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◆立岩 真也 2021/04/25 「続・介助者として働いてみようという本の話――何がおもしろうて読むか書くか 第14回」,『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』129
を分載していきます。『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』
http://www.arsvi.com/m/co.htm
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■短いものを出す・長いものも残す
こういうことは私にとってははじめてだった。出してもらいたい本はいつも大切なことを言っていると私は思っているが、それでもというか、だからこそというか、かなりややこしく、長く、厚く、そして値段の高いものになる。しかし、ほぼ普通の誤字脱字のなおし(校正)だけで、ときには手ちがいでそれもうまくなされず、本は出してもらった。
それはありがたいことだ。私自身は、難しいことを書いたことは一度もないと思っている。私は難しいことを考えられるような人間ではない。しかし、なぜあることが言えるのか、それを説明するのが、ものを書く者の仕事(のひとつ)だとは思っていて、その仕事をすると長く、いくらかはややこしくなってしまう。そういうものを出してもらってきた。
ただそれだけではだめだ、「要するに」とか、「すぐ使える」とか、そういうものを書いて出してもらおう。ずっとそう思ってきて、意外に苦労してようやく、かなった。時間がかかり、ペースがおかしくなったが立て直さねばと思っている。
話すようにと書けば、わかりやすくなるなんて思っていない。しかし、ふつうの文章では長くなるところを、ちょっとした言い回しで、なんとなく、まずは、短く、伝えることはできると思う。
それにしてもほんとうは長い話だ。いろいろな本で書いたこととか、いままでに知った人たちとか、そんなさまざまがあってできている。それは割り切ろうというのが今度の本なのだが、知りたい、知ってもよいという人にはやはり知ってほしい。
そこで、長い註と文献表を付し、そこからこちら(生存学研究所)の膨大な数のファイル(ページ)にリンクさせた電子書籍版をつくった。ただのHTMLファイル。というのはHPでみなが毎日見ているファイルと同じもの。クリックすれば開ける。文字量でいうと紙の本の三倍ある。そういう版も出すと、最初からはっきり原稿に書いてもいる。しかし結局、出版社的に無理ということになった。
新書が出た後は、本文なしの註と文献表というかたちで出し続けるしかないかもしれない。もったいないことだと思う。値段の高い専門書だったら、安い電子書籍が出たらそちらを選ぶということが(実際には意外にめったにないのだが)あるかもしれない。しかし、薄くて安い紙の新書とより立ち入った細々とした情報を得る電子データのファイルは、まちがいなく、競合しないはずだ。それぞれの利点があり、電子書籍版(のお知らせ)をみて紙の本を買う人もいる。そして私の基本方針は、紙の本を買った人にファイルを送るというものだから、紙の本が売れなくなる心配は最初からない。
しかし…、ということだ。こういうこともこれからだんだんとよくなっていくと私は思う。思うことにしている。
※生存学研究所のフェイスブックにあるこの文章と同じものは
http://www.arsvi.com/ts/20212732.htm
にもある。
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◆立岩 真也 2020/11/11 「私たちはそういうことにあまり慣れてないのだが」,DPI日本会議,ご寄付、ご支援について
◆立岩 真也 2021/03/10 『介助の仕事――街で暮らす/を支える』,ちくま新書,筑摩書房,238p. ISBN-10 : 4480073833 ISBN-13 : 978-4480073839 820+ [amazon]/[kinokuniya]