所長に就任。
・2007年3月 兵庫県こころのケアセンターを退職。
■言及
◆阿保 順子 20080510
『精神看護という営み――専門性を超えて見えてくること・見えなくなること (サイコ・クリティーク)』
,批評社,206p. ISBN-10:4826504829 ISBN-13:978-4826504829 \1575
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※
「統合失調症という病気を説明する医学書はあまりにも難解なものが多い。かといって、医学生のテキストになっているものは、医学用語の羅列で、「ふ〜ん」としか言いようのないもので、これで臨床現場で看護ができるのかどうか大いに疑問で<0033<あった。患者さんを集団ではなく個々の人間として理解するということからは、とても遠く感じられたのである。
そんななかで、記述されている言葉の美しさもさることながら、臨床現場で目にする患者さんにぴったり当てはまる本に出会った。それが中井久夫の統合失調症の精神病理を明らかにした本である。彼の著作集が出る以前、東大出版会から刊行されていた『精神分裂病の精神病理』がそれである。この本はシリーズもので、膨大であり、中井の論文が入っていたのが何巻であるのかはすでに記憶にない。永田俊彦の精神分裂病の急性期を過ぎた後の疲弊期に関する文献(『分裂病の精神病理と治療』星和書店、『精神分裂病』人文書院)もまた、いつもはている患者さんの状態像をとてもよく表していた。」(阿保[2008:33-34])
◆稲場 雅紀・山田 真・立岩 真也 20081130
『流儀――アフリカと世界に向い我が邦の来し方を振り返り今後を考える二つの対話』
,生活書院,272p. ISBN:10 490369030X ISBN:13 9784903690308 2310
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※,
「山田 私は昔から中井久夫さんと神田橋條治さんのファンだけど、やっぱりあの二人から得られるものとは凄く大きい。どの科の医者が読んでも、自分の診療に役立つようなことを彼らは言ってくれている。それは彼らが患者さんを診ているからだと思う。とてもよく診ている。それに比べると、運動しているお医者さんたちの中には、彼らほどていねいに診ていなかった人もいたように思う。患者さんたちが発言できたり運動できたりするときというのは、あまり苦しくないときだから、そういうところにだけ付き合って、凄い辛い思いや苦しい思いをしているところで付き合いきれてなかったのではないか。
立岩 そうですね。ちょっと別の用事で、中井久夫さんのものをほとんど初めてに近く読んで、よい書き手でありよい本だと思いました。さっき名前を出した山本さんも神田橋さんの本はいいと言うんですよ。わりといろんなことに対して否定的、批判的な人だけど。そのリアリティはわかる気がします。」(山田・立岩[2008:220-221])
◆立岩 真也 2011/03/01 「社会派の行き先・5――連載 64」,『現代思想』39-3(2011-3):
資料
◆立岩 真也 2011/06/01 「社会派の行き先・8――連載 67」,『現代思想』39-8(2011-6):-
資料
註01「中井久夫やその弟子筋の活動・著作について第64回(3月号)でごく簡単に招待した。中井編[1995]から「中井久夫の文章を再編集、併せて新稿も収めて、ここにおくる」ということで中井[2011a]、中井他[1996]「より、中井久夫の文章9篇を中心に編集」ということで、中井[2011b]も刊行された。安[1996→2001]もしばらく品切れになっていたが、「災害精神医学等に関するエッセイや論考を加えた」増補改訂版(安[2011])が刊行された。」
◆立岩 真也 2011/07/01 「社会派の行き先・9――連載 68」,『現代思想』39-(2011-7):-
資料
◆立岩 真也 2011/10/01 「社会派の行き先・12――連載 71」,『現代思想』39-(2011-10):
資料
◆立岩 真也 2013/12/10
『造反有理――精神医療現代史へ』
,青土社,433p. ISBN-10: 4791767446 ISBN-13: 978-4791767441 2800+
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※ m.
序章・本書の概要
1 前史・既に言われたこと(第1章)
「第4節では、中井久夫が六〇年代に筆名で出した本・パンフレット(を再刊した本)を紹介する。それは大学の医学部のあり方を批判したものであるとともに、医療者が同時に革命家でもあろうとすることを諫めるといったものでもあったのだが、運動家の一部に読まれたものでもあるらしい。そしてその中井の多くの著作は、騒動がいったん山を越えた後、「臨床」に回帰していった人たちにも読まれた。このことにも幾つか解釈のしようがあるだろう。一つ、[…]」(立岩[2013:])
4 中井久夫『日本の医者』
「そして石井の語る本が出た二〇一〇年にもう一冊、中井久夫の『日本の医者』(中井[2010a])が刊行された。その人はとてもよく知られている人であり、知られているようにたいへん多くの著作を発表してきた人だが(一覧→HP)、私は『分裂病と人類』(中井[1982a])を学生の時に開いたことはたぶんあるはずだが、というぐらいでしかなかった☆16。
このたび過去のものを初めて幾つか読むことになった。そして中井の本が再刊されたことを知った。再刊といっても一冊の本をそのまま再度刊行したといった体裁のものではない。一九六三年に三一新書で出た『日本の医者』(楡林・小山編[1963])という本があった。また六六年に『病気と人間――医学・医療の社会的背景』(楡林・小山・金谷[1966])が同じ三一新書で出されている。そして六三年か六四年、岡山大学医学部自治会に求められて★17書いたという『抵抗的医師とは何か――新入局者への手紙 あわせてほかの僚友たちへ』(楡林[1963?1964?])というパンフレットがあった。これらの著者の楡林達夫は中井である。そのことはずっと明かされてこなかった。今度の本は、『日本の医者』『病気と人間』における中井(楡林)の文章、パンフレットの全文、そして中井がその経緯も記す「楡林達夫『日本の医者』などへの解説とあとがき」(中井[2010b])という構成のものになっている。
『抵抗的医師とは何か』は、この本が出る前、ウェブサイト上に全文が掲載されていた。その冒頭には次のように記されている。」(立岩[2013:])
「☆16 ひとつに、さしあたり病・障害の「本人」として、言われていることを受け入れるにせよ受け入れないにせよ、自分のために読む必要を長く感じなかったことがある。そして、医師たちが書く随筆風の本がずいぶんの数出ていたり、「心」「こころ」について語る本がますます多くあり、それにあまり肯定的になれなかった――そうした私の心性をとくに肯定したいわけではない――ということもある。また人によっては――ものを書いている人たちの多くは十分に承知し、その上で求められ書かねばと思って書いていることもわかっているのだが――自分たちのお客のことを書いて書きものができることにも肯定的になれないということがあるのかもしれない。ただ、「援助」に当たる人たちがその経験から人の処世法、様々なやり過ごし方等々を語ることについて、その効能がいっときであっても、もっと継続するものであっても、それに効能があるのであれば、それはそれでけっこうなことであるとは思う。私の場合には、以下にいくつかの事情を記すように、読んで知ったとしてそれでなにごとかが言えるように思えなかったこと、そしてその私は、書くために最低限必要なものを読む、材料として書きものを読むというような不健全な読書生活を送ってきたことがあるのだろうと思う。
にもかかわらずここでいくらかのことを書こうとしている。[…]」
UP:20041111 REV:...20080105, 0806, 1009, 1102, 1229, 20110207, 08, 11, 0322, 0504, 11, 0615, 0714, 0807, 0912, 20131228, 20220829
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