HOME > WHO >

旭 洋一郎

あさひ・よういちろう
[korean page]
http://www2.nagano.ac.jp/asahi/

last update: 20130928

・障害者福祉論、セクシュアリティ論
・長野大学
 http://www2.nagano.ac.jp/asahi/
障害学会

◆20001216 「セクシュアリティ研究の覚え書き――方法と課題」
 障害学研究会関東部会第12回研究会
 レジュメ(↓)/記録(↓)

◆1993 「障害者とセクシュアリティ」,東洋大学児童相談室紀要『児童相談研究』12:13-31(東洋大学児童相談所『東洋大学児童相談研究』)
 http://media.nagano.ac.jp/asahi/sex1.html
◆199709 「いま、改めて障害者観を問う」,『月刊ばりあふりー』(ベースボールマガジン社:現在休刊)1997年9月号
 http://media.nagano.ac.jp/asahi/sex2.html
◆1998/09/26 「障害者虐待と社会福祉の専門性」,日本社会病理学会第14回大会(於:大正大学)シンポジウム,テーマ「社会福祉の社会病理学」にて報告した報告原稿・資料
 http://media.nagano.ac.jp/asahi/gyakutai.html
◆19981018 「社会福祉、障害者福祉と知的障害者の「自己決定」」,日本社会福祉学会第46回大会(1998.10.18 明治学院大学)報告レジュメ・資料
 http://media.nagano.ac.jp/asahi/jiko.html

 

■障害学研究会関東部会 第11回研究会

日時  12月16日(土)午後1時半ー4時半
場所  東京都障害者福祉会館 2階「教室」
     (最寄り駅 地下鉄三田・JR田町駅)
     電話 03ー3455ー6321 ファクス 03ー3454ー8166
テーマ 「セクシュアリティ研究の覚え書き - 方法と課題」
発表者  旭 洋一郎(長野大学) http://media.nagano.ac.jp/asahi
会費  1000円、学生 500円 
参加  自由です。前もっての登録・連絡は不要です。

* PC要約筆記があります。

問い合わせ先 長瀬修 [略]



■障害学研究会関東部会
 2000.12.16
      セクシュアリティ研究の覚え書き - 方法と課題
                          旭 洋一郎(長野大学)

1.障害者問題における位置と文脈  
 70年代の後半から障害者サイドから当事者運動、自立生活運動の高まりの中で、当然の生活要求(恋愛・セックス・結婚・妊娠・出産・子育て)として「自らの性」を語る試みが見られ、雑誌でも特集されるようになった。自分の視界に入ってきたものをいくつかあげると次のようになる。
<リスト1>*文献リストではない

●1-1「さようならCP」(原一男監督作品1972年疾走プロダクション制作)において横塚晃一、横田弘、小山正義らが性体験を語るシーンがやや唐突に登場してくる。
●1-2ヌードクイスト・インゲル編(石坂直行訳)「からだの不自由な人の明るい性生活」鳩の森書房 1974
●1-3田村庄司「結婚相談のケースから」東京都心身障害者センター研究報告集(10) 東京都心身障害者センター 昭和54年(1979)
●1-4河内清彦「欧米における身体障害者と結婚」東京都心身障害者センター研究報告集(10) 東京都心身障害者センター 昭和54年(1979)
●1-5雑誌「福祉労働」NO.12 現代書館 1981年
●1-6「そよかぜのように街に出よう」NO.10からNO.13 りぼん社 1982年
●1-7「現代性教育研究」特集NO.49 1981年 日本性教育協会
●1-8「現代性教育研究」特集NO57 1983年 日本性教育協会
●1-9牧口一二、河野秀忠著「ラブ」長征社 1983年
●1-10岸田美智子, 金満里編「私は女」長征社, 1984.4
●1-11安積純子著「性と結婚」仲村優一、板山賢治編『自立生活への道-全身性障害者の挑戦』全国社会福祉協議会1984
●1-12平山尚著「障害者の性と結婚」(ミネルヴァ書房 1985年)
●1-13岡田武世著「障害者と性」岡田武世編著『人間発達と障害者福祉』川島書店
1986年
●1-14小山内美智子著「車椅子からウインク−脳性マヒのママがつづる愛と性」文藝春秋
 1988
●1-15障害者自立生活研究所主催「障害者の性に関するセミナー」1989年 
●1-16谷口明広『新・療護施設ハンドブック』全国社会福祉協議会 1991
●1-17雑誌「障害者の福祉」(91年4月から92年7月)は1年半に渡り障害者の性について連載した。
●1-18メインストリーム協会主催「公開討論会」−障害者の買春の是非をめぐり議論
●1-19(旭洋一郎:1993)
●1-20轟木敏秀「性の問題」自費出版『光彩』1993
●1-21安積遊歩「癒しのセクシー・トリップ」 1993  太郎次郎社
●1-22障害者の生と性の研究会編「障害者が恋愛と性を語りはじめた」かもがわ出版 1994
●1-23岸田美智子, 金満里編 「私は女」新版 長征社,1995.4
●1-24札幌いちご会、ビデオ「愛したい、愛されたい」(ニューヨーク大学1983)販売 1995
●1-25障害者の生と性の研究会編「知的障害者の恋愛と性に光を」かもがわ出版 1996
●1-26谷口明広編著「障害をもつ人たちの性−性のノーマライゼーションをめざして」1998 明石書店
●1-27倉本智明「障害者男性のセクシュアリティをめぐって」1999
●1-28横須賀俊司「男性障害者のセクシュアリティ」『リハビリテーション』No.410,32-34頁 1999
●1-29障害者専用と銘打った「風俗店」(無店舗デリバリー型)登場(埼玉、東京、
福岡)
●1-30社会福祉学会大会で自慰のケアについての報告 2000.11
<リスト2>
●パソコン通信−ニフティサーブ・障害者フォーラム
1992−1994まで、性に関する会議室が設けられ、意見交換、情報交換、論争が展開された。(ボードオペ:旭)
●アダルト・ビデオ − V&Rプランニング
安達かおる監督作品『ハンディキャップをぶっとばせ』。これは障害者と性の問題をドキュメントに近い作品とされる。90年代前半に作られた。脳性マヒ、小人症、視覚障害の3人の青年が登場し、彼らの初体験を追ったものである。残念にも『ハンディキャップをぶっとばせ』はビデオ倫理審査会から「障害者を見せ物にしてはならない」という理由で審査拒否され、未だ市場に出ていない。

2.障害者のセクシュアリティ研究の対象
●障害と性及び性における障害
 医学的障害、性のバリアフリー、性同一性障害
●性の主体者としての保障のために
 出会いの問題、性的ケア、買春、既存の男性−セクシュアリティ(P−V中心主義)像

3.私的方法 − セクシュアリティを視点とする
(1)障害者福祉・トータルケアにおける「性」の重要性と困難性
  @重要性
  ●生活援助の中にある「性」
   身体ケア、排泄、入浴、生理
  ●人間存在の根底における「性」
   一人の人格として、基本的な欲求
  ●家族介護の限界の存在(専門職の介入の必要性)
   成長と親子関係
  A困難性
  ●文明の高度化は、利便性の追求とともに「動物としての人間」の側面を極
   力抑えることを基本命題とした。「性」は理性と対立し、人間としての品
   格をおとしめるとされた(人格の一時的退行)。よってプライバシーの奥
   にしまい、個人的処に全面的に委ねる(社会ルール化)
  ●「3大欲求」の中で、他者との関係が必要であり、自己コントロールも必
   要である困難性
  ●社会ルールと規範から逸脱するとバッシングがある(問題行動)。
(2)セクシュアリティの意味と障害者の「性」
●「性」の多次元性
●問題の多様性 - 性的行動は人間らしい行動であるのに「問題行動」として見ら
れる
★生物学的特性…男女の生物学的な差異、「男性であること、女性であること」の尊重
 着替え、排泄、入浴などの身体にまつわる異性介護は当事者が望まないならぱ問題視すべき。「子宮摘出手術」・男性の不妊・去勢手術は、「女性であみこと、男性であること」の拒否・否定
★生殖の性…生命・生物としての人間がもつ機能、生きるエネルギーの源泉
 一般的には妊娠・出産にば社会的に要求される生活上の基準(経験・独立自活)があり、
 それをクリアーしなけれぱ許可・可能とはならない。障害者の「妊娠から出産、子育て」
 には 困難が多く、障害者と「子づくり、子育て」は結ぴつきにくいもの。
★快楽の性(セックス・マスターベーション)…性的行為に伴う快楽そのもの、豊かな人
 間関係と愛情の多きな支え、自立生活への意志は多くはこの部分から生まれたことから
 も、人聞を卜一タルに見る場合、見過ごすことはできない。
★社会的性(ジェンダー)…社会における性、性役割の問題、セクシユアリティの全体像が表現される場、職場や家庭での役割遂行、結婚そのもののもつ困難さ
(3)実践での提起の検討
(4)介護者のセクシュアリティー
 アンケート「障害者の介護と性意識について」の概要 1995年
   A.対象:福祉・保育系専門学校及び短期大学の学生262名
    性別:女性232名 男性30名
    年齢:平均19.7歳
    実習経験:ある68.1% ない31.2%
    施設の種類:老人  身体障害   知的障害  児童 
   B.性のイメージ:良い30% 悪い3.8% どちらとも56.3%
           軽い2.3% 重い50.6% どちらとも35.4%
           恥ずかしい34.2% 恥ずかしくない26.6% どちらとも33.1%
           いやらしい13.7% いやらしくない36.1% どちらとも43.0%
   C.性の言葉:セックス64.3% 性別36.1% 男女交際31.2% 本能29.7%
   D.マスターベーションについて あってよい 28.5% やむを得ない 29.7%
              よくない  0.4% 理解できない 33.5%
              わからない 1.1% その他    4.9%
   E.施設の問題:プライバシー 15.2% トイレのドア17.1%  女性入浴の男性介
          護20.9%
           男性排泄の女性介護 36.1%  性器いじり25.5% 
           自室外自慰 6.8%  セックスの悩み 2.7%  雑誌所持 3.0%
          施設が抑圧的 0.8%  指導がある 0.8%  理解あり 3.4%
          セクハラ 1.9%  印象無し 14.4%   その他3.4%
   F.自由記述の内容:同性介護の問題  とまどいと驚き  対処方法の不在
   G.意見について                yes  no   不明
           1.障害者と性は結び付かない  4.2% 87.5%  7.6% 
           2.恋愛や結婚は当然だ    93.9%  0.4%  4.6%
           3.妊娠出産は当然だ     38.4% 12.4%  47.5%
           4.悩みの解決に協力     63.5%  3.8%  31.9%
           5.援助する         21.3% 13.3%  64.3%
    H.性教育について ほとんどの者が学習したと答えたが、なおも必要としている。

(5)オランダのボランティア団体 - 性的ケアをボランティアで行う
  「Stichting Alternatieve Relatiebemiddeling (SAR) 」英文パンフレット抜粋肉体及び精神的ハンディキャップによって他のいかなる方法でも性的関係が得られない人のために、性的 altenative を提供することである。スタート以来、毎年、1500件のコンタクトがあり、対応し解決した。開始当時、我々の依頼人は、主に身体障害者であった。後になって我々は知的障害者のためにも事業を始めた。時々治療の一貫として精神障害の患者への援助のリクエストもある。スタッフは女性15名、男性2名、1回かぎりのものものも、或いは、長期に渡るものともすることができる。また不定期的にか、
定期的にかができる。サービス開始の第一は、依頼人への女性の訪問である。依頼人のニーズの発見を行う。援助されたいと思っている方法を明白にしなければならない。しかし、基準があり、依頼人要求は、女性(サービス提供者)の意志によって限定される、ということである。

4.課題の整理
 
 ●実践や事例での確認
 ●社会福祉援助・ケア及び教育との関連
 ●意見・意志表明が困難な重度知的障害者のセクシュアリティー

 

◆土屋さんより

土屋@お茶大院です.

先日の障害学研究会関東部会に参加された方,おつかれさまでした.非
常に興味深いテーマで,私は楽しく過ごさせていただきました.ただ示
された題材が大きいものであったため,少し議論が散漫になったかな,
というのが感想です.

以下,記録です(長文です).旭さんには確認していただきました.
レジュメは,[jsds:4992] に掲載されています.

第11回障害学研究会(於三田障害者福祉会館)
旭洋一郎「セクシュアリティ研究の覚え書き:方法と課題」
司会:瀬山

旭:セクシュアリティだけが専門ではないのだが,研究の中では大きな
ものを占めている.個人的なことをふくめて,何をやってきたかという
話をしたい.
ぼくの研究は社会福祉や障害者福祉というところでやってきた.障害
学という視点からは若干ずれがある.この点は指摘していただければあ
りがたい.今日のテーマはセクシュアリティだが,セクシュアリティで
主に扱ってきたのは,肢体不自由者および知的障害者の問題であるか
ら,聴覚障害者とか視覚障害者という点はまったく,把握していない.
この点もあとで指摘をしてもらえればありがたい.

(内容)
今日のテーマは「セクシュアリティ研究の覚え書き」という曖昧な
テーマ.これまでやってきたことをレビュー的に紹介をしようというこ
とで,その中で,まだ回答を得ていない,わからないことを率直にお話
をしようと思う.

◆1
 まずセクシュアリティの問題がどのような形で登場してきたか,あく
まで僕がみてきたことに限るが.資料の一番目「障害者問題における位
置と文献」というところにリストをつけたが,文献リストではない.文
献リストは立岩さんのHPに横須賀さんがつくったものが,詳細に載っ
ている.
結婚の問題については,ずっと前から話題になっていた.結婚に収斂
しないかたちで登場してきたのはたぶん70年代のはじめに,青い芝の会
が,『さようならCP』という映画の中で突然,自らの性体験を語ると
いう場面がある.メディアの中で障害当事者が語るという点では,はじ
めての試みだったと思う.どういう性体験をしてきたかを横田,横塚,
小山が語る.その後本や雑誌の中での言及が登場してくる.メディアと
して役割をもったのが,『福祉労働』という雑誌であり,大阪で発行さ
れた『そよかぜのように街へ出よう』であった.この中で性体験の語り
が登場してきた.教員が主に読んでいる『現代性教育研究』という雑誌
の中にも.語りを一冊の本にまとめたのが『ラブ』(長征社).露骨な
表現,ときにはおもしろおかしく書いている.その後に岸田,金の『私
は女』が出ている.こういった動きは障害者運動とも関連があるが,日
本における,自立生活運動の発展にも重なっている.自立生活運動の中
でセクシュアリティの問題が登場している.ここには挙げてないが,自
立生活プログラムの中にはセクシュアリティの問題もとりあげられてい
るし,安積純子(遊歩)さんが,積極的に発言をしている.当然日本の
運動で重要な役割を果たした札幌の小山内さんは多くの本を書き,講演
もし,最近も発言をしつづけている.
今とりあげたのは,当事者の発言だが,結婚相談という形では,70年
代に東京都の田村さんが書いている.社会福祉の領域では平山,谷口な
ど.谷口は一応専門家として挙げておきたい.90年代に入ると若干では
あるが,障害者福祉の分野の研究者あるいは教育者が発言をするという
状況になってきた.93年にぼくもはじめてのセクシュアリティに関する
論文を書いている.90年代に入って,情報提供をもとにした議論が登場
してきた.まとめてしまうのは危険でもあるのだが.
メインストリーム協会が発行している雑誌に脳性マヒを持っている車
いすの障害者が性風俗店に行った体験を載せたが,93年の3月に公開討
論会が行われた.そこで障害者の買春の是非が議論になった.買春は障
害があるといっても女性差別の上にのっかることであり,許せないとい
う議論にまとまっているというのが,当時の流れ.この議論は障害者の
性について論じると必ず登場する.かつては買春は悪であるというと議
論が終わってしまうことが多かったが,90年代おわりにかけて議論が平
行線になってきた.議論の形態が変わってきたという印象がある.

若い世代の性に関する意識について,激変が起きている.また,社会
学関係ではセクシュアリティに関する多くの議論がある.それからもう
一点,大きなものかはわからないが,オランダのSARという団体(性的
ケアを行っているボランティア団体)が,日本の障害者に紹介されたこ
と.ぼくもSARのオフィス事務所に行って代表の人と会った.その時に
聞いたのだが,よく日本人が寄ってくると.
今年の動きでは「障害者専用」と銘打った無店舗デリバリー型の風俗
店ができた.電話だけで,営業を行うという店.一般にもあるが.今年
の社会福祉学会で,草山さんがマスターベーションについてのケアをど
のように考えるかというレポートをした.僕は毎年学会の発表要旨をみ
ているが,正面から「マスターベーションのケア」ということをとりあ
げたのは草山さんがはじめてと思う.

70年代から90年代にかけてそういった出来事が,ぼくの視界に入って
きたのだが,入れ込めなかったものもある.それはメディアの問題.パ
ソコン通信.ニフティサーブの障害者フォーラムという会議室があり,
性に関するテーマがとりあげられた.アダルトビデオもある.有名なも
のを挙げれば『ハンディキャップをぶっとばせ』一般の市場には出てい
ない.

1994年に,福井県の三方町の河原さんという図書館職の方がいるが,
障害者の生と性の研究会というのを立ち上げて,『『障害者が恋愛と性
を語り始めた』(1994)を出している.「語り始めた」のは94年からで
はなくて,ずっと前から語っていたし,議論もしていた.語っていたこ
とにようやく彼らが気がついたという意味ではないか.性風俗にしても
社会福祉の,教育や実践にしても,議論にあらわれてきているが,どれ
もこれもまとまっていないというのが現在の段階.

質疑応答
☆パソコン通信のニフティサーブのフォーラムが94年で終わってしまっ
たのは理由があるのか.
旭:僕がやめたから.いろいろ人間関係があって簡単には語れないが.
☆ニフティの会議室は再会されてほそぼそとやっているようです.
旭:ぼくがやめたあとは何回かたちあがったという話は聞いている.
☆障害者女性が語る性,性同一障害,同性愛に関する問題のコメント
は.
旭:あとで触れるつもりだった.ニフティサーブの議論の中では,当事
者が参加しているし,そこでの議論が会議室であった.女性障害者につ
いても,95年に『私は女』が出ている.本質的には同じような問題があ
り,女性という位置での差別が付け加えられているということは明ら
か.性同一性障害については,98年前後に埼玉医科大の合法的な性転換
手術が行われた前後に,この言葉が一般化した.
☆ニフティのフォーラムは匿名か?
旭:フォーラムで使われているハンドルネームは個人の名前ではない
が,ニフティサーブは匿名性をとっていないので,登録した時点で管理
者にはわかる.管理者は本名も把握している.
☆オランダのボランティアとか,日本の風俗出張店というのは,障害者
を定義しているか.聴覚障害者は相手にしてもらえないのではないか.
旭:聴覚障害者の利用者は多い.「手帳を持っている方」という規定.
オランダについてはあとで.
☆聞こえない人は最初の連絡はどうするのか.
旭:ファックスで.働いている人の中には聴覚障害者の女性がいる.

◆2
このような時代の流れがあり,ぼく自身が障害をもっていることもあ
り,このことは研究の動機にもなっている.対象として三つのことをあ
げた.医学的障害,性のバリアフリー,性同一障害.これらは,障害と
性に深く関わっている課題.
性の主体者としての保障のために.出会いの問題,性的ケアの問題,
買春の問題,男性というセクシュアリティの意識という四つが挙げられ
ると思う.

◆3
☆オランダのSARは,無償で体を提供すること?
旭:体も提供することもあるし,話をすることもある.オランダでは売
春は合法.
☆ニーズは男性が多いのか.
旭:男性だけではないが多い。若干のホモセクシュアルにも提供してい
る.

◆3
旭:どのような援助をしたら,障害者にとって利益なのか,という視点
が強い.これまでもケアは社会福祉の分野で論じられてきたが,セク
シュアリティがぽっかり抜けていた.トータルケアとは一体何か?家族
介護の問題.在宅で暮らしている障害者は家族の介護を受けている.い
つまでも子ども扱いにしている.どうしてもそうなってしまう.ぼくも
たまに実家に帰るが,あれこれ面倒を親からやられてしまう.いつまで
たっても子どもは子ども.子どもに性的欲求があることをなかなか認め
ない.あるいは認めたくない.認めたとしても,どのように対応してよ
いかわからない.これらをどのようにクリアしていけばよいのか,が問
題関心.
重度の人に対するケアは,専門家の意識が問われる.学生の意識調査
を行い,性についてどのような意見を持っているのか,イメージがある
のかを聞いた.性に対しては明るいイメージはない.障害者の性は理解
できるが,身近に感じることはできない.共通してもっと専門的な教育
を要求している.
もっとも有名なものとしてオランダのSARを出してある.1982年,当
事者が売春の施設でサービス拒否にあったことがきっかけ.彼らが要求
しているのは人間的なふれあいであり,機械的なサービスではない,と
いう.オランダの社会福祉の職員もSARのことはよく知っている.意気
込みとしては売春とは違うということ.SARを日本に適応するという議
論になるが,ぼくだけでは担えない問題.日本で果たして実現できるか
というと,よくわからない.必要性は感じている.

◆4
社会福祉の分野で仕事をしているので教育の話をしていきたい.最後
に残るのが重度知的障害者のセクシュアリティの問題.今の関心領域で
課題として位置づけている.


(以上)

質疑応答
☆SARのところで,条件付き肯定派というのは?
旭:SARに限らず条件つき肯定ということは,買春,あるいは売春につ
いての条件付き肯定ということ.まず,議論になると思うが,正当な労
働(労働者の権利などが認められた)としてセックスワークが認められ
うる条件.
司会:SARに行かれたという方もいるので,そのへんの話も含めて.
☆男性には拒否権があるのか,ユーザーは選べるのか.
旭:拒否権は性別に関係なく,サービス提供者が拒否権を持つ.基本的
にはコーディネーターがいるので,コーディネーターとの面談と実際に
派遣される人との面談の機会を設けてお互いの意思確認があって,その
次がサービスになる.有償というのは必要経費と交通費.
☆ボランティアだからできるのではないか.専門職にセックスケアの可
能性を考えておられるようだが,そのあたりはどうか.
旭:その辺りは未整理.オランダの評価すべき,日本の現状を考えれば
ある程度は専門的なケアワーカーが何らかの関わりをもつべきかなと
思ったりもしているが,正直にいえば,ゆれ動いているというところ.
女性の問題も視野にいれるとなかなか結論が出せない.男性のセクシュ
アリティの問題をとりあげているということが多いが,女性の性的な欲
求にどのように提供するかということ.
☆実際SARを利用している人に,同性愛の人もいると思うが,利用者の
男性と女性の比率は.
旭:正確な割合は聞いていないが,九割方が男性.ほとんど女性からの
連絡はない.そうはいってもニーズとしては潜在的にあるだろうと考え
ているようだ.
☆ボランティアとして,看護婦とか学校の先生という話があったが,そ
ういう仕事をしていることに社会的な認知があるのか?
旭:ケアをしている人に会っていないので確認はしていない.専門職の
中では認知度が高いので,有意義な仕事をしているという認識がある.
☆SARに対して,特定の宗教団体からの批判はあるのか.
旭:批判の議論は公費負担を市町村が認めるかどうかの批判はあるが,
団体全体の批判は聞いていない.
☆日本での派遣型サービス店についての評価は?
旭:自分自身は接触していないので,何ともいえない.一番熱心なのが
朝日新聞だが.
☆障害者を食い物にしているという批判があるが,「ニーズがある」と
業者は答えているが,ケアの店からいえば,単価をあげることに意味は
ないはず.やはり「食い物にしている」という批判もあたるのでは.
旭:遠距離での営業もしている.時間の拘束性などを考えると,やはり
単価は高くなるのでは.
☆日本でのSARをやる気はあるのか.
旭:ぼく自身、今の仕事をなげうってまでやる気はない.

☆学生に対するアンケートの結果について.4頁の施設の問題につい
て.異性介助.雑誌所持について.
☆女性による男性入浴介護については?男女別わけて統計をとるべき
だったのでは.
旭:そのとおり.
☆専門職の調査はどの程度なされているのか.現状の解決というてんか
らみると大事だと思うが.また,セクシュアリティにかんする教育は,
現在どのようになっているのか.
旭:専門職の調査は,かねてからやりたいと思っていた.ある特定の施
設の調査はあったと思うが,それ以上の調査はみあたらない.問題関心
は現在専門職者がどのように思っているか,ということ.ある施設で
は,積極的に施設職員が研究会をつくって議論をしている.同性介護を
どのように位置づけるかを議論している.最近,社会福祉系の大学が増
えており,専門教育の中でセクシュアリティがおかれているのは二校.
長野大学では,去年半期でセクシュアリティ論をおいた.つまりコマと
しては僅かであり、専門教育ではセクシュアリティの必要性を認めてい
ないといえる.性的虐待や女性保護という形では議論しているが,セク
シュアリティ教育を必要とする議論は行われていない.

☆出会いの問題について.障害者のパートナー選択という研究はあるの
か.障害のコミュニティの中で結婚をすることは多い.
旭:ぼく自身の問題関心はその把握にある.関係する調査は結婚相談の
形である.新たな研究対象研究課題になるかと思う.個人的関心からい
えば,同じ障害者ゆえに反発をすることもあるので,そのあたりの傾向
をつかみたいな,と思う.
☆視覚障害の方にうかがいたいが,スケベな本が点字で手にはいらない
と聞いたことがあるが.ポルノ小説とか.
☆あると思うが,点訳者の側で批判をする人がいる.多くは家庭の主婦
が多いため.インターネットで点字のデータを集積しているところもあ
る.情報を得ている人もたくさんいるので,状況は変化してきている.
司会:時間ですが,最後に何か.
旭:うまく話ができなかったことを感じています.まだ研究としてまと
めていないということ.今日の機会を通してわかった.今日の質問がた
ぶんこれからの課題のことになると思う.研究会のみなさんに感謝しま
す.

(以上)

REV: 20130928
障害学  ◇障害者と性・関連文献等  ◇WHO 

TOP HOME (http://www.arsvi.com)