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遡行/遡航・2

「身体の現代」計画補足・831

立岩 真也 2022
https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/pfbid02oE7UHpFgShUhB4ThFBc13Ff3UGhoAQM5aUj6Fihjw3euUX2UssqAP23dTSw3EBB5l

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 『遡航』002号(2022/06/30)に掲載された「遡行/遡航」を分載していく。その雑誌の(今のところの)表紙頁は
 http://aru.official.jp/m/index.htm
 ※始まったばかりです。「いいね」などよろしくです。※

 1は
遡行/遡航
 今回はその2。以下にははリンクがついています。
http://www.arsvi.com/ts/20222831.htm

1998
 検索してみたら、私が題に「遡行」を使った最初は、1998年10月31日、STS(は「科学技術と社会」) Network Japan のシンポジウム「医療問題は科学論で語れるか」に呼んでもらった時の報告の題「闘争と遡行」のようだ。京都大学が会場だったようだが、私はこの時は松本にいた(1995年4月から2002年3月)から、出張したのだと思う。パネラーは蔵田伸雄佐藤純一、小林傅司、松山圭子と私。司会は横山輝男。その報告は、『STS NETWORK JAPAN Yearbook '99』(2000/03/25)にその題「闘争と遡行」で収録されている。原稿でなくその場で話した話をそのまま掲載したもののようだ。
 その始まりは

 はじめまして、立岩です。呼んでいただいてありがとうございます。シンポジウムというのは、今も昔もおそるべきものがいっぱいあって、横に座っている人とはたしてどういう接点があるのか分からないことがある。非常に悲しいというか、虚しい思いをすることがたいへん多いんです。世の中にはなんとお金が余っているところがあって、そのお金を消化するために何だかよく分からない人を何人か集めてきて、喋らせて、シンポジウムが終わってしまう。今日のシンポジウムは、それよりだいぶいいなと僕は思っていまして、なんだか明るい未来が見えてきた気がします。
 さて


全文を読むことができるから、全体の紹介の要はない。以下は全体の3分の2ほどのところ。

 僕の前半の話というのは、基本的に少なくとも僕の中では白黒ははっきりしている。お客さんの立場、お客さんサイドにいる。少なくとも、普通のサービス産業と同じくらいには、消費者主権なら消費者主権というものが貫かれてよい。それを阻害するメカニズムが何か、それを除去していく装置は何か、そういうことを考えていくということでした。ただ、白黒はっきりしていない領域というのも、やっぱり残される。それが、科学論というものと関係するかしないか、僕は知りませんけれども、そういったものがある。そういったものも、どこかで僕らは気になってしまうわけですし、考えてしまうわけですし、考えちゃいるんだけど考えがまだ足りなくて、まだ何だかよく分からない、そういうことがある。
 科学・技術というのは何かといえば、科学というのは、基本的には分かるということ、知ることだということになっていますね。技術というのは、何かを作ることであり、何かを変えることであるわけです。それが社会で私たちが生きていることにどういう意味合いを持つんだろうか、それについて私たちはどう判断したらよいのかということを考えていく、というのもおもしろいぞと思っているんです。分からないこと、白黒がはっきりしないことがいっぱいあって、去年、出版させていただいた『私的所有論』(勁草書房)という本は、こちらの話にウエイトを置いています。
 私たちの社会というのは、ある程度分からないことがある、ということをどこかで前提として含み込んだ上で成立している。あるいは、変えられないということを含み込んだ上で成立している部分がある。あるいは、変わるか変わらないか分からない、というところを前提とした上で、いろいろなものが成り立っているというところがあるわけですね。これは考えてみれば誰でも知っていることです。


20分の報告の終わりは以下。

 とりあえず方向性の違う話を二つしましたが、僕は時間がある限り、二つの仕事を同時にやっていきたいと思っています。皆さんのお考えになっていること、あるいは科学論というものと、それがどういうふうに関係があるのか、あるいはないのか、議論の中で深めていければと思います。どうもありがとうございました。


 続きは
2000
2005→現在


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◆立岩 真也 2022/**/** 『人命の特別を言わず*言う』,筑摩書房
◆立岩 真也 2021/03/10 『介助の仕事――街で暮らす/を支える』,ちくま新書,筑摩書房,238p.
◆立岩 真也 2020/11/11 「私たちはそういうことにあまり慣れてないのだが」DPI日本会議,ご寄付、ご支援について


 生存学研究センターのフェイスブックにあるこの文章と同じものは
http://www.arsvi.com/ts/20222831.htm
にもある。


UP:2022 REV:
生を辿り道を探る――身体×社会アーカイブの構築  ◇『介助の仕事――街で暮らす/を支える』  ◇立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa 
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