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神野 直彦

じんの・なおひこ


◇東京大学→関西学院大学
◇2010 税制調査会専門家委員会委員長 →税・2010

◆神野 直彦・池上 岳彦 編 20090220 『租税の財政社会学』,税務経理協会,185p. ISBN-10: 4419051965 ISBN-13: 978-4419051969 2940 [amazon][kinokuniya] ※ t07.

◆岡澤 憲芙・連合総合生活開発研究所 編 20071115 『福祉ガバナンス宣言――市場と国家を超えて』,日本経済評論社,327p. ISBN-10:4818819689 ISBN-13: 978-4818819689 \1600+税 [amazon][kinokuniya] ※ l
 「第10章 マクロの経済発展と福祉」を担当
◆神野 直彦・宮本 太郎 編 20061205 『脱「格差社会」への戦略』,岩波書店,234p. ISBN-10: 4000237705 ISBN-13: 978-4000237703 1680 [amazon][kinokuniya] ※ e03. t07. t07b.

 「現在から未来に向かって、地方財政に期待されている公共サービスは、社会福祉、医療、教育などの準私的財と呼ばれる対人サービスである。そうした対人サーヒスは本来、地域社会が住民相互間の共同作業や相互扶助によっても供給できる性格をもっている。そうした地域社会の住民生活をサポートする対人サービスは、不動産税よりも、住民の共同作業や相互扶助の代替として比例的所得税の型が整合的であると考えられる。あるいは比例的所得税の代替として付加価値税(消費税)の方が望ましいということができる。」(神野[2000:19])

◆神野 直彦・井手 英策 編 20061107 『希望の構想――分権・社会保障・財政改革のトータルプラン』,岩波書店,261p. ISBN-10: 4000225537 ISBN-13: 978-4000225533 2100 [amazon][kinokuniya] ※ t07.

◆神野 直彦・池上 岳彦 編 20030731 『地方交付税 何が問題か――財政調整制度の歴史と国際比較』,東洋経済新報社,265p. ISBN-10: 4492610480 ISBN-13: 978-4492610480 3150 [amazon][kinokuniya] ※ t07.

◆神野 直彦,自治・分権ジャーナリストの会 編 20010630 『課税分権』,日本評論社,248p. ISBN-10: 4535583048 ISBN-13: 978-4535583047 1890 [amazon][kinokuniya] ※ t07. t07b.

◆神野 直彦 編 20001225 『分権型税財政制度を創る――使え!!自主財原』,ぎょうせい,分権型社会を創る5,376p. ISBN-10: 4324060193 ISBN-13: 978-4324060193 3150 [amazon][kinokuniya] ※ t07. t07b.
◆神野 直彦 2000 「集権的分散システムから分権的分散システムへ」,神野編[2000:1-24]

◆坂本 忠次・和田 八束・伊東 弘文・神野 直彦 編 19990620 『分権時代の福祉財政』,敬文堂,324p. ISBN-10: 476700067X ISBN-13: 978-4767000671 [amazon][kinokuniya] ※ t07. t07b.

◆神野 直彦・金子 勝 編 19991222 『「福祉政府」への提言――社会保障の新体系を構想する』,岩波書店,319p. ISBN-10: 400024602X ISBN-13: 978-4000246026 2300 [amazon][kinokuniya] ※+[広田氏蔵書] t07.

◆大島 通義・神野 直彦・金子 勝 編 199904 『日本が直面する財政問題――財政社会学的アプローチの視点から』,八千代出版,285p. ISBN-10: 4842911085 ISBN-13: 978-4842911083 2835 [amazon][kinokuniya] ※ t07.


■言及

◆立岩 真也 2009/09/10 「軸を速く直す――分配のために税を使う」,立岩・村上・橋口[2009:11-218]*
*立岩 真也・村上 慎司・橋口 昌治 2009/09/10 『税を直す』,青土社,350p. ISBN-10: 4791764935 ISBN-13: 978-4791764938 2310 [amazon][kinokuniya] ※ t07, English

 「そしてもう一つ、分権されて小さくなったその単位の中でなされることは「互助」でよいとされる。第2章第9節(94−96・107−109頁)で和田八束の言論(の変容)を紹介した。さらに、やはり政権に批判的な立場を取りながら、より具体的に積極的に政策を論じ、政府関係の審議会等でも発言を行なってきた人たちに即して見ていくのがよいだろう。例えば神野直彦は、再分配機能については国税の累進課税を維持しつつ、地方税については所得比例税とするのがよいと主張する。その主張に特段の異論があるわけではないことをまず言っておく。以下は、その上でのことである。
 例えば神野・金子編[1998]では、新古典派経済学における地方税理論が検討され、それは破綻したとされる。その理論で正当化されるのは、物税では不動産課税、人税では人頭税(poll tax、一人当たりの税額の等しい税)で、英国ではその理論通りのことがなされたのだが、それは失敗したとされる。つまり英国では不動産の賃貸価格にかかる財産課税としてのレイトがあったのだが問題が多かった。サッチャー政権はそれを廃止し、代替税源としてコミュニティ・チャージと名づけられた人頭税を採用した。しかしそれはより大きな問題を引き起こしたとする。しかし日本では依然として新古典派的な地方税論が繰り返されていて嘆かわしいとされる。そして

 さらに問題なのは、英米諸国をモデルにして日本の官僚自治的体質を批判してきた進歩的学者達も、一九八〇年代以降の新保守主義的な地方分権論(あるいは自治体間競争に基づく効率化論)について、きちんと批判的に総括する枠組みを失ってしまっていることである。[…]戦後一貫して、進歩的学者によって地方分権化は主張され続け、貴重な成果も残してきた。しかし一九八〇年代以降、進歩対反動の対抗図式はひっくり返ってしまっている。それでも、過去の延長上で同じ主張を繰り返してもいいものだろうか。(金子[1998:160])

 具体的にどんな人たちを指しているのか私にはわからないが、ただ地方自治、分権をよいものと主張すればよいということではないという理解は共有できる。ただ、その上で提起されるのは所得比例税である。他の制度との関係を考えた場合の整合性、実現可能性などがあげられるが、さらに次のように言われる。

 地域社会は、社会を維持するために、介護を含む高齢者扶養や育児・子供の教育などを共同で行わなければならないと考える。歴史的に見れば、これらの「準私的財」は、家庭あるいは地域社会の共同作業や相互扶助によって供給されてきたが、都市化や核家族化にともなって、次第に地方自治体の供給する対人社会サービスに置き換えられてきた。それが急速な高齢化社会をもたらし、地域社会の維持を困難にしている。それゆえ地域社会における構成員のすべてが、その社会を維持するために共同して貢献しなければならなくなっていると考える。それを積極的に「共生」と呼びたい場合は、それでも構わない。(金子[1998:183])

 なぜそれが所得比例税なのか。続けていくつかのことが言われ、その個々はわかるが、なぜ所得比例なのか、むしろ定額負担でもよいのではないか、そうはっきりしない。ただ、基本的な考えは右のようである。同じ本のもう一人の編者は、別の本で次のように言う。

 現在から未来に向かって、地方財政に期待されている公共サービスは、社会福祉、医療、教育などの準私的財と呼ばれる対人サービスである。そうした対人サーヒスは本来、地域社会が住民相互間の共同作業や相互扶助によっても供給できる性格をもっている。そうした地域社会の住民生活をサポートする対人サービスは、不動産税よりも、住民の共同作業や相互扶助の代替として比例的所得税の型が整合的であると考えられる。あるいは比例的所得税の代替として付加価値税(消費税)の方が望ましいということができる。(神野[2000:19])

 別の人から次のように言われる。[…]」

 「◇06 例えば税制についての様々を解説し、ところどころに著者自身の――なかなかもっともなところもある――意見をはさんでいくという類の本での記述。
 「地方分権一括法が施行されましたので[…]課税自主権は強まりました。[…]ただ、問題は広域的に課税しないと、税金を逃れるために課税対象がよその町に逃げるということも起こりえます。東京都以外の道府県が外形標準課税を入れようとすれば、対象となる企業は他の地方に移るでしょう。東京都の場合、本社機能を東京に置きたい企業が多いからこそ、法人事業税の外形標準化が可能なのです。いずれにせよ、地方自治を確立するために財源を確保するという地方の戦いは始まったばかりです。」(舛添[2000:172-173])  「可能なのです」まではもっともな指摘である。しかし「いずれにせよ」と続くつながりがよくわからない。自治体独自の課税については関係する本がいくつも出ている。各地での独自課税の動きを取材した本に『課税分権』(神野、自治・分権ジャーナリストの会編[2001])。」

◆07 神野直彦は、法人税率が引き上げられても投資と法人利潤が増大していることを示す研究を紹介して次のように言う。
 「法人税の転嫁を肯定する議論が、常識になっているといってもよい。[…]法人税が直接税ではなく、間接税だといわなければならなくなる。租税に転嫁するか否かを確定することは難しい。[…]転嫁は不可知論の領域に属するといったほうがよいかもしれない。」
 こう述べた後、法人税が間接税なら、日本における間接税の割合は既に高いのだがら、直間比率を是正すべきだという合理的な根拠はないというところに話を進める(神野[2007:177-180])
 これは「転嫁」の問題として、教科書・概説書の類にも出てくる。なかなか決まらないという記述としては例えば以下。[…]」


UP: REV:20090628, 29,0801, 20100226, 0408, 20101116
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