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Huxley, Julian

ジュリアン・ハックスリー/ハクスリー


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1947 Man in the Modern World, London, Chatto & Windus, 281p. <267>
1953 Evolution in Action, Penguin Books
   =1968 長野敬・鈴木善次訳,『進化とはなにか──20億年の謎を探る』,
   講談社ブルーバックス,274p. <267>
1964 Essays of a Humanist, Penguin Books
   =19730425 若林 千鶴子 訳 1964 『進化と精神』 思索社,283p. 1300 <267>

 英国の生物学者。
 第二次大戦後、一九四六年から一九四八年にはユネスコ事務局長をつとめた。
 作家オルダス・ハックスリーの兄。

 『進化と精神』の最終章は「優生学」と題されている
 (Huxley[1964=1973:232-269])。

 「原子爆弾の投下による突然変異の増加、医学・公衆衛生・社会福祉の進歩によ
って遺伝的欠陥者が生きながらえるようになったことにともなって、消極的遺伝学
はますます早急に必要となってきた。あらゆる種類の遺伝的欠陥のあらわれを減少
させることを目標にしなければならないのはもちろんである。糖尿病、分裂病(全
人口の一パーセントが罹病する)、その他の精神病、近視、精神障害、非常に低い
I・Q、色盲や血友病などの一目瞭然たる欠陥などがあげられる。
 …過去一〇〇年間における低所得者の集団、階級、共同社会においていちじるし
くかたよった人口増加の見られることは、どうみても優生学的な効果があるとはい
えない。工業都市のスラム街における、いわゆる社会問題となる集団に、きわめて
出産率の高いことは、明らかに反優生学的である。」
(Huxley[1964=1973:253-254])
 「核の落下による遺伝的劣悪化の脅威にたいしては、二つの途しかない。ひとつ
は、すべての核兵器を禁止し、核爆弾のテストを停止すること。もうひとつは、哺
乳動物の冷凍精子が生き永らえる事実を利用することである。受精の性質も、遺伝
の性質も、長期間、おそらくは無期限にわたってそこなわれない。したがって、精
子銀行――健康で知的な男子の代表者からとった冷凍精子の■集――に幅ひろい保
護をあたえることが必要である。完全な答は、冷凍卵子の同様な処置の成功に待た
ねばならない。このことは、しかし、かなり近い将来になしとげられるであろう。
しかしも、どのみち、精子銀行にたいする防護物は、人間のための防空壕よりも、
非常に廉価であるばかりでなく、遺伝的によりより結果をもたらすのである。
 積極的遺伝学は、消極的遺伝学よりもはるかに範囲がひろく、重要性も大きい。
遺伝的劣化を防止するのみならず、人間の能力と仕事とを、新しい水準に高めるこ
とを目標としている。/…わたしがE・I・D――慎重に選ばれたあたえ手による
優生学的人工授精――と呼ぶものを使用することによって、優秀な生殖質の効果は、
一〇倍にも、一〇〇倍にも、高められることだろう。そして、優秀な精子を冷凍す
るならば、幾千倍にもなるであろう。
 この倍増的方法はまずH・J・マラーが提案し、さらにハーバート・ブルーワー
が精巧にしたもので、よりよい将来をもとめる人間の強い欲望を利用している。」
(Huxley[1964=1973:257-258])

 ハクスリーについてはKevles[1985=1994:442,445,449]。同書では、オルダス・
ハクスリーがマラーの精子選択の計画の全面的な支持者だったという話も紹介され
ている(Kevles[1985=1994:449])。


UP:? REV:200304, 20091207
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