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窪田好恵『くらしのなかの看護』解題?2

「身体の現代」計画補足・589

立岩 真也 2019
https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/2288361338097507

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『くらしのなかの看護――重い障害のある人に寄り添い続ける』表紙

[表紙写真クリックで紹介頁へ]

 窪田好恵さんの、博士論文がもとになった本、『くらしのなかの看護――重い障害のある人に寄り添い続ける』(2019、ナカニシヤ出版)が刊行された。
http://www.arsvi.com/b2010/1904ky.htm
 私はそこに「ここにもっとなにがあり、さらにあるはずについて――解題に代えて」という文章を書かせてもらった。それを分載していく。その間に、買ってください(オンライン書店、予約始まっています)、そして/あるいは、図書館、図書室、研究室…にいれてもらえるよう、リクエストしてください。

 今回はその2。◆のところになります。

■「論文の要旨」
◆「論文審査の結果の要旨」
□具体的に個別の全体を書く、というのもある
□その各々の配置を見る、というのもある
□今とは違う人が入った時期もあった
□ざらっとした部分を、少なくとも残しておく
□開いておくために、絞りこむ


「■「論文審査の結果の要旨」

 次に「論文審査の結果の要旨」を再掲する。ここを書くのがいかに面倒なことなのかは、やはりさきの葛城の本の解題に書いた――ただ以下についても、そう手間はかかっていない。

 看護師(だけ)に認められている行為を行なう場面は、確かに各世代の看護師たちにおいて自らの出番であると捉えられており、その仕事の甲斐のある部分となってはいる。生活の場の拡大を求めようとする福祉職の人に比べると、生命の維持の方に重きを置き、そのことで二つに大別される職種の間に葛藤が生ずることがあることも記述される。ただ、その上で、結局はその差異によって自らを規定するのではこの仕事は続けられない。このことが本論文で説得的に示される。
 例えば筆者が第三世代と呼ぶ人たちについて。重症児者施設で看護師・医療職が固有にできる(認められている)ことはある。入所者が重度化していてそうした技術の行使の場面は多くはなっている。それでもその生活の大きな部分は介護と呼ばれる仕事によって支えられている。近年の看護職の増員で数は多くなったが、その多数は新人であるということもある。施設で長く入所者に関わってきている福祉職の人に比べ、自分はなんだろう、と思う。学校で習ってきた最新の技術が発揮できるわけでもなく、そんな設備があるわけでもない。それで辞める人も多い。しかし続ける人もいる。その人たちは、狭義の医療技術の行使を補助する仕事でなく、毎日続く生活をただ支えることが自分の仕事だと思えた時に仕事を続けられる。しかしそれが結局看護の「本義」ではないか。本論文では「再定義」という言葉が使われるが、それは看護の「最初にあるもの」「もとのもとにあるもの」に戻っていくことだ。そのことを入所者から受け取ることによって、自らの仕事から感じることによって、そして同じ職種や異なる職種の人の働き具合にふれることによって、その施設での看護師の仕事が見つかり、続けられる。
 重症児者施設での生活やそこでの労働についての研究は少なく、看護師に関わる研究はさらに少ない。本論文はそうした中で希少な研究成果であるというだけでない。本論文は、インタビューで得られた多くの言葉を引用・紹介していって、その感情の機微と感情が位置するその構造を明らかにしている。重要で意義ある研究がなされたこと、博士論文として十分な達成であることについての審査委員の評価は一致した。
 その仕事ぶり、仕事の位置、仕事の意味づけには変化もあり、変わらないものもある。そしてこれらに関わって、この重症児施設というものが有している歴史的・制度的な位置づけがある。本論文は前半でその施設の成り立ち、経緯を明らかにし、さらにそこで明らかになったことと、看護・看護師のあり方の関係を示している。そもそも医療の割合が少ないこの種の施設が医療施設として始まったのは、その方が予算を多く獲得できるからだった。さらに近年、第三世代の新人看護師が多く採用されるのも、配置される看護師の数が増えその数に応じた予算措置が講じられるようになったからである。そうした成立や変化の機制によって看護と看護師はそこに大きく位置づいてはいるのだが、しかし生活と仕事の実質においては自らはさほどのことをしていないとも思えてしまう。そこにこの施設に働く看護師の悩みも、思い直しも発している。
 施設と制度に関わる歴史を記述した第1章・第2章とのその後の部分の接続について口頭試問において質疑があったが、筆者はそれに応え、制度、制度の変化と看護・看護師の「再定義」との連関を説得的に示した。複雑な歴史的経緯をもち、現在も医療の制度と福祉の制度が重なりあっている、この国に独自にある重症児者施設の歴史分析・構造分析の意味を本論文は示すとともに、本論文自体がその端緒を開いた。審査委員会はこの点も高く評価した。」


 生存学研究センターのフェイスブックにあるこの文章と同じものは
http://www.arsvi.com/ts/20182589.htm
にもある。


UP:2019 REV:
窪田 好恵  ◇立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa  ◇病者障害者運動史研究 
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