20210012.docx 2021年度 研究共通資料申請書 <カテゴリーB> 2021年4月23日 図書館長 殿 申請者 (グループの場合研究代表者) 所属・職名:先端総合学術研究科・教授                  氏 名: 立岩 真也 研究分野及び キーワード (5点以内) T.研究分野: 社会学 U.キーワード: @ 社会運動史 A 社会福祉政策史 B 患者運動 C 障害者運動 D 日本患者同盟  研究課題 戦後日本病者障害者運動史研究 申請資料名 マイクロフィルム版日本患者同盟関係資料集成  第V期 患者運動の発展と当事者運動の拡大  定価:300万×1.10=3,300,000                                             価   額 *要:見積書添付 2,805,000円(税込) 研究メンバー (グループ申請の場合記入してください) 氏 名 所属 職名 学位 専門分野 役割分担 立岩 真也 先端研 教授 修士 社会学 戦後日本の病者障害者運動研究を進めグループを統括する 研究代表者 後藤 基行 美馬達哉 長瀬修 大谷 いづみ 松田亮三 富永京子 岸政彦 松原洋子 先端総合学術研究科 先端総合学術研究科 衣笠総合研究機構 産業社会学部 産業社会学部 産業社会学部 先端総合学術研究科 先端総合学術研究科 講師 教授 教授 教授 教授 准教授 教授 教授 博士 博士 修士 博士 博士 博士 博士 博士 社会学 生命倫理学 障害学 医療社会学 医療政策 社会運動論 生活史研究 科学史 政策と社会運動に関するアーカイヴ構築に向けた研究を行う 科学技術の進展と社会運動の関わりについて研究する 日本の運動が世界の中でどのように位置づくのかを研究する 生命倫理の主題を社会運動はどう捉えたかを検証する 戦後日本の医療政策と社会運動の関係を研究する 社会運動全体に病者障害者の運動がどう位置づくのかを検討する 個人の語り・記憶と組織の記録とがどのように重なり交錯するか研究する 戦後の社会政策・医療政策と社会運動との関わりについて研究する 研究分担者 研究メンバー 計 9 名 ※以下の項目に文字制限はありませんが、5頁程度までに収めてください。 T.研究目的・研究の必要性  ■1.研究の背景(学術研究、技術開発等の動向や社会的背景との関連性)  学問の意義の一つは記録することにある。この研究は今しかできない。本年にもその前の数年も、運動で中心的な役割を果たした人たちが数人ずつ亡くなった。多くの人たちが語ろうとしているが、自らそれを文字にして公けにできる人は少ない。それは公正でない。そして惜しい。つまりもう一つ、この研究は実践的な、人々に有益なものであろうとする。私たちは技術や人を使って生きていくし、それを使える専門家も、金も政府も必要であり、それを引き出しうまく使っていく必要があり、そのために自らが活動・運動しようともする。人々がどのように自らとその身体を了解し、技術を使い、政治に働きかけ、組織や人を使っていくか、そのためにも、何があったのか、どんな工夫がなされてきたのか、どんな困難があってきたのかを知る必要がある。    ■2.研究目的と必要性、意義  障害・病を有する人達の主張・運動の多くは記録も考察もされていない。資料の散逸が進み、今後しばらく長く活動してきた人の声を聞く最後の機会となる。研究を組織化し、世界的な流れの中に位置づけつつ、その過程を明らかにする。T結核・ハンセン病等の収容施設が批判の対象とされつつ生活のための砦であったことがある中での運動。U社会・政治を加害の原因として糾弾しつつ自らの内にも対立や困難を必然的に抱えてしまった公害・薬害に関わる運動。V医療福祉政策の狭間に置かれる中で自らの位置を得、生活を獲得ようとしてなされてきた「難病」を巡る運動。Wすべてに関わりつつ障害と病の位置の転換を主張して1970年前後に新たに現れた運動、それが起こした波紋。そしてXそれらを経て世界に共通する現況を診断し、これからを展望する。今回申請の資料はTの重要資料となる。    ■3.本研究の学術的特色 購入しようとする資料は日本の歴史において最も大規模な感染症(結核)に関わる民間の団体「日本患者同名」の活動の歴史を明らかにするものである。その歴史の忘却が何をもたらすかは、現状を見るなら明らかなので、説明は不要であろう。 2019年度には資料集成全4期の第T期を、2020年度には第U期を購入した。今年度は第V期を購入する。むろんこの資料史料に限ったことではないが、全体があることによってこの資料を有することの意義は高まる。  この資料も用いてなされる研究について。これから10年も経てば証言がまったく得られなくなるだろう時期から始まり、現在に至る、障害や病に関わるこの国での社会運動についての研究の重要性は認識されてはおり、とくに1970年代以降の身体障害者の運動についての研究は幾らかなされるようになってきた。だがなお広大な未踏の部分が残されており、さらに考察すべき部分を多く残している。そしてその手前で、より広い範囲の人々の利用に資するための資料・情報の収集・整理・発信を行う必要がある。新たなインタビュー調査とその記録、その公表も重要である。ただ満遍なく全てを集めるのはもはや不可能だ。重要と考えられる部分に当たり、その検証から新たに調査すべき場所を見つける。その繰り返しの作業を速く進める必要がある。調査・研究を効果的に遂行できる体制を組み込み、個々の研究を随時まとめながら、個々に独立しているかに思われる事象の連関を確かめて行って、この時代の全体像を描く必要と有効性がある。その研究の成果の一部は『病者障害者の戦後――生政治史点描』(立岩真也、2018、青土社)となっている。 2020年度には『日本の精神科入院の歴史構造――社会防衛・治療・社会福祉』(2019、東京大学出版会)で日本社会政策学会賞を受賞した後藤基行が分担研究者に加わった。後藤は、病・障害を巡る日本の現代史を本格的に研究し、その際、統計資料や行政資料の収集と分析の経験があり豊富な知見を有している。これから立命館でアーカイブ事業・研究を進めていくに際して力になるはずである。 さらにこの研究、研究において購入される資料は、大学院生ほかの若手研究者の研究に資するものとなる。例えば、現在、先端総合学術研究科後期課程の院生(日本学術振興会特別研究員)の塩見麻子ら数人が、新型コロナウィルスを巡る言論・報道などを収集し生存学研究所のサイトに掲載する活動を行っている。塩見は日本での結核に関わる表象についての研究を行ってきたが、この資料が備わることによって、その研究はさらに深化し進展していくだろう。 ■4.科研費の申請・保有の有無  基盤研究B(2017〜2019)「病者障害者運動史研究――生の現在までを辿り未来を構想する」が終了した。代表は立岩真也。本学の教員としては長瀬修・渡辺克典が分担研究者として参加した。共著書『往き還り繋ぐ』(生活書院、2019)他何冊の著作が刊行された。   2021年度に基盤研究A「生を辿り途を探す――身体×社会アーカイブの構築アーカイヴィング」が採択された。とくに日本・戦後の文字・画像・動画…資料の収集・整理・公開のあり方を研究し、実際にその作業を行い、アーカイヴを構築・運営する。2025年度までの5年間はその基礎作りの期間となる。図書館におかれるこの資料がどのように使えるものであるのかを示すこともその研究の一部に位置づけられる。 U.申請資料の内容 ■1.資料形態(非図書資料の場合は利用方法もあわせて明記のこと)  16mmマイクロフィルム・全81リール(第V期)。別冊子(資料解題・資料リスト一覧)検索用CD−ROM付。  ■2.資料の具体的説明 (わかりやすく記載のこと)  (主に国立療養所に居住した結核療養者の)「療養生活の向上を目指し、戦後社会福祉制度の改善を先導した日本患者同盟。当事者運動の実態が克明にわかる日患本部資料のすべてを、マイクロフィルムで公開する」(パンフレットより)  日患同盟から日本社会事業大学図書館に寄贈された膨大な一次資料を整理・編集し、全4期にわたってマイクロフィルムで復刻。全4期のうち第V期を購入(第T期は2019年度に、第U期は2020年度購入してもらった)。  ・以下パンフレットより ◇「戦後社会福祉の再検討の進展を期待したい」 日本女子大学人間社会学部教授(社会福祉学・貧困論)/日本社会福祉学会会長 岩田正美  ◇「社会保障の未来を探る上で活用が望まれる」 日本社会福祉大学名誉教授(医療福祉論・障害者福祉論)児島美都子  ◇「戦後社会福祉形成を理解する基礎となる資料集め」 日本社会事業大学理事長(社会福祉学)/前熊本県知事 潮谷義子  ◇「社会福祉・社会保障発展の礎となる貴重な資料」 日本福祉大学社会福祉学部教授(社会福祉学)/社会保障事業史学会会長 永岡正巳  ■3.研究目的と関係した申請資料の必要性  (定期刊行物で欠けている部分や過去の刊行部分を申請する際は、その必要性を具体的に明記のこと) 日患同盟の活動は戦後の早い時期から始まり、病・障害に関わる社会運動の一つの大きな部分を占めるものだった。また1970年代に始まる「難病」者の運動等にも影響を与えた。多くの研究者もそれを支持し、そうした立場から当時書かれたものがある。それは社会福祉(学)の有力な流れとともにあった。むしろその流れの重要な一部であったと言った方がよい。例えば「朝日訴訟」が特別に重要なものとされてきたことからもこのことはわかる。その意義を認めつつ、より長い時間、より広い視野で起こったことを検証しその意義を検討する。 V.申請資料の活用方法  ■1.申請資料の具体的活用方法(研究目的達成、研究計画との関連性も含め具体的に記載のこと)    日患同盟の運動が大きな重要なものであったために、それだけがこの時期以降あったかのような記述さえ見られるのだが、それは事実に反する。この運動が後の各種の運動に力を与えた部分と、それと距離をとった動きとの双方があり、実際にはさらに複雑な仕組みになっている。その全体が戦後・現在を規定している。その一端は前掲『病者障害者の戦後――生政治史点描』に記された。そこでは日患同盟を外から見ていた人たちの書いたものが使われた。それにはその運動を肯定するだけですまないことを示す意義はあったが、さらに、運動の中から見ていってそこに現われるものとを合わせていく作業も必要であり意義がある。この資料はそのように使われることもできる。    ■2.全学利用の視点による資料の活用方法    上記したのはこの資料は使い方の一つであり、種々の研究に関わっている。もちろんこれは、社会福祉の歴史や社会保障関連法を辿っていく上での重要な資料であり、産業社会学部、法学部などの教員・大学院生、学生等、多くの人たちに有用なものであり、それが容易にアクセスできる場にあることの意義は大きい。     ■3.「研究共通資料」で整備する意義および本学の蔵書構築上での必要性    2に記したようにこれは学部・研究科や研修所に収蔵されるべきものでなく、全学の共有資産となるべきものであり、すべての本学構成員がアクセスできるべきものである。そしてこの貴重な資料を有することになる大学は、おそらく関西では本学だけになる。その意味でも本学図書館に収蔵する意義は大きい。   W.その他特記事項(自由記述)  ※本研究課題で獲得している競争的資金等、補足事項を記載のこと。  Tの4に記した。