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「自己犠牲」や「指針」で、命をめぐる医療現場の困難は減らない

だいじょうぶ、あまっている・2

立岩 真也 202004
第1回 <>  第3回

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◆立岩 真也 2020/04/21 「「自己犠牲」や「指針」で、命をめぐる医療現場の困難は減らない――だいじょうぶ、あまっている・2」
 『現代ビジネス』 
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/71974
◆立岩 真也 2020/05/02 「新型コロナの医療現場に、差別なく、敬意をもって人に来てもらう――だいじょうぶ、あまっている・3」
 『現代ビジネス』 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/72304

 ※題は編集者の栗原さんに決めていただいています。
 ※第1回掲載されています。ご覧ください。
  https://gendai.ismedia.jp/articles/-/71768
 ※これは第2回を書き出したところの草稿です。
 ※この草稿は、書けたら講談社のサイトに掲載され、ここからはなくなります(20200416)。〜まだありますがなくします(20200421)
  https://gendai.ismedia.jp/articles/-/71974ご覧ください。

■人工呼吸器を作るのは可能なこと〔栗原案〕→「もの」は作れるし渡せる
 前回(前回の原稿を書いたのは4月8日)紹介した斉藤龍一郎さんが、日本国内にはあまりでまわらないアフリカ関連の情報・記事を集めて掲載してくれています★01。新型コロナははやはりアフリカのほうにも広がっていっていて、ということになっているようです。
 前回、今必要なのは、「もの」としては、薬と、場所と、機械だと言いました。そして「人」は、まずは感染者に対応する人です。「もの」について、薬は当面望めない。場所は作るか、それよりも、あるものを利用し改良して使う。機械はまず「人工呼吸器」。作ればよい。そんなことを述べました。
 効果があり害のない薬が使えるようになるのにはまだしばらくかかるでしょう。その場合に、人工呼吸器は、それを使って日々過ごす道具というより、なんとか回復を期待して待つその間をつなぐというような性格のものであるようですが、たくさん必要であることはまったく確実です。それを作る。輸入し、輸出する。贈与する。まったく簡単なことで、可能なことです。自分の国で(今のところ)作れないというこの国(日本国)にもできることはあります。今できることのなかで一番簡単ぐらいものです。しかし、今日(4月15日)、いまだにたいしたことはなされていないようです。そしてこれは今になってという話ではありません。遅くとも2か月前には準備を始め体制を整えておくことができたことです。昨日DPI日本会議他の総理大臣あて要望書「新型コロナウィルス対策における障害のある者への人権保障に関する要望」が届きました(作成は11日だそうです)★02。そこでも呼吸器について強く要望されています。そして言うまでもなく、呼吸器のことは「狭義」の障害者だけに関わることではありません。要りようになったら皆に要ります。それをなんとしてもまにあわせれば、今使っている人が取り上げられること、辞退しようという気にさせられることもありません。世界的なできごとになっていますから、もし日本で余るようなことになれば、よそにあげればよい。それでもいらなくなったら、鉄なら鉄に戻せばよい。そうなったらまったくめでたいことです。いまは消毒用のアルコールも足りないが、この製造もまったく容易です。流通させるのも、本来は、容易です。

■「優先順位」をつけなくても済むように〔栗原案〕→それでも順位付けはいると言われる
 […]
 日本では「COVID-19の感染爆発時における人工呼吸器の配分を判断するプロセスについての提言」という文書を見かけました★03
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 これが、NHKの新型コロナ関連の特設サイトにも出てくるのです。「医療態勢ひっ迫 全都道府県データ」というところにあります★04。  […]
 昨年はNHKスペシャルで「彼女は安楽死を選んだ」(6月2日放映)という番組があり、それに対して、私にはもっともだと思える提起・質問がなされたのですが、そのままになってしまっています★05。ちゃんと返事ぐらいしてよ、と思っています。

■自己犠牲の尊重は他人の死を肯定する〔栗原案〕 → 自己犠牲の肯定が犠牲を肯定する価値を否定する
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 前々からあるその話、死の「自己決定」だとか「事前指示(advanced directive)」について、私はうんざりするほど、うんざりしながら、もう20年以上、腐るほど、繰り返してものを書いたり話してきました★06。それにつけ加えることはないので、加えません。ここではこの「提言」の構造についてだけ言います。
 […]
 この行ないは、他人を救うわけですが、それをこの状況において人に認めると公言するなら、それは、他人の死を肯定するいうことであるからです★07
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■「指針」で事態は改善しない〔栗原案〕→「指針」で困難は減らない
 […]

■生きられる人と生きられる人を比べるということ〔栗原案〕
 […]

■「平等」を基準にできるか〔栗原案〕→「平等」を大雑把な基準にすると
 私は『自由の平等』(立岩[2004])という本を以前書いていて、その改訂のための作業を始めたところなのですが★08、そういう題の本を書いた私は、実は平等が一番大切なものだと考えているわけではありません。ただ、[…]

■人の不足を理由にした選別は正当化されない〔栗原案〕
 […]
 今、岡部宏生さんを取材した記事「「最前線で頑張る人、差別なんて最低」ALS患者が一石」を知らせるツィッターを目にしました(16日、昼)。岡部さんは、ALSの人です。ALSになると、生き続けるためには人工呼吸器が要ることが多い。そして長い時間の介助・介護が欠かせない。その岡部さんから、「介護職・医療職・保育職すべての皆さんありがとう。頑張ってください。」という行動を始めていること、それを知らせてほしいという知らせが来て、こちらのサイトに掲載しています★09。この話もします。

■注
★01 こちらのサイトは災厄のたびにいくらかの情報を集めて提供してきた。もとになっているサイトは1996年開始。その時点で私は自宅でインターネットを使えていなかったが、1995年の阪神淡路震災の時メールで送られてきた情報をいくらか集めて掲載した。東日本震災(2011年)の時には研究センターが運営していたし、いくらか資金もあったから、大学院生などが現地に行ったりしたその報告も含めて掲載した(今も表紙からいける→「災害と障害者・病者:東日本大震災」)。その活動のことも少し含め、福島での障害者運動の歴史についての本に『往き還り繋ぐ――障害者運動於&発福島の50年』(青木他[2019])。そして天災ではないが、2004年ころから幾度かあってきた尊厳死の法制化等をめぐる動きについて(→「安楽死尊厳死」)、そして、神奈川県相模原市での障害者殺傷事件について(→「2016.7.26に起こった事件」)。なにか楽しいことについて伝えたい、そんなことだけをしたいとも思うが、仕方がない。このたびの出来事については、結核をめぐる歴史を研究している大学院生の塩野麻子さん他が中心になって情報の収集・整理・配信をしてくれている。前回はHIV/エイズについてアフリカ日本協議会(AJF)・斉藤龍一郎(と)の仕事を紹介した。AJFで斉藤らと活動してきた稲場雅紀との対話を収めた本に『流儀――アフリカと世界に向い我が邦の来し方を振り返り今後を考える二つの対話』(稲場・山田・立岩[2008])。
★02 (NPO)DPI日本会議・全国自立生活センター協議会・(NPO)ALS/MNDサポートセンターさくら会・(NPO)境を越えて・呼ネット(人工呼吸器ユーザーネットワーク)・バクバクの会〜人工呼吸器とともに生きる〜・神経筋疾患ネットワーク・(一般社団)日本ALS協会「新型コロナウィルス対策における障害のある者への人権保障に関する要望」
★03 生命・医療倫理研究会 20200330 「COVID-19の感染爆発時における人工呼吸器の配分を判断するプロセスについての提言」 http://square.umin.ac.jp/biomedicalethics/activities/ventilator_allocation.html
★04 「医療態勢ひっ迫 全都道府県データ」https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/medical/
★05 こちらでは「安楽死尊厳死 2019」という頁に質問状や(途中で途絶えた)回答を載せている→http://www.arsvi.com/d/et-2019.htm
★06 書籍の一部に関連する文章がある本として、昨年増補新版を出してもらった『弱くある自由へ』(初版立岩[2000]、増補新版立岩[2019])他、たくさん。この主題を主題的に扱った書籍としては『良い死』(立岩[2008])、『唯の生』(立岩[2009])、『生死の語り行い・1』立岩・有馬[2012])、『2』(立岩[2017])。
★07 こちらのサイトに「犠牲」という頁があることを思い出した。そこに『病いの哲学』(小泉[2006])等から幾つかの引用がある。以下は『良い死』より。
 「犠牲=利他という契機がある。実際、安楽死・尊厳死は利他的な行ないとしてなされる。利他的な行ないは肯定すればよい。しかし、他人のために、次世代のために死ぬというその善意を受け取り肯定しながら、その人の言うことをそのままに受けて、その通りに行なってもらってはならないということである。その心意気を賞賛しながら、あなたはそんなことはしなくてよい、それはあなたにはさせない、と応じるのである。おそらく多くの社会にあって、こうしたやりとりの方がまっとうなやりとりだとされているはずである。そのままに相手の言うことを受け取り、相手を死なせることはさせないはずである。他人のために自らの命を投げ出したりした人におおいに感動しながら、しかし、それをここですることはない、と言えばよいのだ。あなたが死ななければならないほどには誰も困ってはいない、すくなくともそれほど困らないようにこの社会をやっていくことはできると言えばよいのである。」(立岩[2008:346-347])
★08 『現代思想』の6月号から何回かの連載をし、『自由の平等』の第1章〜第3章に加えて1冊とするつもり。第4章〜第6章は、また別の文章を加えもう1冊の本にすることを考えている。
★09 記事はhttps://www.asahi.com/articles/ASN4G5KGSN4GUTFL008.html
 こちらに掲載されているのは「新型コロナに関する介護/医療/保育現場へのメッセージ」。4月6日に作成されたもので、10日に掲載された。

■文献(著者名アルファベット順)
◆青木 千帆子・瀬山 紀子・立岩 真也・田中 恵美子・土屋 葉 2019/09/10 『往き還り繋ぐ――障害者運動於&発福島の50年』,生活書院
◆稲場 雅紀・山田 真・立岩 真也 2008/11/30 『流儀――アフリカと世界に向い我が邦の来し方を振り返り今後を考える二つの対話』,生活書院
◆小泉 義之 20060410 『病いの哲学』,ちくま新書
◆生命・医療倫理研究会 20200330 「COVID-19の感染爆発時における人工呼吸器の配分を判断するプロセスについての提言」 http://square.umin.ac.jp/biomedicalethics/activities/ventilator_allocation.html
◆立岩 真也 2000/10/23 『弱くある自由へ――自己決定・介護・生死の技術 増補新版』,青土社
◆―――― 2004/01/14 『自由の平等――簡単で別な姿の世界』岩波書店
◆―――― 2008/09/05 『良い死』,筑摩書房
◆―――― 2009/03/10 『唯の生』,筑摩書房
◆―――― 2017/08/16 『生死の語り行い・2――私の良い死を見つめる本 etc.』Kyoto Books
◆―――― 2019/12/24 『弱くある自由へ――自己決定・介護・生死の技術 増補新版』,青土社
◆立岩 真也・有馬 斉 2012/10/31 『生死の語り行い・1――尊厳死法案・抵抗・生命倫理学』,生活書院


 
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◆第2回草稿
Date: Thu, 16 Apr 2020 19:23:31 +0900
From: 立岩真也 <tae01303@nifty.ne.jp>

栗原様

じつは(本筋からは離れつつ)わりあい大切なことを書いたように思っていて
かつ書きにくく(すらすら書けず、別のことをしたりしてしまって)意外に手間かかりました。
http://www.arsvi.com/ts/20200022.htm
明日午前にはあげられるのではないかと。あと1回でいったんコロナの話をきろうと思っています。
毎日いろいろと(大きいメディアにはあまり出ないが)入ってくるものがあって
とりあげる必要があるように思い、本にするときは、それはそれとして
サイトに載る文章として意義があるようにも思います。

第3回も土日までには終わらせられるのではないかと思っています。

最初は、今年は別の本をさきにと思っていたのですが、そうでもないかもです。

第1回、すいません。まださげられていませんが、ちょっと確認してさげます。
講談社のサイトのほうに誘導するようになってます。
いくつかのМL、そしてツィッターとFBで知らせました。

立岩真也
http://www.arsvi.com/ts/0.htm

◆17日夜送付

◆18日午前校正送付


UP:20200414 REV:20200415, 16, 17
感染症・新型コロナウィルス  ◇犠牲  ◇立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa  ◇生を辿り道を探る――身体×社会アーカイブの構築 
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