石川 誠
いしかわ・まこと
1946〜
◆https://www.e-doctor.ne.jp/contents/08month/hospitalinfo/h09-02.html
◆2000/04 診療報酬改定で、特定入院料に「回復期リハビリテーション病棟入院料」が設けられる。「現在、急性期病院では在院日数の短縮化が推進されていますが、介護保険では在宅ケアサービス体制が整備されつつあり、この急性期治療と家庭復帰の中間に位置するのが「回復期リハビリテーション病棟」です。」(http://www.rehabili.jp/index2.htmlより)
「2000年は、介護保険制度が開始された年だが、診療報酬を見ると、回復期リハビリテーション病棟(入院料)が新設された。回復期リハビリテーション病棟は医療法上の規定はないが、実態的には急性期と慢性期の中間の「亜急性期病床」の制度化といえる。回復期リハビリテーション病棟は急速に増加し、2007年7月には42107床に達している。この回復期リハビリテーション病床の新設は、リハビリテーション医師の石川誠が最初に提唱し、その後、1995年〜1996年に日本リハビリテーション病院・施設協会の粘り強いロビー活動によって実現したものである(二木[2008:236])」(田島[2009]*)
*田島 明子 20090225 「「寝たきり老人」と/のリハビリテーション――特に1990 年以降について」『生存学』1:308-347
http://www.arsvi.com/2000/090131t.htm
◆石川 誠 20001015 「介護保険時代のリハビリテーション医療サービス」,日本リハビリテーション病院・施設協会編[2000:6-9]*
*日本リハビリテーション病院・施設協会 編 20001015 『介護保険とリハビリテーション U』,発行:日本リハビリテーション病院・施設協会,発売:三輪書店,150p. ISBN-10: 4895901319 ISBN-13: 978-4895901314 2000+ [amazon]/[kinokuniya] ※ r02.
「介護保険施行にあたりリハビリテーションにおける重要な点は、第1に介護保険以前にできるだけ要介護状態にならないように十分なリハビリテーション医療を提供すること、第2に介護保険適応後にも寝たきりに移行しないように適切なリハビリテーション医療を提供することの2点といえる。前者は急性期リハビリテーションおよび回復期リハビリテーションの役割となり医療保険の対応となるが、後者は維持期リハビリテーションであり主に介護保険で対応することになる。」(石川[2000:7])
◆石川 誠 20031020 「リハビリテーションの流れ中の回復期リハビリテーション病棟」,日本リハビリテーション病院・施設協会,全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会編[2003:12-20]*
*日本リハビリテーション病院・施設協会,全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会 編 20031020 『回復期リハビリテーション病棟――新しいシステムと運営のしかた』,発行:日本リハビリテーション病院・施設協会,発売:三輪書店,182p. ISBN-10: 4895901998 ISBN-13: 978-4895901994 2500+ [amazon]/[kinokuniya] ※ r02.
「回復期リハと維持期リハの連携
回復期リハ病棟の質的量的整備によりADLは向上し、自宅回帰率はある程度向上すると考えられる。しかし、いくら回復期リハ病棟が整備されても、在宅におけるリハが充実していかなければ、利用者は在宅をあきらめ施設入所を選択するであろう。また、在宅におけるリハ的支援が乏しければ、ADLは低下し寝たきり老人へと移行する可能性は高い。そこで、維持期リハが重要となるのである。
維持期リハとは、急性期・回復期リハの後に提供されるリハ医療サービスであり、獲得されたADL等の維持向上を図り、活動性を高め、寝たきりの進行を阻止し、社会参加を推進することを目的としている。介護保険により制度化された維持期訪問看護、短期入所療護介護によるリハサービスが存在し、施設では介護療養型医療施設、介護老人保健施設への入所によるリハサービスが存在する。ただし、医療機関の外来通院によるリハでも維持期リハが提供されている(表4)。これらのサービスはメニューとしては一見豊富なように感じられるが、内容的にはいまだ混沌としており、他の在宅サービスとの連携も十分とはいえない。いまだモデルとなる形が明確となっていないようにも思われる。しかし、維持期リハサービスおよび在宅ケアサービスが充実し、回復期リハ病棟とスムーズな連携がとれなければ、回復期リハ病棟の価値は半減することになろう。」(石川[2003:18-19]
cf.
◇大川 弥生 200405020 「介護保険サービスとリハビリテーション――ICFに立った自立支援の理念と技法』,中央法規出版,135p. ISBN-10: 4805824336 ISBN-13: 978-4805824337 1800+ [amazon]/[kinokuniya] ※ r02.
第3章 リハビリテーションの基本点の理解
5.介護保険制度におけるリハビリテーションは、「維持」ではなく「生活機能の改善と向上 pp.38-29
「介護保険制度のなかでのリハビリテーションに関する最大の誤りは、介護保険のリハビリテーションは「維持期のリハビリテーション」であり、機能の維持を目的とする「維持的リハビリテーション」であるといった考え方である。これは、機能回復訓練がリハビリテーションであるという誤った考え方に起因するもので、高齢である介護保険の利用者には機能回復は見込めず、”(心身機能の)維持がやっとだ”という消極的な考え方である。また維持するためにはリハビリテーションが必要であるという誤解も伴っている。」(大川[2004:38])
◆2006/02/17 石川 誠「「医学モデル」から「生活モデル」へ」
http://blog.goo.ne.jp/hunet01/e/c0be56426d1fb75dde0848d6cc03fe07
講師:石川 誠氏
プロフィール:初台リハビリテーション病院創設者、長嶋茂雄ジャイアンツ終身名誉監督の主治医、脳外科医
会場:インテックス大阪 日時:2月17日
テーマ:「医学モデル」から「生活モデル」へ
◆石川 誠(日本リハビリテーション病院・施設協会副会長) 2007/01/15 「日本リハ病院・施設協会の場合」,『リハニュース』32
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jarm/rihanews/No32/frame_32.htm
「平成18年の診療報酬は、平成15年3月に閣議決定された「医療に関する基本方針」、平成17年12月の「医療制度改革大綱」を基盤として、平成20年度から施行される「医療費適正化計画」を前倒しする形で実施された改定と考えられる。
当協会には平成17年8月末に厚労省保険局医療課から改定案の原型が示された。これをみた幹部は愕然とした。「リハ施設基準の疾患別体系への再編と算定日数制限」が示されていたからである。運動器リハ学会、臨床整形外科医会から運動器リハ施設基準の新設要望があるためとの説明を受けたが、算定日数制限や総合リハ施設基準の廃止に関しては理解できず、断固反対と繰り返し主張した。しかしリハ病院・施設協会の単独交渉では成果が期待できないと判断し、リハ医学会、理学療法士協会、作業療法士協会、言語聴覚士協会に連帯を呼びかけた。幸い各団体とも同様の考えであり、平成17年11月に「リハ関連5団体」として結束し交渉にあたることになった。
以降、各団体から数名の幹部により構成される会議において、密な情報交換を行い、徹底的な議論の上、共通の要望を掲げ厚労省と交渉していった。入院の算定日数制限には同意したが、外来は日数制限ではなく回数制限とすること、総合リハは存続させることを主張し、平成18年3月ぎりぎりまで厳しい交渉が続いた。
しかし、残念ながら総合リハ施設は形骸化し疾患別施設基準に決定された。ただし、算定日数制限には除外規定が設けられた。除外規定に関しては当初多くの誤解が生じ現場では混乱が続いた。失語症や高次脳機能障害を伴わない脳卒中片麻痺は180日でリハ打ち切りと考えた医療機関が多かったのである。厚労省は3月末〜4月末にかけて疑義解釈の通知を連発したが未だに混乱は収まっていない。しかし、リハの集中実施期間は短縮されたとはいえ日々の提供量は増加し、状態悪化時を起算日とできること、介護保険では算定日数制限はなく、短期集中リハ加算が新設されたことは若干の救いとなった。
今回の改定で最も重要な点は、急性期・回復期リハは医療保険、維持期リハは介護保険に整理されたことである。したがって、診療報酬の次回改定で平成18年度改定の問題解決を要望するとともに、介護保険のリハの重点整備が大きな課題となろう。各医療機関が介護保険によるリハの充実に努力するとともに、「リハ関連5団体」が結束し継続的に厚労省に働きかけることが一層重要になったと考える次第である。」(全文)
◆才藤 栄一(日本リハビリテーション医学会理事・藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学講座) 2007/01/15 「日本リハ医学会の場合」,『リハニュース』32
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jarm/rihanews/No32/frame_32.htm
診療報酬改定から数か月が経過したが、安定状態に入ったとは言いがたい状況にあるのはご存知のことと思う。恐らく後日、今回の改定はリハ医療の大きな変曲点として認識されることになるだろう。改定内容について私個人が最も重要と考える点は、1)疾患別の単位化、2)総合リハ施設基準の廃止を含む施設基準の単純平坦化、3)各療法の独自算定の廃止、4)代替者の導入の大幅緩和、5)算定日数上限の設定であり、それ以外で注目すべき改定は、集団療法廃止、急性期患者の1日単位上限の緩和、従事者1日単位上限の緩和、回復期入院日基準の早期化、障害児・者のリハの新設、摂食機能療法の算定日数拡大、訪問リハの単位化である(総合リハビリテーション34巻5号「巻頭言」2006年)。
ここでは、本医学会の社会保険等委員会特任理事(当時)として実際に関係諸機関と7か月間交渉にあたった立場で得た公にされていない事実にも私の責任において触れながら、私見を述べる。
道免和久先生や患者さん方の算定日数制限に対する反対運動には敬意を表する。今までのリハ医療においてこのような運動は存在しなかったし、タイムリーだと思う。権利を主張しないと一部の勢力の利権で事が容易に決まってしまうほど「公」の機能が低下しているからである。ただし一点だけ指摘したい。私の知る事実から考える限り、日本リハ病院・施設協会の石川誠先生に対する批判は誤りである。彼が算定日数制限を誘導したのではない。また、除外規定も諸批判が噴出したために作られたのではなく、それ以前に彼が厚生労働省(厚労省)に働きかけて拡大したものである。もし彼がいなかったら、今回の改定はもっと酷いものになっていたであろう。非難すべき相手を間違ってほしくない。
私見では、たとえ算定日数について規制が必要だとしても、リハ医療に精通した医師が診察診断した上でのリハ処方は認める、規制は頻度制限で行うなど、もっと柔らかな方法を導入すべきで、一律で繊細さに欠ける今回の改定はお粗末であった。そして、私たちがこのようなお粗末な結果しか得られなかった最大の原因は、言い訳がましいと言われるのを覚悟で弁明すれば、今回の改定が「私たちがコミットする以前に、既に多数の問題をもつ異質な大枠が決められていて、それに対して、限られた期限の中、種々の力関係の中で、軽んぜられながら、反駁に終始しなければならなかった過程」だったことに由来すると考えている。従って、最近になって厚労省が今回の改定について頻発している「関連学会の意見を聞いた上で〜」というコメントにあるこの「関連学会」の主たる団体はリハ医学会ではない。昨年の9月の時点で、彼らがリハ関連4団体としたのは、整形外科学会、臨床整形外科医会、運動器リハ学会、リハ医学会であり、リハ医学会はやっと最後に挙げられていて、もちろんリハ病院・施設協会や各療法士協会は入っておらず、厚労省担当課長も実際このような認識であった。そのために急遽、「リハ関連5団体」を作ったのである。
今回の改定で長期的に見て深刻な問題は、疾患別の単位化と各療法の独自算定の廃止だと思う。リハ医療は本来、各科による疾患別治療という「縦糸」に対する障害治療という「横糸」として存在すべきものであり、疾患別という概念が大前提のように議論されてきたのは根拠のないもので詭弁である(詳細は省く)。また、各療法での算定がなくなったのは、専門性軽視以外の何物でもない。つまり、改定過程が示したのは、未だにリハ医療がほとんど理解されていないということであった。
リハ医学会には、リハ病院・施設協会や各療法士協会と連携を図りながら、国民により良いリハ医療を提供するためにより適切な制度の提言をしていく責務がある。」(全文)
◆多田 富雄 20071210 『わたしのリハビリ闘争――最弱者の生存権は守られたか』,青土社,172p. ISBN-10: 4791763629 ISBN-13: 978-4791763627 1260 [amazon]/[kinokuniya] ※ r02
「この闘争で、ひとつ気にかかったことは、このような社会問題と化したリハビリ打ち切りに対する、専門家の集団としての学会の態度の曖昧さである。
「高齢者リハビリ研究会」の官僚べったりの腰抜けの態度については先に述べたとおりだが、こうした反動的意見では、日本リハビリテーション病院・施設協会副会長の石川誠氏の発言が指導的であった。
急性期、回復期の患者だけを対象とする病院は、慢性期のリハビリ打ち切りで、大きい利益を受ける。石川氏は厚労省に太いパイプを持ち、他方では大手セキュリティ企業のセコムを後ろ盾にした私立の回復期専門リハビリ病院長である。リハビリ上限日数によって、回復期の手厚い診療が保障されれば、彼の思う壺である。<0029<」(多田[2007:29])
◇cf.資料