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Haraway, Donna J.

[ダナ・ハラウェイ]


last update:20100723
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■Online Resources の一部

1): 本務校[History of Consciousness Program, UCSC]での紹介
http://humwww.ucsc.edu/HistCon/faculty_haraway.htm
[このHistory of Consciousness Program には、他にAngela Y. Davis, James Clifford, Teresa de Lauretis などもいます]

2): European Graduate School での紹介。著作目録あり
http://www.egs.edu/faculty/haraway.html(BIOGRAPHY)
http://www.egs.edu/faculty/donnaharaway.html(著作目録)

3): Lecture を聞く
http://www.radcliffe.edu/calendar/highlights/2001-02.html
[からどうぞ。Radcliffe Institute での、"Cloning Mutts, Saving Tigers: Ethical Emergents in Technocultural Dog Worlds" と題する講義]

4): 日本語に翻訳されている文献
http://www.asahi-net.or.jp/~RF6T-TYFK/haraway2.html#jt
[TOYOFUKU, Tsuyoshi さんによるものです。TOYOFUKU さんによる、Donna Haraway に関するlink 集は以下]
http://www.asahi-net.or.jp/~RF6T-TYFK/haraway.html

5): Laura Sells さんのpageから
http://www.svdltd.com/sells/voxygen/Donna.htm


■主著[日本語以外の言語への翻訳については上記2)を参照]

◆2008 WHEN SPECIES MEET, University of Minnesota Press.
・出版社による紹介を見てみる http://www.upress.umn.edu/Books/H/haraway_when.html

高橋さきのさん作成のシノプシス
仮題:種と種が出会うとき:コンタクトゾーンの自然文化風土

 本書で扱われるのは、直接的には、人間(=ヒト)と犬(=イヌ)の共存状態である。人間の歴史の相当部分は、犬とともに進化してきた歴史だといえるし、犬の側では、その過程でさまざまな犬種が確立されてきた。人と犬は、人や犬のみならず多数の種が作用・応答を相互に誘導する相互進化の過程を経た結果として、現在という世界に棲息している。その意味で、人間と犬は、代表的な伴侶種(コンパニオン・スピーシーズ、複数)といえるだろう。
 本書の第一部では、人間の「からだ」をめぐって生じてきたさまざまな事態が、多数の伴侶種が棲息する世界という視座で把握しなおされる。前世紀後半から今世紀のはじめにかけて身体/生体/からだという場で生起し、ハラウェイの読者であるとなしとにかかわらず体験されてきたであろうバイオメディカルな事象の数々が、人間のみならず、伴侶種たる犬の、それも「犬種」という強烈な歴史性を帯びた存在を通じて描出されることで、はっきりとした輪郭をあらわにする。伴侶種たる犬は、その繁殖自体がさまざまな主体によって担われる遺伝学の実践現場であり、実験室では労働の主体ともなる。
 本書第二部は、フィクションともノンフィクションともつかぬ筆致で開始され、まず、2005年に亡くなった父、フランク・ハラウェイの思い出の数々が綴られる。44年間にわたってデンバー・ポスト紙で野球やフットボールの記事を執筆しつづけた父の思い出、その父とのやりとりを通じて、障害があっても自在な身体の確かな存在が語られ、ハラウェイ自身が選んだ伴侶種との共同作業としてのアジリティー競技が紹介される。この競技での、ことにコンタクトゾーン(接触領域)を介した作用・応答の相互誘導の様子を通じて、非言語コミュニケーションという位相が具体的に提示される。
 本書第三部では、犬にとどまらず、ニワトリ、ネコなど、さまざまな伴侶種の営みがそれぞれにバイオポリティカルな自然文化風土、技術文化風土という状況に置かれている様子が描写され、より広い文脈との交通がつけられる。

 ウッズホール海洋生物学研究所という発生学の現場から出発したともいえるハラウェイは、常に生物学の現場に忠実な仕事をつづけてきた。『プライメート・ビジョンズ』(1989)では、霊長類学研究を題材としてエスノグラフィカルな生物学史の方法論を確立しつつ、観察という行為の持つさまざまな問題に切り込みながらサルとヒトとのコミュニケーションを扱う端緒を開いたわけだが、その後も、霊長類学の現場との対話を重ね、本書ではさらに進んで、自らが伴侶種と暮らす現場から、伴侶種との非言語コミュニケーションについて描出する領域へと踏み込んだ。これは、20世紀後半の科学技術の存在の重みの増大のある種の結果として1980年代以降顕著となった社会構成主義(社会と科学技術を区別されたものとして把握し、社会の側から科学技術を論評する構成をとる)に対するハラウェイなりの一つの回答だろう。この点については、クローン羊ドリーをめぐって、社会構成主義の一つの顕著な表出形態である生命倫理をきっぱり批判するくだりで表明がなされる。
 さまざまな現場を選び得たなかで、なぜ、人と人でなく、人と人以外の動物、それも、生物学において「無垢」なる存在とされることの多い野生種でなく、人間とともに進化をとげてきた伴侶種とのコンタクトゾーンという場が設定されたのか。一つには、バイオメディカルなポリティクスを奥行きあるかたちで観察・描出するうえでうってつけの設定だったことが挙げられよう。また、非言語コミュニケーションのノイズなき安定した内部観測系を可能とする唯一無二の巧みな設定であったことも指摘されよう。しかし、こうした設定が、実は、階級/ジェンダー/人種/年齢等のさまざまなベクトルの作用する場をより広いかたちで描き出すかたちでいつの日か書かれるべき『“生”資本論第一巻』において踏まえられるべき数々の問題群を提示する意図があればこその選択であることが、本書には随所で表明されている。
 そして、サイボーグである。サイボーグ状態が日常化した今日にあって、サイボーグは、本書の文脈では、ある種の純系種に相当する存在ということになるはずである。
 これまでのサイボーグを手がかりとした考察に、本書で扱われた伴侶種の位置取りが加わったことで、「生きもの」や「からだ」を現場とする暮らしや労働の見取り図がいよいよはっきりしてきたといえるだろう。

◆2003a The Companion Species Manifesto: Dogs, People, and Significant Otherness, Prickly Paradigm.
・出版社による紹介を見てみる http://www.prickly-paradigm.com/catalog03.html#

◆2003b The Haraway Reader, Routledge.

◆Haraway, Donna ; Goodeve, Thyrza Nichols 2000 How Like a Leaf: An Interview With Thyrza Nichols Goodeve, Routledge.+Haraway, Donna.2004.“Cyborgs, Coyotes, and Dogs;A Kinship of Feminist Figurations”“There are Always More Things Going on Than You Thought! Methodologies as Thinking Technologies", The Haraway Reader, Routledge.=20070310 高橋 透・北村 有紀子 訳,『サイボーグ・ダイアローグズ』,水声社,2625 ISBN:9784891766221(4891766220).2625 [amazon][kinokuniya] ※ c02.
・内容を見てみる amazon

◆1996 (With Lynn M. Randolph[Illustrator]) Modest_Witness@Second_Millennium.FemaleManc_Meets_Oncomouse: Feminism and Technoscience, Routledge.
・内容を見てみる amazon

◆1991 Simians, Cyborgs, and Women: The Reinvention of Nature, London: Free Association Books and New York: Routledge.
・内容を見てみる amazon
[価格はFree Association Books 版のほうが安いようです]
=20000725 高橋さきの訳,『猿と女とサイボーグ:自然の再発明』,青土社,523+XXXVp.,3600
・「ブックコンテンツ検索」で目次などを見てみる →参照
[詳細は別記]

◆1989 Primate Visions: Gender, Race, and Nature in the World of Modern Science, Routledge.
・内容を見てみる amazon

斉藤龍一郎のメモ

171〜172p
1975年の誘拐事件以降、英米の大学院生がゴンベに長期滞在して調査を行うことはできなくなり、タンザニア人スタッフの存在がそれまで以上に大きくなった。誘拐事件後最初の論文の共同執筆者としてグドールと並んでタンザニア人スタッフの名が並んでいる。

262p
1985年、アフリカ諸国で初めて、ウガンダ人大学院生による類人猿についての論文に修士号が与えられた。一方、インドでは1950年代から、同テーマに関してインド人自身による多数の修士論文、博士論文が書かれている。

270p
よその国から来た連中が、なんで(マダガスカルの)大学へ当たり前のことのような顔をしてやってきて、講義をしているんだ。テキサスでロシア人研究者の一団が双眼鏡でクレーンの動きを追っていたら、米国の研究者も当局も手をこまねいてみてはいないだろう。テキサス人が、中国の許可を得ず四川省でパンダを捕獲しようとしていたら望遠レンズで撮影されるだけではすまないだろう。なのに、なんで外国人の研究者たちはマダガスカル人がいないかのように振る舞うんだ?

1976 Crystals, Fabrics, and Fields: Metaphors of Organicism in 20th Century Developmental Biology, Yale University Press.

○ 日本語文献として以下もあり
◆巽 孝之編著、ダナ・ハラウェイ、サミュエル・ディレイニー、ジェシカ・アマンダ・サーモンスン著、 20010813 『サイボーグ・フェミニズム【増補版】』, 水声社,349p. ISBN-10: 4891764465  ISBN-13: 978-4891764463  2940 [amazon][kinokuniya] ※

■言及・引用

◆「今日、ダナ・ハラウェイが、人間・動物・機械のあいだに設けられた障壁を突き崩さねばならないと主張するとき、彼女はスピノザのプロジェクトを現在において続行しているのである。もし<人間>を自然から切り離されたものとなすべきものとするなら、<人間>は存在しないだろう。<人間>の死とは、まさに、このような認識のことなのだ。」(『帝国』p.128)

◆立岩 真也 2000/12/15 「二〇〇〇年の収穫」
 『週刊読書人』2366:2

◆立岩 真也 20041115 『ALS――不動の身体と息する機械』,医学書院,449p. ISBN:4260333771 2940 [amazon][kinokuniya] ※

◆高橋 透 20060601 『サイボーグ・エシックス』,水声社,180p. ISBN-10: 489176578X ISBN-13: 978-4891765781 2100 [amazon] ※ b c02


*作成:北本 潮・立岩 真也
UP:20040828 20071114 20090401, 20100704, 20180126
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