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飽和と不足が共存する生命倫理学:人命本捕註11

「身体の現代」計画補足・843

立岩 真也 2022/12/00
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立岩真也『人命の特別を言わず/言う』表紙    立岩真也『私的所有論  第2版』表紙   立岩真也『良い死/唯の生』表紙

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◆立岩 真也 2022/12/05- 「寄付お願い・提案」
 http://www.arsvi.com/ts/20220023.htm
◆立岩 真也 2020/11/11 「私たちはそういうことにあまり慣れてないのだが」DPI日本会議,ご寄付、ご支援について


 『人命の特別を言わず/言う』を筑摩書房から出してもらった。それに対応させて『人命の特別を言わず/言う 補註』を作っている。原稿を書きながら作ってきたものではあるのだが、結局、かなり原稿に手をいれたので、結局、できた本をみながら作っていくことになった。その作業を進めていくためにも、毎日毎日の仕事をここに掲載してことにした。今回はその第11回。延々と続いてく、はずだ。

★18 1「人に対する敬意(respect for persons)」、2「無危害 (nonmaleficence」)、3「慈恵(beneficence)」、4「正義(justice)」の四つがあげられることが多い。そして2と3の意味することは多くは変わらないと、2を3に含めることがある。そして1が「本人の決めることを尊重すること」、2が「本人によいことをすること」になる。4は公平性を言っているから、財・資源の配分に関わる。
★19 日本では、一九八〇年代以降のしばらく、多くの翻訳がなされ紹介が書かれた。それらを紹介し整理し続ける人たちもいる。ただそれはもうそう多くない。多くの人たちはそういう議論からはほぼ撤退して、一つにはより個別の主題について現実の推移を調べたりする。また教育・実践に役立つ手立てを開発し普及させようとしている。全体について批判的な人たちは、私も含めて、依然としていくらかはいるが、教育と普及に注力している人からなにかを言ってもらえることは少ない。その事情はわかるが、あまりよいことであるとは思えない。日本生命倫理学会大会の大会長を、まったく何もできなかったのだが、務めたことがあり、その「大会長講演」を「飽和と不足の共存について」(立岩[2012])という題にしてそのことを話した。△071
 生命倫理学という世界の仕組みを概観する手頃な本がないのはよくないと思ってきた。新書では『医療の倫理』(星野一正[1991])があるが、これを読んでも何が論点なのかはわからない。いくつかの仕事の後、本文でごく簡単に記したこと、つまりもっともな原則に何が加わるとよろしくない(と、私を含め少なくない人が思う)ことを説明する本を書いたらよいのかもしれない。


 生存学研究センターのフェイスブックにあるこの文章と同じものは
http://www.arsvi.com/ts/20222843.htm
にもある。


UP:202212 REV:
『人命の特別を言わず/言う』  ◇『人命の特別を言わず/言う 補註』  ◇立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa  ◇生を辿り道を探る――身体×社会アーカイブの構築 
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