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身体×社会アーカイブ

何がおもしろうて読むか書くか 第11回

立岩 真也 2020/01/25 『Chio』126:http://japama.jp/chio125/
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■『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』125:- 2020年1月25日刊行 特集:
 http://japama.jp/chio125/


■『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』/『おそい・はやい・ひくい・たかい』

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『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』
『おそい・はやい・ひくい・たかい』

青木千帆子・瀬山紀子・立岩真也・田中恵美子・土屋葉『往き還り繋ぐ――障害者運動於&発福島の50年』表紙   立岩真也『病者障害者の戦後――生政治史点描』表紙

表紙クリックで紹介頁&HP経由で購入すると寄付されます


『往き還り繋ぐ――障害者運動於&発福島の50年』
 前回お知らせした二〇一九年「八月一九日には題名はまだ決まっていない(今日中に決めます)」と記した本は、『往き還り繋ぐ――障害者運動於&発福島の50年』という題の本になって、九月に生活書院から出版された。いつものようにHPに案内など載せているのでどうぞ。時間切れというところはあったが、それでも価値ある本にはなったと思う。そこにも書いたしこのごろほうぼうで言っているのは、「ないよりよいものはよい」ということだ。「ちゃんとしたものを」と思うと、思っている間に、あっというまに、何十年も経ってしまう。今度のこの福島の本だって、あるとよいなと思ってから二〇年近くが経った。けっこう最後は強引に終えてしまったが、やはり、やらないよりよかった、と思う。
 その後、書かねばならないもの書きたいものたくさんあったが、またこの連載の文章も締切をとうに過ぎてしまっていたのだが、みな手につかず、十月から私の心を重くさせ、十一月になってようやくやらねばとやっていたのは、「お金をください」という書類だった。それは文部科学省の「科学研究費(科研費)」の応募書類だ。七日が締切でなんとかその日、終わらせた。結果、まともな計画・文章になったと思う。全文をHPに載せた。是非ごらんください。中身のことはそちら&後で。まず愚痴を言います。

「科研費」というもの
 科研費は規模等によりいくつか種類がある。今回出したのは額の多い「基盤A」というもので、五年間で五千万円にした。額が多い方が少し通りにくくなるようで、当たるのはだいたい四つに一つ、倍率四倍といったところではないか。
 それと別に、たいがいの大学には大学から出る個人研究費というのものがある。額は学校によりだいぶ異なるようだが、年三〇万円とか。本買ったり、出張に何度か行ったりすると、なくなる。筆一本でやっていくライターよりよいというのはそのとおりだが、ちょっとした規模の調査などしようとすればすぐなくなる。
 だから、当たっていたらその最後の年度に、外れたら当たるまで毎年応募し続けることになる。まともな書類を書いたつもりでも落ちることはあって、私は今当たっている三年ものの前、四回続けてだったか落ちて(その書類もHPで見れる)、いったい何をどうせよというのだとうんざり・がっかりしたことがある。
 そして、ずっと続けてやっていくことに意味がある仕事をしようというのに、
金がなくて仕事ができない年があるのは困るし、ずっと続けていくために当たるか当たらないかわからない書類を書き続けるのも面倒だ。しかし仕方がないから書く。秋が憂鬱なのはそのためだ。

アーカイブ
 という、お金についての愚痴だった。さてその「ずっと続けてやっていく」という仕事の中身について。
 「アーカイブ」というのはあまり聞きなれない言葉かもしれないが、「NHKアーカイブス」というのは聞いたことがあるかもしれない。英語的には「ブズ」と読まねばならないのだがそれでは言いにくいのでNHKが「ブス」にしてしまったと、検索したらどこかに書いてあった。そのNHKのものは過去の番組を集めて、見つけられるようにして、(オンラインの場合は有料で)観られるようにするというものだが、一般に、資料・史料を集めて、整理して、収納して、ものによっては公開すること、また、そうして集められたその全体のことを言う。
 私たちが今回出したのは「生を辿り途を探す――身体×社会アーカイブの構築」という題のものだ。HP以外にも『現代思想』にも書類を掲載してもらった。あまりそういうことをする人はいない。当落がわからない段階での掲載だから、外れた時の腹立ちまぎれにということでもない。建て前として、税金を使う仕事だから納税者のみなさんに知っていただいて、ということはある。ただそれだけでもない。やろうとすること、というより既にやってきていること、それをやっていることの「わけ」を知ってもらい賛同してもらい、協力してもらいたいのだ。
 紙の資料は、私たちの思っているペースよりも速くたくさん、集まりつつある。既に、まだもらった段ポール箱のままのものがある。そのことはまた書く。
 そして私としては三〇年ぶりに再開したのが話を聞くことだ。書類が終わっていれば晴れ晴れと、だったのだが、書類を抱えながら、十一月二日に東京で斉藤龍一郎さんに、四日に新潟で青木学さんと篠田隆さん・恵さん夫妻に話を聞いた。
 九日には徳島で内田由佳さんに話を聞いた。それは今すこし関わっている(旧)国立療養所に住んでいる(おもに筋ジストロフィーの)人たちの生活をどうにかしようという企画の一環でもある。その録音記録を文字にしてもらい、許可を得、手をいれてもらってHPで読めるようにする。むろん普通はインタビューのお願いをして予約してという運びだが、前日の八日、講演に呼んでくれた方々が夕食に招いてくれ、うかがったら、その主催の人から私のことを聞いたという方がいらして、たくさん話をうかがうことになった。『病者障害者の戦後』(青土社)は国立療養所の話が主なのだが、その一つ仙台の西多賀病院の所長で、最初に筋ジストロフィーの人を受け入れたのが近藤文雄という人だ。その近藤さんは所長を辞めた後郷里の徳島に戻ったのだが、近藤さんといっしょに活動してきた杉浦良さんがいろいろと話をしてくれたのだ。
 宴会での話を録音しておけばよかったということがこれまで幾度もあり、そのことは福島でもあって、福島本にも書いた。それに凝りて、ときにレコーダーを回してしまうことがある。昨日もそうしてしまった。もちろん許可をいただけたらだが、公開するつもりだ。そんなことをこれからも続けていく。
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UP:20200102 REV:
『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』  ◇『おそい・はやい・ひくい・たかい』  ◇生を辿り道を探る――身体×社会アーカイブの構築  ◇病者障害者運動史研究  ◇立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa 
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