https://docs.google.com/spreadsheets/d/1OGcTk2ECx8TPK3Buqctuv5Aan9QEwmb6TKl6cAXbDY8/edit?usp=drive_web&ouid=105402897890180002733 立岩真也「2023年度Ritsumeikan Advanced Research Academy(RARA)フェロー申請調書」
HOME > Tateiwa >

2023年度Ritsumeikan Advanced Research Academy(RARA)フェロー申請調書


立岩 真也 2022/11/16

Tweet


[WORD] ◆[PDF]
◆面接(20221122 於:朱雀キャンパス) 録音記録:近日中に公開します→しました:【voice】
 ※
 cf.
《叢書》
◆2023/01/16 
2023年度研究書重点プログラム申請調書書類
 →立命館大学
◇2021/11/10書類提出→2021/11/21面接→採択されず の録音記録もあります。公開しようと思います。


申請者 所属:先端総合学術研究科
職名: 教授 氏名:立岩真也(教職員番号:0200087)
情報活用について ○承諾します  ・承諾しません (※情報の活用については、募集要項をご参照ください。)
連絡先 e-mail :tae01303@nifty.ne.jp 内線/外線:6255 / 070-4459-5659 ・評価者が理解しやすいように記述してください。必要に応じて図や表を用いても構いません。
・様式の改変は不可、フォントサイズは10.5ポイントとしてください。


1.今後取り組んでいく研究テーマについて
RARAフェローとして今後取り組んでいく研究テーマについて、これまでの研究実績を踏まえて1ページ字以内で記述してください。具体的には、研究の目的、優位性、研究分野における位置づけ、研究テーマが持つ学術的・社会的な波及効果について述べてください。過年度に採択されているRARAフェローやRARAアソシエイトフェローとの研究連携にむけた提案を含む場合は、誰と、どのように協働できるのかを、分かりやすく記述してください。

 T:【叢書身体×社会】この100年、身体と社会を巡って起こったこと、思考されるべきこととして現れたことについて、多くの大学院生・修了者・研究員他と仕事をし、今年創刊した年6回刊行の雑誌『遡航』等に300余の論文・報告を掲載し、これまで(→4.)に加えあと約50の博士論文執筆・提出を支援し、私と修了者・大学院生が共編者となる15冊以上の書籍をこの5年の間に刊行する。その主題群の一部は3.に示す。全体の構想はhttp://aru.official.jp/m/index.htmにある(「立岩 遡航」で検索)。むろん研究者個々の主題を受けその思いを尊重するが、しかしみなの研究の対象は、つまりは同じ社会・時代であり、人間だから、そこに必ず連関もある。それを示すことで、研究を発展・展開させる。作業の全体をその都度公開しつつ(→U)、研究の塊を多く作り出し、個々の研究がぽつぽつとなされるだけでは到底対応できない社会の課題に応える。
 U:【アーカイブ身体×社会】Tはおもには成果を書籍にする。アーカイブは、物理的空間としてのライブラリーとオンライン上に公開される情報群により構成される。http://www.arsvi.com/a/arc.htm(「生を辿り途を探す」で検索)にその準備段階のものがある。集積自体が必要とされている。変革のために遡ること(遡航)がなされねばならない。あと20年も経てば不可能になる、前世紀から生きてきた人たちへのインタビュー記録の公開を現在の約500から1000に増やす。むろんそれはTの研究の基礎となる。そして、集積・公開の方向を考え、仕組みを作るその営為自体が研究であり、成果は上記の叢書の一部となる。その仕組の確立のために10年を想定、科研費基盤研究A「生を辿り途を探す――身体×社会アーカイブの構築」が前半の5年間行なわれる。今記録し集めないとけっして残らないものがあるから、大きな規模の急ぎの作業を要する。大学院生・修了者等は、科研費分担研究者他の多領域の研究者の助力も得てその作業に関わり、人文社会科学の基本的技術を学び、自らの研究成果ともする。
 V:このフェローシップに応募するのは私個人の研究のためではない。個人の研究を支援することの意義をまったく否定するものではないが、人文社会科学の研究者のある部分は、自分だけのためなら勤めを辞めるのがよい。TもUも、自分だけでできない仕事があまりに多いと思うから、その仕事が必要だと思うから、勤めを続け、組織に関わる。そして、時代・社会の「見立て」を探る仕事をしてきた私は、きっと役に立つと思う。それが、本学を、志を有し信頼される主要な研究拠点とし、将来的な、国際的な研究成果の生産の基礎を築く。もし、このフェローシップによって、さらに時間が生まれるのなら、私自身としてはおもに19世紀以降にあった思想を総覧し、社会について考え残された問いに対する答えを示す書籍の刊行数を増やす。

2.RARAフェローとしての達成目標について
RARAの理念を踏まえた上で、RARAフェローとしての達成目標を1ページ以内で記述してください。
留意事項:以下の2点に加え、独自で設定する目標について記述してください。
1.「RARA行動指針」に対する目標の具体化は必ず記述してください。
2.フェロー就任期間中の@科研費(基盤研究S、A、学術変革領域研究等)等の大型競争的資金への申請、
A目標とする論文発表数について、申請または発表する時期についても、具体的に言及してください。


◆T:私自身の仕事はそれとして行なうが(→◇V)、主要な目標は多数の多様な研究・研究者を育て繋ぐことだ。それは、大学・大学院とはそうした人材を輩出する場だからという理由もあるが、なにより、こんなのんびりした調子で社会科学をやっていたら、記憶・記録・事実が急速に失われることに付いて行けず、世界の多様性を知り、未来を展望し構想するのにまったく間に合わないからだ。だから、共創は美しい理念である前に切羽詰まった必要である。院生、修了者、研究員他の研究を組織し、成果を産出する/させる。既にその体制はあり実績はある(→4.&5A)。その質・量を向上させる。
 私は、一人ひとりが行なう作業・研究に助力する人たちを動かす役を果たす仕事により多く従事する。助力に膨大な時間と労力が必要なことはよくわかっている。この制度で少し私自身の労力を減らし、助力する人を助力する。とくに、一見関係のなさそうな複数のものに共通性・関連性を見込み、それら研究に、じつは筋道・理路があり、汲み取れる含意があることを示して研究を豊かにする。それが私の仕事だ。これまでは博論から単著の刊行を手伝ってきたが、同時に、幾つかの視点で複数を連接させる共著書・編書を作っていく。
 これまでの経緯からも、人の身体と社会との関わりが中心的な視点・主題となる。学際融合はよいことだが、その前に、むしろ同時に、技術について、誰がどこまでのことをどんな順序のもとになすのが誰にとってよいのかを考え、効果的な方策を探る。バランスが大切だと、そんなことは誰でも言えるし、正しい。しかし、そのためにも、どのように利害が分布し、誰が得をし損をするのか、等々を調べ考え示す必要がある。
◆U:その基礎・基盤ともなるアーカイブを構築し整備する。科研費基盤A研究「生を辿り途を探す――身体×社会アーカイブの構築」は2025年度まで。仕組みを作り上げるのに要する期間を10年とし、前半の5年となる。その後、引き続き基盤Sで申請するが、こうした活動・組織こそ、大学が自ら恒常的に運営するべきものだと私はずっと訴えてきた。そのことによって、大学は、そして他に担っているところはないのだから具体的には本学は、学問と社会に貢献する志を有する組織として社会的・世界的な信頼を得ることになる。
 あらゆる情報を網羅することなど到底できないし、望みもしない。何をして何をしないか、その方針を決め仕組みを定める。例えば研究論文や国会等の議事録の類はようやく収録されネットで接近可能なものになってきた。私たちは、その実用化を見届け、その収集や公開からは撤退した。しかし、私たちが積極的に記録を行わないと残らないものもある。例えば人が生きている間しか聞き取りはできない。画像・動画、ディジタル、ネット上の情報も注意を払わないと消えてしまうことが多くある。そしてその作業に大学院生などを積極的に参加させる(→◇T)。まずは知ること聞くこと、考えるのはその後でもよい。そしてむろん、集めること整理することそのものが研究という営みの大きな部分をなすのでもある。私たちはどこに人がいて記録があるのかをその人たちに知らせる。私たちの担当は身体×社会という領域とし、立教大学の「共生社会研究センター」、法政大学大原社会問題研究所の「環境アーカイブズ」、神戸大学附属図書館の「ディジタルアーカイブ震災文庫」等、志を有するカーカイブと連携する。こうして本学のアーカイブは、複数の中の一つでありつつ、日本社会学会などにも呼びかけ、協議し、とくに質的データの集積を先導し中心を担うものとなる。
 現在、韓国・中国・台湾との関係がある。そのつながりも生かし、広げる。今、かえって各国の中で行なうのが困難な記録・研究がある。しかしそんな状態はいつまでも続かないだろう。記録の空白が起こらないように、例えば日本で記録し将来かの国に還元することもありうる。そうした活動によって国際的な信頼を得る。
◆V:私個人は理論と歴史の双方に関わる書籍を年1〜2冊出版していく。分担執筆の本の編者を務める。

3.目標達成に向けた計画について
2で述べた目標の達成に向けて、具体的にどのような計画に基づき実行するのか、1ページ以内で記述してください。

◆T各人の研究を支援するこれまでの仕事とともに、このフェローシップで得られる力を加え、院生・修了者の各々の主題を繋ぎ、問題の所在と今後の社会の変革の展望を示す書籍を計15冊以上刊行する。以下8つテーマを示す。最初の2つの1冊めを2023年に刊行。大きな枠組みは拙著『不如意の身体』(2018)で示した。
 ◎01アーカイブ:声を集める、ネット上の情報のアーカイブ、ディジタル化、障害者情報保障との連接。
 ◎02くすりの本:薬害、HIV・エイズ〜COVID-19にいたる対策の国際的な偏差、社会防衛の必要と限界。
 ◇03名付けること、見つけること、知らせる・知られないことについて。障害や病気と認められず制度の谷間に落ちている人が多くいる。そこで一つひとつに名前をつけ、制度に乗せていく。その意味はある。しかしそれ(だけ)がよいのか。例:慢性疲労(症候群)・苦痛、高次脳機能障害、発達障害、…。
 ◇04なおすことについて。切実になおることを求めている人がおり、他方によいことはなかったと言う人がいる。本人の希望をよく聞いて、だけではすまない。例えば小さな子供についてはどうか。例:聴覚障害の早期治療、視覚障害の手術、脳性まひ者への手術の歴史、性同一性障害、…。
 ◇05害すること、加害から社会を防衛することについて。ここにはある範疇の人たちを危険と見る偏見と誤解が多くあるが、すべてをそのように解することもできない。「社会防衛」はただ批判されればよいというものではない。例:精神障害、強度行動障害、感染症、…。
 ◇06姿・異なりについて。もちろん偏見の除去、相互理解は大切であるに違いないが、他に言えること言うべきことはないのか。また、障害だから仕方がないという言い方は多く有効ではある。ただ、すると◇03:証明を求められるということにもなる。例:顔の異形、発達障害、性的多様性、…。
 ◇07働いて得ること/働かず得ること。たいがいは支援があれば同じに働ける。しかしいつも、ではない。ならばどうするか。例:障害のある教師の就労・労働、精神障害者の就労支援、所得保障と労働政策、…
 ◇08人工物と身体・補うこと加えること。例:人工内耳、在宅人工透析、人工呼吸器、身体の現前を要さないヴァーチャルな交流、(今のところ)他者の身体があって可能になる生活、…。
◆U収集・保存・公開を続ける。すでに研究所の活動、科研費研究を通じて、多くの院生・修了者が、謝金を得て、その仕事に従事し、貢献しつつ、自らの研究を進めてきた。この活動の全体は、これからも同じ枠組みで進められる。またとくにアーカイブの事業については、大学自体が主体的・主導的であるべきことは述べた通りである。これまで私は、その現場の指揮に多くの時間を費やしてきたが、その一部を委ね、「仕組み」に関わる部分を検討し、その開発に携わる。○2022年から23年にかけて著作権等に関わる問題を検討し、結論を出す。例えば、インタビューの記録については話し手のものとして扱っているが、このことに関わる問題を洗い出し、方針を確定させる。○各国の質的データのアーカイブの試みについて情報を収集し、日本社会学会等とも協議しつつ、本学を日本での先導的なアーカイブの拠点とする。○多くの報道機関・人が得た情報・資料が死蔵され消滅しつつあり、報道人自身もそのことを残念に思っている。またオンライン記事の有料化だけでよいとも考えていない。これらについて、まずは京都新聞社と話し会い、双方ができることを検討し、報道機関・研究機関双方の利点を生かした協働の道を探り実現する。○音・画像・動画の記録について。一つに劣化する媒体に記録されたものを変更するなど保存の技術と労力を要する。一つに著作権や肖像権への対応。ここでも、公開、まずは保存を進める方向で臨む。○膨大な情報の全体をすぐに英語にすることは追求しない。多くの言語があり、そのままでのその収集を急ぐほうを優先せざるをえない。また自動翻訳の性能はようやくいくらか向上している。加えて必要なのは、ことの文脈を、これは必要な部分は多言語で、伝えることである。これは研究者の仕事として可能であり、行なう。
◆V2022〜23年の単著『人命の特別を言わず/言う』、『良い死/唯の生』、『自由の平等第2版』(筑摩書房)。

4.研究業績・成果について
これまでの研究実績・成果において、代表的なものを3つ記載してください。
記載する際には、募集要項に記載されている申請条件を参考にしてください。
<記載の例>
○学内外の大型の競争的資金の採択実績(事業名称、採択期間、採択金額、研究課題名を記載)
○学術論文業績(ハイ・インパクトジャーナルの掲載実績について記載する場合は、ジャーナル名、掲載日、タイトルを記載)
○その他の研究実績について記載する場合には、概要、時期、金額(研究費等の助成がある場合)を記載してください。


◆T:本フェローシップにとっての主要業績として、これまで70名の博士号取得者の主担当(主査)を務めてきた(論文提出:2008〜2022年9月)。そのうち30名が単著書を刊行。また、主担当の院生で学振DC32名、学振PD受け入れ2名、送り出し7名。その中で2018年3月以降の博士学位取得者は20名。学振PDの送り出し3名(→中央大学2、東京大学1)。以下は博士論文の主査・学振PDの指導教員を努めた人たちの書籍。『臨床場面のポリティクス:精神障害をめぐるミクロとマクロのツール』(吉村有里)『関西障害者運動の現代史』(定藤邦子)『連帯の挨拶:ローティと希望の思想』(安部彰)『主婦と労働のもつれ:その争点と運動』(村上潔)『戦後日中関係と同窓会』(佐藤量)『若者の労働運動:「働かせろ」と「働かないぞ」の社会学』(橋口昌治)『逝かない身体:ALS的日常を生きる』『末期を超えて』『不安の時代に、ケアを叫ぶ』(川口有美子)『死刑執行人の日本史:歴史社会学からの接近』(櫻井悟史)『どんなムチャぶりにも、いつも笑顔で?!:日雇い派遣のケータイ販売イベントコンパニオンという労働』(田中慶子)『情報福祉論の新展開:視覚障害者用アシスティブ・テクノロジーの理論と応用』(韓星民)『日本における作業療法の現代史』(田島明子)『腎臓病と人工透析の現代史』(有吉玲子)『家庭奉仕員・ホームヘルパーの現代史』(渋谷光美)『顧みられない熱帯病と国際協力』(新山智基)『日本の血友病者の歴史』(北村健太郎)『老いを治める:老いをめぐる政策と歴史』(天田城介・北村健太郎他編)『障害学のアイデンティティ:日本における障害者運動の歴史から』(堀智久)『沖縄闘争の時代1960/70』(大野光明)『運動史とは何か 社会運動史研究1』『同2』『同3』(大野光明編)『移植と家族』(一宮茂子)『自動車 カーシェアリングと自動運転という未来』(仲尾謙二)『しかし、誰が、どのように、分配してきたのか』(矢野亮)『保安処分構想と医療観察法体制』(樋澤吉彦)『対人援助における通訳者の倫理』(飯田奈美子)『病いの語りによるソーシャルワーク』(栄セツコ)『ハンセン病療養所を生きる』(有薗真代)『日本語手話とろう教育』(クァク・ジョンナン)『難病患者運動』(葛城貞三、滋賀県難病連の歴史)『くらしのなかの看護』(窪田好恵、びわこ学園他の歴史)『障害基礎年金と当事者運動』(阪悌雄)『詳論 相談支援』(萩原浩史)『人と成ること:恵那地方の統合教育・地域生活運動』(篠原眞紀子)『共感と精神分析』(北村隆人)『誰かの理想を生きられはしない:とり残された者のためのトランスジェンダー史』(吉野靫)『精神障害者のグローバルな草の根運動:連帯の中の多様性』(伊東香純)『しゃべれない生き方とは何か』『〈弱さ〉を〈強み〉に』(天畠大輔)『精神障害を生きる当事者の「生の実践」』(駒澤真由美)『薬の1960年代』(松枝亜希子)『インクルーシブ教育のかたち』(柴垣登)『差別研究の現代的展開』(山本崇記)。
◆U:約35年をかけて資料を集め、配架し、整理し、提供してきた。1996年に私的なものとしてウェブサイトを始めた。それは2007年に大学のサイト『arsvi.com』となった。以来、その構築・増補・改善に務めてきた。それは現在年間約3000万ヒットを得るサイトになっている。COE、科研費の獲得については→5.「リーダー実績」。
◆V:私自身の研究の成果は著書として発表してきた。論文の多くも著書に収録した。これまでに単著21冊、共著15冊、編書2冊。直近5年(2018 年〜)では9冊。単著7冊:『不如意の身体』(2018)a href="../ts/2018b3.htm">『病者障害者の戦後』(2018)『人間の条件 第2版(増補新版)』(2018)『弱くある自由へ 第2版(増補新版)』(2020)『介助の仕事』(2021) 『良い死/唯の生』(2022) 『人命の特別を言わず/言う』(2022) 。共著1冊:『往き還り繋ぐ:障害者運動於&発福島の50年』(2019)。共編書1冊:『社会が現れるとき』(2018)。外国語に訳されたのは英語版『私的所有論』(2016)。韓国語版『生の技法 第2版』(2010)『良い死』(2015)『人間の条件 第2版』(2021)。2023年度から英語について協力を得られる研究者とともに英語での発表を増やしていく。これからは、修了者・院生を共編者に加える編書の刊行の優先をさせることをこれまで述べてきた。

5.これまでのリーダー実績について
学内外の組織における役職経験(会長、委員長等)、研究プロジェクト等における代表者の経験を最大5つ記述してください。複数ある場合には、公益性の高いものを優先して記述するようにしてください。なお、記述する際には以下の項目を必ず含めるようにしてください。
「組織/プロジェクト名称」「組織/プロジェクトの規模」「活動期間」「役職名称」「概要」「リーダーとして考慮したこと」


@グローバルCOE「生存学創成拠点」拠点リーダー。2007〜2011年度。院生の参加は毎年70〜100人。この種のプロジェクトは、多く、イベントを時々行ない、結果なにも残らないことが多い。催はとくに必要な場合に限ることにし、なにより、そしてそれはGCOEで求められたことでもあるのだが、大学院生による日常的な研究がなされるように努力し、その作業の過程と成果の全体のその都度の収蔵と公開に努めた。
A生存学研究センター・センター長、生存学研究所・所長(2007〜、2012年度を除く)。センターは2007年度にグローバルCOEの開始とともに学内組織として発足、COE終了後、センターの活動が継続され、2020年度から研究所になった。私はサバティカルの2012年度以外、センター長・所長を務めた。その活動の本体は毎日の作業そのものであり、同時に、その(できれば)すべてがその都度公開されるべきと考えてきた。
 客員協力研究員の数は毎年100名を越える。フィンランド、アルメニア、リトアニア、フランス、韓国、米国の研究者も含まれる。アジア・日本研究に関わる人、米国の大学に務める中国系のアジア研究者もいる。国内の実務家・活動家も多い。学会、社会サービス供給組織等からの事業・研究委託も受けるようになっている。研究所のМLでは本日までに23910通が配信された。現在の科研費研究の分担研究者42名――社会学、社会福祉学、生命倫理学、科学史、医学医療史、法学、経済学、作業療法学、文学、障害学等多様な専門領域の方々にお願いした――、多数の大学院修了者も、加入総数430名のこの研究所のМLのメンバーである。
こうしたネットワークを十全に活用しようとしてきた。上記のМLも、A若手研究者、研究者になろうとする人たち自身に資することを大きな目的とする。この人たちAと、B科研費研究分担研究者、運営委員、客員研究員のすべてが加入している。Bは、研究の材料と方法を提供し、助言し、その技術を向上させ、Aの成果産出を助ける。Aは、例えば、インタビューをし、記録を作り、整理し、サイトに公開する作業にも加わる。関連する雑誌や機関誌を整理し、書誌情報を入力し、引用し、それから年表や文献表等の資料を作る。公開される資料やインタビュー記録等には、その作成者の名前が記される。そのことにより、作成者はその分野の研究者として知られることになり、情報・資料を得られやすくなる。C所長他・専門研究員・事務局は、その過程の全体に関わり、支援する。作業の結果をその都度点検し、より効果的・効率的な方法を検討し、伝える。それを繰り返す。院生他若手研究者たちは、そうした資源を得、手法を身につけ、その技術と材料とを使って論文を書き、博士論文にし、書籍にする。そのことによって、その全過程において、その研究者は知られることになる。私たちには既にそうした実績が多数ある。それをさらに加速・拡大させ、より充実し洗練された研究成果が産出されるように務めている。
B学会関係。障害学会会長(2017〜2021)理事、大会長2007・2009・2020。生命倫理学会理事(2020〜)、大会長2012。日本社会学会理事、社会学教育委員会委員長(2021〜)。2020年の障害学会大会は東アジア障害学セミナーと同時開催を構想したが、COVID-19により断念、国内・Zoomによる開催となったが、手話・文字通訳も含むオンラインでの情報保障を考え試行し、従前よりむしろよい、今後も使える、他でも使ってもらえる仕組みを作ることができた。他学会については、@・Aが忙しかったこともありまったく貢献してこなかったが、2020・2021年と理事に選ばれたため、いくらかの活動をしよう、とくにアーカイブについて学会の協力も得ようと考えており、日本社会学会の社会学教育委員会の委員長に任ぜられたこともあり、2022年11月には大会のテーマセッションを企画し実施した。2023年度以降も実施予定。
C科研費研究代表。「生を辿り途を探す――身体×社会アーカイブの構築」(基盤A、2021〜2025年度)・「病者障害者運動史研究」(基盤B、2017〜2019)・(COE↑2007〜2011)・「分配と支援の未来」(基盤B、2004〜2007)・「病者・障害者の権利を擁護するNPOの研究」(2000〜2003、基盤C)。

6.希望する支援内容について
本制度では、RARAフェロー個々人の希望に基づき、分野特性に応じたテーラーメイドでの支援を行います。
現時点で希望する支援内容について、@研究活動、A教育活動、B行政活動(学内役職等)、その他、RARAフェローとして活躍するために必要な支援の観点から記述してください。なお、支援内容はRARAフェロー自身が設定した達成目標に紐づく必要があるため、「2」の内容との関連性、および、なぜその支援が研究展開に資するものと考えるのかを、必ず記述してください。(1ページ以内)


@  研究活動について
 まず研究所の活動については、支援に値する活動がなされ、実績をあげているから、引き続き本学の研究所に対する支援を求める。このフェローシップについては、その中で私が行なってきた部分について支援を得る。とくに叢書の書籍の刊行に向けての準備には膨大な作業量を要する。このフェローシップを十全に活用する。
 大学院生、修了者については、RAの仕事を依頼することができ本人にも希望する人がいるが、その希望者、私にとっての候補者は、これまでは高い割合で学振研究員になってきた。もちろん研究員に就任することのほうが望ましいので、その場合にはRAとしての雇用はしない(できない)といった事情もある。また、各々の職場の仕事と収入のある社会人の院生も、私はその人たちと学部を出て院生になったといった人たちが混じっていることは大変良いことだと思っているのだが、多い。大学院生・修了者からのRAの雇用と他のかたちでの雇用は、科研費からの支出との兼ね合いも含め、各年度の状況を見て、ということになるだろう。
 とくにアーカイブの整備、連携に際して、これに関わる各機関・人との調整が様々に必要になってくる。そして、重要なのは、人に会い協議をし、といったその都度の記録をとり、まとめて文章にして公開していく仕事になる。今行ない始めておりまたこれから行なっていくことの多くは、少なくともこの国では初めてのことであり、その経緯と結果を記録すること自体が必要であり意義があるからだ。研究者やそれを志望する人である必要は必ずしもないが、私たちが行なおうとすること理解し共感し、そして実際に実務を行なえる人が望ましい。時給2000円を想定し、年間4000時間の仕事をしてもらう。身体障害・視覚障害・聴覚障害等、多様な人たちに働いてもらう。その人たちは情報のアクセシビリティの確保・発展にも貢献してくれる。年800万円を見込む。
A  教育活動について
 授業担当コマ数については現状のままでよい。とくに、演習や授業は、院生の研究の計画と現状を聞き、それを他の参加者も聞き、互いを知り、私が私ならこういう筋の話と捉えると言い、院生たちが研究の進め方、論文の書き方を学ぶ場でもある。仮にその数が減ったとして、実質的な仕事が減るわけではない。単位を取得できた方がよい人もいるだろう。授業は授業で有効に利用したいと考えている。
 ここまで述べてきたように、すくなくとも私に限っては、このフェローシップにおいても、研究と教育とはまったく別のものではない。一体のものであって、教育の負担を減らすことが研究を充実させるといった関係にはない。そのうえで、Aに割りふるとすれば、英語・中国語を第一言語として使う人たちとの関わりについての支援がある。日本に滞在して研究する客員研究員への対応等も行なう。文章作成・翻訳の仕事も依頼する。随時の対人的な仕事と、ストックされた録音物や文章を扱う作業とを組み合わせるのが、働いてもらい方としてうまくいくと考えている。それに年200万円をあてることにする。
B  学内役職等について
 研究科科長等の職は、ありがたくもこれまでも免除していただいてきたが、引き続き免除していただきたい。研究所の仕事は、将来を見据えた人事の準備を進めているが、それまでに基本的な部分は作っておきたい。そのためにこのフェローシップも活用する。加えて、衣笠総合研究機構の幹事に任ぜられている。研究(研究所・研究センター)体制の改善は全学的にもまた私(たち)自身にとっても大切なことであり、その任期は務め、いくらかでも貢献したいと考えている。
C  その他  なし


UP:20221120 REV:20221123
生を辿り途を探す――身体×社会アーカイブの構築  ◇Shin'ya Tateiwa  ◇立岩 真也 
TOP HOME (http://www.arsvi.com)