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生田武志の本/シンガー事件:人命本捕註09

「身体の現代」計画補足・841

立岩 真也 2022/12/00
https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi

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表紙写真から本の頁に行きます&このHP経由で購入するとアフリカ日本協議会に寄付されます
立岩真也『人命の特別を言わず/言う』表紙    立岩真也『私的所有論  第2版』表紙   立岩真也『良い死/唯の生』表紙

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◆立岩 真也 2022/12/05- 「寄付お願い・提案」
 http://www.arsvi.com/ts/20220023.htm
◆立岩 真也 2020/11/11 「私たちはそういうことにあまり慣れてないのだが」DPI日本会議,ご寄付、ご支援について


 『人命の特別を言わず/言う』を筑摩書房から出してもらった。それに対応させて『人命の特別を言わず/言う 補註』を作っている。原稿を書きながら作ってきたものではあるのだが、結局、かなり原稿に手をいれたので、結局、できた本をみながら作っていくことになった。その作業を進めていくためにも、毎日毎日の仕事をここに掲載してことにした。今回はその第9回。延々と続いてく、はずだ。

■第1章・註
★12 『「野宿者襲撃」論』(生田[2005])、『ルポ最底辺――不安定就労と野宿』(生田[2007])等の著書がある。
★13 共編書に『シンガーの実践倫理を読み解く――地球時代の生き方』(山内・浅井編[2008])、単著としては『相手の立場に立つ――ヘアの道徳哲学』(山内[1991])。
★14 翻訳のほうは著者の了承を得ねばならないから難しいかもしれないが、市野川の解説他、当時のできごとについて、シンガーについての頁の中に置いてある「シンガー事件」を増補するつもりだ。
★15 土屋〔貴志〕は自らが書いた文章を多く、勤務先のサイトに掲載してきたが、このたび別のサイトに移動させることになった。そこに掲載される文章の在処を別途お知らせする。
★16 『私的所有論』におけるシンガーへの言及を『補註』〔=この頁・ファイル〕(立岩[2022])に掲載した。

2022/12/25 『人命の特別を言わず/言う 補註』Kyoto Books
そこに引用した箇所の1つ。
 「◆08 シンガーは、第一に無感覚の存在、第二に快苦の感覚だけをもつ存在、第三に快苦の感覚に加えて理性と自己意識をもつ「人格」の三つを分ける。そして、選好功利主義の立場から、一番目は配慮すべきそ▽355れ自体の利害をまったくもたない、二番目は苦痛を与えないように配慮すべき、三番目は快苦に関する利害と自分の将来に関する利害の両方に配慮すべきとする(Singer[1979=1991])。ここから快苦の感覚をもつ動物の生存権を認める主張をする(Singer[1973=1988][1975=1988][1990b]、Mason & Singer[1980=1982]、Singer ed.[1985])一方、障害をもつ新生児については安楽死を認めるべきだとする(Singer[1991b]、Singer & Kuhse[1984]、Kuhse & Singer[1985]、他に「生命の尊厳【(神聖)】」説(→第4節4)を批判するKuhse[1987]、「潜在性」に依拠する議論(→注16)等を否定しつつヒトの胚を用いた実験を支持するKuhse & Singer[1990]、Singer & Dawson[1990]等)。
 こうした主張がドイツで障害者の組織に批判され、彼は壇上で抗議を受け、講演はとりやめになった。もちろん彼はそれに不満だ(Singer[1990a][1991a=1992][1992]。この「シンガー事件」及びシンガーの主張を検討したものに市野川容孝[1992a]、土屋貴志[1992][1993][1994a][1994c][1995a]、川本隆史[1996]、ドイツ哲学界の状況の報告を含む河村克俊[1996]。以上にシンガー批判の側の論点も紹介されている。)【またシンガーの主張を解説する本として山内・浅井編[2008]。】「表現の自由」を何より特権的に保護すべきだとは考えないが、この場合には表現自体の禁圧という方法を選ぶべきでないと思う。彼の主張は、どれほど露骨にはっきり言うかという程度の差はあるせよ、私達の生の一部なのではあり、発言を禁止したところでなくなるものではなく、できるのは、そうした主張がどれほどのものかを検討し、それをその主張に対置することだと考えるからである。土屋[1993:338-339]でほぼ同趣旨の主張がなされている。【シンガーらの主張はあいかわらずで、その同じことを『生と死の倫理――伝統的倫理の崩壊』(Singer[1994=1998])で繰り返している。その一部は有馬[2012]で紹介されている。私のシンガーとクーゼの主張に対する批判は『唯の生』([2009a])で行なっている。】」

○生田 武志 2005 『「野宿者襲撃」論』,人文書院
○―――― 2007 『ルポ最底辺――不安定就労と野宿』,筑摩書房
○―――― 2019 『いのちへの礼儀――国家・資本・家族の変容と動物たち』,筑摩書房


 生存学研究センターのフェイスブックにあるこの文章と同じものは
http://www.arsvi.com/ts/20222841.htm
にもある。


UP:202212 REV:
『人命の特別を言わず/言う』  ◇『人命の特別を言わず/言う 補註』  ◇立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa  ◇生を辿り道を探る――身体×社会アーカイブの構築 
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