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遡るし逗まる

何がおもしろうて読むか書くか 最終回(第16回)

立岩 真也 2022/10/25 『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』132:158-162
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『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』130:
 2021年10月25日刊行 特集:「働く母」の子育て
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『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』129:156-160 2021年4月25日刊行 特集:「過敏さ・繊細さ」解体新書
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『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』
『おそい・はやい・ひくい・たかい』
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 ※草稿

今年の本3冊
 A:自分で書かなきゃと思うことを書く、B:様々な人が書いたもの話すことを集めてとっておく、そして読んだり聞いたりできるようにする。Aだけだったら勤め仕事をする必要はないが、Bの関係で、C:大学院生他といっしょに仕事ができること、集めたものをその人たちまた学外の人たちにも使ってもらえる場所は大学にあることもあって、組織に属し、給料をもらい、「教育」という仕事他をする。むだに消耗することもあってときどき、いやになるが、仕方がない。
 この連載の題はAの方向だが、このところ、Bの関係のことを書かせてもらってきた。今回、まずAについて。
 10年以上前になるが『良い死』『唯の生』という本を筑摩書房から出してもらった。その4分の3ぐらいを使って、今度ちくま学芸文庫から『良い死/唯の生』を出してもらうことになった。安楽死だの尊厳死だのといった主題についての本だが、もうすこし広いところで死生について考えてもらう本でもある、と思う。
 そして『唯の生』の第1章をおおはばに加筆して『人命の特別を言わず/言う』と題した本を、やはり筑摩書房から出してもらう。動物を大切にしよう、は、それだけだったら誰にも異論はないことだが、そして本誌の読者にはそういう優しい人が多いのではと思うのだが、同じぐらいの「程度」の動物と人間のいずれを救うかといった問題を立てる人がいて、そうすると、ある種の動物ほど立派でない「限界事例(マージナル・ケース)」の人間は後回しにしてよい、すべきだという話にもなる。そういう話の組み立てでいいの、といったあたりのことを考えて書いている。近頃「動物の権利」といったことについて書かれた本が(ふしぎに)たくさん出版されているのだが、そういうものとは異なる、しかし、じつはみんなこんなふうに考えている・思っている・生きているだろう、そういうことを書いた本です。どうぞよろしく。
 そしてもう一冊、これは私が考えついたのではなく、思いついたら実行してしまう安積遊歩さんとの対談本が生活書院から。安積は32年前に名著!『生の技法』をいっしょに作った人。私と違って「ビーガン」な人でもあって、その辺りに関係することも話して(というか、話したように書いて)いる。

『遡航』
 そしてB+Cに関わって、オンラインの雑誌を作り始めた。『遡航』という。「そこう」と呼ぶ。川を遡るといった意味だ。3月に第1号を、6月に第2号を出した。うまくいったら8月第3号、10月第4号、2月に1号ペースでと。〔3号が9月刊行、4月が10月予定〕
 忙しいのになんでわざわざと、自分でも思う。しかし、今の、とくに「学術雑誌」のペースでは、記録し、書いておくべきことの多さにぜんぜん付いていけない。とにかくみんなにがんばって調べてもらい書いてもらおうと思って、作った。まだマイナーなので、知名度ないので、まずは「立岩 遡航」で検索してください。そうするとでてきます。
 10人ぐらい読んでくれる人がいたら、ありがたいというもの。本誌のような、紙で作って値段のある、マニアな人でなくても読む(読んでもらう)雑誌のほうがずっと大切で、そしてたいへんであることはわかっている。それでも、私らのようなものもあってよかろう。お金はかからない、手間もかからない。楽なものだ、と言っておく。
 1000本載るまでやる、ととりあえずほらを吹いておくことにします。ただ本人はわりとまじめにそう思っている。

本やらもらいものやら
 もう一つ、そうやって書いてもらったものをもっとよくしてもらったりして、みなに書いてもらって、私は編者のほうにまわって、本を出していこうと思っている。これも大きくでますが、5年の間に15冊とか考えている。
 まず例えば、薬、ワクチン、感染症…といったあたりとか。このかん、コロナのことは皆リアルに知っているわけだが、その前にもいろいろあった。ただ、私は、NHKの番組でやっていたような、前の世紀前半やその前の、ペストだのスペイン風邪の大流行、というよりはもっと近くのことが、忘れられているか、そもそも知られていないと思う。
 本誌に関わる人だと、毛利子来さんだとか山田真さんとか、例えば学校での予防接種を問題にしてきた人たちはおり、動きはあってきた。それと今回のコロナ関係はどう関係あるのかないのか、とか。
 そういうことと関係するところでは、このたび、2021年の10月に亡くなられた母里啓子さんが遺された本・資料を、栗原敦さん、古賀真子さんがまとめてこちらに送ってくださった。
 世の中に起こったことの全部を集めておこうなんていう望みは私にはない。ただ、もうすこし、集めよう、整理しよう、そして公開しよう。それはやっていこうと思っている。調べたものをもとに、考える、ものを言う、そのためにも、もとにもなるものを集めたり、整理したりする。それが大学というものがあってよいなら、その大きな使命の一つだと思う。前向きのこと、というか前のめりのことというか、そんなことばかりでなく、というか、前向きためにも、大学がんばってくださいよ、と私(たち)は思う。
 また学会というものもそういうことにもっと関わってよいと思う。たまたま数十年ぶりに日本社会学会の活動に関わることになり、そこでも、紙や声、アナログやディジタルの「アーカイブ」についてもっとやってこうということで、11月に学会の大会でのセッションをやり、それと連動させて、院生他に調べてもらい、まとめてもらい、それらを『遡航』にも載せていこう。
 そんなわけで、することありすぎなのですが、やっていきます。


 
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※編集者が手を入れてくれたもの。

今年の本三冊
 A:自分で書かなきゃと思うことを書く、B:さまざまな人が書いたもの話すことを集めてとっておく、そして読んだり聞いたりできるようにする。Aだけだったら勤め仕事をする必要はないが、Bの関係で、C:大学院生他といっしょに仕事ができること、集めたものをその人たちまた学外の人たちにも使ってもらえる場所は大学にあることもあって、組織に属し、給料をもらい、「教育」という仕事他をする。むだに消耗することもあってときどき、いやになるが、しかたがない。
 この連載の題はAの方向だが、このところ、Bの関係のことを書かせてもらってきた。今回、まずAについて。
 一〇年以上前になるが『良い死』『唯の生』という本を筑摩書房から出してもらった。その四分の三ぐらいを使って、今度ちくま学芸文庫から『良い死/唯の生』を出してもらうことになった。安楽死だの尊厳死だのといった主題についての本だが、もうすこし広いところで死生について考えてもらう本でもある、と思う。
 そして『唯の生』の第1章をおおはばに加筆して『人命の特別を言わず*言う』と題した本を、やはり筑摩書房から出してもらう。動物を大切にしよう、は、それだけだったらだれにも異論はないことだが、そして本誌の読者にはそういう優しい人が多いのではと思うのだが、同じぐらいの「程度」の動物と人間のいずれを救うかといった問題を立てる人がいて、そうすると、ある種の動物ほど立派でない「限界事例(マージナル・ケース)」の人間は後回しにしてよい、すべきだという話にもなる。そういう話の組み立てでいいの、といったあたりのことを考えて書いている。近ごろ「動物の権利」といったことについて書かれた本が(ふしぎに)たくさん出版されているのだが、そういうものとは異なる、しかし、じつはみんなこんなふうに考えている・思っている・生きているだろう、そういうことを書いた本です。どうぞよろしく。
 そしてもう一冊、これは私が考えついたのではなく、思いついたら実行してしまう安積遊歩さんとの対談本が生活書院から。安積は32年前に名著!『生の技法――家と施設を出て暮らす障害者の社会学』(生活書院)をいっしょに作った人。私と違って「ビーガン」な人でもあって、その辺りに関係することも話して(というか、話したように書いて)いる。

『遡航』――オンラインの雑誌をつくる
 そしてB+Cに関わって、オンラインの雑誌を作り始めた。『遡航』という。「そこう」と呼ぶ。川を遡るといった意味だ。三月に第一号を、六月に第二号を出した。うまくいったら八月第三号、一〇月第四号、二か月に一号ペースでと。
 忙しいのになんでわざわざと、自分でも思う。しかし、今の、とくに「学術雑誌」のペースでは、記録し、書いておくべきことの多さにぜんぜん付いていけない。とにかくみんなにがんばって調べてもらい書いてもらおうと思って、作った。まだマイナーなので、知名度ないので、まずは「立岩 遡航」で検索してください。そうするとでてきます。
 10人ぐらい読んでくれる人がいたら、ありがたいというもの。本誌のような、紙で作って値段のある、マニアな人でなくても読む(読んでもらう)雑誌のほうがずっと大切で、そしてたいへんであることはわかっている。それでも、私らのようなものもあってよかろう。お金はかからない、手間もかからない。楽なものだ、と言っておく。
 1000本載るまでやる、ととりあえずほらを吹いておくことにします。ただ本人はわりとまじめにそう思っている。

考える、ものを言う、そのために
 もう一つ、そうやって書いてもらったものをもっとよくしてもらったりして、みなに書いてもらって、私は編者のほうにまわって、本を出していこうと思っている。これも大きくでますが、5年の間に一五冊とか考えている。
 まず例えば、薬、ワクチン、感染症…といったたあたりとか。このかん、コロナのことは皆リアルに知っているわけだが、その前にもいろいろあった。ただ、私は、NHKの番組でやっていたような、前の世紀前半やその前の、ペストだのスペイン風邪の大流行、というよりはもっと近くのことが、忘れられているか、そもそも知られていないと思う。
 本誌にかかわる人だと、毛利子来さんだとか山田真さんとか、例えば学校での予防接種を問題にしてきた人たちはおり、動きはあってきた。それと今回のコロナ関係はどう関係あるのかないのか、とか。
 そういうことと関係するところでは、このたび、2021年の10月に亡くなられた母里啓子〔もりひろこ〕さんが遺された本・資料を、MMR被害児を救援する会事務局長の栗原敦さん、コンシューマーネット・ジャパンの古賀真子〔こがまさこ〕さんがまとめてこちらに送ってくださった。
 世の中に起こったことの全部を集めておこうなんていう望みは私にはない。ただ、もうすこし、集めよう、整理しよう、そして公開しよう。それはやっていこうと思っている。調べたものをもとに、考える、ものを言う、そのためにも、もとにもなるものを集めたり、整理したりする。それが大学というものがあってよいなら、その大きな使命のひとつだと思う。前向きのこと、というか前のめりのことというか、そんなことばかりでなく、というか、前向きためにも、大学がんばってくださいよ、と私(たち)は思う。
 また学会というものもそういうことにもっとかかわってよいと思う。たまたま数十年ぶりに日本社会学会の活動にかかわることになり、そこでも、紙や声、アナログやディジタルの「アーカイブ」についてもっとやってこうということで、一一月に学会の大会でのセッションをやり、それと連動させて、院生他に調べてもらい、まとめてもらい、それらを『遡航』にも載せていこう。
 そんなわけで、することありすぎなのですが、やっていきます。


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UP:20220826 REV:20220829, 0911
『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』  ◇『おそい・はやい・ひくい・たかい』  ◇生を辿り道を探る――身体×社会アーカイブの構築  ◇病者障害者運動史研究  ◇立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa 
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